【合同スクーリング2017】
日程:2017年3月5日(日)ー19日(日)/15日間
施設:ロナウラ・カイヴァリヤダーマ研究所
目的:オンラインコースのスクーリング
対象:ビデオ講義の視聴終了/課題レポート提出済の方
参加:19名+メンター2名
食事:菜食インド料理(自然療法の食事法に準拠)
追加:ウルリカンチャンで自然療法、世界遺産エローラ探訪 etc.
「2017.INDIA/Lonavla2017」
→ https://goo.gl/photos/ryXakmeF2x2WxnwA8
2014年5月からカイヴァリヤダーマ研究所で開講されているオンライン・コース(YIC)には、現在、14カ国から300名前後の受講生が登録、そのうち日本人受講生が70名以上を占めています。
昨年に続いて第2回目となった「合同スクーリング2017」には19名(男性2名・女性17名)の方が参加、課題レポート提出/実技試験/ティーチング・レッスンの難関を通過されて、全員修了証を授与されました。
そもそも、ヨーガは、遠い異国のインドの異教であるヒンドゥー教の宗教文化に継承されてきたものです。先に進めば進むほど、わたしたち日本人が知らないこと・解らないことが次々と出て来るのは、ある意味、当然のことでしょう。
ヨーガのことをより良く知り、着実にヨーガ理解とヨーガ体験を深めて行くには、1920年代からロナウラに蓄積されて来た近代的な学術的リソースを活用することが最短コースです。
近代的ヨーガ研究の発祥の地であるロナウラには、合理的なヨーガ理論とスタンダードなヨーガ技法、そして、それらを根拠付けているヨーガの古典文献研究が蓄積されています。
今までに色々な「スタイル」のヨーガの実践を経験されて来た方にも、また、ヨーガに付き添うインドの哲学・宗教思想・精神性に関心がある方にも、ロナウラに蓄積されて来たヨーガ研究の成果は有益で魅力的です。
本家のインドでも、ヨーガは激動の時代に入りました。
2014年に中道右派・ヒンドゥー民族主義系インド人民党(BJP)政権が成立したことにより、本家インドでは、政府の政策レベルで「ヨーガ」を定義し、インド国民の福利厚生のために積極的にヨーガを振興するばかりでなく、世界的な文化戦略のツールとして「ヨーガ」を前面に打ち出しています。
インドでもヨーガを巡る状況が急展開している現在、わたしたちは、インド発祥の仏教文化圏に属するアジア人・日本人として、インドの伝統を踏まえながらも、現代日本人に無理や矛盾のない合理的なヨーガを構築し、実践して行くことが課題となるでしょう。
【オンライン・コース(YIC)】
カイヴァリヤダーマ研究所のオンライン・コース(YIC)は2014年5月に開講されました。
→ http://kdham.com/yoga-instructors-course/
オンラインコースのテーゼです。
Yoga from the Source,
Knowledge should precede Practice.
