2009年1月27日火曜日

第4回ガロテ博士記念セミナー

先週1月17日(土)、ロナウラのリゾート・ホテル「Whispering Woods」で「ロナウラ・ヨーガ研究所(インド)」主催による「第4回ガロテ博士記念セミナー」が開催されました。 

毎年、ロナウラ・ヨーガ研究所の創立者である故M.L.ガロテ博士(1931-2005)の命日にあたる「1月17日」に開催される恒例の「カンフェランス / セミナー」で、今年で4回目になりました。

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主催: ロナウラ・ヨーガ研究所(インド)
日時: 2009年1月17日(土)
時間: 午前10時ー午後5時30分
会場: Whispering Woods、ロナウラ
後援: インド中央政府厚生省AYUSH局(CCRYN)、プネー大学
テーマ:日常生活におけるヨーガの応用

今回は、いつものインド中央政府厚生省AYUSH局CCRYNからの助成の他に、プネー大学もスポンサーとして協賛、プネー大学の現学長のナーレーンドラ・ヤーダヴ博士がチーフゲストとして出席、プネー大学の学長による基調講演のスピーチがありました。

また、故ガロテ博士と親交が深かったドイツの財団「WEG DER MITTE( A Foundation for Holistic Medicine, Health Education,and Social Service)」の会長であるダヤ・ムリンズ女史もゲストとして列席、ガロテ先生の思い出を織り交ぜながら、ドイツに於ける「伝統的ヨーガ」への興味と期待についてスピーチ。

セミナーの講義としては、バンガロールの「VYASA財団」のディレクターのナーゲーンドラ博士によるプレゼンテーション、また、スワーミー・クヴァラヤーナンダが直接指導した数少ないスタッフのひとりであり、「カイヴァリヤダーマ研究所」にガロテ先生の同僚として長年勤務し、現在はアメリカのフィラデルフィアで「SKY財団」を主宰しているヴィジェーンドラ・プラタップ博士のプレゼンテーションがありました。


今年のセミナーのテーマは「日常生活におけるヨーガの応用」でした。

出席した講演者・プレゼンターは、それぞれの専門分野や立場から、社会生活上の様々な局面でのストレスに賢明に対処しながら、常に肯定的・生産的な態度を保持する鍵となる「ヨーガ」の多面的な実践について、有益な知識とインスピレーションを提供しました。

インドにも世界同時不況の影響や、隣国パキスタンからのテロ攻撃といった「試練」があります、が、基調的なトーンは超「前向き」です。

れがインドの「精神性」の本質とも言えますし、特に「ヨーガ」のセミナーでは、
「ヨーガで益々自分の生き方を確立して行けば、
現実には怖れるような問題は、どこにもないのだ」
というメッセージが色濃く打ち出されます。


今年の研究発表

今年の「ガロテ博士記念セミナー」のハイライトは、「ヨーガ・ウパニシャド」の校訂版の出版発表でした。

数ある「ウパニシャド」の中でも、特に「ヨーガ」を主題とするウパニシャド群を「ヨーガ・ウパニシャド」と呼び、総数20とされています。

今回はそのうちの、

『トリシキ・ブランマノーウパニシャド(Trisikhi-brahmanopanisad)』
『ヨーガ・クンダリユパニシャド(Yogakundalyupanisad)』
『ヨーガ・チューダーマニユパニシャド(Yogacudamanyupanisad)』

の3つが、複数の写本・出版本から批判的に研究・校訂され、「ロナウラ・ヨーガ研究所」の出版局から1冊にまとめられて出版されました。

これは、インド中央政府厚生省AYUSH局のCCRYN(Central Council for Research in Yoga and Naturopathy)からの助成を受けた研究事業です。今年の出版分を第1部として、3部シリーズとして残りの「ヨーガ・ウパニシャッド」の校訂版も今後出版されて行く予定です。 

また、今回のセミナーでは、2002年に出版された
『ハタ・ラトナヴァリー(Hatharatnavali)』 の増補改訂版、
そして、故ガロテ博士の著作のマラーティー語版
『Yogic Techniques(ヨーガの技術論)』
『Guideline for Yogic Practices(ヨーガ実習のガイドライン)』
も同時に出版されました。

