2010年2月22日月曜日

本家インドのヨーガの動向2010

NATIONAL YOGA WEEK – 2010
テーマ
:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」
(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ)
 
会場:「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」(ニューデリー)
日時:2010年2月12日(金)ー14日(日)~18日(木)
 
 

不定期でお送りしている「ヨーガ」の本家本元である「インド」の今の動向のレポート・シリーズです。

このシリーズは、現在進行中の「インド」の動向を理解するための
基礎知識や社会背景を、客観的な事実に即してレポートするものです。

「ヨーガ」についての背景知識の幅と厚みを広げることで、インドについての情報不足から生じる勘違いや間違った思い込みを
避ける材料を提供しようとしています。

今回は、2月12日(金)ー14日(日)の3日間、インドの首都ニューデリーにあるインド政府厚生省AYUSH局の
「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」で開催されたコンファレンス(NATIONAL YOGA WEEK - 2010)の話題です。

以下は、現在「カイヴァリヤダーマ」の付属カレッジに留学中の「C.A.」さんの参加レポートです。

 
MDNYI2010_1s
 
2010年2月12日(金)ー18日(木)
テーマ:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ) 
http://www.yogamdniy.com/index.htm
http://www.yogamdniy.nic.in/

 

「NATIONAL YOGA WEEK」
 
「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」の定例イベントである「NATIONAL YOGA WEEK」は2007年にスタート、今年で4回目です。

毎年2月中・下旬の1週間で開催され、プログラムは、コンフェレンス(3日間)・セミナー(2日間)・ワークショップ(2日間)のパターンで行われます。

この国立ヨーガ研究所のイベントは、比較的規模は小さいのですが、現在インドで、ヨーガを巡って、ほんとうに進行していることを、公平に、中立に、バランス良く知ることが出来る貴重な機会です。

2008年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2008」のテーマは、「ヨーガの教育課程とプログラムの標準化(
Standardization of Yogic Curriculum and Programmes)」でした。

これは、歴史的なイベントでした。

インドの主要な「ヨーガ」のインスティチュートの代表が初めて「国立研究所」で団結し、社会的な「ヨーガ」の認知の向上を図る
ための「ヨーガ教師」養成の統一カリキュラム制定の方向性を決めた会議でした。

そして、その後2008年5月には、インドで始めて「Indian Yoga Association(インドヨーガ協会)」が結成され、事務局は「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」内に置かれました。

昨年2009年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2009」のテーマは、「学校教育におけるヨーガ」で、インドの中・高校関係者を対象にしたプログラムでした。

わたしたちの今の仕事の対象は大学生以上・一般社会人層なので、学校教育の中高生とは、直接接点がないので、参加は見送りました。

今年2010年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」テーマは、「ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ」でした。これは、ヨーガに関心のある者には誰にでも関係して来る重要テーマなので、今年は外せないな、と、参加を決めました。実際に参加したのは3日間のコンフェレンスのパートです。

現在「カイヴァリヤダーマ」の付属カレッジで勉強中の
・C.A.さん(D.Y.Ed.:1年間のディプロマ・コース)
・S.F.さん(CCY:6週間のサティフィケート・コース)
の両名もニューデリーに同行しました。

ご両名とも日本で医療畑の仕事に関わっていた経歴があり、インドの「国立ヨーガ研究所」で現在進行中の出来事に、興味津々でした。

今後、「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」でのイベントに参加経験のある日本人が増えることは、日本のヨーガ全体の利益と思われます。 

日本で流通している目先の「ヨーガ情報」だけでヨーガについて判断するのは、まったく不十分ですし、むしろキケンなことに思われます。

インド政府の政策レベルで「ヨーガ」を統括しているのは、厚生省AYUSH局(
http://indianmedicine.nic.in/ )の次の2つの組織です。

・Morarji Desai National Institute of YOGA (MDNIY)
http://www.yogamdniy.com/index.htm
・Central Council for Reserch in Yoga & Naturopaty (CCRYN)
http://www.ccryn.org/

日本には、「インド政府公認」「インド政府認定」と称するヨーガの「資格」があるそうですが、日本で講習会を受けて「インド政府認定」「インド政府公認」などということは、あり得えないことです。

