2009年8月31日月曜日

バンコクの近況2009年8月

こんにちは!!
みなさん、お元気でお過ごしでしょうか。

早いもので、8月も終りですね。8月は、日本は台風に見舞われたり、地震が発生したり、自然の驚異もあったり、総選挙があったりしましたが、皆さんは、無事にこの夏を乗り切られたことと思います。

さて、「バンコクの近況2009年8月」です。

こちらは、常夏の南国タイで、陽気でのん気で、それでいて、仏教心に篤く、精神面の向上心旺盛のタイの人たちと、ヨーガで楽しい日々を送っています。

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「YouTube」に10月のコンフィレンスのお知らせ

「YouTube」に、10月末のわたしたちのヨーガ・コンフェレンスのプロモが上がっていますので、どうぞ、ご覧下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=McXl3bKHMCQ&eurl=http%3A%2F%2Fwww%2Ethaiyogainstitute%2Ecom%2F&feature=player_embedded

What's On..
TYI Network Conference 2009
"Knowledge Friendship & Way of Life"

日時:10月31日(土)・11月1日(日)
会場:TOT・アカデミー(Ngam Wong Wan Road)、バンコク
テーマ:ヨーガ&ネットワーキング
「知識と友人とライフ・スタイル」

日本の方の参加も歓迎いたします。ヨーガを通じて他のアジアの国の人たちと交流するのは楽しいことでしょう。


1)シーナカリン・ヴィロード大学(SWU)コース

こちらは、バンコクで今年度のシーナカリン・ヴィロード大学(SWU)のヨーガ・コースの6週目が修了したところです。コースは中盤に入りました。

大学も建築ブーム

わたしたちが滞在している「ゲスト・ルーム」は、大学の生協(Co-op)が運営しています。5階建てのビルで、1階と2階が生協の事務局、3階から5階がゲスト・ルームになっています。

SWUでのヨーガ・プロジェクトが本格化した2003年当時は、大学内のゲスト・ルームに3ヶ月滞在したこともあるのですが、さすがに短期滞在者用のゲスト・ルーム暮らしが3ヶ月は長く、ここ数年はコースの最初の1ヶ月だけ、キャンパス内に住むことにしています。

バンコクの自宅でもある『タイ・ヨーガ研究所』のオフィスからSWUへは、比較的通勤しやすいのですが、わたしたちにとっては、大都会バンコクでの通勤は、何かとたいへんです。

また、コースが始まってからの最初の1ヶ月は、特に大切な時期です。わたしたちもクラス指導に集中しますので、この時期は通勤問題のないキャンパス暮らしが必要なのです。

ゲストルームのあるビルと、クラスのある人文学部のビルは、広い中央グランドを挟んだ対角線上にあります。

さて、この2・3年、大学は建築ブームです。 あちこちに新しいビルが工事中です。中央グランドも昨年から工事中で、完成するとグランドの下は地下駐車場になり、大学近くの大通りのアショーク通りから地下道で、直接大学の地下の駐車場に入ることが出来るようになるのです!!

そして、地上のグランドには、もちろん最新のトラックや、サッカーやテニスが出来る設備が整い、その周りも公園のように整備される完成予想図が描かれています。

ちなみに、中央グランドは、以前は、夕方になるとこの地区に住むインド人家族や、近所のマンション住まいの愛玩犬たちのお散歩コースになっていました。いろいろなワンちゃんたちが散歩に連れて来られるので、さながらドック・ショーのような趣だったのですが、今工事中なので、みんな不自由していることでしょう。

このシーナカリン・ヴィロード大学があるスクンビット地区は、東京で言えば新宿・渋谷のようなエリアで、土地代も非常に高く、大学も再開発を余儀なくされているようです。

すでに学部の1年生には、郊外のオンカラック地区に新設された郊外キャンパスで授業が行われています。スクンヴィット・キャンパスの方は、夜間や週末の社会人向けのコースが年々増えています。日本でもそうでしょうが、このご時世、大学の生き残りをかけた方向性なのでしょう。

