2010年11月21日日曜日

カイヴァリヤダーマ研究所2010:ディプロマ・コース3ヶ月経過レポート(続)

カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ
ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)・3ヶ月経過レポート     
期間:2010年7月-2011年4月(1学年)

ロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」のシリーズです。

今年度(2010-11)の付属カレッジのヨーガ教育・ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)に、日本人の留学生の方が3名在籍中です(男性2名と女性1名)。

コースは7月15日にスタートしました。来年4月末まで続きます。

以下は、今年の日本人留学生「T.N.」さん(男性)の3ヶ月経過レポートです。

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「T.N.」さんは大阪出身、大学時代に西洋哲学を専攻されています。人権などの社会問題に深い関心をお持ちの社会派の活動家の方です。

大学院で勉強中に体調を崩されたことでヨーガに興味を持たれ、一気にインドにヨーガ留学されることになりました。

今年5・6月の6週間コース(CCY)を受講され、引き続き、
7月からディプロマ・コース(D.Y.Ed)に進学されています。

人類は、長い年月と試行錯誤を繰り返しながらも、「自由と平等(機会均等)と平和(相互調和)」に向かって進化しています。

「カイヴァリヤダーマ研究所」の創立者のクヴァラヤーナンダには「Can Yoga help elimination of War(ヨーガは戦争撲滅に貢献するか)?」という論文があります。たいへん示唆と先見性に富む論考です。

彼は悲観的であり、同時に、とても楽観的です。つまり、すぐれてインド的であり、醒めた現実直視と、遠大な理想が無理なく共存しています。

これから益々、人類が直面する深刻な問題の解決を探る局面でも、今までの知識や学問のパラダイムに囚われない柔軟で多次元的な発想が求められる、と思われます。

上記の論文のクヴァラヤーナンダの論考を見ても、将来的には、大きな社会的問題の解決にも、「ヨーガ」の理論・実習からの視点やメソッドが応用・統合されて行くことが方向性になるだろうことは、大きな時代の流れのように思えるのです。

インド留学で「ヨーガ」への本格取組み

「ヨーガ」に本格的に取り組むには、やはりインド留学が近道です。

それも、1920年代に始まった近代的ヨーガ研究の発祥の地であるロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」の付属カレッジに留学することが、本格的なヨーガへの取り組みへの最短コースです。

ディプロマ・コースは(D.Y.Ed.)は1学年、大学院の研究科レベルに相当します。入学資格は大卒以上です。

インド政府厚生省AYUSH局の国立ヨーガ研究所で策定されている専門職としての「ヨーガ教師」の基準を満たしているだけでなく、将来ヨーガの研究者へと進むための基礎も提供しているカリキュラムです。

今後、日本でも、「ヨーガ」の伝統的コンセプトの正しい解釈と、「ヨーガ」の技法の有効性の裏付けが、ますます求められて来るでしょう。

そのためには、インド哲学の「サーンキャ派」と「ヨーガ(パタンジャリ)派」の理論と、中世以降に体系化された「ハタ・ヨーガ」に基づいた技法体系を理解して行く必要があります。

本家のインドでも、それらをアカデミックな研究・教育活動として取り扱っているのは、「カイヴァリヤダーマ研究所」の
付属カレッジくらいです。

ロナウラでは、研究・教育活動としてのヨーガと、宗教活動としてのヨーガに、明らかな一線を引いています。

付属カレッジは、インドで初めてのヨーガを大学教育の枠組みで扱う専門カレッジとして1950年に開校、すでに60年近い歴史があります。現在までにインドの教育分野に多くの有意な人材を輩出しています。

学校選びの場合は、その学校の卒業生が実社会でどのように活躍しているか、というのが一番肝心な基準になります。

その点でも、「カイヴァリヤダーマ研究所」の付属カレッジは実績十分です。

インドでの留学生活は、日本人のわれわれには、なかなか厳しい面も多々あるのですが、毎日がヨーガを中心に回る勉強三昧の日々は、十分に報われるものです。

インドへの短期・長期留学で、「ヨーガ」の勉強に本格的に取り組みたい方は、どうぞ、お気軽にお問い合わせ下さい。 的確なガイダンスと必要なサポートを提供させて頂きます。