日本でそのようなことが罷り通るのも、
「インド」の現場の情報不足から来ている問題と思われます。

今はネット上で自由に情報が取れる時代です。そういう時代だからこそ、インドの「現場の情報」や、
インドにヨーガ留学することが、さらに、重要になって来ますね。

日本での健全なヨーガの発展のためにも、1924年の設立から
86年の歴史のあるロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」へヨーガ留学する方や、ニューデリーの「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所」でのイベントなどに参加して、インドの動向をフォローアップする方が
増えることが期待されます。
        
MDNYI2010_2s  
    
 
フィードバックの項目


カイヴァリヤダーマ留学中の「C.A.」さんには、次の項目で、「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」のフィードバックをお願いしました。

①MDNIYの立地環境と施設
②3日間のカンファレンスの雰囲気
③発表者の傾向 
④特に興味深かった発表
⑤参加者の印象
⑥朝の実習クラス
⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか
⑧「カイヴァリヤダーマ」との比較
⑨ニューデリーの印象
  
  
   
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『モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)』
「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」参加レポート①

(カイヴァリヤダーマ留学中のC.A.さん)
   
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以下、「簡単」な報告です。
文字にはしていませんが、今回は思う事がたくさんありました。
自分でもびっくりです。
 
 
①MDNIYの立地環境と施設
 
官庁街の、とても整備された場所に立地しています。施設も、外観はもちろんのこと、大学のキャンパスといった雰囲気です。「国立」というだけあって、立地環境も施設も素晴らしかったです。


②3日間のカンファレンスの雰囲気
 
皆ヨーガに関心が高い人ばかりです。気軽に声を掛け合ったり、情報交換したりしていました。


③発表者の傾向

・ヨーガ関係者
・医者 (主に西洋医学)
・科学者


④特に興味深かった発表

ヨーガを研究しているスピーカーの発表、
主に、

・カイヴァリヤダーマ関係者の発表(ヨーガ業界の中でも、驚くべき事に、ヨーガに関する内容の充実度が違いました)。

・ヨーガに関する科学的アプローチ(例えば、瞑想経験における、睡眠への影響等)。


⑤参加者の印象

ヨーガを勉強している若者が目立ちました。

ヨーガ関係者に関しては、発表者も含め、カイヴァリヤダーマ・カンファレンスと同じ顔触れが多数いました。


⑥朝の実習クラス

15分間のみ参加しました。まず、スークシュマ・ビヤヤーマから始まりました。準備運動だと思っていたら、少しハードでした。そして、いくつかのポスチャーをしました。


⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか

参加出来て良かったです。

あるセッションで、2人の発表がありました。1人は心臓の専門家、1人は以前カイヴァリヤダーマで研究されていた先生です。2人の発表を並べて聞いた時に、「ヨーガ」自体に対する接し方の違いにとても驚きました。

やはり病気を治す専門家は、「病気を治す事」が目的です。医学的視点から、病気の話をし、治療の話をします。彼らにとって、ヨーガも治療の一環です。

それに対し、ヨーガの研究一筋でこられた先生の発表は、別物でした。「ヨーガに取り組んでいく、向き合っていく」という事がどういうことなのかを、痛感しました。

一番の収穫は、今、自分は素晴らしい環境に身を置いている、という事実を教えてもらえた事です。


⑧「カイヴァリヤダーマ」との比較

【コンファレンス比較】

キャプチャ 

【個人的感想】

「カイヴァリヤダーマ」は様々なセッションが、同時に、別々の会場で行われました。ですので、自分の興味に合わせてセッションを選択できます。そして、演者も多種多様です。

もちろん、ヨーガ研究者、医者、そして政府関係者、又、外国でヨーガを研究している人やヨーガ・ビジネスで成功した外国人の話もありました。そして、「カイヴァリヤダーマ」のセオリーとは違うワークショップも用意されていました。

「今、ヨーガに起こっている現実」が、一堂に集まっていました。

一方 「モラルジ・デサイ」は、規模とテーマが限られています。よって、演者も、ある一定の業績や地位のある人が
セレクトされていたように感じます。


⑨ニューデリーの印象

道も整備されており、高級ホテルが立ち並んでいます。「カイヴァリヤダーマ」からは想像がつかないような街並みでした(笑)