(情報源からのヨーガ、知識が実践に先行しなくてはならない)
インターネット上のビデオ教材での講義と、ロナウラでの2週間のスクーリングで6週間コース(CCY)相当の修了証が授与されるプログラムです。
オンラインによるヨーガ教育プログラムと言うまったく新しい試みで、試行錯誤もありますが、2015年5月と2016年11月の2回のリニューアルを経て、利便性が向上しました。
また、日本人受講生のために、日本人メンター(現在3名)により、定期的にオンライン勉強会が開催されています(関西・関東)。日本語での補習教材も着実に積み上げられて来ています。
昨年11月のリニューアルにより、主要モジュールのビデオ講義のスクリプトが追加されたことで、その日本語訳を作成中です。近いうちに、講義ビデオへの日本語字幕の実現が図られます。
【授業科目】
現在、オンライン・コースの授業科目は5つのモジュールで126講義・45時間の内容です。
モジュール1:パタンジャリ・ヨーガ・スートラ
講師:ガネーシュ・ラオ(21講義・8時間)
モジュール2:伝統的ヨーガ/『アシュターンガ・ヨーガ』講読
講師:G.S.サハイ(28講義・10時間)
モジュール3:人体の構造と機能
講師:シャラッド・バレーカル(33講義・13時間)
モジュール4:ヨーガとメンタルヘルス
講師:R.S.ボーガル(36講義・12時間)
モジュール5:ヨーガ技法の教授法
講師:リー・マジェスキー(8講義・2時間)
これらは、近代ヨーガを構成する「ヨーガ・ダルシャナ」「ハタ・ヴィッディア」「サイエンス(解剖生理学/心理学/教育)」の各分野の基本事項をカバーする、スタンダードでバランスの取れた内容です。カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジの講義のダイジェスト版です。
決してやさしい内容ではないですが、「ヨーガ」に関する基礎教養とも言えるもので、このコンテンツがあたまに入っていれば、ヨーガへの誤解や無駄な迷いは解消されて行きます。
【ロナウラでスクーリング】
オンラインコース(YIC)の修了には、ロナウラのキャンパスでの2週間のスクーリング修了が必修です。
昨年の第1回「合同スクーリング2016」では、17名の受講生の方がスクーリングに参加して無事コースを修了、今年の「合同スクーリング2017」では19名の方が無事修了されました。
来年の第3回「合同スクーリング2018」の予定です。
日時:2018年3月4日(日)-3月18日(日)
会場:ロナウラのカイヴァリヤダーマ研究所
目的:スクーリング・カリキュラムを消化し修了証取得(YIC)
対象:ビデオ講義の視聴を終了/課題レポート提出された方
定員:20名前後(オブザーバー参加も可)
費用:スクーリング実費600ドル+共同経費分担
追加:自然療法アシュラム滞在、世界遺産エローラ石窟寺院群探訪etc.
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ロナウラでの「合同スクーリング2017」のフィードバック①
評者:東京在住のN.H.さん(女性)
N.H.さんは次のスケジュールで「ロナウラ2週間+エローラ探訪2泊2日」のインド研修を消化されました。
3月4日(土)
- 成田から全日空の直通便でムンバイ到着
- ムンバイ空港内のニランタ・トランジット・ホテル泊
↓
3月5日(日)
- 車でムンバイ空港からロナウラへ移動
- カイヴァリヤダーマ研究所へチェックイン・スクーリング開始
- ウルリカンチャンの自然療法アシュラム
↓
3月19日(日)
- スクーリング終了・カイヴァリヤダーマ研究所チェックアウト
- ロナウラからプネー経由でエローラへ、
- エローラ遺跡群直近のホテル・カイラーシュ泊
↓
3月20日(月)
- エローラ石窟寺院群探訪(仏教・ヒンドゥー教)
- エローラからオーランガバード経由でプネー帰還
-プネー市内のホテル・シュレーヤス泊
↓
3月21日(火)
- プネーからムンバイ空港へ
-ムンバイ空港から全日空便で成田へ
【プロフィール】
1 住んでいるところ:
東京都在住/1人暮らし
2 現在されていること(仕事etc.):
ヨーガスタジオや公民館でヨーガ教室を担当しつつ、人材系企業にて売上管理の仕事をしています。
5 海外渡航歴/異文化親和度 :
学生時代は北米に留学していました
6 ヨーガ歴/研修プログラム参加歴 :
