2008年4月15日火曜日

アジアの精神性とヨーガ

「ヨーガ」をテーマにした「インド研究」はわたしたちのライフワークですが、同時に、アジアの国々での「ヨーガ」のプロモーション活動もライフワークです。
       
   
(バンコクのワット・ポーにて、左M.L.ガロテ博士、右カヴィー氏)

仕事の面では、わたしたちは1998年からタイの大学・財団を活動の場としていますが、タイでの活動が始まったのは、まったくの「偶然」でした。
           
そもそもの始まりは、1997年の暮が押し詰まった頃、南タイのハジャイに住むタイ人のソシアル・ワーカーの友人を訪ねたことです。その時は、その友人を訪ねることだけが目的で、滞在の予定も2週間程度のつもりでした。
             
しかし、当時はまだタイで「ヨーガ」の指導をできる人物がほとんど居なかった、という状況で、「インドで長年勉強している日本人のヨーガ教師」というのが、どうやら、面白かったようです。タイでも「ヨーガ」への関心はあったのですが、実際に「ヨーガ」がどういうものか、よく分っていなかったのです。
      
それで、1998年の年が明けてすぐに、ハジャイの地元のソンクラー大学の看護学部で「ヨーガ」の紹介セミナーをすることになり、それから、バンコクのサン・サエンアルン財団に紹介され、1週間の「ヨーガ」のワークシップが企画されたのです。
  
(当時、その「サン・サエンアルン財団」のマネージャーだったのが「カヴィー・コンパックディーポン」氏で、後に『タイ・ヨーガ研究所』のディレクターになりました。)
   
その後、いろいろと紹介の輪の連鎖が広がり、結局タイに4ヶ月滞在することになり、タイでの仕事が始まったのです。 
    
1998年ー2000年までは「セミナー/ワークショップ」としての活動が主でしたが、2001年から政府系の「タイ健康促進基金(SSS)」の助成の対象となり、シーナカリン・ヴィロード大学人文学部とマヒドン大学看護学部との共同プロジェクトが始まりました。
         
『タイ・ヨーガ研究所』

わたしたちが、タイランドでの活動を始めてからの活動目標は、次のようなものでした。

(1)「ヨーガ」の意義と価値を擁護できる中立な「研究所」を設立する
(2)「大学」の中に「ヨーガ」を正式な科目として導入する
(3)厚生省での「ヨーガ」の認知を図る

(1)は、2004年にMCB財団タイ・ヨーガ研究所が設立されたことで達成されました。

(2)はバンコクのシーナカリン・ヴィロード大学人文学部哲学宗教学科で2005年から「ヨーガ」が副専攻科目として認可されたことで達成されました。その後も他の大学の学部や看護大学のカリキュラムへの「ヨーガ」の導入が進んでいます。

(3)はタイ政府厚生省代替医療局に「ヨーガ」の部門が出来て、代替医療の分野での「伝統的ヨーガ」が認知されています。代替医療局が医療スタッフ対象に実施するセミナーには「タイ・ヨーガ研究所」が共同します。
   
以上のような、わたしたちのタイランドでの「活動目標」は、日本の「ヨーガ」をめぐる構造的な問題の反省から出て来たものだと思います。

一般社会で「ヨーガ」が健全で人々に有益な役割を果たして行くには、非営利活動として、(1)(2)のような中立でアカデミックな枠組みと、(3)のような公的な認知や助成金による財政的な支援が必要です。
 
日本では、(1)(2)(3)が成立する条件が、なかなか整わないですね.....