宏先生、カイヴァリヤダーマ・コンファレンス、ロナウラ・ヨーガ研究所セミナーに引き続き、この時期にご一緒させてもらえて、本当に良かったです。とてもコンファレンスが楽しかったです。

そして、CCY参加中のSちゃん、
裏で支えて下さった秀子先生、どうもありがとうございました。
 
 
  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   

【参考情報】


インド中央政府厚生省のAYUSH局

インド中央政府で日本の厚生労働省に相当するのは
「Ministry of Health & Family Welfare」です。
http://mohfw.nic.in/

日本語に直訳すると、「保健と家族福祉省」というようになりますが、かんたんに「厚生省」としておきます。

厚生省の中にAYUSH局という局があります。1995年に設立されました。
「Department of AYUSH」
http://indianmedicine.nic.in/

当初は、「インド医学の体系とホメオパティー局Department of Indian Systems of Medicine and Homoeopathy (ISM&H)」 と言う名称でスタート、2003年にAYUSH局という名称に変更されました。

「AYUSH」と言うのは、
・A yurveda(アーユルヴェーダ)
・Y oga & Naturopathy(ヨーガ&自然療法)
・U nani(ユーナニー)
・S iddha(シッダ)
・H omeopathy(ホメオパティー)
の頭文字から取られています。

AYUSH局の目的は、西洋近代医学以外の医療体系の普及による国民の社会福祉・公衆衛生の向上です。そのための研究・教育の推進、教育課程のスタンダート化、医薬品の承認審査と品質管理、国民の意識向上への活動などを管轄しています。

これら医療体系は、通常他の国では「代替療法(Alternative Medicine)」や「補完療法(Complementary Medicine)」
と呼ばれるものですが、インドでは国家が認知した正式な「医学体系」としての位置付け(National Systems of Medicine in India)が与えられています。

これらの「医学」を実践する基礎資格は、5年半の医学教育修了です。インド各地に、西洋医学の医科大学と同じ枠組みで、それぞれの医学体系の医科大学が設立されています。

このうち、「アーユルヴェーダ(Ayurveda)」「ユーナニー(Unani)」 「シッダ(Siddha)」の3種はインドの伝統医学・伝承医学で、インドにリソースがあります。

「自然療法(Naturopathy)」は自然界との調和とバランスの回復を図ることで病気を治療する医療体系で、インドの伝統にもルーツがありますが、近代的な「自然療法」はドイツで始まった運動です。

インドでは近代インド建国の父である「マハートマ・ガンジー(1869-1948)」が「自然療法」を推進したので、インド独立時から政府から特別な地位が与えられています。

「ヨーガ」は本来医療の体系ではありませんが、医療への応用も期待されている分野なので、インドでは「自然療法」との組み合わせで推進されています。

「ホメオパティー(Homeopathy)」は約200年前にドイツで成立した医療体系で、「似たようなものは似たようなものを治す(同症療法)」という原理に従います。

「ホメオパティー」は1947年の独立前からインドに紹介され、独立後も政府が「ホメオパティー」を認知して研究・教育を推奨してきた結果、世界で最も「ホメオパティー」が普及している国になっています。


リサーチ・カウンシルと国立研究所


「統合医療」への流れは世界的なトレンドです。インドでも伝統的知識の復興と近代社会への統合、というのが大きな時代の流れであり、課題です。

AYUSH局の中には、現在4つのリサーチ・カウンシル(Central Council for Research)があります(日本語に訳すと「研究中央審議会」「研究中央委員会」になるでしょうか)。

・Central Council for Research in Ayurveda & Siddha (CCRAS)
www.ccras.nic.in
・Central Council for Research in Unani Medicine (CCRUM)
www.ccrum.nic.in
・Central Council for Research in Homoeopathy (CCRH)
www.ccrhindia.org
・Central Council for Research in Yoga & Naturopathy (CCRYN)
www.ccryn.org

また、AYUSH局の中には、
6つの国立研究所(National Institute)があります。

国立アーユルヴェーダ研究所(ラジャスターン州ジャイプール)
National Institute of Ayurveda (NIA), Jaipur
www.nia.nic.in