来年の「第5回ガロテ博士記念セミナー」では、この『Yogic Techniques(ヨーガの技術論)』の日本語版の出版報告もされる予定です(日本語訳原稿はほぼ完成し、現在、「ロナウラ・ヨーガ研究所」の支援会員である「メンバーシップ」に参加されている方に1章ずつ配信中です)。


日本人は7名参加

今年のセミナーには、日本人はわたしたちを含めて7名の参加がありました。

内訳は、現在「カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ」で1年間のヨーガ教育のディプロマ・コース(D.Y.Ed)に留学中の2名、同じく、「カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ」で現在進行中の1月・2月の6週間コース受講中の2名、そして、もう1名は、昨年「カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ」の1月・2月の6週間コースを受講、現在プネー大学に留学中の方でした。

インドで開催される上質なカンフェレンスやセミナーに参加することで、インドの主流社会における「ヨーガ」の今の雰囲気を直接感じることは、ヨーガへの洞察を深めることに役立ちます。

特に、今回参加された日本人の方は、全員ロナウラでヨーガを勉強している方ですので、非常に有益なセミナーだったと思います。


ヨーガ・ウパニシャド

ヨーガ文献は次の3つのグループに分類されます。
(1)『ヨーガ・スートラ』とその注釈書
(2)『ハタ・ヨーガ』のテキスト(主にナータ派の文献)
(3)『ヨーガ・ウパニシャド』

次のリストが20の『ヨーガ・ウパニシャド』です。

1.アドァデャ・タラカ・ウパニシャド(Advadya Tarakopanisat)
2.アムルタ・ビンドゥ・ウパニシャド(Amrta Bindupanisat)
3.アムルタ・ナーダ・ウパニシャド(Amrta Nadopanisat)
4.ブラフマ・ヴァイディヤ・ウパニシャド(Brahm Vaidyopanisat)
5.ダルシャナ・ウパニシャド(Darsanopanisat)
6.ディヤーナ・ビンドゥ・ウパニシャド(Dhyana Bindupanisat)
7.ハンサ・ウパニシャド(Hansopanisat)
8.クシュリカ・ウパニシャド(Ksurikopanisat)
9.マハー・ワーキャ・ウパニシャド(Maha Vakyopanisat)
10.マンダラ・ブラフマン・ウパニシャド(Mandala Brahmanopanisat)
11.ナーダ・ビンドゥ・ウパニシャド(Nada Bindupanisat)
12.パシュパタ・ブラフマン・ウパニシャド(Pasupata Brahmanopanisat)
13.サンディーリヤ・ウパニシャド(Sandilyopanisat)
14.テージョー・ビンドゥ・ウパニシャド(Tejobindupanisat)
15.トリシキ・ブラフマン・ウパニシャド(Trisikhi Brahmanopanisat)
16.ヴァラハ・ウパニシャド(Varahopanisat)
17.ヨーガ・チューダマニ・ウパニシャド(Yoga Cudamanyupanisat)
18.ヨーガ・クンダリ・ウパニシャド(Yoga Kundalyupanisat)
19.ヨーガ・シッカ・ウパニシャド(Yoga Sikhopanisat)
20.ヨーガ・タットワ・ウパニシャド(Yoga Tattavopanisat)


ヨーガをヨーガとして成立させるリソース

ヨーガは歴史の古い分野ですが、現在入手可能な信頼に足る資料の分量はまだまだ不足しており、世界的に高まっているヨーガへの興味を満たして呉れるには不十分な状態が続いています。

ここ数年で、インドでのヨーガを巡る状況も、大きく展開しています。これは、大きな歴史の流れと思われます。一過性の流行や単なる社会現象を域を超えて、持続可能な活動としての「ヨーガ」を成立させるためには、「ヨーガ」を「ヨーガ」として成り立たせているインドの伝統的・文化的背景や、学術的なリソースの裏付けが必要になります。