タイでそれらが可能になったのは、インドのわが恩師であり近代ヨーガの歩く事典であった「M.L.ガロテ」博士のガイダンスを最初から受けれたこと、及び、2001年から政府系の「タイ健康促進基金(SSS)」の助成の対象となったことが大きなステップでした、が、それだけでなく、背景にあるタイの仏教文化の土壌が大きな要因だと思います。

日本での「ヨーガ」をめぐる構造的問題のルーツは、明治維新以降の急速な近代化とそれまでの伝統文化との関係、そして、第2次大戦後の急速なアメリカ化とそれまでの伝統的価値観の関係、という問題まで視野に入る根の深い問題です。

日本で「ヨーガ」に興味のある方や「ヨーガ教師」の方たちには、「ヨーガ」をチャンネルとして、タイの「仏教的精神性」に触れて行くことはメリットが多いことに思えます。

それは「伝統的ヨーガ」への理解を深めるだけでなく、仏教の伝統に基づく日本を含めた「アジアの精神性」の共通項への洞察を深める機会になるでしょう。

「ヨーガ」と精神性

「ヨーガ」自体はどの宗教伝統にも制約されないニュートラルなものと考えられますが、「ヨーガ」は近代になるまでインドの「ヒンドゥー教」の枠組みで継承されて来たので、あるレベルから先になると「ヒンドゥー教の精神性」という問題が出て来ます。
      
「ヒンドゥー教」はインドの民族宗教であり、遠い異国の異教ですから、日本で普通に生活をしている方には、なかなか分りにくいものですし、十分に消化が出来ないところがあります。
   
しかし、この問題は「ヨーガ」と「アジアの精神性」の伝統という、もう少し広い枠組みまで視野を広げると解決します。
 
アジアには「仏教の精神性」が伝承されています。そして、「ヨーガ」と仏教は同じルーツから派生したものですから、「ヨーガ」と「仏教の精神性」には幅広い整合性があります。
       
特にタイの上座部仏教文化は「ヨーガ」と特に親和性が強く、それが、タイでわたしたちが「ヨーガ」の活動で成功した理由だと思います。
  
わたしたちも最初は分らなかったのですが、タイで活動をするようになってから、実は、「伝統的ヨーガ」とタイの「仏教的精神性」がとても相性が良いことに気が付いたのです。 
    
そして、それは、わたしたち日本人が「伝統的ヨーガ」を理解し消化するためにも、非常にプラスに作用することも悟りました。      
    
わたしたちのタイでの合宿セミナーに参加されたことのある方はよく解ると思いますが、タイの仏教文化の「精神性」は日本のみなさんにもとても親しみやすいものです。
   
タイで日本のみなさんを対象とした「ヨーガ」の合宿セミナーを実施することは、「ヨーガ」と「アジアの精神性」についての洞察を深めることに有利に働いているようです。
                     
タイから先

おかげさまで、タイでの「ヨーガ」の普及活動はこの10年間で無事軌道に乗っています。
          
次は、タイ周辺のカンボジア、ラオス、ミャンマーといった仏教国にも「伝統的ヨーガ」が浸透し、その国々の人たちにも「ヨーガ」を学ぶ機会が増えて行くことが次の目標であり、わたしたちの願いです。
   
「ヨーガ」を媒介としてアジアの隣人の人たちと交流を持つことは、わたしたち日本人にはリターンが大きいことでしょう。「ヨーガ」によって、ますますこころが広くなり、豊かになることです。
       
以下は、昨年度のわたしたちの「タイ・ヨーガ研究所」の活動報告です。            

      
2007年度の『タイ・ヨーガ研究所(TYI)』の活動報告
ディレクター
カヴィー・コングパックディーポング(Kawee kongpakdeepong)

2004年に設立された『タイ・ヨーガ研究所(TYI)』は、2007年にその活動開始から3年を経て、活動目的と使命の再定義を行いました。そして、『タイ・ヨーガ研究所(TYI)』の活動目標は次の3点であることが再確認されました。
       