国立シッダ研究所(タミールナードゥー州チェンナイ)
NATIONAL INSTITUTE OF SIDDHA (NIS), CHENNAI
www.nischennai.org

国立ユーナニー医学研究所(カルナータカ州バンガロール)
National Institute Of Unani Medicine  (NIUM)
www.nium.in

国立ホメオパティー研究所(西ベンガル州コルカタ)
National Institute of Homoeopathy (NIH)
www.nih.nic.in

国立自然療法研究所(マハーラーシュトラ州プネー)
National Institute of Naturopathy (NIN)
www.punenin.org

モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所(ニューデリー)
Morajee Deseai National Institute of Yoga (MDNIY)
www.yogamdniy.com

インド中央政府の厚生省AYUSH局で「ヨーガ」に関係しているのは、

・「ヨーガ&自然療法・研究中央審議会(CCRYN)」
・「モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所 (MDNIY)」
の2つです。


 

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2010年2月9日火曜日

プネーの近況2010年(1)

ナマステ!
皆さんいかがお過ごしでしょうか?

この冬日本は雪が多く、寒さが厳しいようですが、皆様のところはいかがですか?

わたしたちは、インド・プネーのわが家で、インドの「冬(乾季)」を楽しんでいます。

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1)きれいになったムンバイ空港

バンコクでの仕事を終えてインドに帰って来たのは、12月11日(水)でした。

今回は、バンコクからインドの航空会社の「JET AIRWAYS」を利用しています。バンコク発の朝便があり、ムンバイにお昼過ぎに着くので、たいへん便利です。夕方までにはプネーに帰れます。

6ヶ月振りにムンバイの空港に着いてみると、ここ数年続いていた改築工事もほぼ終わり、空港内のイミグレーションや、荷物受け取りのコンベアーの所も、きれいに明るく整備されていました。

そして、到着ロビーから外へ出ると、「ミーティング・ポイント」もきれいに広く整備され、出迎えの人たちがとの合流が
とても分かりやすくなっていました。

インドでは、空港や駅には、必ず親戚や友人の出迎え・見送りの大軍が殺到します。それで、周辺に十分のスペースが必要です。

前回は、飛行機が早めに到着したにもかかわらず、「ミーティング・ポイント」周辺がまだ工事中だったので、いろいろと困りました。

ロナウラのエージェントから呼んである出迎えの車の駐車問題やら、どこが臨時の「ミーティング・ポイント」なのがかハッキリ分からず、出迎えのドライバーと会うまでに、かなり、手間取りました。

(それでも、最近はお互いに携帯電話を使いますので、何とかなります)。

以前の古いムンバイ空港(ムンバイだけでなくインドの空港はみな
そうでした)は、到着して飛行機から出た瞬間から、ビル内の薄暗さや、隅のほうで人がごそごそしている不気味さ、こんな辺境までやって来た、というやさぐれ感が漂い、「さあ、インドに着いたぞー」と言う緊張感が襲って来たものです。

しかし、最近、インドのどこの空港も改装工事で奇麗になりました。
ふつうの外国の空港のようになりましたので、安心して旅行気分、外国への到着気分に浸ることが出来るでしょう。

これからムンバイに来られる方!どうぞ楽しみに!
空港内もよく見学してきて下さい!


2)プネーまで3時間の直行ドライブ

ムンバイ空港に昼便で正午に到着、午後1時には空港をスタートし、
3時にロナウラを通過、4時にはプネーに到着。

まず、わたしたちのフラットのオーナーのゴレ教授宅に立ち寄り、チャイをご馳走になり、用意してあったわたしたち夕食(プリー・バジ)を貰って、アウンドのわが家に到着しました。

ムンバイ・プネー間の高速道路はロナウラで「カイヴァリヤダーマ研究所」のキャンパスを横切ります。

時速100キロ近くで、スワーミージ(研究所の精神的指導者)のクティ(お住まい)の裏の丘を通過しますので、車中から「ナマステ」とご挨拶!

ロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」は高速道路と共存、ムンバイのサンタクルズの「ヨーガ・インスティチュート」は空港と共存、ムンバイ空港の滑走路の延長線下にあります。

ヨーガの研究所と
いうのは、伝統と近代が融合したところのようですね。


3)プネーの部屋

さて、わが家のフラットに到着すると、まずは、毎度のこと、
半年分の大掃除です。

部屋の中のベットや家具に掛けてある布を取り、2度3度と床を掃き、2度3度と床をモップがけをして、半年分の埃やくもの巣、ヤモリの置きみやげを取り除き、テラスやバスルームは水を撒き、ブラシで磨きます。

そして、ロッカーや棚から少しずつ必要なものを取り出して再配置、何とか夕食の時間までには、一通り片づきました。

窓にアルミ・サッシのガラス窓が入ってからは(2005年)、以前に比べて
埃も少なくなり、また、バンコクから持ち込んでいるプラスチック・ケースが大活躍、埃や虫が入らないので、本や小物の保管上、とても安心です。

今回帰って来てびっくりしたことは、電話線が正常に使えたことです!
もちろんインターネットの接続もOK。

いつもですと、半年間使っていないとたいてい電話線が不通になっていました。オーナー側で毎月きちんと基本料金の支払いをして呉れていてもです。

しかし、昨年はインドを出る前に、オーナーのゴレさんと一緒に電話局へ
行き、「料金前払いの制度」を使ってお金を半年分前払いしたのです。

どうやら、このシステムはきちんと働いているようです。インドの中間層の家庭では、子供がアメリカやオーストラリアに
留学して、そのまま移住するケースが少なくないのです。

子供が
外国で家庭を構えると、両親も数ヶ月子供の家を訪ねます。インドの自宅と、アメリカの子供の家を数ヶ月単位で行き来している老夫婦も珍しくないのです。そういうケースの便宜を図るために、最近、公共料金の前払い制度ができました。

電気料金も前払いが可能で、うちも電気料金の前払い制度も利用しています。


4)ご近所の様子

さて、わが家の近所のアウンド近辺の様子はどう変わっているか?と言うと、ここ数年のイケイケ・ムードから比べると、なんとなく
落ち着いた感じがしています。

リーマン・ショック、ドバイ・ショックと続いて、やはり景気が悪いのか、
また、インフレが続いて、お米・麦・野菜・豆・砂糖などの日常食料品が軒並み値段が上がっているので、家電製品のような生活必需品でないものは、消費が落ち込んでいるのではないでしょうか。

うちのフラットの前は、プネーでは大手の家電量販店「ダス(DASS)」のショー・ルームなのですが、今回とても静かなことに驚いています。

以前は週末は入り口のところで動物のぬいぐるみが愛嬌を振りまき、
音楽もがんがん鳴らして、夜10時頃まで賑わっていました。しかし、今回は夜8時過ぎには既に戸が閉まって、中も真っ暗になっているではありませんか!

新しい店舗が増えたり、店構えが新しくなったりで、ますます
賑わっているのは携帯電話屋です。携帯電話屋は不況知らずですね。

また、古いビルを改築して新しい店構えの作りにしている所も何件かあり、それらは女性のモダンなインド服や子供服の店になっていました。

そんなに沢山同じようなお店が集まっても仕方がないのでは?と思いつつ眺めています。

確かに、新聞などを見る限り、インド全体の経済成長は進んでいる
ようで、日本を始め、海外の企業が進出し、業界同士の交流や展示会が盛んに行われているようです。

しかし、インドの場合、インフラの整備がぜんぜん追い付いていない
ので、日々矛盾も拡大、という様子です。

車が増えても、道路が足りない!
家電製品が増えても、電気が足りない!
大学は増えても、講師が足りない!

一言で言うと、世の中の変化に人間の側が、ぜんぜん追い付けて
いけない、という局面ですね。

それでも、結構、みんな、平気だったりします。それぞれの人々が、それぞれに、マイペースで、毎日がそれぞれに進んでいるように見受けられます。

日本のみなさんも、インドに来てしばらく暮らしてみられると、人間について、社会について、自然(宇宙)の法則について、いろいろ哲学的に考えることが出来ると思いますよ!


