2016年4月11日月曜日

カイヴァリヤダーマ研究所2016 (1)

ロナウラのカイヴァリヤダーマ研究所で実施された、オンライン・コース(YIC)の日本人受講生対象の合同スクーリングのフィードバック①です。

     
      
【合同スクーリング2016】  
日程:2016年2月21日(日)ー3月6日(日)
施設:ロナウラ・カイヴァリヤダーマ研究所
目的:オンラインコースのスクーリング
対象:オンラインコース受講生でビデオ講義での学習修了の方
参加:17名(男性1名・女性16名)+オブザーバー1名(CCY2013)
食事:菜食インド料理(自然療法の食事法に準拠)
追加:ウルリカンチャンで自然療法研修/世界遺産エローラ探訪
 
共同アルバム
https://picasaweb.google.com/103061544163066016927/2016INDIALonavla2016?authkey=Gv1sRgCOeM66TGvcb_OQ
  



   
2014年5月から開講されているオンライン・コースには、現在、14カ国から200名前後の受講生が登録、そのうちの50名余りが日本人受講生です。

今回の合同スクーリングには17名(男性1名・女性16名)の方が参加、課題レポート/プレゼンテーション/実技試験の難関を通過されて、全員YIC(ヨーガ・インストラクター・コース/カイヴァリヤダーマ発行・CYAI認定/5年間有効)の修了証を取得されました。
  


わたしたちが、ヨーガのことを、より良く知って行くには、1920年代からロナウラに蓄積されて来たリソースを活用することが確実で最短なコースです。
   
2014年の中道右派のインド人民党(BJP)政権の成立により、ヨーガの本家インドが、政府の政策レベルで「ヨーガ」を定義し、インド国民の福利厚生のために国内でヨーガを振興するばかりでなく、世界的な文化戦略のツールとしてのヨーガを打ち出して来た局面です。
 
インドでヨーガを巡る状況が急展開している現在、わたしたちは、インド発祥の仏教文化圏に属するアジア人・日本人として、インドの伝統を踏まえながらも、現代日本人に無理や矛盾のないヨーガを構築し、実践して行くことが課題と思われます。
 
 
インドの老舗カイヴァリヤダーマ研究所のオンライン・コースは、そのエントリー・ポイントのひとつになるでしょう。
 
日本でも、学術的・客観的なアプローチによる、知識の体系としての「ヨーガ」への認識が広まることが期待されます。
  

  
 
【オンライン・コース(YIC)】 


カイヴァリヤダーマ研究所のオンライン・コース(YIC)は2014年5月に開講されました。
http://kdham.com/yoga-instructors-course/
  
 インターネット上のビデオ教材での講義と、ロナウラでの2週間のスクーリングで6週間コース(CCY)相当の修了証が授与されるプログラムです。
 
5つのモジュールで、合計126講義・45時間の内容です。
 
「ヨーガ・ダルシャナ」「ハタ・ヴィッディア」「サイエンス(解剖生理学/心理学/教育)」の各分野の基本がカバーされており、ヨーガに関する教養講座とも言える内容です。
 
とりあえず、このコンテンツがあたまに入っていれば、ヨーガでの無駄な迷いは解消されて行くでしょう。

ウエブ・コンテンツへのアクセス権は無期限です。オンラインコースを修了された方も、引き続きビデオ講義での復習を続けることが出来ます。

 
モジュール1:パタンジャリ・ヨーガ・スートラ
講師:ガネーシュ・ラオ(21講義・8時間)
内容:ヨーガの理論面の枠組みの「ヨーガ・ダルシャナ」入門
 
モジュール2:伝統的ヨーガ/『アシュターンガ・ヨーガ』購読
講師:G.S.サハイ(28講義・10時間)
内容:ヨーガの技術面を構成する「ハタ・ヴィッディア」の概論
モジュール3:人体の構造と機能
講師:シャラッド・バレーカル(33講義・13時間)
内容:解剖生理学からのヨーガ理解へのアプローチ
 
モジュール4:ヨーガとメンタルヘルス
講師:R.S.ボーガル(36講義・12時間)
内容:現代心理学からのヨーガ理解へのアプローチ
 
モジュール5:ヨーガ技法の教授法
講師:リー・マジェスキー(8講義・2時間)
内容:ヨーガ指導の基本ガイドライン
 
 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
 
合同スクーリング2016+自然療法アシュラムのフィードバック
神戸在住のM.T.さん(女性)