その点から言っても、ヨーガのプログラムは、人文学部哲学・宗教学科のサバイバルに、大いに貢献するのではないでしょうか。


豚フルで「ジャラ・ネーティ」前倒し

例年、クリヤ(浄化法)はコースの終わりの合宿で実習するのですが、今年はバンコクでも豚インフルエンザが流行しているので、早めにやることにしました。

毎土曜日は朝7時半から午後1時までが授業です。8月8日(土)、7時半から大学の人文学部のビルの6階の教室で通常のクラスを1時間。それから、クリヤの実習。2階の給湯室でお湯と塩を準備してもらい、1階の庭木のあるところで、ネーティ・ポットを使ったジャラ・ネーティのデモンストレーション。それからみんなで練習をしてもらいました。

初めはネーティ・ポットの先を鼻に差し込むことに抵抗を感じていた人たちも、実習が始まると皆、真剣に練習をしていました。それから、ポットを使わない「ヴィユット・クラマ」と「シート・クラマ」の練習。「ヴィユット」は鼻から口へ、「シート」は口から鼻へ水を流します。

鼻を洗った後は、再び6階の教室に戻り、うつ伏せのマカラ・アーサナで休みます。鼻を洗って壮快な気分になることに加えて、流行中の強力なインフルエンザへの予防対策となるということで、みなさん大変喜んでネーティ・ポットを家に持ち帰っていきました。ジャラ・ネーティは、朝起きて顔を洗うときに、一緒に鼻も洗うと、一日中爽やかな感覚が鼻から額周辺に続きます。

また、外出から帰ってきたときに、手を洗うのと同じように鼻を洗う習慣は、風邪やインフルエンザへの有効な予防手段と考えられます。このご時世、自分に役立つことは、どんどん取り入れたいものですね。


ジャラ・ネーティはクヴァラヤーナンダの考案

実は、今広く行われている、ポットを使ってやる「ジャラ・ネーティ(Jala Neti)」はカイヴァリヤダーマ研究所の創設者のクヴァラヤーナンダによって考案されたものです。

もともと、「ハタ・ヨーガ」のクリヤにあるネーティとは、鼻に紐を通して内側から摩擦で刺激するスートラ・ネーティのことです。水で鼻を洗うのは、『ゲーランダ・サンヒター』に出てくる「ヴィユット・クラマ」と「シート・クラマ」のカパーラバーティです。

『ゲーランダ・サンヒター』では、カパーラバーティに2タイプあって、空気を使ったカパーラバーティと、水を使ったカパーラバーティです。通常、「カパーラバーティ」として練習されているのは、空気を鼻に通す「ヴァータ・クラマ・カパーラバーティ」です。クヴァラヤーナンダは、鼻を水で洗うカパーラバーティである「ヴィユット・クラマ」と「シート・クラマ」をやりやすくために、専用ポットを使って鼻に水を流す技法を考案したようです。

それが、ネーティ・ポットとジャラ・ネーティの始まりです。今は「ジャラ(水の)・ネーティ」としてポット式が広まりましたが、それぞれのヨーガ技法の原典を知っておくことは大切と思います。

また、今回のコースでは、「ムドラー」も早目に、しっかりと練習して 貰うことを考えて、講義の資料作成に注力しています。病気への抵抗力・免疫力を高めるには、アーサナよりもムドラーが大変有効と考えられています。

このあたりが、そもそも「ハタ・ヨーガ」が、長い間秘伝として、大事にインドで伝承されてきた所以ではないでしょうか。


抜群の出席率

今年度のコースの週4回のクラスの出席率は大変良好で、欠席する人は本当に少ないです。30名の受講生が、毎回ほぼ全員出席。今までの年で、一番出席率が良いと思います。

また、今回の受講生の中には、シーナカリン大学から、宗教・哲学科の先生(女性)と卒業生(男性)、オンカラック・キャンパスの先生(男性)の3名が参加されています。

宗教・哲学科の卒業生のナット君は、将来の大学スタッフ候補です。インドにヨーガ留学もしてもらい、将来的に哲学で博士課程まで修了し、宗教・哲学科のヨーガの専門家として養成したい候補生です。

この春学部を卒業したばかりで、ご両親の意向もあるようで、まだ進路については決まっていないのですが、とりあえず、7月からはわたしたちのコースに入っています(わたしたちは、ナット君はインド環境でサバイバル出来るように思えます)。