1)資格のあるヨーガ教師の養成
2)ヨーガの知識管理(Knowledge Management)
3)伝統的ヨーガの一般社会への普及
    
1)資格のあるヨーガ教師の養成

SWUコース

第1の活動目標をとしては、2007年度も『タイ・ヨーガ研究所』はバンコクのシーナカリン・ヴィロード大学(SWU)人文学部哲学宗教学科と共同で「ヨーガ教師養成コース」を実施しました。前期・後期の2学期制で授業時間は300時間、30名の受講生がコースを修了しました。
 
SSSコース
      
また、2007年度も『タイ・ヨーガ研究所』は「タイ健康促進基金(SSS)」の助成を受け、全国4ヶ所の大学・病院(バジャイのソンクラー大学看護学部、シーラチャの赤十字病院、プラチンブリとチェンライの公立病院)で、医療スタッフを対象とした短期コース(60時間)を実施しました。
       
受講生はまず7日間の集中セミナーに参加し、その後月1回のセミナーに1年間継続して参加するプログラムです。4つのコースで190名の看護師と医療スタッフが参加しました。
            
2)ヨーガの知識管理(Knowledge Management) 
 
シーナカリン・ヴィロード大学・副専攻課程
 
2番目の活動目標である「ヨーガ」の知識管理としては、『タイ・ヨーガ研究所』は、2007年度もシーナカリン・ヴィロード大学(SWU)の学部生対象の「ヨーガ」の副専攻科目を人文学部哲学宗教学科と共同して運営、さらに内容を発展させました。
    
「ヨーガ副専攻」を選択した学生は卒業単位の一部として、「ヨーガ」で8科目21単位を取得します。
   
さらに、マヒドン大学医療センター・物理療法学部と共同で、物理療法学部の学生を対象とした「ヨーガ」のカリキュラムを開発しました。
     
また、「ヨーガ」を体育教育の科目として実施するために、仏教大学と共同しました。 
          
学校教育でのヨーガ・マニュアル
  
学校教育の現場の教師が「ヨーガ」を導入して行く支援をするために、『子供のためのヨーガ・マニュアル』を開発するセミナーを実施しました。対象は幼稚園から高校までです。
        
ヨーガ教師のための講座
 
「ヨーガ教師」の継続教育と、安全な「アーサナ」の指導技術を高めるために、マヒドン大学の物理療法学部の助教授による14の基本的な「アーサナ」を解剖生理学的に分析した講義をシリーズを実施しました。
          
3)伝統的ヨーガの一般社会への普及
 
ウエブサイト
 
3番目の活動目的である「伝統的ヨーガ」の普及活動の一環としては、ます、既存のウェブサイト(www.thaiyogainstitute.com)を発展させました。今年度から、「ヨーガ教師」が経験と意見を広く交換できるように、「掲示板」のページをウエブサイト加えました。
            
月刊ニューズレターの創刊
  
また、タイ人の「ヨーガ教師」のネットワークを形成する媒体として、『タイ・ヨーガ研究所』の月刊のニュースレターを創刊しました。
    
ヨーガ・デリバリー・サービス
 
『タイ・ヨーガ研究所』は、職場でゆったりと「ヨーガ」を学ぶ機会を提供するため、「ヨーガ・デリバリー・サービス」を継続しました。2007年度は49の会社・団体から注文があり、『タイ・ヨーガ研究所』から派遣された「ヨーガ教師」により、2000名以上のスタッフがそれぞれの職場で「ヨーガ」を学ぶ機会が与えらました。
     
プラーナーヤーマ合宿セミナー
  
今年度、『タイ・ヨーガ研究所』はすでに基本的な「アーサナ」に習熟している実習者を対象にして、「ヨーガ」のより深い側面を求める人のための「プラーナーヤーマ」の合宿セミナ−を8回実施しました。


2008年4月8日火曜日

KDHAMコース参加レポート


今年1・2月に、インド・マハーラーシュトラ州ロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所(KDHAM)」の付属カレッジに短期留学され、6週間コース(CCY)を受講された東京の「Y.T.」と高知の「R.B.」さんのフィードバックです。
      