5)アーユルヴェーダ・クリニック訪問

さて、インドに帰ってきて1週間もすると部屋の方も、身辺の方も、
段々と落ち着きましたので、それではと、からだのチェック・アップのために、プネーのアーユルヴェーダの先生のクリニックに電話をして予約を入れました。

昨年、日本へ帰国した折に、東京の実家の近くのクリニックにも
「尿検査」に行ったのですが、結果がすぐに分かるのはすごいのですが、お医者さんは、検査結果のデータと睨めっこして「問題はありませんよ」と言うだけで、患者本人には何ら興味を示されないのには、驚きました。

たまたまこのお医者さんがそういう人だったのかもしれませんが、
昨年プネーに外務省から派遣されて来た「巡回医師団」の先生による健康診断でも、同じように思いました。

それに比べて、こちらのアーユルヴェーダのお医者さんとは、
脈診から始まり、食生活、季節や年齢による日常生活のすごし方など、インドの伝統医学ならでは!といった内容の話題で、いろいろと先生と議論で盛り上がることになります。

やはり、「インド人の徹底した考え方はすごい!」と、改めて
感心する局面ですし、ヨーガやインド哲学を勉強して来て良かった、と納得する局面です。

インドのものは、あるレベルから先になると、すべて、お互いに
関連して来ます。同じものを、別々な側面から取り扱っているかのようです。

アーユルヴェーダの先生と話をしながら、その場で具体的に疑問に
答えて呉れるので、こちらも自分のためにやるべきこと、やってはいけないことを納得します。

今のからだの状態を補うことをする、補うものを食べる、逆に、今はしない方が良いこと、今は食べない方が良いものなど、有益なお話をじっくりと聞き、処方された薬をもらって帰って来ました。

わたしたちがアーユルヴェーダの勉強を始めたのは2001年から
です。それまでは、もっぱら自然療法派でした。

アーユルヴェーダの勉強には、「パンチャ・カルマ」の体験が必要になります。わたしたちがやったのは2001年と2005年です。そろそろ今年は「パンチャ・カルマ」の時期かなあ!と思っています。

ヨーガと同様、インドのアーユルヴェーダについても、日本では
部分的な情報しか伝わっていないのではないでしょうか。

いきなり、日本のひとがインドに来て、本格的な
「パンチャ・カルマ療法」は無理です。むしろ、キケンと思われます。インドの療法に興味のある方は、 まず、「自然療法」を体験することがステップとして必要でしょう。

インドの自然療法を体験した後ですと、アーユルヴェーダの特性についても、正しい見解を持つことが出来ると思います。


6)プネーの「国立自然療法研究所(NIN)」訪問

さて、わたしたちは最近の興味は、もっぱら「アーユルヴェーダ」で
すが、もちろん、ヨーガと自然療法は切り離せないものです。

プネーには、インド中央政府厚生省AYUSH局の「国立自然療法研究所」があります。
http://punenin.org/index.htm

ここは、インドで初めての自然療法のクリニックで、インドの近代自然療法の父でもある「マハートマ・ガンディー」が支援していたところです。

その後、「マハートマ・ガンディー」は1946年にプネーから40キロ離れたウルリカンチャンという村に、インドで初めての自然療法の療養施設である「ニサルゴプチャール(自然療法)・アシュラム」を設立しました。
http://www.nisargopcharashram.org/Default.aspx

さて、自然療法では、もっぱら、わたしたちはウルリカンチャンに行きます。プネーの「国立自然療法研究所(NIN)」は、プネー駅の向こう側にあり、わたしたちの住むアウンドからはやや遠方になるので、今まで訪ねたことはありませんでした。

2年前に「国立自然療法研究所(NIN)」主催のコンフェレンスに出席したことはあるのですが、そのときは外部のホールで開催されました。

もちろん、「NIN」は「カイヴァリヤダーマ研究所」や「ロナウラ・ヨーガ研究所」とも密接な交流があります。わたしたちの恩師の故M.L.ガロテ先生も「NIN」の常連講師で、定期的にロナウラからプネーに通って、「NIN」の学生や、ビジター向けにヨーガの講義をされていました。