『ロナウラ・ヨーガ研究所』は、真正で伝統的なヨーガの文献を世界のヨーガ・コミュニティーのドアに届けることを意図して活動しています。

ヨーガにおける「カーシー(学問の座)」であるロナウラでは、定期的に国際会議(カンファレンス)やセミナーが開かれています。機会があれば、それらに参加されることは、インドにおけるヨーガの動向を知るために、非常に有益に思えます。次のロナウラでの「国際会議・セミナー」の予定です。

カイヴァリヤダーマ研究所主催第6回国際会議
日時:2009年12月27日(日)・30日(水)

ロナウラ・ヨーガ研究所主催第5回ガロテ博士記念セミナー
日時:2010年1月17日(日) 

これらの「国際会議・セミナー」参加を兼ねた、小グループでのインドへの研修ツアーも企画される予定です。興味のある方はお問い合わせ下さい。

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書名:

『ヨーガ・ウパニシャド:
トリシキ・ブランマノーウパニシャド
ヨーガ・クンダリユパニシャド
ヨーガ・チューダーマニユパニシャド』

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編者:

マンマット.M.ガロテ、パリマール・デーヴナート、
ヴィジャイ・カント・ジャー

紹介:

20種のそれぞれのヨーガ・ウパニシャドのように、
これら3つの代表的ヨーガ・ウパニシャドは、
ヨーガの特定の技術やヨーガ的課題について
詳しく解説している。それらは、現在出版されている
ハタ・ヨーガの文献では容易には得られないもの
である。

ヨーガ・ウパニシャドの貢献は、ハタ・ヨーガの
技術を用いて絶対的な合一性(アドバイタ)を
実現しようとする取り組みにある。

「実在の不二一元性」を至高であると称賛する
アドバイタ理論は、「二元性」を「苦痛と苦悩」に
他ならないと見なす。

苦痛と苦悩から自由であるために、
ヨーガ・ウパニシャドはハタ・ヨーガの修練が
有効な手段であると推薦する。

この意欲のもとに、ヨーガ・ウパニシャッドは多様な
二元論と一元論の哲学的体系での世界観の統合を
試みる。

それは、これらのテキストに鮮やかに展開されている。


ISBN:81-901617-9-2, 332p., 2009年、
価格:800ルピー(インド国内)、45ドル/35ユーロ(インド国外)

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2009年1月20日火曜日

プネーの近況2009年1月

ナマステ!

こんにちは。みなさん、お元気でお過ごしでしょうか。先月プネーに戻ってからの近況の報告です。

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1)バンコク・ムンバイ便はジェット航空(Jet Airways)

昨年のバンコクでの仕事を終え、プネーに帰って来たのは12月10日(水)でした。

昨年は大学のコースが11月末まで続いたこともあり、いつもの年よりインドへ帰る飛行機の予約を遅めの12月10日に入れていました。
(もし12月10日より早めに予定しても、それはちょっと難しかった
でしたね)。


最近は色々ありますから....

みなさんもご存じの通り、バンコク空港は昨年の11月26日から12月3日までの7日間、反政府グループの人たちに占拠され、完全に空港の機能が停止していました。

12月3日から占拠が解かれ、動き出したものの、正常な運行に戻るまで何日かかるか不明、と旅行代理店の人に言われ、「12月15日頃の便が確実ですよ!」とアドバイスされました。

実はインドに戻る前に、昨年の「仕事期間」最後の仕事として、12月3日から7日の予定でカンボジアのシェムりアップに行き、地元の教育カレッジでのヨーガの指導と、そこの校長先生と今後のヨーガのプログラムの計画について話しをする予定でした。

しかし、バンコク空港の占拠が予想外に長引いたので、12月3日の飛行機の運行には疑問を持ち始めました。予想通り、3日に乗る予定の飛行機は一応「運行する」、と言われましたが、使用空港はバンコクからかなり離れた「軍の飛行場から」と聞いたので、出発までの混乱も考えて、残念ですがシェムリアップ行きはキャンセルとなりました。

また、インドの方でも同じ11月26日にムンバイでテロ事件が起こり、世界中の人々を驚かせました。そんな混乱の中、ムンバイ空港に帰るのも少し様子を見てから、思っていました。

それやこれやで、とりあえず12月10日(水)と13日(土)に予約を入れて、バンコクとムンバイの状況の推移を見ることにしたのですが、どちらも平常化に向かい、最初の予定日の12月10日で何とかOK、という展開になりました。


今回もジェット航空....