【参考情報】

Kaivalyadhama Yoga Institute (KDHAM)
Swami Kuvalyadhama Marg
Lonavla, 410 403, Maharashtra, India
Website:
www.kdham.com

6週間コース(CCY)のページ
  →
http://www.kdham.com/coll_ccyhtml
Certificate Courses in Yoga (CCY)
Six weeks : Twice a year, January-February & May-June

「カイヴァリヤダーマ研究所」は1924年に「スワーミー・クヴァラヤーナンダ(1883?1966)によって設立された、世界で初めての「ヨーガ」の学術的研究所です。
      
インド中央政府の人的資源開発省(Ministry of Human Resource Development、日本の文部科学省に相当)から「An All India Institute of Higher Learning(全インド・レベルの高等教育機関)」として認可を受けています。

また、マハーラーシュトラ州立のプネー大学から研究
センターとして認定されています(体育学専攻の博士課程があります)。

付属カレッジ(正式名称はGordhandas Seksaria Colledge of Yoga & Cultural Synthesisと長い)は1950年に開校されて以来、すでに58年の歴史があります。今までに、「ヨーガ」の分野に有意な人材を輩出して来ました。


付属カレッジのディプロマ・コース(10ヶ月間)は、インド中央政府の人的資源開発省の「NCTE(National Council for Teacher Education)」、教員教育全国審議会の認定を受けています。

また、付属カレッジは、人的資源開発省の「NIOS(National Institute of Open Schooling(NIOS)」から「ヨーガ」の「サティフィケート・コース」を運営するスタディ・センターとして認定されています。そのため、6週間コース(サティフィケート・コース)を受講するためにも、外国人は学生ビザの取得が義務付けられています。


1950年の付属カレッジの開校以来、現在までの日本人の修了生は
・「ディプロマ・コース」が約10名
・「サティフィケート・コース」が約20名
です。


【6週間コースについて】

コースの目的:

ベーシックで体系的な「ヨーガ」の理論と実習を紹介すること。

コースの期間:
6週間で年2回開講
・1月15日ー2月25日(12月31日願書締切)
・5月 2日ー6月11日( 3月31日  〃   )

コースの性格:

合宿制の集中コース。コース中はキャンパス外の外泊不可。健康上の問題がある者は受講不可。コース中でも医学的診断により継続が不適切と判断された場合中断。

コースの受講資格:
高卒以上で英語での授業を受けれる英語力必要。外国人は学生ビザを取得。

コース受講の優先権:.

体育教育の教員免許保持者。州政府の公務員、及び中央・州政府認定の教育機関に勤務する者。

コース受講の年齢制限と健康状態:
年齢制限45歳まで(外国人は年齢制限免除)、35歳以上の志望者は審査後受講許可を考慮。受講願書と共に医師からの健康診断書提出。

コースの受講料:
・インド国籍 9000ルピー 
・外国国籍  1000ドル

(コース途中で中断した場合も、受講料の返還なし)。
   

「カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ」への短期留学の感想
(Y.T.さん、東京在住)

   
1)場所と環境
(ロナウラという環境と、カイヴァリヤダーマの場所と施設 etc.)

ムンバイ空港から車で2時間ほどの距離にあるカイヴァリヤダーマ。
     
重いスーツケースを持っての移動、土地カンのない事などから 私は相方先生の紹介してくださったプライベートタクシーで行きも帰りも移動しました。私のようにインドに不慣れな方は安全ですし、利用されるといいと思います。

カイヴァリヤダーマ内は広く、木々も美しく整備されていて、疲れた時は散歩などすると気持ちが良かったです。

比較的学校内は守衛もいるので安全だと思います。キャンパス内に売店もあるのですが、学校から近い所にマーケットがあってそこで日用品などは全て揃います。
    
ロナウラという町はこじんまりとしていながらも品揃えも豊富で便利です。 
 
2)泊まる部屋と食事
(キャンパス内のゲスト・ルームとダイニング・ホールでの食事 etc.)
 