(コメント欄に書込で、メールアドレスを知らせて頂くと、メールでご返答いたします。コメントは非公開扱いにします)。

「カイヴァリヤダーマ」のオフィスや付属カレッジとの調整や、ムンバイ空港到着後の出迎、車の手配、また、日本語ガイドなどの手配も可能です。

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付属カレッジのコース
(Gordhandas Seksaria Colledge of Yoga & Cultural Synthesis)
紹介ビデオ→
http://www.youtube.com/watch?v=P4xypLhPytw

6週間コース(CCY)
期間:6週間で年2回開講(冬・夏)
資格:受講資格は高校課程修了以上
定員:インド人65名+外国人
費用:授業料・宿泊・食事込で1000ドル(2人部屋)
目的:ベーシックで体系的なヨーガの理論と実習を紹介
冬期:1月16日ー2月20日(締切12月末)
夏期:5月 2日ー6月11日( 〃 3月末)

日本人受講生のフィードバック

→ [カイヴァリヤダーマCCY+] 


上級4週間コース(ATTC)
期間:4週間で年1回(3月15日ー4月15日)
資格:ヨーガ教師歴2年以上
定員:20名(インド人+外国人)
締切:3月6日
費用:受講料・宿泊・食事込で1500ドル(2人部屋)
目的:ある期間ヨーガの指導歴のある方が伝統的ヨーガの枠組みをより深く把握し、ヨーガの知識と自信を深めるためのコース。

日本人受講生のフィードバック
→ [カイヴァリヤダーマCCY+] 


ヨーガ教育・ディプロマ・コース(DYEd)
期間:1学年(7月16日開講、翌年4月20日まで)
資格:大卒(理系・文系学部を問わず)
年齢:35歳まで(外国人は年齢制限なし)
締切:5月末
費用:授業料・宿泊・食事込で留学生4300ドル
(2人部屋利用の場合)
目的:将来ヨーガの専門家・研究者となる基礎を提供するコース。

日本人受講生のフィードバック
→ [カイヴァリヤダーマDYEd]


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フィードバックの項目

「T.N.」さんにも、次の項目で3ヶ月経過レポートをお願いしました。   

【プロフィール】
①日本の住所
②留学までの学歴・経歴
③特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク

【ヨーガとの関わり】
①ヨーガ歴
②インド留学の動機と目的
③今までのヨーガの学習歴
④今後の展望や希望

1)場所と環境
①雨季のロナウラ環境
②学生寮の設備
③キャンパス・ライフの近況

2)カレッジについて
①今年度の授業料
②クラスの仲間(インド人・外国人)
・外国人学生について
・インド人学生について
③講師陣
④実習クラスの進行状況
⑤講義の進行状況
⑥同時進行の「ヨーガ・セラピー・ディプロマ・コース」の様子

3)3ヶ月経過した感想

4)今後ロナウラ留学を考えられている方へのアドバイス


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カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ・ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)3ヶ月経過レポート:「T.N.」さん(大阪出身)

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【プロフィール】

①日本の住所
大阪府の南部

②留学までの学歴・経歴

大学卒業後、数年間の市民活動などを経て昨年法科大学院に進学しましたが、しばらくして体調をくずし、それが契機となりヨーガの勉強を始めました。大学院は今年の年度末に辞め、現在はカイヴァリヤダーマで勉強しています。

