タイの仏教文化のフィールドワーク
期間:8月16日(火)ー9月2日(金)の18日間
三重在住のS.I.さんのレポート
8月16日(火)から9月2日(金)の18日間、三重在住のS.I.さん(女性)が、タイでの自己研修に来られました。次の2箇所で、タイの仏教文化のフィールドワークをされたレポートです
○コーンケーンのヴィパッサナー・センター
○チャヤプーンの森のお寺
次の項目でフィードバックをお願いしました。
【プロフィール】
①現在住んでいるところ
②現在されていること、今までにされて来たこと
③今までの学歴・経歴・資格
④特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
【ヨーガとの関わり】
①ヨーガを始めたきっかけ
②今までのヨーガ勉強歴
③今回タイに来られた動機と目的
【ヴィパッサナー:フィードバック】
1)瞑想センターの場所と環境
①コーンケーンの環境
②バンコクからのアクセス
③センターの施設
④宿舎と食事
⑤スタッフの対応
2)10日間コースについて
①コース中の日課へのコメント
②瞑想コース中に洞察が深まったこと
③瞑想コース中に直面したチャレンジ
④タイで10日間コースに参加した意義があったかどうか
3)ヨーガと瞑想(Vipassana)との関連についての考察
4)タイ全般のご感想など
【森のお寺:フィードバック】
①森のお寺(Wat S)を訪ねた動機と目的
②チャヤプーンの環境
③森のお寺の施設
④宿舎と食事
⑤森のお寺に住む人々
⑥森のお寺で感じたこと・考えたこと
☆☆☆☆☆
タイを訪れることには、いろいろな意味で、メリットがあると思われます。
特に、精神性の分野は、日本人にフィットする部分があります。(インドの場合、なかなか別の問題も多いです)。ご自分の研修のために海外に行ける方には、タイの環境や施設を活用することも、大いに賢いことに思えます。
特に、瞑想はこちらが本場です。とかく、島国のわたしたち日本人は、限られたせまい領域で、細かく思い込んだり、自分で自分を思い詰める傾向が国民性としてあります。
それは、場合と条件によっては、美徳や美質にもなるのですが、閉塞感を中和して、人格の全体的なバランスを取るには、なるべく、広く、高く、大きく、遠いものに心を向けるトレーニングが有効のようです。
特に今年は、まだまだ収束しない原発事故の影響や、なかなか安定しない政治状況など、環境面でも、社会面でも、何かと不透明で重い空気があると思います。
それらを、自分の側で、意識的に中和する努力は得策です。そうでないと、知らず知らずのうちに、気付かないままに、ネガティブな側に引きづられてしまう、ということもあると思われます。
タイは日本に比較的近いですし、文化的にも親和性があります。それでいながら、日本とは違う社会であり、南国の環境です。
ある期間、タイの仏教文化の雰囲気に浸ることは、自分自身の内面の深化を図ることにも有利に作用するようです。
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コーンケーンのヴィパッサナー・センターで10日間コース
日程:2011年8月17日(水)ー8月28日(日)
三重在住のS.I.さん(女性)のフィードバック
【プロフィール】
①現在住んでいるところ
三重県の伊勢志摩の志摩半島です。
②現在されていること、今までにされて来たこと
短大を卒業し、保育士となり、その後、旅を中心にした生活になり、インドに何度も行くうちにヨーガと出会った。ぼちぼちですが、地元でヨーガ教室をさせてもらってます。
③今までの学歴・経歴・資格
短大で保育士、幼稚園教諭の免許を取得。
④特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
ヨーガをライフワークとし、今は特に仏教に関心が深いです。趣味はパンをつくること、ものづくり
【ヨーガとの関わり】
①ヨーガを始めたきっかけ
インドを旅する中で、自然と興味を惹かれました。
②今までのヨーガ勉強歴
シバナンダ・ヨガのTTC
2010 穂高編2010
2010 ワンサニット2010
2011 沖縄編2011(久高島)
③今回タイに来られた動機と目的
○ヴィパッサナー瞑想をタイで受けてみたかった
○P.N.さんという日本人ですが、タイにて出家されて 20年以上になるお坊さんのお寺に行くこと
○相方先生の活動を直接見学したかったです。
【フィードバック】
1)瞑想センターの場所と環境
①コーンケーンの環境
タイの東北部に位置するコンケーンはこじんまりした街です。センターの場所は町の中心から30分ほどの森の中にあります。
本当に静かで緑に溢れていました。様々な花が咲いていて、いい香りがして、癒してくれます。鳥の鳴き声もいつもしていました。
8月は雨期で暑過ぎず、過ごしやすかったです。早朝は長袖でないと肌寒いくらいです。ずっと雨というわけではないので、晴れ間もあり、洗濯物もよく乾きました。
②バンコクからのアクセス
バンコク北部にあるバススタンド、モーチットからコーンケーンまで行くか、その近くにあるバス会社からコーンケーンまで行きます。
コンケーンのバススタンドまでヴィパッサナー・センターからお迎えがあります。バンコクからコーンケーンまでは6時間くらいです。
③センターの施設
瞑想ホールはこじんまりしています。コーンケーンの施設は、それほど大きくはないようでした。私の時は、男女合わせて30人でした。
しかし、敷地の広さを考えると、ものすごく大きく感じ、広々でした。どこもかしこも清潔で管理が行き届いてました。
④宿舎と食事
ものすごく快適でした。ドミトリーといわれる棟に8部屋あり、実質1人部屋です。ファンもついているし、ベッド、机、ハンガーが盛りだくさんあります。