2015年 穂高養生園(一般編/技術編)、ワンサニット2015
【フィードバック】
1 オンラインコースのビデオ講義
1.1 受講開始日/受講期間/費やした勉強時間
2015年7月に受講開始してから現在まで受講しています。スクーリング終了後も繰り返しビデオ講義を視聴できるのがありがたいです。
勉強に費やした時間は正確にはわかりませんが、モジュール1.、2、3のビデオ講義は5回は視聴していると思います。
1.2 メンターによる勉強会への参加回数
東京2回、 鎌倉7回程参加しています。参加できなかった勉強会の資料も大変勉強になりました。2015年ワンサニットでの資料や講義のノートも課題レポートの際に役立ちました。
1.3 ビデオ講義の内容(難易度/ご自分の理解度)
1.3.1 モジュール1 パタンジャリ・ヨーガ・スートラ
とても難易度の高い内容でしたが、それゆえに徐々に理解が深まっていく段階が実感としてあり、ぼやけていたヨーガ・スートラの概要が次第にクリアになっていきました。5つのモジュールの中で一番好きな講義でした。
ビデオ講義と今回のスクーリングでのラオ先生の講義でサーンキヤ哲学とヨーガの関連性がやっと明確に理解できました。
1.3.2 モジュール2 伝統的ヨーガ( チャランダースの『アシュターンガ・ヨーガ』)
とても難易度が高い内容でした。Ebooksで配布されたチャランダースの『アシュターンガ・ヨーガ』それ自体はとても分かりやすい内容なのですが、ビデオ講義の中で、サハイ先生は様々な文献から引用し、比較して説明をしていたため、文献の知識が無い私にとっては、「一体今はどの文献のことを言っているのかしら?」と迷うことが多く、難しかったです。
鎌倉での勉強会が無ければビデオ講義の内容はほとんど理解できなかったと思います。
1.3.3 モジュール3 人体の構造と機能
(STRUCTURE & FUNCTION OF HUMAN BODY)
一番身近な内容で講義も分かりやすかったです。人体の構造と機能の講義であるのに、ヨーガ・スートラに関連付けての説明がとても面白かったです。
1.3.4 モジュール4 ヨーガとこころの健康(YOGA AND MENTAL HEALTH)
このモジュールのビデオ講義が一番難しかったです。Ebooksの教材も所々理解できていないまま、レポートの傾向と対策を頼りに課題に取り組みました。
1.3.5 モジュール5 ヨーガ技法の教授法(TEACHING METHODOLOGY)
難易度としては一番低かったです。Ebooksの教材もビデオ講義もわかりやすい内容でした。
2 合同スクーリング2017
2.1 カイヴァリヤダーマ研究所について
2.1.1 ロナウラという環境と研究所の施設
2.1 カイヴァリヤダーマ研究所について
2.1.1 ロナウラという環境と研究所の施設
滞在期間中は学びに集中でき、とても恵まれた環境でした。
2.1.2 ゲスト・ルーム(HCC/Amrta)とキッチンの食事:
女子寮のAmrtaに滞在しました。風通しも日当たりも良く部屋も広くて快適でした。トイレとシャワーが別なのも良かったです。一度だけ夜にシャワーのお湯が出ないことがありました。
講義や食事をするHCCと離れた場所(徒歩5分程)にあるので、移動に少し時間がかかるのと、忘れ物をするとへこみます。
寮のすぐ近くにハイウェイが通っているので、夜は結構派手なクラクションの音が気になるかもしれませんが、私はすぐに慣れました。気になる方は耳栓が必要かもしれません。
キッチンの食事は毎回とてもおいしくいただきました。後半はスパイスに少々飽きてきましたが、毎日きっちり3食いただきました。
午後のティータイムにでる果物のおいしさに毎回感動していました。バナナ、みかん、ブドウ、パパイヤ、スイカ、パイナップル等、暑い時間に食べるフルーツは最高でした。
2.1.3 講義室(図書室)と実習室(Manana)
講義室(図書室)
普通の講義室です。座面が木で硬く、お尻が痛くなるので布をクッション替わりに敷いていました。
実習室(Manana)
朝5:30-6:00の瞑想と7:00-8:30の実習の時間はとても寒かったです。Tシャツとトレーナーの上にダウンを着て実習しました。靴下も2枚履いていました。
午後の実習の時間にはびっくりするくらい暑くなって、頭がぼーっとすることもありました。
2.1.4 スタッフの対応
皆さんとてもよい対応でした。
2.1.5 キャンパス・ライフ