③特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク

語学・異文化理解・日本語教育:
どれも中途半端ですが関心があります。日本語教育は、できれば職業にしたいです。

本を集めること:
読むのも好きですが、買うのはもっと好きです。

人権問題全般:
とくに戦争に係わる諸問題。太平洋戦争を推し進めた日本国内の様々な要因や、それらが現在の社会とどの程度の連続性を有しているのか等に関心があります。

そういう観点から現在生じている社会問題をみると、いまの日本は戦前と悪い意味で根本的に変わってないんじゃないかと思えてきます。


【ヨーガとの関わり】

①ヨーガ歴

上述の通りなので長くはありません。今年の5月にカイヴァリヤダーマのCCYに参加しました。

その前はヨーガ・スタジオで(パタビジョイス氏の)アシュタンガ・ヨーガ、シバナンダ・ヨーガを習っていました。それを入れてヨーガ歴は一年ほどです。


②インド留学の動機と目的

漠然としたものです。ヨーガに関心をもち、その勉強にはインドが最適の場所だったのでインドに留学しました。

当初はヨーガ・セラピーにも関心があり、帰国してから仕事としてやっていくことも選択肢としてもっていましたが、
最近ではあまり考えなくなりました。

インドへの留学を決断するにあたっては、大学院の先生のアドバイスが大きかったです。

ヨーガに関心があるならインドの大学で本格的に勉強してきなさいと強く勧めてくださいました。

そして、大学を調べていたところ、相方先生のブログを知り、カイヴァリヤダーマへの入学を決めました。

入学の準備段階から現在まで、相方先生には本当にお世話になりっぱなしです。

また、東京の本郷先生、ディプロマコースを卒業されている
前川さんご夫妻、田中さん、そして明里さんにもアドバイスをいただきました。

この場をお借りしてみなさんに感謝申し上げます。


③今までのヨーガの学習歴

CCYに参加するまでは、ほとんど何もしていません。ただ、スワーミー・クヴァラヤナンダ著『ヨーガ・セラピー』はある程度読んでいました。


④今後の展望や希望

明確な展望はまだありません。無事に来年の4月を迎えることが最優先事項です。

とにかく、いま経験していることがどんな形でもいいので、少しでも今後の自分の生活に活きてくることを願っています。

また、ヨーガに関心をもっている日本の方々に、インドの伝統的なヨーガについての適切な情報を伝える取り組みができればいいなと思っています。


1)場所と環境

①雨季のロナウラ環境

人によって感じ方は異なるでしょうが、私にとってはかなり過酷な環境でした。ふつうに生活していくだけで疲れます。

そういうわけで、勉強は二の次になってしまいました。精神面も含めて体調に問題を抱えていると、この時期をやり過ごすのはそれだけで一苦労です。


②学生寮の設備

他の留学生の方々は「ソーハム・クティ」という建物を利用していますが、私はカイヴァリヤダーマ付属ホスピタルの一室に滞在しています。

ソーハムは基本的に相部屋ですが、私の部屋はシングルでの利用がほとんどのようです。そのため、シングル利用の
追加料金はありませんでした。

ベッドのせいで部屋が狭く感じられたので撤去し、いまは広々としています。4畳半ほどですが、机とマットレスしか
ないので十分なスペースです。

バス・トイレは共同です。わりと清潔だし、自分で掃除しなくていいのでこの点は気になってません。

部屋のなかもスタッフに頼めば掃除してくれます(ソーハムでは掃除のサービスはなかったと記憶しています)。

改善してほしい点がいくつかあるものの、慣れてしまえばおおむね快適な環境だといえます。


③キャンパス・ライフの近況

雨もそれほど頻繁に降らなくなったのがありがたいです。おかげで傘を持ち歩かなくてよくなりました。以前は靴をはくのと同じような感覚で、出がけに傘を手にしていました。

現在はディワリ(インドのお正月)の休暇中です。2週間の休暇なのでほとんどのインドの学生はいなかに帰っています。そして、休暇明けには中間テストが待っています。


2)カレッジについて

①今年度の授業料
4300ドル

②クラスの仲間(インド人・外国人)

・外国人学生
日本人は私を含め3人(女性1人、男性2人)です。他に、香港、エストニアの女性各1名の計5人。

ディプロマコースにはD.Y.Ed.(「ヨーガ教育」)以外に「ヨーガセラピー・コース」もあり、ブラジルからの留学生が1人在籍しています。

・インドの学生
男性、女性各20人弱。男子学生についていうと、当初、彼らのなかにいると都会の学校から田舎へやってきた転校生みたいな気分になることが多々ありました。

いまは慣れましたが、とにかく「うざい」感じでした。
自慢できることではありませんが、私自身が物事にストレートに反応する方で、スマートではないインド人学生数人と何度か言い合いになりました。その後は無難に付き合ってます。