M.T.さんは次のスケジュールで「ロナウラ2週間+ウルリカンチャン1週間」のインド研修を消化されました。

2月21日(日)
- 関空からバンコク経由でムンバイ到着
- カイヴァリヤダーマ研究所・チェックイン
 ↓
3月06日(日)
- カイヴァリヤダーマ研究所・チェックアウト
- ウルリカンチャンの自然療法アシュラム
(→ http://nisargopcharashram.org/index.html)
 ↓
3月11日(金)
- 自然療法アシュラム・チェックアウト
- プネー空港経由でムンバイ空港から帰国へ
  
 

☆☆☆☆☆
 

ロナワラでは 大変有意義な時間をありがとうございました!遅くなりましたが、記憶の新鮮なうちにフィードバックをお送りいたします。


【プロフィール】

1 住んでいるところ/ご家族のこと
 
兵庫県 西宮市
主人と犬の3人暮らしです。
 
 
2 現在されていること(仕事etc.)/今までにされて来たこと
 
現在は地元の方々と、ヨーガを共有していっております。会社員を経て カヤックやクライミングの指導に従事したこともあります。
 
 
3 関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
 
各地の民話の収集や 民俗学、ここ近年は仏教思想とその分布にも興味があります。山や自然の懐に足を運ぶことがライフワークです。

 
4 学生時代の専攻科目・職業資格・専門資格など

法学部法律学科
 
 
5 海外渡航歴/異文化親和度
 
インドは5回目、海外にはよく渡航しますが、基本的に岩場にいるので町のことはわかりません。どこにいてもやりたいことは変わらないので、異文化親和度は高いと思います。
 
 
6 ヨーガ歴/研修プログラム参加歴

ヨーガ歴は16年くらいです。

研修プログラム参加歴
2011年 穂高編①②、ワンサニット
2012年 穂高編③④、ワンサニット
2013年 久高島編
2014年 ロナワラ編、久高島編、
ワンサニット後半から タイ・ランプーンでのヴィパッサナー瞑想
2015年 久高島編、穂高オンラインコース補習
2016年 オンラインコース・スクーリング
 
 
7 ヨーガがご自分に持つ意味
 
自分がぶれそうになったとき、いつも立ち還れる土台のような場所です。 
    

  
  
【フィードバック】
 
 
1 オンラインコースのビデオ講義 
  
1.1 受講開始日/受講期間/費やした勉強時間
 
2014年9月16日開始。この春で1年半になります。ビデオを日々 時間のあるときに見て、ゆっくり勉強を進めました。
 
    
1.2 メンターによる勉強会への参加回数(穂高/東京/鎌倉/大阪)

  
穂高編、その他 大阪編は毎回参加。鎌倉編は参加出来ておりませんが 資料を頂戴しています。
 
   
  
1.3 ビデオ講義の内容(難易度/ご自分の理解度) 

1.3.1 モジュール1 パタンジャリ・ヨーガ・スートラ
 
難易度は高いです。でもメンターのK.N.さんが非常にわかりやすく勉強会で解説してくださり、実に面白いです。
 
『ヨーガ・スートラ』に始まり、『ヨーガ・スートラ』に終わると実感しています。ラオ先生の講義は抜群に面白いです。何度も繰り返し 見ています。
 
   
1.3.2 モジュール2 伝統的ヨーガ
(チャランダースの『アシュターンガ・ヨーガ』)
 
当初、チャランダースさんの名前も聞いたことがなく、一体人の名前なのか 本の名前なのかもわかりませんでした。でもサハイ先生のお話は ゆっくりとわかりやすく、PDFもあり、またメンターのA.K.さんが的確にまとめた資料を作ってくださって、理解が進みました。
 
 
1.3.3 モジュール3 ヨーガとこころの健康
(YOGA AND MENTAL HEALTH)
 
難易度は高いです。ビデオ開始後5分くらいで 必ず眠ってしまいます。結局最後まで起きて見ていたことがありません。環境音楽のようです。ボガール先生の綺麗なターバンの色しか 記憶にありません。
 
 
1.3.4 モジュール4 人体の構造と機能
(STRUCTURE & FUNCTION OF HUMAN BODY)  
 
一番わかりやすくて面白い教科です。プラーナーヤーマの項目はすぐに実践に移し、勉強になります。
 
 
1.3.5 モジュール5 ヨーガ技法の教授法
(TEACHING METHODOLOGY)
 