いつもはバンコク・ムンバイ間の移動はタイ航空です。しかし、前回の移動時にタイ航空便が満員で席が取れず、インドの新興航空会社「ジェット航空(Jet Airways)」に乗ったわけです。

これが、意外に乗務員の対応も良く、「これなら合格!」と思っていました。

前回は「バンコク/コルコタ/ムンバイ」の、コルカタ乗り継ぎ便でしたが、昨年10月からジェット航空でバンコク・ムンバイ間の直通お昼便が始まり、それならと、今回もジェット航空に乗ってインドに帰ることにしたのです。

朝バンコク発、お昼にムンバイ着です。これは、とても助かるスケジュールなのです。
Jet Airways 9W61 バンコク/ムンバイ 09:20/12:10

12月10日の飛行機は予想に反して(?)8割方一杯でしたが、
どうやらバンコク在中のインド人、インド人家族と見られる人たちで賑わっていたようです。

他の外国人は、西欧人の旅行者を数人見かけましたが、日本人のビジネスマンや旅行者の姿は、ほとんど空港で見かけませんでした(フライトの時間帯によるのかも知れませんが)。


ムンバイ空港は改築工事中です....

当日のジェット航空ムンバイ便の運行は平常通り・定刻通りでした。ムンバイに着いて、昼間の空港と言うこともあって、夜中に到着するような緊張感はありませんでした、が、やはり警備は厳しかったです。

また、空港ターミナルが改築中で(もう何年も工事していますが)、出迎えの車のドライバーとの待ち合わせの場所(ターミナル1&2、さらにABCと分かれているのです!)がはっきりせず、ちょっと手間取りました。

しかし、今の改築工事が終わるとムンバイ空港もなかなか広くてモダンな空港になってくれるのかと、それは今から楽しみです。


2) プネーに戻って

さて、ムンバイ空港に降りてみて、日中のムンバイが、この時期、むしろバンコクより少し暑いと感じたのに驚きました。

ムンバイ空港を午後1時過ぎに出発。今回は朝夕のムンバイのラッシュ・アワーに掛からなかったので、高速道路経由で午後4時半頃にはスムーズにプネーの家に着きました。

プネーに着いても、やはり暖かいので、インドは今年は暖冬だなあ!と思いました。


半年分の大掃除....

さて、いつもの通り、半年閉まっていた部屋のドアを開けて、大掃除の始まりです。こちらの半年分の汚れは日本の何年分になるでしょうか?

蜘蛛の巣やヤモリの糞、その他留守の間に住み着いた蜂やら虫さん達に出て行ってもらい、ひとまず座ったり、ごろんとなる場所を作って、バンコクから持ち込んだミルクでチャイ(ミルクティー)を作りインド式で休憩!

その日の夕食は、家に帰る途中に近くの野菜市場で買った長ネギで、バンコクから持ち込んだ麺を作って食べました。


インターネットは.....

さて、半年留守後の電話線やブロードバンドの状況はどうか、というと、自宅の家電はOK、しかし何故かブロードバンドは不通。電話回線でインターネットには接続は出来る状態でした。

わたしたちの留守中も、今回は部屋のオーナーのゴレさんが電話局への毎月の支払いして呉れていたにもかかわらず、どうしてなのかな?と思いましたが、それから数日して、何故かブロードバンドも良好になりました。

この状況は、今も似たり寄ったりで、時々電話が使えたり、使えなかったり、ブロードバンドも使えたり、使えなかったり、電話は使えなくても、ブロードバンドは使えたり、電話は使えても、ブロードバンドは使えなかったり....