トイレ、シャワーも1棟につき、4つづつあるので、いつでも使いたい放題でした。Hotシャワーも1つありました。
ご飯はタイ料理の伝統的な料理だったみたいです。本当においしかったです。手の込んだあったかい料理ばかりでした。パンやスナックも食べたい放題でした★
⑤スタッフの対応
本当にあったかかったです。
10日目、話ができるようになったとき、一人でタイまで受けにきたことを知ると親身になって、次への行先やバンコクでの宿泊、困ったときは連絡を・・・と色々と気遣ってくれました。
また、いつでも戻って来てね★と最後は見送ってくれました。
2)10日間コースについて
2回目の今回。正直、集中力が前回より続かないことがありました。
それでも、瞑想の手順に必死になり過ぎず、少し余裕を持って、自分への洞察が深まったと思います。瞑想中にばかり気を取られていた前回とは違い、休み時間でも常に自分の内側を観察できていたと思います。
日々の生活の中で培った平静さに気づきました。一日、一日がとても速く感じられ、あっという間に過ぎていく日々に焦りを感じるほどにリラックスして、観察できていた10日間でした。
①コース中の日課へのコメント
4:00 起床
4:30- 6:30 瞑想
6:30- 8:00 朝食・休憩
8:00- 9:00 グループ瞑想
9:00-11:00 瞑想
11:00-13:00 昼食・休憩
13:00-14:30 瞑想
14:30-15:30 グループ瞑想
15:30-17:00 瞑想
17:00-18:00 ティータイム
18:00-19:00 グループ瞑想
19:00-20:30 講話
20:30-21:00 瞑想
21:00 質問
21:30 消灯
私はこのスケジュールはちょうどいいと思います。
②瞑想コース中に洞察が深まったこと
単調で、感覚をあまり使わない、シンプルな日々のおかげで、心身ともに安らいでいることを再確認しました。
いかに普段の生活で、色んなものに敏感に反応して、精神面が疲れていたことに気づかされました。
一定期間、このように環境の良い静かな場所に身を置くことの大切さを、身に染みて実感しました。
③瞑想コース中に直面したチャレンジ
言葉をありのままに受け取ること。日本語の講話を聞いていて、正直、その訳はどうなんだろう?と思うことが多々ありました。
今回、タイで受けたことで、国民性が環境や言葉すらも構成してしまう力があることに気づきました。日本人特有の表現が講話にはたくさん含まれていました。
日本において発展を遂げた座禅ならば、適切な表現かもしれません。しかし、ヴィパッサナー瞑想は仏陀がお教えになり、仏教国で発展したものです。
必ずしも、日本語の表現がすべて適切だったとは思えませんでした。だからこそ、言葉を鵜呑みにせず、ありのままに聞くように努めました。
④タイで10日間コースに参加した意義があったかどうか
本当に有意義なものでした。
まず、タイの人たちが仏陀の教えとしてこのヴィパッサナー瞑想を受け入れていると言う点において、その姿勢はとても敬虔で慎ましいものでした。とても感動しました。
何人かの女性は白い服でコースを受けていました。タイにて女性の一時出家はない中で、彼女たちにとっては、このコースは一時出家と同じくらい敬虔あらたかなもの、だったのかもしれません。
互いを気遣う慎ましさもさりげなく美しかったです。コースに対する真剣さは素晴らしく、でも朗らかなタイの人たちの国民性があり、全体の雰囲気も引き締めすぎず、緩めすぎない・・・・このちょうどいい加減を、タイの人たちは自然と身に着けているのでしょう。
ものすごく心地いい10日間でした。瞑想だけでなく、人としての在り方をタイの人たちとの生活を通して学ばせていただきました。
3)ヨーガと瞑想(Vipassana)との関連についての考察
身体に安定性がないと精神面での安定性は養えません。体の全体のバランスが取れていないと長時間座ることはできない、という点で、アサナにしても鍛えるだけの運動系のアサナではなく、「スティラ・スッカ・アーサナ」これに尽きると思いました。
バンダの役割もとても重要で、特にムーラ・バンダは長時間座るのに強化していく必要があると感じました。
4)タイ全般のご感想など
元々、旅が好きな私にとってタイは何度も訪れていた国の一つでした。
それが、今回、ヴィパッサナー瞑想という精神性の強い場所に身を置くことで、タイの人たちの精神性の高さや朗らかな国民性が、本当に素晴らしいものであることを再発見しました。
精神性を高めるために適切な場所で瞑想をできたおかげで、自分がいかに狭い視野を持ち、いろんな物事を認識していたことに気づきました。
見聞を広めなさい、という相方先生のお言葉の意味を体験を通して理解できました。
今回はタイに来て、いつの間にか作り上げていた自分の壁を少し崩せ、視野が広がりました。とても貴重な体験だと思います。
もし、お時間のある方で、タイまで来れる方がいらっしゃいましたらぜひおすすめしたいです。楽しみながら精神性も高められるなんて、ありがたい話です。
今回、相方ひろし先生、ひでこ先生、スタッフの皆様、バンコクにインターンシップで滞在中のC.A.さんに本当にお世話になりました。本当にありがとうございます。
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チャヤプーンの森のお寺を訪ねて
日程:2011年8月28日(日)ー8月31日(水)
三重在住のS.I.さん(女性)のフィードバック
【フィードバック】
①森のお寺(Wat S.)を訪ねた動機と目的
○タイの仏教がどのようにして、一般の人々の中で受け入れられているかを直接垣間見てみたかったこと
○タイの僧侶たちが実際どのような生活をしているのか?