また、今年度は、バンコクの繁華街のモダンなビルの中でやっているヨーガ・スタジオやフィットネス・センターで、ファッショナブルな「××ヨーガ」をやっていた受講生が多いのですが、最初は今までのスタジオのクラスと両方出席していたのが、SWUコースが進むにつれて、他のクラスには行かなくなるようです。

最近、どこの国にも、熱心なヨーガ・フリークのお嬢さんはいますね。「いろいろなヨーガを知りたいと」という動機で、いろいろなスタジオの掛け持ち感覚でうちのSWUコースにも来るようですが、数週間経過するとヨーガに対する認識の大転換が起きるようです。

それで、今までのスタジオに行かなくなると、それまでのヨーガ仲間から「何があったのか?」と話題になっている、というようなケースを聞きます。スタジオやフィットネスでヨーガをやって来たひとたちは、「動く筋肉」ばかりトレーニングしているので、アーサナでの静止が苦手です。アーサナの本来の目的である「静止する筋肉」がよくトレーニングされていないのです。

また、スタジオやフィットネスではプラーナーヤーマをやっていませんので、「呼吸する筋肉」のトレーニングもされていないようです。それで、「ハタ・ヨーガ」的にとても重要であるムドラーやバンダをコツを掴むのに、苦労されるようですね。

いったい、スタジオやフィットネスで流行しているヨーガとは何なのか?わたしたちも不思議に思いますが、そこから来た生徒さんも疑問に思い始めるようです。

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2)バンコクにゲスト

さて、8月は、バンコクに2組のゲストがありました。8月3日から6日まで日本から「T.E.」さん、そして4日から6日に韓国のキム・ソンジョンさんと2人の甥子さんがバンコクに来られました。

皆さんには、タイ・ヨーガ研究所(TYI)オフィスの近くにあるホテルに部屋を取りました。最近改築された中級ホテルで、うちのオフィスから近いので、ゲスト・ルーム代わりに使っています。空港からも車で30分程度です。

『Anda Boutique Hotel』
http://www.andaboutique.com/about.html

「T.E.」さんは3泊されて、大学のクラスに参加されたり、運河ボートを使ってバンコク中心街へ出られたりと、バンコクの休日を楽しまれました。

T.E.」さんは、わたしたちのプログラムの常連さんです。タイでの合宿セミナーには、2006年の1月と7月のワンサニットに2回参加されていますし、2006年12月のインド・スタディ・ツアーにご主人とご一緒に参加されました。また、今年・昨年と、長野の穂高養生園での合宿セミナーにも参加されています。

今年の初め、長年勤務された会社の仕事に一区切りを付けられ、充電期間中です。


韓国からのゲスト

韓国からのゲストは、長年の友人のキム・ソンジョンさんです。ソンジョンさんは、ご主人のキム・ジェチャンさんとご一緒に、初めてカイヴァリヤダーマのディプロマ・コース(1996-7)を卒業した韓国人です。1996年にインドに来たときから、いろいろとうちがサポートをして来ました。

カイヴァリヤダーマのコース修了後、うちの主人のアドバイスで、お2人ともプネー大学で勉強を続けられました。ソンジョンさんは、もともとカウンセラーなので、プーナ大学では心理学を、ご主人は哲学を専攻されました。

現在はソウルでお2人でヨーガ・センターを運営され、カイヴァリヤダーマ研究所で勉強する後輩のお世話もされています。この7月にもうちの主人がソウルに立ち寄り、キムさんたちのセンターでセミナーをして来ました。

『AOMA YOGA ACADEMY』
http://www.aomayoga.co.kr/

今回は、ソンジョンさんは、南タイのハジャイにある、『International Buddhist College(IBC 国際仏教大学)』というところで、10日間、上座部仏教のアビダンマ哲学のセミナーに参加するためにタイに来ました。

『International Buddhist College(IBC)』
http://my.thanhsiang.org/klintiendharm/ibc.htm

このIBCはマレーシアのペナン島の中国系仏教団体が母体ですが、イスラム国のマレーシアでは仏教大学を設立するのがむつかしいようで、国境を越えた仏教国のタイに設立されたものです。英語で授業が行われているようです。

8月は韓国も夏休みのようで、ソンジョンさんは、中学生の甥っ子さん2名を同伴しました。彼らは外国に行くのが初めてだったようです。甥っ子たちは大学の英語コースに参加していたようですが、初めての外国で、それも街から離れた「僧院」のような仏教大学で、ちっとも面白く無かったようです。バンコクに着いたときはかなり疲れていて、元気がありませんでした。