そういった不安定な状態が続いていますが、まあ、何とかなりますね。

最近、携帯電話のネットワーク経由でのインターネット接続も便利になっていて、USBのスティック・タイプのモデム(CDAMやGSM/EDGE)も売っています。これも併用して行くと、ますます、何とかなりますね。


ご近所の様子....

うちの周りのアウンド界隈の様子は、というと、相変わらず景気は良さそうです。うちのビルの前の通りは車とひと通りで賑わっていて、少々うるさいくらいです。

変化と言えば韓国の「サムソン」のショウルームが撤退?したのか模様替えなのか中が空っぽで暗くなっていました。その他日本の「ソニー」や、地元の家電量販店「ダス」そして、婦人服子供服、シューズにジーンズの新しいショールームはたいへん賑わっています。

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プネーも郊外にIT産業特区が出来ていて、そこで働く高給取りの若い人が沢山増えています。わたしたちの住んでいるところから郊外に向かうところにも、IT特区があって、その周辺に最近新しいショッピング・センターのビルも建ち始めました。

しかし、世界中が経済危機ですね。プネー界隈にも、その影響は時間の問題でやって来るでしょう。


3) インドの警備員

わたしたちの住むビルは築20年、この辺りでも最初の頃に出来たフラット(アパート)です。その5階に住んでいますが、近年、ビルの警備をするウオッチマンがプロフェッショナル化しています。

17年前、ロナウラからこのビルに移った当時は、フラットに雇用されている使用人が、ゴミ集めをしたり、掃除をしたり、門の開け閉めをしたりと、全ての仕事をやっていました。

そして、夜は別なおじさんが来て門番をして、駐車場で毛布を被って仮眠をしていました。深夜・早朝の外出や帰宅時は、寝ている門番を
起こして門を開けてもらっていました。とてものどかな時代でしたね。

そのうち、門番の仕事もだんだんと増え、若い使用人が掃除と、門番両方の仕事をやっていた時期もありました。

しかし、だんだんと雑用も分業化が進んで、門番は警備会社から送られた専門警備員が常住するようになりました。

警備会社からの警備員は制服を着て1日2交替制で昼・夜ゲートの側にいて、主に車やオートバイの運転手にいろいろ指示をしています。

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わたしたちのビルには、病院や数件のクリニックが入居しています。ですから平日の昼間はひっきりなしに外からに訪問者があるので、警備体制も普通の住居専用フラットに比べてしっかりしているのだと思います。

今回、わたしたちがムンバイ空港から車で帰ったときも、2・3人の新しい警備員に車を止められました。

「わたしたちは33号室のゴレ・ルームの住人で、今帰ってきた!」と地元のマラーティー語で説明、敷地内に車を進めました。

車を降りると古い顔なじみの使用人がいたので、荷物を5階の部屋まで運んでもらいました。

実は、ほとんどの警備員は地元の人たちではなく、東インドのビハール州から出稼ぎに来た人たちなのです。ですから話す言葉も地元のマラーティー語ではなくヒンディー語を話しています。

また、顔立ちも地元のマハーラシュトラ人と違って、小柄で目鼻立ちがくっきりしています。

他の州の人がムンバイやプネーに働きに来ているのは今に始まったことではないのですが、昨年秋にこの件で大騒動がありました。これについては後で話すことにします。


散歩コースも警戒厳重....

また、うちの近所には「シンディー・ソサエティー」という高級住宅街があり、大きな邸宅や、奇麗に整備された公園があります。夕方は公園の周りを散歩したりジョギングをする人で賑わっています。

「シンディー・ソサエティー」はわたしたちの夕方の買い物を兼ねた散歩コースに入って、インドの豪邸を眺めたり、散歩をしている大型犬のシェパード、ラプラドール、レトリバー、セントバーナード、ドーベルマン、ボクサー、ブルドックの犬達とすれ違うのを楽しんでいます。たいていの犬種は揃っていますね。

もちろん、ここに出入りするゲートにもいつも警備員がいるのですが、今回初めて「何処へ行くのか?」と聞かれました。

これには驚きました。まあ、ムンバイのテロ事件のほとぼりが冷めるまでは仕方がないなあ!と思いますが、しかし、これがいつまで続くかは見ものです(たいてい、すぐ元の無気力に戻ります)。


