バンコクのシーナカリン・ヴィロード大学(SWU)人文学部哲学宗教学科(ヨーガ研究室)で、今年度のわたしたちの担当プログラム「SWUコース2009」が進行中です。
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7月15日(水)に人文学部の講義室でオリエンテーション・ミーティング、その次の週末の7月17日(金)ー19日(日)に2泊3日のオリエンテーション合宿があり、7月20日(月)から週4回の通常クラスが始まりました。11月までの4ヶ月間続きます
オリエンテーション合宿
日時:7月17日(金)ー19日(日)
会場:『We-Train International』
→ http://www.we-train.co.th/We-Train%20Home.htm
通常のクラス
月・水・木:午後5時半ー8時
土曜日 :午前7時半ー午後1時
今年度の「SWUコース2009」の参加者は30名です。医師・歯科医・タイ伝承医学治療家といった医療関係者や、シーナカリン・ヴィロード大学の講師・教授陣も含まれています。
バンコクでの新傾向
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さて、今年度の新しい傾向としては、近年国際都市バンコクに進出して来た外国の団体のインストラクターやスタッフの受講生が増えていることです。
例えば、アメリカに本部のあるヨーギー・バジャンの「クンダリーニ・ヨーガ」のインストラクター、アメリカの「ホット・ヨーガ」のインストラクター、インドのバンガロールに本部のあるシュリ・シュリ・ラヴィシャンカールの「アート・オブ・リビング」のバンコク支部のスタッフ、「アイアンガー・ヨーガ」のインストラクター・・・・・などです。
わたしたちがタイで活動を始めた11年前は、バンコクでも、ヨーガについての活動はほとんど無かった、ものです。しかし、近年バンコクにもヨーガ系の新興団体や自己啓発セミナー系の団体が参入して来ています(超高額の受講料を徴収します)。
ただ、そういった新興団体の指導者トレーニング・コースを受けても、たいていその団体のセミナーやクラスを運営するマニュアル的指導を受けるだけですから、インストラクターになってもヨーガそのものの歴史的背景や、伝統的リソースの知識が欠けている、という段階です。
そのような状態で数年経つと、当然、不安が募って来ます。やはり、マニュアル的な知識だけでは続かなくなります。それで、不足している知識を補うためにシーナカリン・ヴィロード大学のコースに来るというのは、正しい方向性になります。
こちらは大学のコースですから、誰にでもオープンです。中立で客観的、学術的枠組みで運営されますので、団体的・閉鎖的拘束もありません。受講料も大学の規定に従いますし、修了書も発給されます。従って、以前にどのような「ヨーガ」経験があっても、誰にでも有益ですし、社会全体のためにも、有益です。
最初のオリエンテーション・ミーティングで、このコースは「ロナウラのカイヴァリヤダーマ研究所に蓄積されてきたリソースに基づく」という説明をすると、たいてい受講生から、それでは、
・「カイヴァリヤダーマ・ヨーガ」なるものを教えるのか、
・それは、どのようなポーズをするのか、
という質問が来ます。
しかし、オリエンテーション合宿が終わり、通常クラスの講義が進んで行くと、そういった誤解は解消して行きます。
われわれの「SWUコース」は、あくまでも、正統的・伝統的なヨーガ文献の資料研究と、科学的な実証研究をベースにした、理論的で学術的なアプローチによるヨーガ学習のプログラム、ということが理解されるようです。
(毎年、コース終了後の受講生のフィードバックは「期待以上だった」という反応になりますが、おそらく、今年もそうなると思われます)。
●日本のトラウマとあやうい再ブーム
ところで、日本人は、一度、1995年の事件でヨーガに裏切られています。
当時、ヨーガは不可解な反社会的活動の温床、というような見方をされ、事件団体とは関係のないヨーガ関係者も、警察から活動内容を調査されました。
このトラウマは大きく、未だに、ヨーガが日本のふつうの社会で真面目な議論の対象になりにくい、という雰囲気があります。日本では大学レベルや行政レベルでヨーガを扱う、という流れが出来ないですね。際物や風俗扱いです。
1995年事件のようなヨーガ絡みのスキャンダルの無かった隣国韓国では、すでに複数の大学でヨーガが扱われています。また、わたしたちの仕事先のタイでは複数の大学(人文学部・健康科学部・看護学部・物理療法学部 etc.)でヨーガが取り上げられていますし、タイ政府厚生省の代替医療局にヨーガ部門があります。
さて、近年、再び日本も「ヨーガ・ブーム」のようですが、1995年事件を起こした構造的問題が解消されていないままの再ブームなので、やはり、非常にあやうい状況だろう、と思われます。
相変わらず、確実で鉄板なヨーガのリソースのない、浮ついた、暴走気味のブーム、ではないでしょうか.....