空港に出迎えに行き、うちの近くの「ホテル・アンダ」にチェックインした後オフィスに来てもらいましたが、いろいろと話を聞くと、とにかく2人は、「韓国料理を食べたい!」と言うことでした。

それで、いろいろ考えていた行動予定を変更して、スクンヴィット通りまで出かけて、大学近くの韓国料理店に行くことにしました。車の渋滞の心配がない運河ボートに乗って大学の裏門の船着き場へ着き、キャンパスを横切って、正門から近いところにある『大長今』の韓国レストランに入りました。

バンコク都内も最近は韓国料理店が増えています、が、わたしたちに
とっては「韓国料理=焼き肉」のイメージが強くて、あまり関心はありませんでした。

さて、『大長今』のテーブルに座ってメニューを見ると、疲れ果てていた甥っ子2人の様子はもう少し前とは違って、すっかり元気が出たようです。ソンジョンさんもベジタリアンですが、わたしたちも「肉なし」の注文をしてもらいました。

焼き肉以外にも、韓国料理はいろいろあるようですね。 皆さんの中にも韓国料理のファンの方がいらっしゃると思いますが、いろいろな野菜のキムチに、お豆腐やシーフードのスープや、お好み焼きのようなものもあって、イメージしていたものとはだいぶ違い、大変美味しくいただきました。

もちろん、中学生の甥っ子さんたちは、もう大満足の様子で、お腹いっぱい食べていました。ハジャイでは、韓国から持ち込んだ韓国インスタントラーメンばかり食べていたそうです。

そして、お店のオーナーのおばさんから、晩ご飯のおかず用に沢山のキムチを持たされました。韓国のひとたちは、韓国料理がないと、むつかしいようですね。ソンジョンさんたちもプネーに留学していたときは、自分たちでキムチを漬けていました。

さて、次の日は、ソンジョンさんと「T.E.」さんは、わたしたちがお勧めする「タイ・マッサージ+ハーブボール」のメニューのある、スクンヴィット通りの『アジア・ハーブ・アソシエーション』に行かれました。
http://www.asiaherbassociation.com/

2人の甥子さんはクーラーの部屋から出たくないとのことで、ホテルから出ませんでした。バンコクはソウルに比べ、彼らにとってどれほど暑く感じたことでしょう!

ソンジョンさんはマヒドン大学での瞑想と心理療法のコンフェレンスにも出席したかったのですが、甥っ子さんたちが「もう限界」だったので、その日の夜の飛行機でソウルに戻られました。

「T.E.」さんは、その日と、その次の日の夜の2回、わたしたちの大学のクラスに見学参加され、やはり夜の飛行機で次の目的地に、元気に旅立って行かれました。


3)8月12日は女王様誕生日

8月12日(水)は、タイ王国の女王様誕生日で国民の祝日、タイの「母の日」でもあります(12月の国王様誕生日は「父の日」です)。この日は大学のクラスもお休みだったので、わたしたちも久々にバンコク探訪に出かけました。

まず、滞在中の大学のゲスト・ルーム512号室(毎年仕事中は同じ部屋に滞在します)を出て、大学の裏手にある運河ボート乗り場から、プラトナーム地区の伊勢丹デパートに近い船着き場まで。約10分。

プラトナームでボートを乗り換えて、バンコクの西部、外国人ツーリスト街で有名なカオサン通りの近く、王宮広場の横を通るラジャダムノン通りの船着き場まで。約15分。

案の定、ラジャダムノン通り界隈は、女王様のお誕生日祝典のため、地方から出てきた人々が沢山集まっていました。また、お店もいろいろと出ていました。お店を見たりしながら、ぶらぶら歩いて,カオサン通りの中心部にやってきました。久しぶりです。

20年前、インドに落ち着く前は、よくカオサン通りに宿を取ったものですが、その頃と比べて、街の外観もだいぶ変わっています。一頃日本人やほかのアジア人の顔をよく見ましたが、その日はほとんど欧米人ばかりで、アジア顔は見かけませんでした。