これはまあ適当に聞き流していました。









1.4 ビデオ講義で興味深かったこと/疑問に思ったこと/さらに興味を持たれたこと
 
こんな宝物のような知識に オンラインで繋がれるなんて、素晴らしい時代だなとありがたく思います。

でも、字幕がないのに相当苦労しました。日本語版がもちろんできてくれれば 申し分ありませんが、せめて単語の綴りがわからないと辞書がひけません。各教科、PDFのような紙の資料が 海外の生徒には必須だと思います。

ラオ先生の他の講義もさらにプラスされるなら、ぜひ選択したいです。
  

 
2 合同スクーリング2016
 
 
2.1 カイヴァリヤダーマ研究所について
 
2.1.1 ロナウラという環境と研究所の施設

 
カイヴァリヤダーマは3回目です。いつもこの時期に訪問しているので、気候も環境も快適です。
 
    
2.1.2 ゲスト・ルーム(HCC/Amrta/Soham)とキッチンの食事
 
私はAmrta kutiという女子寮に滞在しました。CCYやディプロマの学生と仲良くなり 色々教えてもらいました。
 
    
 
ツインのお部屋は広く、机も各自一個あるので、快適に勉強できます。バスとトイレがセパレートで、毎日必要ならお掃除してもらえます。
 

お食事は 毎回違うメニューで申し分ないのですが、旅の後半、体調を崩したときに準備してくださった白米のおかゆがとても嬉しかったです。


 
2.1.3 講義室(図書室)と実習室(Manana) 
 
図書室はちょうどいい広さで、先生との距離も近く講義が聴きやすかったです。机のフタを持ち上げないと 椅子に座れない仕組みに困りました。(先生が来られたときに立ち上がろうと思うと、ノートがバサバサと落ちます)
 
実習室も 新しく素敵なつくりですが、今回は数え切れないほど蚊に刺されました。朝の瞑想の時間は 特に集団リンチ合いました。各自虫除けが必須です。
 
    
2.1.4 スタッフの対応


みんな優しくて親切です。困ったらなんでも尋ねます。

   
 
2.2 講師陣の講義


ビデオの先生方から ライブで講義を伺えるのは とても嬉しい、いい経験でした。ゆっくり喋ってくださるからか、ビデオより英語もわかりやすかったです。

特別編の、アーユルヴェーダやナチュロパシーの講義があって嬉しかったです。本当は このあたりの概論も オマケとしてビデオ付録にあると総合的な力になるなあと感じました。

  

2.3 クティ(Kuti)でのプログラム


『ヨーガ・スートラ』の読誦は「ロナワラ2014」編に続き2回目です。耳で聞き覚えるというのはすごいもので、今もスラスラと出てきます。

今回はKriya yogaとはこういうものなのかなと、なんとなく肌で感じるようになりました。 
  

2.4 実習クラス/実習試験
  
わかりやすいよい誘導でした。せっかく2週間詰めてヨーガ実習できる機会なのでバンダやムドラ、プラーナーヤーマももう少し 踏み込んだ練習がしたかったです。
 
実習試験も抜きうちでしたが、出来ることしか出来ないし、これは積み重ねなので、別に慌てませんでした。
  
   
2.5 課題レポート
 
人生で一番勉強した時間でした。夜21時までの講義のあとから深夜まで連日、よく勉強しました。
  
過去のノートを何度も読み返し、いいことを教わっているのに忘れていることに気づきました。先生方のところへ教えてもらいに行ったり、学生さんとお話したり、友人と討論したりすることでずいぶん理解が深まりました。
  
睡眠時間が少なくて、体調は崩しましたが、レポートのおかげでずいぶん充実したと思います。
 


2.6 プレゼンテーション

「アシュタンガと◯◯」というお題でした。みんなそれぞれ、自分の人生経験と結びつけてお話をされ、とても面白かったです。
 

3 オンライン・コースの総括

3.1 オンライン・コースを受講したメリットがあったかどうか
  
多大にありました。

環境的になかなか6週間まとめて時間をとることは難しいですが、日々自分のペースで 学んでいけるのは大きかったです。

東京と大阪で勉強会を定期的に開催してくださっていることが大きな助けとなっています。
 
   
 
3.2 ロナウラでの合同スクーリングで深まった体験や理解

講義の内容だけではなく、先生方の背中や姿勢からも生きた学びがありました。

図書館の司書の先生や、色々な方々にわからないことをぶつけて、それぞれが、それぞれの方向から答えて下さいました。

どの答えも みんな同じ方向を指していることが興味深かったです。1年いたら、大変だろうけど面白いだろうなあと思います。

   

3.3 ご自分の今後のヨーガの方向性について


アヴィヤーサに尽きると思います。最低限の土台のあり方を教わりましたので、これを日々の暮らしの中で 実践しながら 深めていきたいと思います。
 
  