②チャヤプーンの環境
チャヤプーンは乗継でしか訪れてないですが、小さい街、といった感じです。
お寺までは、そのチャヤプーンからものすごく時間がかかりました。それくらいものすごく僻地にあります。
しかし、昔ながらのタイの人たちが住んでいて、素朴な風景が広がっていました。自然もとてもとても豊かで広大でした。
③森のお寺の施設
S寺はものすごく広いです。そして、私は迷子になりました(笑)
道路は舗装されず、土のまま。建物は比較的新しかったです。
近年、お寺のライフ・スタイルが医療に効果があるということで、毎月医療機関からリトリートに来るようです。
池もあり、緑が鬱蒼としていて、高原にあるので、避暑地といった感じです。
④宿舎と食事
宿舎はものすごくきれいでした。コテージです。
6畳くらいの部屋に洗面台があり、トイレ、シャワー(水)がついてました。バルコニーつきです。
8時からの食事1回のみです。
托鉢でいただいたもの、お寺で作っているもので、まずは、僧侶さんからいただきます。
その後、尼僧さん。そして、残りのものを在家の私たちがいただきます。
料理は、タイ料理で、ヴェジタリアンだけではなかったです。とってもおいしかったです。
⑤森のお寺に住む人々
僧侶が30名ほど、尼僧さんが15名ほど。
後はリトリートで来ている人々。
中国から研修に来ている人たち20名ほど。
⑥森のお寺で感じたこと・考えたこと
4:00 鐘が鳴り読経・瞑想
5:30 托鉢
8:00 食事
ここからは各自の瞑想や仕事をします。
18:00 読経・瞑想
20:00 就寝
(各自ですが、だいたい、21:00には電気は消えていました)
とてもシンプルな生活です。
食事も与えられたものを頂きます。
強制もありません。
静かに時間がながれ、自分の中にも静けさだけが残ります。
「もしかして、ここは極楽では??」と夢の続きのような感覚に陥りました(笑)
ヴィパッサナーでコースの時にタイの人たちの仏陀に対する敬虔さがあまりに深いので、とても感動しました。
タイの人たちにとって、お寺は憩いの場所のようです。出家の人たちと同じ生活をし、自分の抱えているものをお坊さんに相談しにくるのです。
そして、施しをして徳を高めるという概念が、当たり前なのです。
托鉢の時も、村の人たちはとても慎ましく敬虔な態度でお坊さんたちと接しています。
おじいさん、おばあさんから小さい子供まで、朝決まった時間に施しをします。その風景はとても美しいし、平和そのものでした。
小さいころから施しをする習慣のある子供たちは、大きくなっても、そのような姿勢で人々と接していくのでしょう。
そう思うとタイの人たちの優しさの根本的なところが仏教の教えに基づいたもので、深く根付いているのだと、感激しっぱしでした。
瞑想のこともそうですが、人としての在り方を根本から見直してもらえる今回の旅でした。
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後、バンコクにて、相方先生たちの大学の授業に参加させていただきました。週4回、時に合宿もする一般の人向けの4か月コースです。本当によくできているプログラムだと思いました。
1度だけしかクラスに参加できなかったですが、もっと参加して、タイの人たちの成長ぶりを観たかったです。
そのようなプログラムを受けれるタイの人たちが、とても羨ましいです。
もう一つ、タイの厚生省が主催するイベントにも参加させていただきました。
相方先生のオフィスも参加していたんですが、ヨーガに興味のある人がとにかく多い!!!驚きました。
そして、そのイベントもとてもおもしろかったです!!!
タイの伝統医療はもちろん。伝統技術(織物や草木染などなど・・)、タイのハーブを使ったナチュラルコスメの多いこと!!!!タイという国は医療の面にしても代替療法にしろ、ハーブにしろ・・・宝庫です!!!
そこに、ヨーガを受け入れる器は大いにあり、それをうまく活用できるのだろうと思います。
これから、タイにてヨーガがどのように発展していくのかが、個人的にとても楽しみです。
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