カオサン通りの隣の通りの、小綺麗なゲスト・ハウスのレストランの、オープンエアのこじんまりとしたレストランで、軽く昼食を摂りました。

『Tuptim Bed & Breakfast』
http://www.tuptimb-b.com/

このところバンコクは、どんよりと曇りのお天気が続いていたのですが、 その日は女王様のお誕生日のせいか、よく晴れて、少し暑かったですね。

また、やはり日差しも強いので、昼食後、休憩をかねてカオサン通りでタイ古式・マッサージを受けることにしました。昼食後は休まないと、どっと疲れるのが南国です。外出するときは、どこで昼食を食べ、どこで休憩するか、注意深く行動計画を立てます。

マッサージを終えて、カオサンを抜けると、バンコクの本流のチャオプラヤー河に出ます。今日の探訪のルートは、「運河ボート+ゆったりと流れるチャオプラヤー河リバー・クルーズ」です。

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カオサン通りの外れの船着き場から乗船。通常の乗り合い船ですが、
「エクスプレス」なので船がやや大型できれいで、タイ語と英語でガイドをしてくれたのですっかり観光気分に浸りました。

カオサン通り外れの船着き場の横に、新しいリバーサイド・タイプの小型ホテルが出来ていました。感じが良さそうでした。わたしたちにも、「機会があれば泊まりたい」、と思わせる雰囲気です。

『Navalai River Resort』
http://www.navalai.com/

若い頃、かってカオサン通りに親しんだバックパッカーが、その後年を重ねてベテラン・トラベラーになって、再び「カオサン」に泊まる、というコンセプトのようですね。

さて、タークシン橋のBTS(高架鉄道)へ乗り継ぎが出来る船着き場まで、所要時間30分ほど。チャオプラヤー河のこの界隈は、バンコク見所のハイライトです。クルーズ・ボートで河風に吹かれるのは、爽快で異国情緒満点です。

両岸には、以前わたしたちが仕事(2002年)をしたマヒドン大学・シリラート大学病院(タイの近代医学発祥の地)や、有名なお寺(ワット・プラケオ、ワット・アルン、ワット・ポーetc. )、そして有名のホテルのリバーサイド・カフェが並び、バンコクならではの風景です。

「エキスプレス」は7・8カ所止まったでしょうか。BTS(高架鉄道)駅で大方の人たちが降りました。英語でガイドをしてくれていた人も降りました。

そして冷房でよく冷えた、BTS(高架鉄道)に乗って、大学の近くのスクンヴィット通りのアショーク駅で降り、休日でひっそりと静かなキャンパス内のゲストルームに戻りました。

充実した、楽しい「バンコクの休日」でした。


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2009年8月23日日曜日

南タイのPSUへ出張

先週末は南タイのハジャイのプリンス・ソンクラー大学(PSU)への出張がありました。

今年の3月から、PSUの看護学部で、タイ政府厚生省代替医療局との共同プロジェクトの6ヶ月間のヨーガ・コースが実施されていました。
先週末がその最終セッションで、日曜日に修了式があり、そのゲストとして招待されたのです。

8月15日(土)午後にSWUのクラスが終わってから空港に向かい、飛行機でハジャイへ。到着後、大学内でのパーティーに出席、翌16日(日)は朝6時から8時までヨーガの実習セッション指導。

朝食後、9時から12時半まで講義。伝統的ヨーガについて。昼食後、4時まで修了式と受講生の研究課題のプレゼンテーション。

それから、関係者の打ち上げ夕食会。夜の飛行機でバンコクへ。ラームカンヘン通りの『タイ・ヨーガ研究所(TYI)』オフィスに帰って来たのは夜11時前でした。

地方への出張はいろいろと楽しみがあります。南タイはお魚が絶品で、フルーツも良好です。1泊2日の短期出張でしたが、接待で南タイの魚料理を堪能しました。

また、TYIのオフィスへのお土産に、今が旬で今年は大豊作のロンゴンというフルーツを、段ボール3個分持たせて貰いました。食べ物に関しても、タイの人たちは大いに気前が良いですね。

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TYI・PSU・厚生省の共同プロジェクト

このソンクラー大学(PSU)看護学部のプログラムには、うちのMCB財団タイ・ヨーガ研究所(TYI)がコンテンツを提供しています。

対象はタイ南部の医療従事者です。地方の公立病院や保健所に勤務されている看護師さんが中心で、医療従事者への、大学と厚生省による研修プログラム、という位置付けです。

今年は44名の参加者があり、来年以降も継続される予定です。この6ヶ月間のヨーガ・コースの修了証書(Certificate)には、厚生省代替医療局長と、PSU看護学部長の署名が入っています。