WiFiが繋がるカフェが女子寮から遠いため、最初は不便だなと思いましたが、ズボラさが手伝って、後半はネット断食も同時にできて、むしろ快適に過ごせました。
午後のスケジュールがタイトでした。講義(図書室)→クティ→実習(manana)の間の休み時間がほぼ移動時間に取られ、実はトイレを我慢することがしばしばありました。膀胱炎になるかも?と思い、後半は遅れて参加することが何回もありました。時間通りに講義が終わらない中、移動+トイレ休憩込みで10分の休憩はキツかったです。
2.2 講師陣の講義
どの講義も素晴らしく、とても贅沢な講義でした。ビデオ講義の講師のほぼ全員の講義を直接受けることができ、貴重な経験でした。
2.3 クティ(Kuti)でのプログラム
1週目はマントラ、2週目はヨーガスートラの詠唱をしましたが、個人的には2週ともヨーガスートラの詠唱をしたかったです。スワミジのヨーガスートラの解説をもっと聞きたかったです。
2.4 実習クラス/実習試験
アーサナ実習ではサッディヤ先生とジョーティ先生の2人のクラスを受講することができました。カレッジでヨーガ講師を育成するための実習と、HCCでのヨーガ実習の違いを体験できたことは貴重な経験でした。
2.5 ティーチング・レッスン
順番が進むほどに課題のハードルが高くなっていっているような気がしました。最初の課題の説明の際に、模範レッスンを(ビデオでも)通しで見ることができたら良かったなと思います。
2.5 課題レポート
ものすごく時間がかかりました。頭では理解したつもりでも、いざ自分の言葉でまとめようとすると、
何から書いていいのかわからないという壁に幾度となくぶつかりました。それくらい理解が浅かったのだと痛感しました。
通算でどれくらい時間を費やしたがわかりませんが、事前にレポート提出が必須だったため、スクーリングでは現地でしか経験できないことを思う存分吸収することができました。
3 オンラインコース(YIC)の総括
3.1 オンラインコースを受講したメリットがあったかどうか
メリットしかありません。様々な側面からヨーガをとらえる良き機会となりました。
スクーリングは終わりましたが、やっとスタート地点に立ったような気持ちです。
3.2 ロナウラでの合同スクーリングで深まった体験や理解
2週間繰り返しの実践の中で、身体や心の落ち着き具合や反応の変化が体感としてありました。
3.3 ご自分の今後のヨーガの方向性について
自分の成長や進化のために、ヨーガと良い距離を保って付き合っていきたいです。
3.4 「オンラインコース+合同スクーリング」の経済面での費用対効果/満足度
大満足です。
3.5 今後オンラインコース受講を考えている方へのアドバイス
とても充実した内容のプログラムであり、且つメンターによるサポート体制が整っているため
スクーリングも安心して臨めました。
参考図書を読んだり、ビデオ講義をまとめたり、課題レポートは大変ですがそれらもすべて貴重な財産となると確信しています。
3.6 日本からの旅程・航空便
往路
3/4 11:35 ANA 成田→ムンバイ
3/19 エローラ泊
3/20 プネー泊
復路
3/21 20:00 ANA ムンバイ→成田
☆☆☆☆☆
5. エローラ探訪
5.1 プネー・エローラの往復道中
8人乗りの車にガイドとドライバーを含み6人での移動だったため車内はゆとりがあり、とても快適でした。移動時間も予定よりも短く、あまり苦になりませんでした。
5.2 エローラでの宿泊先(Hotel Kailas)
とっても静かな場所です。朝は鳥のさえずりと近くにある寺院のお祈りの音で目覚めました。
2週間滞在した寮では車の音が始終聞こえていたので、ものすごく静寂を感じました。
5.3 エローラの遺跡群(仏教/ヒンドゥー教)
言葉を失うほどのスケールの大きさに感動しっぱなしでした。仏教遺跡の中では、しばらくこのまま座っていたいと思うことが何度もありました。
5.4 エローラ・インフォメーション・センター(JICA協力)
日本語のビデオを視聴し、わかりやすい内容でしたが、内容はエローラでのガイドさんが説明してくれたものとほぼ同じなので、時間が無ければ省いてもいいかなと思いました。
5.5 エローラ探訪へ行ったメリットがあったかどうか
遠くて暑いですが一見の価値ありです。
5.6 今後エローラ探訪に行かれる方へのアドバイス
開場と同時に入場するといいです。
スクーリングで朝5時起きに慣れているので早起きは苦になりません。
(この項続く)
☆☆☆☆☆