ゲスト・ルームは清潔で快適でした。ホットシャワーも出ます。お掃除も頻繁に来てくれます。でもしょっちゅう停電になるので、懐中電灯は必需品です。

私の滞在したこの1月・2月は例年にない冷え込みで非常に寒く、部屋もぴっちり窓が閉まらないので夜、机に向かう際、寝る時などはモコモコに着込んでいました。

食事は最高でした!バリエーションも豊富で脂っこくなく、しょっぱくなく・・・本当に美味しかったです。

3)付属カレッジの授業の内容について

(1)実習

アーサナの実習ですが、比較的難易度の高いアーサナはやりませんでした。毎回少しずつ新しいアーサナをふやしてゆくやりかたなので、授業についてゆくのはそう難しくないかと思います。

週に1回クリヤの実習もありました。最初はうまくできませんでしたが、段々コツがつかめて最後にはちゃんとできるようになりました。クリヤをした後は呼吸器系も頭も本当にスッキリします。
 
(2)講義

私はバイリンガルではないので、授業についてゆけるかが一番心配だったのですが、案の定、授業内容は半分程度しかわかりませんでした。学科によっては全くわからない事も。

毎時間のように授業が終わってから他の学生に質問して確認していました。また、学生の中にも既にヨーガに関して知識が有る人が多いので、先生もその辺をわかっていて、いきなり高度な話をしていたりもするので、留学前にもっと本を読むなどして知識を増やしておくべきだったと痛感しました。

4)今後ロナウラへのヨーガ留学を考えている方へのアドバイス
    
先ずは快適に勉強ができるように、留学する時期に合わせて持ち物を検討されるとよいかと思います。私はとにかく前半寒くて、もっと防寒対策すれば良かったと後悔しました。風邪もひいてしまいましたし。

5,6月だと蚊が沢山いると聞きました。私のいた時期も後半は段々暑くなり、蚊に睡眠を妨害される事もしばしばでした。

授業に関しては、全くヨーガの知識がゼロで参加するときついかと思います。可能であればカイヴァリヤダーマの出版物をとりよせ読んでおくといいかと思います。また解剖学の学科もあるので、基礎的なレベルでいいと思いますが、一冊くらい専門書を持っていかれるといいと思います。

そして何よりも相方先生のレクチャー(タイなどで)を事前対策として受けられると大変良いと思います!

       
「カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ」への短期留学の感想
(R.B.さん、高知在住)


1)ロナワラの町とカイヴァリヤダーマの環境

ロナワラはインドの地理に詳しい方ならご存知、汽車で2・3時間近くの距離だったと思います。私は、とてもじゃないですがボンベイでうろうろ出来ないだろうと思い、チェンナイから入国し、夜行列車に乗って、ロナワラへ行きました。ちょうど、チェンナイからボンベイへ行く便利な汽車が一日に2・3本走っているのです。

ロナワラの町は、きっと本当は広いのでしょうが、駅の周辺の歩いて回れるところに何でも揃っているので(インド的に揃っているという意味です)、方向音痴の私でも、軽々と把握できる規模の町です。
町のムードも、北インドのどろどろした、きつい感じ(個人的な感想ですが)ではなく、どこかさっぱりしているように感じます。外国人にはなじみやすい環境なのではないかと思います。

布屋やレディース・テーラーも充実していますので、パンジャビ・ドレスを作りたい方にも便利です。また、ロナワラには、「チキ」という名物のお菓子が有り、私はこれにはまり、パンパンに太ってしましました・・。