タイ政府厚生省代替医療局にはヨーガ部門があり、うちのTYIのディレクターのカヴィー氏がヨーガ部門の発足当時(2003年)からアドバイザーに入っています。また、代替医療局のヨーガ部門の担当官(女性)はうちのSWUコース(2003年)の受講生です。先週末もハジャイに同行し、修了式に厚生省側のプロジェクト責任者として出席されました。


強い看護学部

PSU看護学部は、1998年に、わたしたちが最初にタイでヨーガを指導した「発祥の地」でもあります。

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   (10年前のPSUでのセミナーの様子)


当時、PSUの看護学部では、「Holistic Health Care & Eastern Wisdom(統合医療と東洋の叡知)」というプロジェクトを立ち上げたところで、その一環として、ヨーガにも注目していた、という絶妙のタイミングでした。

(その後、わたしたちはバンコクのサン・サエン・アルン財団に紹介され、当時そこのマネージャーだったカヴィー氏と出会い、現在に至る一連の展開が始まった、という経緯があります)。

PSU看護学部の「Holistic Health Care & Eastern Wisdom」は、インド系のヨーガ・アーユルヴェーダ・自然療法、中国系の漢方医学・気功・太極拳、タイの伝承医学・民間療法、そして、さまざまな瞑想療法やレイキ・心霊療法まで、いろいろと広範囲な試みを重ねたのですが、10年経過してみて、やはり、ヨーガが一番現実的で実用的、という結論が出た段階です。

(そうなるだろうと、わたしたちは予測していましたが......)。

それで、今後、PSU看護学部としては、さらにヨーガに注力して行く方針です。すでに、看護学部のスタッフの中に、ヨーガ研究をテーマにして博士論文を書く候補生が3・4名います。彼女たちは医療畑なので、インド哲学やヨーガの理論面を強化する必要があるので、今後、うちが博士課程学生へのインド哲学・ヨーガ哲学特講セミナーを依頼されています。

タイの大学は看護学部が強いです。女性の牙城ですね。タイには、一般的に「女性が強い」という文化的土壌があります。これは東南アジア全般の傾向でもありますが、タイの女性も勤勉で独立心が強く、女性の社会進出率と影響力は、かなりのものです(各所に「鉄の女」とあだ名が付いている女史がいます)。

さらに、タイの仏教的な「慈愛と献身」の精神が、医療系・看護系には強く反映しています。これも、女性の領域です。

この両者の相乗効果で、女の城である「看護学部」には、仏教的精神性を背景とした、独特な精神的強さとモラルの高さを感じます。

もちろん、タイの公的医療も西洋医学中心ですが、一方では、東洋的・タイ的・仏教的なアプローチを統合しようという志向性も強く、その傾向は、近年、ますます高まっています。それで、西洋医学系は医学部が独占しますが、伝承医学や代替医療・統合医療の分野は、看護学部が主導権を持つ、という役割分担が起きています。特にPSUではそれが顕著です。


精神性に基づく行動原理

看護学部には、病気で苦しむ患者さんを助けることや、国民の健康促進活動に貢献することには、何でも積極的に取り組みたい、という柔軟性があるようです。すでに医療現場でキャリアーを積んでいるプロですので、ヨーガを療法的に応用するにも、十分な基礎があります。

みなさん個人的にもヨーガに興味がありますし、ヨーガをテーマにした研究プロジェクトを企画したり、勤務時間内の新しい業務としてヨーガを扱うことを歓迎しています。

また、プロとしての医療活動に仏教的な精神性の強い裏付けがありますので、「ひとを助ける」行ないについての一貫した行動原理と、職業上の「業績を上げる」以上のモチベーションがあります。

さて、タイの仏教文化の磁場に生きる人々の行動原理は、「カルマの法則(因果応報)」によって先導されています。これは、インドにルーツがありながら、仏教を通じてアジア全域に広まった世界観であり、行動原理です。

自分が今置かれている境遇や、自分にやって来る幸運や苦難は、今まで自分が為した行ないの結果の集積である。そして、これから自分にやって来る自分の未来は、今・ここでの自分の主体的な行ないが、刻一刻と刻み続けている。