4)地域主義台頭:マハーラーシュトラ人と北インド人

去年の秋、ムンバイでは地元のマハーラーシュトラ州の人たちと、他の州、特に東インドのビハール州のビハール人との間で抗争が起こりました。

もともと景気の良いマハーラーシュトラ州の都会に職を求めてインドでも特に貧しいビハール州やその隣のジャールカンド州の人たちが大量に出稼ぎに来ているのです。

事の起こりは、ムンバイで行われた国鉄の職員採用試験で地元のマハーラーシュトラ人を差し置いて北インド人が優遇されたことに発します。

それを「マハーラーシュトラ至上主義」を主張する地域政党が政治問題として取り上げ、激しく抗議行動。それに地元系やくざと北インド系やくざの抗争や、ビハール人が地元人に殺される事件が重なりエスカレート、身の危険を感じた北インド人労働者が大量に脱出する、という騒ぎに広がりました。

わたしたち外国人にはなかなか理解しがたい問題かも知れませんが、この「マハーラーシュトラ至上主義」の政党は、マハーラーシュトラ人の利益の為なら何でもする!暴力も辞さない!という過激な政党ですが、こちらでは結構パワーがあります(ホンネでは、どこか、みんな支持しているのです)。

インドの政治現場は、理性や常識では動いていないですね。理不尽で動きます。

母体は「シヴァ・セナ(シヴァの軍団)」と言う政党です。60年代から70年代にかけて台頭した地域政党で、バル・タッカレー氏という漫画家出身のカリスマ的な党首が底辺の労働者層の支持を集めて築き上げました。90年代にはBJP(インド人民党)と連立でマハーラーシュトラ州の政権を担当したこともあります。

数年前に世代交代があり、過激な父親の後を穏健派・インテリ派の次男のウダヴ・タッカレー氏が党首を継ぎました。新党首は都市部の中間層にも支持を拡げる穏健路線を取ろうとしたのです。

が、もともと武闘派でのし上がった政党でなので、穏健路線への転換に納得出来ない人たちが、ウダヴ・タッカレー氏のライバルであり、バル・タッカレー氏の甥で武闘派路線のラージ・タッカレー氏を党首として別に「マハーラーシュトラ進歩軍団」という政党を旗揚げ、先代の党首が取ったの同様な過激な手法で世間の話題になっています。

暴力や暴動は、こちらではふつうの政治手段です。激しく主張しないと自分たちの要求が通らない、という社会風土があります。目には目を、理不尽には理不尽を、というのが日常です。

以下は、ムンバイの日本総領事館から10月21日に回覧された「安全情報」です(わたしたちはムンバイの総領事館に在留登録を
してあるので、定期的にお知らせが回って来ます)。

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From: <
emumbai@mailmz.emb-japan.go.jp>
Sent: Tuesday, October 21, 2008 6:41 PM

Subject:
[在ムンバイ総領事館]安全情報(MNS総裁逮捕に伴う暴動等への注意喚起)