カイヴァリヤダーマはロナワラの駅から、私の足で歩いて15分から20分の距離のところにあります。とても静かで、豊かな自然に囲まれ、さすがヨーガの学び舎で・・・・と言いたいところですが、カイヴァリヤダーマの近くをというより、敷地内をも高速道路がドーンとぶち抜けているため、1日中車の音、インド特有のクラクションの音(パラリラパラリラポーペーポー!!みたいなのですね)が激しいのです。
が、しかし、人間、慣れるのね。いつの間にか車の音が全く気になっていない自分を発見し驚きました。長く、カイヴァリヤダーマに居る人は、車の音など、ほとんど気にしていないでしょう。
 
しかし、本当に自然は豊かです。敷地内にはリスや様々な野鳥がいますし、お約束の牛も居ますので、(時々ヤギの群れも)「えーーインドなのに牛が居ない!!」なんてことはないので、安心してください。
  
敷地内には、きれいな芝生の公園なども有り、よくそこに座っては、クラスメートとお菓子を食べたり、勉強したりしたものでした。
 
花もきれいに咲いています。裏山に上れば、ダムがあり、そこはとても静かです。が、一応危険ですから、必ず、数人のグループで出かけるようにしてました。

2)泊まる部屋と食事

泊まる部屋はとても清潔です。あのレベルであれば、インド初心者でも全く問題ないと思います。1度でも、ワンサニットを体験されておけば尚のこと、安心でしょう。

ただ、部屋によっては、お湯がじゃんじゃん出たり、でなかったり、日当たりの良い部屋、悪い部屋、などの少々の当たり外れはあるようです。

洗濯も、自分でしたくない人は、洗濯おじさんが時々やってきては「今日は洗濯あるかねー?」と声をかけてくれるので、(勿論、有料です!)便利です。でも、洗濯物に勝手に名前を書かれたり、色落ちなどもあるようです。私は、部屋にあったバケツで自分で洗濯しました。

股引をはかないと居られないような気候でも、蚊はいます。また、スワミジのクティなど、マットがしいてある部屋では、何かしらの昆虫が私達を待っています。虫除け対策は、しっかりされたほうがいいと思いました。

寝るのはベッドです。蚊帳もありました。ただ、この冬は本当に寒くて大変でした。使い捨てカイロを持っていて、ほんとうによかったと思いました。

また、何の因果か、試験勉強をする時期になって、やたらと停電するようになったので、ヘッドランプやランタン式の懐中電灯は必要です。
また、夜遅く、朝など、暖かいのみのものがほしい方は、旅行グッズのお店で手に入る、電熱棒?(お湯が沸かせる棒のこと)があると便利かもしれません。私は1日1回のほうじ茶&チキタイムが何よりの癒しでした。
  
外国人生徒はヘルスケアセンターの食堂で1日3食食べますが、フルーツやサラダも有り、(朝のインド版シリアルの日意外は)これがなんとも美味しいのです!!

私は、一度も日本食が恋しくなることはありませんでした。むしろ、美味しすぎて、ミタハーラが守れず苦労しました!!時々、クラスメートに誘われて、学生用の食堂にも行きましたが、こちらは時々、ネズミが床をチョロチョロシテイタリ、味付けが少々辛め、野菜と言うより、芋ばかりのメニューで、リッチな学生さんは外に食べに行くような人もおりました。

ヘルスケアセンターはいすに座って、テーブルで食べますが、学生用は床に座って、皿も自分達で洗います。お祈りも皆でしてから頂きます。でも時々、学生用の食堂では、ヘルスケアセンターでは出ることのない、甘いお米や、フルーツのはいったミルクがでるので、そんなときは食堂のはしごをしたり、日によって使い分けることも可能でした。

図書館も時々利用しましたが、椅子と、テーブルが合っていないのと、ナフタリンの匂いが苦手で、次第に足が遠のいてしましました。

インターネットも利用できますが、日本語のソフトは入っていませんでした。どなたか入れてください。

コピー機もあります。とても便利なようですが、学生が利用したい休み時間は、図書館も休みますで、これが一番困りました。

売店も一応あって、日用品(石鹸とか、お菓子とか)はここで買えますが、すぐ品薄になりますし、ここも開店時間が微妙でタイミングをあわせるのが難しかったです。(私だけかもしれませんが)私は、日曜日にロナワラの町へ買出しに行ってました。