まず、そのように冷徹に悟ること。

そして、今・ここでの、自分の思考と、次の行動への動機と、コミュニケーションのスキルに細心の心配りをしながら、自分の次の行ないを生きて行く。

この人生観の背景が、仏教と同じインドの土壌から出て来ているヨーガが、こちらでは、順調に浸透して行っている理由に思えます。このような仏教的な行動原理の磁場と、そこで活動する人たちと仕事をすることで、わたしたちも、非常に貴重な経験を積み重ねて来ている、と思います。



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2009年8月22日土曜日

SWUコース2009

バンコクのシーナカリン・ヴィロード大学(SWU)人文学部哲学宗教学科(ヨーガ研究室)で、今年度のわたしたちの担当プログラム「SWUコース2009」が進行中です。

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7月15日(水)に人文学部の講義室でオリエンテーション・ミーティング、その次の週末の7月17日(金)ー19日(日)に2泊3日のオリエンテーション合宿があり、7月20日(月)から週4回の通常クラスが始まりました。11月までの4ヶ月間続きます




オリエンテーション合宿
日時:7月17日(金)ー19日(日)
会場:『We-Train International』
http://www.we-train.co.th/We-Train%20Home.htm

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通常のクラス
月・水・木:午後5時半ー8時
土曜日 :午前7時半ー午後1時

今年度の「SWUコース2009」の参加者は30名です。医師・歯科医・タイ伝承医学治療家といった医療関係者や、シーナカリン・ヴィロード大学の講師・教授陣も含まれています。

  

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バンコクでの新傾向

さて、今年度の新しい傾向としては、近年国際都市バンコクに進出して来た外国の団体のインストラクターやスタッフの受講生が増えていることです。

例えば、アメリカに本部のあるヨーギー・バジャンの「クンダリーニ・ヨーガ」のインストラクター、アメリカの「ホット・ヨーガ」のインストラクター、インドのバンガロールに本部のあるシュリ・シュリ・ラヴィシャンカールの「アート・オブ・リビング」のバンコク支部のスタッフ、
「アイアンガー・ヨーガ」のインストラクター・・・・・などです。

わたしたちがタイで活動を始めた11年前は、バンコクでも、ヨーガについての活動はほとんど無かった、ものです。しかし、近年バンコクにもヨーガ系の新興団体や自己啓発セミナー系の団体が参入して来ています(
超高額の受講料を徴収します)。

ただ、そういった新興団体の指導者トレーニング・コースを受けても、たいていその団体のセミナーやクラスを運営するマニュアル的指導を受けるだけですから、インストラクターになってもヨーガそのものの
歴史的背景や、伝統的リソースの知識が欠けている、という段階です。

そのような状態で数年経つと、当然、不安が募って来ます。やはり、マニュアル的な知識だけでは続かなくなります。それで、不足している知識を補うためにシーナカリン・ヴィロード大学の
コースに来るというのは、正しい方向性になります。

こちらは大学のコースですから、誰にでもオープンです。中立で客観的、学術的枠組みで運営されますので、団体的・閉鎖的拘束もありません。受講料も大学の規定に従いますし、修了書も発給されます。従って、以前にどのような「ヨーガ」経験があっても、誰にでも有益ですし、
社会全体のためにも、有益です。

最初のオリエンテーション・ミーティングで、このコースは「ロナウラのカイヴァリヤダーマ研究所に蓄積されてきたリソースに基づく」
という説明をすると、たいてい受講生から、それでは、
・「カイヴァリヤダーマ・ヨーガ」なるものを教えるのか、
・それは、どのようなポーズをするのか、
という質問が来ます。

しかし、オリエンテーション合宿が終わり、通常クラスの講義が進んで行くと、そういった誤解は解消
して行きます。

われわれの「SWUコース」は、あくまでも、正統的・伝統的なヨーガ文献の資料研究と、科学的な実証研究をベースにした、理論的で学術的なアプローチによるヨーガ学習のプログラム、という
ことが理解されるようです。