このままでは、再び、日本人がヨーガに裏切られる、という展開にも成りかねない、という懸念があります。再びヨーガ絡みの大事件・スキャンダルが起きれば、また徹底的にマスコミに叩かれるでしょう...(その可能性はあるように思われます)。
本来、ヨーガはインドの伝承文化です。非常に長い歴史と複雑な背景があります。しかし、ヨーガの場合、アメリカから来た××ヨガ・ヨーガ、日本人の○○先生の○○ヨガ・ヨーガ、といった軽薄な活動に流れる傾向がありますし、宗教カルトに利用されることも起きてしまいます。
一見、入り口は入りやすいのがヨーガですが、踏み込んでから先がたいへんなのがヨーガです。実際、かなりのリソースを根気よく消化して行かないと、すぐに方向性が見えなくなるのがヨーガの特徴です。
●ヨーガ理解への最短コース
どの時代の、どのような社会環境・自然環境に生きていても、健康で安泰な、意義ある人生を送ることは、わたしたちみんなの願いです。
そして、ヨーガの技法の応用で、身体的・心理的なストレスへの耐性を高め、心身の病気を予防し、毎日の生活を超然的な充足感で送ることは、ヨーガに関わる人々みんなの共通の関心事です。
ヨーガで着実に結果を出して行くには、次の3つの領域でヨーガの理解を深めることが最短コースになるでしょう。
①「パタンジャリ(B.C.3-)」による理論的枠組み
②「ゴーラクシャナータ(A.D.10-)」による技法面の枠組み
③「クヴァラヤーナンダ(1883-1966)」による近代化の枠組み
この3点を核として理解を進めて行けば、ヨーガはいくら深め続けても興味の尽きない無尽蔵の知恵蔵ですし、わたしたち外国人(日本人・アジア人)にも、十分消化吸収が可能なインド文化からの素晴らしい贈り物になって呉れます。
日本でも、常識的なヨーガの理解が進展し、ヨーガが一般社会に着実に貢献して行くには、ロナウラでヨーガを勉強した日本人が増えるしかないだろう、というのが答えです。その根拠は十分にあります。
幸いなことに、この2・3年、ロナウラに来る日本人の方が増えました。今年のディプロマ(D.Y.Ed.)・コースにも2名の日本人留学生がいます(韓国人のディプロマ・コースへの留学生は、すでに延べ30名を超えます)。
時間は掛っても、日本でも、確実に伝統的なヨーガへの理解は浸透して行く、と思われます。
今後、日本でも、ヨーガの実技と理論(インド思想・生理学・心理学等)をバランスよく学べる場が増え、研究・仕事としてヨーガに関わっている人たちが、安心して、継続して、客観的で中立な知識を深めて行けるオープンな枠組みが必要に思えます。
そのような、常識的で、みんなに有益となるヨーガ活動は、ロナウラへの留学歴(短期・長期)のある人材が増えて行くことで可能になって行く、と思われます。
インドへの短期・長期ヨーガ留学に関心ある方は、どうぞご相談下さい。適切なガイダンスとサポートが可能です。
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