3.4 「オンラインコース+合同スクーリング」の経済面での費用対効果/満足度


十分な対費用効果があると思います。とても満足しています。

私は一番に登録したので 当初の金額500ドルでオンラインコースを受講していますが、こんなコンテンツで500ドルは安いとありがたく思っています。
 
 
 
3.5 今後オンラインコース受講を考えている方へのアドバイス

 
英語がそこそこ聴ける方は、ぜひ受講されるといいと思います。日本にいながら、正しい古典筋から学べるチャンスはそうありません。
 
聴いていたら英語も徐々にわかってきますし、東西の勉強会はとても勉強になります。
 
  
 
3.6 日本からの旅程・航空便

 
私は関空からタイまでタイ航空、タイからムンバイまでジェット・エアウェイズを利用し、待ち時間もなく快適でした。全部で 12万円くらいだったと思います。

タイで帰りにマッサージができて、疲れた身体がほぐれました。
 
  
 
3.7 インド全般のご感想・役立つ情報などetc.
インドという国、その有機体は、私を成長させてくれる大きな引力を持っています。わからないことはわからない、ときちんと尋ね、意見をハッキリ言う。この姿勢があれば、いいと思います。

今回も不思議なご縁に たくさん紡がれました。日本では漠然とわかりにくいけれど、インドのような苛烈な土地では、縁や運不運が、かなり色濃くあらわれます。

自分の行いが、自分に返ってくるカルマの法則を実感する場所です。
  
 
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 
 
   
4 自然療法アシュラム
 
 
4.1 ウルリカンチャンの環境とアシュラムの施設

 
2回目の滞在です。

ロナワラより一段と田舎です。環境はいいのですが、夜中じゅう 汽笛を鳴らす汽車と薬剤散布に閉口します。薬剤散布が来たら 部屋を閉め切り、逃げます。

全体的にのんびりとした、いところです。
 
 
4.2 ゲスト・ルームとキッチンの食事

 
私たちは一泊900ルピーのいいお部屋でした。お湯も出て快適です。
 
今回はRaw diet と Fruit diet食でしたので、昼間は 生野菜をパリパリ、夕方は季節のフルーツを好きなだけ食べ、大変満足でした。味覚が正常に戻っていくのがわかります。

食べていても5日間で3キロ痩せましたが、病的にではなく、身体も軽く気持ちよくなりました。
 
 
4.3 自然療法医のガイダンス(食事療法)

私は特別 不定愁訴がなかったため、フルーツが美味しい時期だからフルーツダイエットしてみる?』いうような自由なガイダンスでした。今回は滞在が短かったからかもしれません。

次回はもう少し長く滞在して、きちんとファスティングしたいと思っています。
 
 
4.4 アシュラムで提供されている各種治療プログラム
  
マッサージ、スティームバス、マッドパック、エネマなどなどを処方されました。体調が悪いときは 選択しました。
 
  
4.5 ガンディー主義(Gandhian Philosophy)について
 
自然の摂理にそった生き方を推奨し、自分の努力で健康を維持するこの思想に私は賛同します。

国や地域には様々な医療体系がありますが、ガンディー主義、ナチュロパシーの哲学は普遍の真理です。

カイヴァリヤダーマのナチュロパシー医のグプタ先生の言葉が胸に残っています。

『自然界の5元素でおおよその病気は治るものです。5元素で治らないときは、身体の使用期限が終わるとき。その時に向かって 心を整えていくのです』

  
4.6 自然療法アシュラムに滞在したメリットがあったかどうか
あります、また再訪します。

ヴィパッサナーでもそうですが、ここで素晴らしいのは 全ての情報が遮断され、不要なものに心が惑わされずに済むということも大きいです。
 
心身のファスティングです。
 
  
4.7 今後ウルリカンチャンを訪問される方へのアドバイス 
 
自分で体験したことしか身につきません。ぜひご自分の身体で試していただきたいです。
  
    

  
☆☆☆☆☆


最後に、今回のスクーリングを導いてくださった先生方、様々なサポートを現地と日本から行ってくださったKさんとNさん、一緒に歩いた仲間のみなさんに、心からの感謝を申し上げます。
 
かけがえのない時間を過ごせました。いつも自分が立ち還る たしかな土台となりました。
 
やっと入り口に立ったなあ、というのが正直な感想です。ここから一歩一歩 あるいていこうと思います。今後とも、ますますよろしくお願いいたします。
 
 

 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