とはいうものの、彼らから学ぶことも多く、インドの学生、また他の留学生と接することで、人との付き合い方の幅が広がりました。

必ずしも良いことだとは思いませんが、他人に安易に係わることが減った気がします。


③講師陣

アーサナ等を指導するバハラート・シン先生がインド政府の文化交流プロジェクト(ICCR)で長期間エジプトに派遣されています。

代わりに、デシュパンデ先生と若手のラジニーシ先生が実習の指導をされてしまいました。

女子学生を指導する先生も他国に派遣されたようです。セオリーを講義される先生方は例年通りだと思います。みなさん個性的な方ばかりです。

④実習クラスの進行状況

だんだん難しいアーサナが導入されています。また、「レッスンプラン」(学生が講師を務める模擬授業)がこれまで2回ありました。

すべて英語で説明しなけらばならないので大変です。多くの学生が「カンペ」を見ながら授業をしていたところ、指導教官から「次回からカンペみたら0点」というお達しがあり、次からはもっと大変になりそうです。

9月の末頃からはクリヤ(浄化法)が始まりました。クリヤの日は、朝っぱらから阿鼻叫喚です。


⑤講義の進行状況

あまり把握できていませんが、わかっている範囲内でいうと、

「パタンジャラ・ヨーガ・スートラ」:
概論(サーンキヤ哲学など)のあと、4章立てであるヨーガ・スートラの1章(サマーディ・パーダ)を終えました。

「ヨーギック・テキスト」:
ヨーガの諸学派についての概論、ハタ・ヨーガの基本文献(「ハタプラディピカ」、「ゲーランダ・サンヒター」)の概論、ヨーガにおける食事、アーサナ、クリヤなど。

「カルチュラル・シンセシス」:
「価値」を中心にヨーガ、教育そして文化等との関係について講義されています。また、「文化と文明」、インド哲学の諸学派についても解説されました。

「ヨーガとメンタルヘルス」:
テーマが多岐にわたっていました。具体的なことはあまり覚えていません。

「ヨーガにおける解剖学と生理学」:
一通り解剖学・生理学全般の基礎を講義したあと、個々のヨーガの実習(アーサナ、クリヤ、プラーナヤーマ)を解剖学、生理学の観点から解説。

「ティーチング・メソッド」:
実際にヨーガを教えるにあたって知っておくべきことがテーマで、他の教科よりも実践的な内容でした。
各教科週2回の講義のところ、この教科だけ週3回あり、そのぶん他の講義よりも早い時期に終了しています。後にその時間がレッスンプランにあてられました。


⑥同時進行の「ヨーガ・セラピー・ディプロマ・コース」の様子

例年がどのような様子なのか知りませんが、今年は学生が3人しかいません。学生によると、かなりアバウトなカリキュラムのようで、不満タラタラといった感じです。

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3)3ヶ月経過した感想

しんどかったです(いまもそうですが)。思うように進まなかったことばかりの3ヶ月でした。机に向かってやる勉強はほとんど進んでいません。

もっとも、自分なりの教訓もこの間にいくつも得られ、中身の濃い3ヶ月ではありました。

「ディプロマ・コースはディワリの休暇明けからが本番」と相方先生が常々おっしゃっていたので、これからそうなることを願っています。


4)今後ロナウラ留学を考えられている方へのアドバイス

とりあえず、留学する目的を明確にされておくと良いかと思います。

それと、カイヴァリヤダーマについての情報収集もお忘れなく。

もし伝統的なヨーガの学修を一番に求められているということでしたら、日本にいる間にどういう準備をすればよいかも
ある程度明確になるかと思われます。

(例えば、英語の能力の獲得、ヨーガやその文献の基礎知識の習得等々をある程度のレベルまでもっていっておくと、講義での理解度がかなり違ってくるはずです)。

といっても、実際に来てみて初めてわかることもあるでしょうから、あまり深刻に考えすぎなくてもいいかもしれませんが。

ディプロマコースは一年弱と長期間で、また少なくないお金も必要となります。

参加してみて「これは失敗した」ということにならないように、まずは6週間コースのCCYを受講されることをオススメします。

(ちなみに、このアドバイスは相方先生と本郷先生の受け売りです)。



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