3)付属カレッジの授業の内容について

(1)実習 
 
実習は朝、夕の2回ありました。新しくできた、というか建築中の建物の一部出来上がった場所で行いました。

今まで、激しい、ガンガンと動くアーサナをしてきた方には、「え?なにこれ?」と感じてしまうのか、コースが始まって数日で、何人かの西洋人は去ってゆきました。

私個人的には、ここ数年、病気続きだったため、大変ここちよく取り組むことが出来ましたし、10日を過ぎた頃から、自分の身体がめきめきと変わってくるのを感じることが出来ました。

アーサナも自分なりに納得する感覚を得ることが出来たのは大きな収穫ですが、ロナワラ名物の食べ過ぎで、別の方向に身体がメキメキと変化してゆくのは、もっと悲しいことでしたけど・・・。

アーサナ及びクリアの指導は主にシン先生という方が担当でしたが、厳しさの中にも笑いあり、(英語も、ヒンディーもよくわからないから、私は時々しか笑えませんが)とても暖かい、そしてメリハリのある、愛のある指導をされる先生だと思いました。
        
とある記念日に生徒全員が先生から、名前入りのカップとロナワラ名物のチキ(箱入りセット!)を頂いたときは、嬉しくてウルウルしてしまいそうでした。(私だけかも?)
   
クリヤの指導の中でも、特にラバーネーティーやボウマンダウティ、皆で頼み込んで特別に時間を作って頂いた、トーラタカなどは、なかなか日本で教えてくれる先生に出会うことは、私にとっては難しいことでしたから、大変ありがたかったです。

特に、ラバー・ネーティーは2度も相方先生のリトリートで挑戦しているのにも係わらず、未だ達成できないでいたものですから、できたときはとても感動しました。
    
今では、「なんでこんなことができなかったの?」っていうくらい、朝飯前です。(そう!クリヤは朝飯前にやるものですね!)
  
ボウマン・ダウティも難なく、今では勢いよく「ゲボーーー!!」と吐けるようになっています。
   
先生の指導と、クラスメートの励まし、助け合いにより、みんな出来るようになっていました。クリヤが不安な方は安心してください!!私が出来たんですから!!(相方先生が頷いてるような気がします・・・。)

ゆとりのある生徒は、布を食べたり、チューブを胃まで入れるクリヤまでやってましたが、私は将来の楽しみのためにとっておくことにしました。

そして、様々な講義で、クリヤについて学びますので、「なんでこんなことすんねン」という訳がきちんと自分の中に育ち、さらに実際にやるわけですから、しっかり身に付くのでしょうね(たぶん・・)。
   
(2)講義について
 
最初の10日くらいは、本当に、悲しいくらい、なあああんにも、わかりませんでした。だって、英語出来ないんですから。この時ばかりは、「大丈夫、大丈夫」と言って下さっていた相方先生を恨みました。

とにかく、1つのレクチャーが終わるまで座っていることに意義がある、とでも言わんばかりに耐えておりました。

しかし、耐えて耐えているあいだに、そんな私でも、先生が最新ヒットソングを歌いながら、または、携帯のコマーシャルを例にして、わかりやすく説明してくれたりするので、だんだんと、理解できる日も出てきました。(テレビもたまには役に立つのですね!)