> ~安全情報~
> 平成20年10月21日
> 在留邦人各位
> 在ムンバイ邦人安全対策協議会
>在ムンバイ日本国総領事館
>
>ムンバイ:MNS総裁、ラージ・タッカレー氏の逮捕について
>
> 1.本日午前2時30分ごろ、マハーラーシュトラ州南西部にあるラトナギリ(Ratnagiri:ムンバイ市の約南250キロ)で、MAHARASHTRA  NAVNIRMAN  SENA(MNS:マハーラーシュトラ州復興軍団の意)の総裁であるラージ・タッカレー氏(注)がムンバイ警察により逮捕され、
バンドラ裁判所等に移送されました。
>
> 2.今回の逮捕は、19日(日)、MNS支持者らがマハーラーシュトラ州ムンバイ郊外、ターネ(Thane)市等各地で行われた鉄道委員会による就職試験場(13カ所)に乱入し試験問題を破り、また、試験に臨む北インド人を殴打する等の事件を起こしたため、ムンバイ警察が右事件(複数)の背後関係等を聴取のために拘束したものです。
> MNS支持者は、鉄道関係の求人に関する広告が同州の地方紙であるマラーティー語新聞に掲載されていなかったことを不服として今回の事件を起こしたとされています。
>
> 3.逮捕後、州内各地でMNS支持者による暴動が発生し、プネ(Pune)市、ターネ(Thane)市、ムンバイ市などを含むマハーラーシュトラ州内全体でタクシー約350台、バス2台他が投石などにより被害を受けたとされています。
> 今後も引き続き、同氏の逮捕に反発するMNS支持者等による暴動等が発生する可能性がありますので、巻き込まれることが無いよう十分注意してください。
>
> 4.ムンバイに渡航・滞在される方は、上記の状況を踏まえ、不測の事態に巻き込まれることの無いよう最新の治安情勢の入手に努めるとともに、地元警察の指示にも十分留意してください。また、多くの人が集まる場所への外出は控え、やむを得ず外出する場合は、周囲の状況に注意を払うなど安全対策に心掛けて下さい。
>
> (注)ラージ・タッカレーは、シブ・セーナ党創設者バル・タッカレー氏の甥で、2年前にシブ・セーナ党を離党しMNSを創設。今年2月にも北インドからの移住者を非難する扇動的な演説の廉(かど)で逮捕されている。
>
> (問い合わせ先)
> 在ムンバイ日本国総領事館
> 電話:91-22-23517101

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この「安全情報」が伝えるように、去年の秋には、この政党をおそれて
ムンバイやプネーで出稼ぎに来ている北インド人が家に逃げ帰るため、列車やバスが超満員状態になっている写真を、インドの新聞のサイトで見ました。

インドは日本の8倍ある広い国ですから、同じインド人同士でも出身地、宗教、所属カースト、職業で、それぞれ「違う人たち」ということです。

ですから、こちらでは、まず家族・親族、それから自分たちの所属する宗教やカーストのコミュニティー内での繋がりを最優先に考えて生活をします。

それが「安全保障」であり、そうしなければ、生きていけない、という背景があります。

わたしたちがプネーに来た頃、地元の人たちは買い物はいつも決まった同じ店でして、決して知らない初めてのお店では買わない!と良く聞かされました。

マハーラーシュトラ州のムンバイやプネーは、インドの他の州の都市と比べて格段に経済発展していて、自由な雰囲気がある、とてもモダンな都市なのですが、一歩踏み込むと、やはり複雑なインド事情の問題を抱えています。

インドにはインドの人にしか解らないことが、山ほどあります。

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5) インドに求めるもの?

さて、昨年は日本で初めてヨーガの仕事をする機会がありました。それで、わたしもいつもより長く日本に滞在しましたが、仕事先のタイのバンコクや、こちらのインドと比べて、日本では、1日の予定の予測がつく、計算通りに物事が進行する、そのための手段とルールが確立している、ということを、改めて思いました。

もちろん日本にいる間に、テレビや新聞のニュースで毎日のように「不可解な事件」の報道を見ました。

それで思ったのですが、世の中や、周りが超!整備されて来ると、あまり考えなくても出来てしまうことが多くなりすぎて、そうすると、人はあまり真剣に考える必要がなくなり、こころも本来の働きをしなくなって、だんだん内面が病んで行く、のではないでしょうか?

それは、身体を使わないと、身体が弱って来るのと同じように!インドやタイでは、どうにもならない問題が、山盛りです。重大な事件も後を絶ちません。

特に混沌としたインドでは、何かをするには、まず一生懸命に考えなくてはならないし、考えても、たいてい予想外のことが起こります。

そして、驚く様な事件が、毎日どこかで起きているので、どうしても頭はよくよく考え、こころは今自分が置かれている状況を、よくよく把握します。

そのように、良くも悪くも「こころの働き」を活発にせざるおえないので、「こころ」は退化せず、ますます整って行くのではないでしょうか。

今年度、ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』付属カレッジのヨーガ教育のディプロマ・コース(D.Y.Ed.)に、日本人カップルの留学生がいるのですが、半年が経過し、インド人の学生と同列でカレッジの授業に付いて行くというプレッシャーや、周りのインド環境で毎日奮闘していると思われますが、以前より精神的に「健康になっている」ように見えます。