(毎年、コース終了後の受講生のフィードバックは「期待以上だった」という反応になりますが、おそらく、今年もそうなると思われます)。


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日本のトラウマとあやうい再ブーム

ところで、日本人は、一度、1995年の事件でヨーガに裏切られています。

当時、ヨーガは不可解な反社会的活動の温床、というような見方をされ、事件団体とは関係のないヨーガ関係者も、警察から活動内容を
調査されました。

このトラウマは大きく、未だに、ヨーガが日本のふつうの社会で真面目な議論の対象になりにくい、という雰囲気があります。日本では大学レベルや行政レベルでヨーガを扱う、という
流れが出来ないですね。際物や風俗扱いです。

1995年事件のようなヨーガ絡みのスキャンダルの無かった隣国韓国では、すでに複数の大学でヨーガが扱われています。また、わたしたちの仕事先のタイでは複数の大学(人文学部・健康科学部・看護学部・物理療法学部 etc.)でヨーガが取り上げられていますし、
タイ政府厚生省の代替医療局にヨーガ部門があります。

さて、近年、再び日本も「ヨーガ・ブーム」のようですが、1995年事件を起こした構造的問題が解消されていないままの再ブームなので、
やはり、非常にあやうい状況だろう、と思われます。

相変わらず、確実で鉄板なヨーガのリソースのない、浮ついた、
暴走気味のブーム、ではないでしょうか.....

このままでは、再び、日本人がヨーガに裏切られる、という展開にも成りかねない、という懸念があります。再びヨーガ絡みの大事件・スキャンダルが起きれば、また徹底的に
マスコミに叩かれるでしょう...(その可能性はあるように思われます)。

本来、ヨーガはインドの伝承文化です。非常に長い歴史と複雑な背景があります。しかし、ヨーガの場合、アメリカから来た××ヨガ・ヨーガ、日本人の○○先生の○○ヨガ・ヨーガ、といった軽薄な活動に流れる傾向があります
し、宗教カルトに利用されることも起きてしまいます。

一見、入り口は入りやすいのがヨーガですが、踏み込んでから先がたいへんなのがヨーガです。実際、かなりのリソースを根気よく消化して行かないと、すぐに方向性が見えなくなるのがヨーガの特徴です。


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●ヨーガ理解への最短コース

どの時代の、どのような社会環境・自然環境に生きていても、健康で安泰な、意義ある人生を送ることは、わたしたちみんなの願いです。

そして、ヨーガの技法の応用で、身体的・心理的なストレスへの耐性を高め、心身の病気を予防し、毎日の生活を超然的な充足感で送ることは、ヨーガに関わる人々みんなの共通の関心事です。

ヨーガで着実に結果を出して行くには、次の3つの領域でヨーガの理解を深めることが最短コースになるでしょう。

①「パタンジャリ(B.C.3-)」による理論的枠組み
②「ゴーラクシャナータ(A.D.10-)」による技法面の枠組み
③「クヴァラヤーナンダ(1883-1966)」による近代化の枠組み

この3点を核として理解を進めて行けば、
ヨーガはいくら深め続けても興味の尽きない無尽蔵の知恵蔵ですし、わたしたち外国人(日本人・アジア人)にも、十分消化吸収が可能なインド文化からの素晴らしい贈り物になって呉れます。

日本でも、常識的なヨーガの理解が進展し、ヨーガが一般社会に着実に貢献して行くには、ロナウラでヨーガを勉強した日本人が増えるしかないだろう、というのが答えです。その根拠は十分にあります。

幸いなことに、この2・3年、ロナウラに来る日本人の方が増えました。今年のディプロマ(D.Y.Ed.)・コースにも2名の日本人留学生がいます
(韓国人のディプロマ・コースへの留学生は、すでに延べ30名を超えます)。

時間は掛っても、日本でも、確実に伝統的なヨーガへの
理解は浸透して行く、と思われます。

今後、日本でも、ヨーガの実技と理論(インド思想・生理学・心理学等)をバランスよく学べる場が増え、研究・仕事としてヨーガに関わっている人たちが、安心して、継続して、客観的で中立な知識を深めて行けるオープンな
枠組みが必要に思えます。

そのような、常識的で、みんなに有益となるヨーガ活動は、ロナウラへの留学歴(短期・長期)のある人材が増えて行くことで可能になって行く、
と思われます。

インドへの短期・長期ヨーガ留学に関心ある方は、どうぞご相談下さい。適切なガイダンスとサポートが可能です。


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