また、相方先生のリトリートで習ったことが、大変役に立ちました。先生方は本当にエネルギッシュで、講義のたびに度肝を抜かれるといいますか、「先生、ここでこんなにエネルギーを使って、家庭ではどのようにして過ごしているのだろう?」と心配したくなる程の迫力の方もおられました。

また、6週間とはいっても、最後の週はすべて試験です。なのに、突然、授業がすっ飛ばされたり、DYの学生と合同の講義になったり、先生が来なかったり、と予定がめまぐるしく変わることがありました。

英語が出来ない私は、毎日「今日は何処へ行けばいいのか?」とハラハラしてましたが、結構インド人の学生もわかってなくて、「え?これからなんかあるの?」なんていう人もいましたから、いつもなんとかなってました。

(しつこいようですが!)英語が出来ないなりに、CCYの講義は盛りだくさんで、ヨーガをするなら、または教えるのであれば、最低限、この程度のことは知っておかねばならないのだな、ということが分かり、自分の不勉強っぷりに大いに反省させられました。
   
でも、私としては、6週間では、ヨーガのヨの字の横棒ぐらいしか、まだヨーガのエッセンスにふれていないのではないかと思いました。
  
他にも、講義についてはいいたいこともありますが、長くなるのでやめておきます。
   
4)今後参加される方へのアドバイス&私の個人的感想
    
・相方先生のリトリートには参加してからの方が理解が深まると思い ますが、欲を言えば、CCYに参加するための(しなくても良いけど)、それに向けた内容のリトリートがあればいいのになあと思いました。(復習にも良いと思います。)
  
例えば、「ここのね、こういう概念が分かってないと、話になんないのよね」みたいなポイントを押さえておくだけで、英語というハンデのある私達(私だけ?)には、大変、有意義だと思うからです。インド人なら当然の概念でも、外国人には、さっぱり何のことかわからない、しかも英語かなと思って講義を聴いていると、気がつけばヒンディー語で話してるし!!みたいなことは頻繁に起こります。

そんなとき、西洋人の学生は、「英語で講義して下さい!」と言ってくれますが、そもそも英語が出来ない私は「うーーん、どっちでもいいよ」って感じです。(あー情けないっ!)

私が個人的に感じたことなので、他の方に当てはまるかどうかはわかりませんが、ビパッサナーやテーラワーダ仏教について、ちょっと経験があったことが講義の理解などに役に立ったように感じました。

・英語も大事ですが、国語力もきっと大事なんだろうなあと思いました。それは、テストの答案を書くときに強く感じました。答案は、すべて論述形式(?述べよ、とか、説明せよ、とかです)で書いて行くので、作文とか、ウソでもストーリーを組み立てていかないと、大きな答案用紙は埋まらないのです。(右手が筋肉痛になりました。)

・相方先生がプネーに滞在中に参加できてよかったです。心細いとき、不安なとき、何度励ましていただいたことか!!先生の家の大家さんの家に行ったりしたのも楽しい思い出です。

・友達ができてよかったです。学生さんの中には、本当に、親切で、面倒見のよい人がいるものです。そういう学生さんと仲良くなって、助けてもらうことも大切なんだなあと思いました。

私の場合は、一緒に過ごしたYさんをはじめ、同級生は勿論のこと、DYコースに留学中のタイ人や韓国人の先輩にも助けてもらい、(勿論先生方もですが)どうにか、こうにか6週間を終えたという感じです。終えただけで、試験にパスしているかどうかは・・・微妙です。

同級生とは、みんなで旅行に行ったり、観光したり、買い物で値切ってもらったりと、ほんとうに楽しく過ごしました。いつか、恩返しできるといいなあと思っています。

・6週間という短い時間ではありましたが、ヨーガを学ぶのに、カイヴァリャダーマで暮らしながら学ぶことがいかに意味があるのかということが、今になって、じわじわと分かるというか、感じてきています。

朝起きて、ハーブティーを飲むことから始まって、講義や実習を受ける以外の、日常の細かいこと、なにげないことに意味があったり、そこにこそ、日本では学べない、感じることの出来ないものがあったりするのかもしれません。

目に見えないこと、言葉に出来ないことの方が大きくて、でも、それを感じつつ、内容の濃い講義が自分の中で、ゆっくりと醗酵するようにそだってくれたらいいなあと思っています。

以上です。