やはり、マインドがクリアーに働き、内面が健康になっているのではないでしょうか。

インドには、確かに日本や他の国にはない「何か!」があるようです。それで、沢山の人たちがその「何か!」を求めてインドにやって来ます。しかし、70年代・80年代の思い込みのように、ただインドの地を踏むだけでその「何か!」が得られると思うのは短絡的です。

道ばたに落ちているものを拾って帰っても、長続きしませんね。「インドに迷う」というのは、もう時代遅れに思えます。

インドにも最新の技術文明が、どんどん入ってきています。そして、際立って優秀な人が、産業界にも精神世界にも沢山います。ただ、そういう価値ある人たちは、当然ですが、観光客が行くようなところに座っているはずがないですね。適切なアプローチが必要です。

ですから、本当にインドから「何か!」を得たければ、しっかりと計画を立てて、良く考えて、適切な準備をすることが必要です。そうすれば、インドであまり無駄な遠回りをせずに、欲しいものに手が届くのではないでしょうか。

それに、実は、手が届いてから先が、長いのです。手が届いてから、それを自分のものに吸収・消化して行くのは、また別のレベルの計画と準備が必要です。

わたしたちはインドの「金鉱」を見て、それを吸収・消化するプロセスにいます。それで、インドから離れないのです。バンコクの大学で仕事をすることや、日本から来られる人たち(ヨーガを真面目に考える人たち)に適切なガイダンスを提供することも、そのプロセスの一環と考えています。

ですから、真面目にヨーガに興味のある方は、どうぞ、いつでもお問い合わせ下さい。出来るだけ、客観的に根拠のある情報やガイダンスをさせて頂きます(数年分の時間の節約に成るかも知れませんね.....)。

みなさんの、さらなるご精進を応援いたします。

相方ひでこ
H&H

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2009年1月2日金曜日

M.L.ガロテ博士記念セミナー2009

毎年M.L.ガロテ博士の命日にあたる「1月17日」に「M.L.ガロテ博士記念セミナー」が開催されます。

ご都合の付く方は、どうぞご参加下さい。歓迎いたします。

主催: ロナウラ・ヨーガ研究所(インド)
日時: 2009年1月17日(土)
時間: 午前10時ー午後5時30分
会場: Whispering Woods、ロナウラ
後援: インド中央政府厚生省AYUSH局(CCRYN)、プネー大学
テーマ:日常生活におけるヨーガの応用

今回のセミナーのテーマは「日常生活におけるヨーガの応用」です。近年、インドでも急速にヨーガへの興味と必要性は高まっており、ヨーガと日常生活をリンクさせる話題には関心が高いですね。

主賓はプネー大学の現学長であるナレーンドラ・ジャーダヴ博士です。 後援はインド中央政府厚生省AYUSH局(CCRYN)とプネー大学で、『CCRYN(ヨーガと自然療法・中央研究審議会)』のディレクターのチダーナンダ・ムルティ氏も出席予定です。

インド中央政府厚生省AYUSH局(CCRYN)からの助成金で『ロナウラ・ヨーガ研究所』で研究・校訂作業が実施された『ヨーガ・ウパニシャッド』(3部シリーズの第1部)の出版発表があります。

会場は一昨年・昨年と同じく、ロナウラの『Whispering Woods』という中規模のリゾート・ホテルです。

『ロナウラ・ヨーガ研究所』は、『カイヴァリヤダーマ研究所』を1991年に定年退職したM.L.ガロテ博士(Ph.D.)によって設立された研究所です。2005年1月17日にガロテ先生が急逝された後も、子息のマンマット・ガロテ博士(体育教育Ph.D.)によって、さらなる発展に向かって鋭意活動中です。

The Lonavla Yoga Institute (India)
(Regd. No. 1439/1998/Pune)
Bhangarwadi, Lonavla-4l0 407, Pune (India)
Website:
www.lonavalayoga.org

 

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