インドでの仕事は交通手段次第

さて、先月、ついに「NIN」を訪問する機会が出来ました。その日は、車を一日借り切り、プネーでいろいろな用事を
まとめて片付けることにしたのです。

インドの場合、移動手段が最大の頭痛の種です。
公共の交通機関はバスしかありませんが、それが全然便利でも快適でもなく、インド式3輪タクシーの「リキシャー」はガソリンの高騰で、庶民が気安く使える乗り物ではなくなっています。

リキシャーでちょっと移動すると、50-100ルピー。それに、
昨今のプネー市内の交通量と排気ガスの大気汚染で、ドアのないオープン・カーのリキシャーに長い時間乗るのは苦行です。

プネーで車を一台借り切ると、使用時間と移動距離によりますがプネー市内の移動だけなら1000-1500ルピー、郊外のウルリカンチャンやロナウラまで行くと、1500ー2000ルピー。

交通渋滞にかかっても、車の中なら平気です。エアコンも使えます。ですから、リキシャーを数回使って市内移動して用事をするくらいなら、むしろ運転手付きの車を借り切って、まとめて用事を片付ける方が、料金的にも、疲労度的にも、全然ラクになっていますね。


自然療法の強力メソッド「ヒップ・バス」

さて、「NIN」を訪ねた理由は、兼ねてから気になっていた
腰湯のための「ヒップ・バス・タブ」を見ることでした。

自然療法は、自然界にある「5元素(空間・風・火・水・土)」の作用を活用して、からだの自然治癒力を活性化させるメソッドです。

そして、「水」の作用を用いる「水療法(ハイドロ・セラピー)」というカテゴリーがあり、そのひとつに、丸形で浅い小型の浴槽の中で椅子のように座り、腰回りだけをお湯や水に浸す「腰湯(ヒップ・バス)」があるのです。

これは、かんたんながら、意外に強力な技法で、自然療法では定番となっているメソッドです。わたしたちも、1993年にウルリカンチャンで自然療法の勉強をしてからは、自宅での「ヒップ・バス」用にプラスチックの大きめのタライを買い、ときどき実践して来ました。

ただ、ふつうのタライを使うと、床面面積が広いため、それだけお湯を大量に使いますので、効率がいまいちだったのです。それだけ、光熱費もかさみます。

最近、インドでの自然療法の普及に伴い、「NIN」で家庭用の「ヒップ・バス・タブ」を販売していることを知りました。これは良さそうなので、「機会があれば、ぜひこれをゲット!」と、車で「NIN」に行くチャンスを待っていたのです。

さて、念願の車を使った「NIN」訪問。

「NIN」はプネー駅の裏側の、
あまり駅から遠くないところにあり、ゲートを入るとすぐキッチンが目に入りました。自然療法のランチや、野菜ジュースやフルーツのジュースを廉価で提供しているカフェテリアです。そして、通いで自然療法を受ける人たちのクリニックや講義室、ヨーガ・ホール、ショップなどがセンターの敷地内にありました。
http://punenin.org/index.htm

駐車場に車を停めて、さっそく、わたしたちはお目当てのショップに入りました。中にはダイエットやヨーガに関係する書籍や、自然療法で使う食品やグッズが置いてあります。

ヨーガ関係の書籍では、ガロテ先生の本や、
「カイヴァリヤダーマ」の本が多くあり、ガロテ先生のポスターも壁に貼ってありました。

ショップには2種類の「バス・タブ」が置いてありました。
ひとつはわたしたちが購入しようと思っている「ヒップ・バス」用の椅子型のものと、もう一つは横になり背骨だけを湯に浸す「スパイン・バス」用の、少し平たい「バス・タブ」でした。

さて、「ヒップ・バス」用のものを欲しいことを伝え、見本でない
「バス・タブ」が出てくるのを待ちました。ショップにいる人は動く気配がなく、誰か外から別な担当者が「バス・タブ」を持ってくるのか?と思って、10分は待ったでしょうか。

ようやくひとりの男性スタッフが入ってきて、履物を脱ぎ、台に上ったと思うと、ショップの天井を開けて、天井裏にあるらしい収納庫入って行き、ガサゴソと音を立てたかと思ったら、上からゴロンと「バス・タブ」が降りて来ました!!

なるほど、このスタッフが担当だったのですね。
他のスタッフは、見ているだけです。

わたしたちは、上から降りてきた「バス・タブ」を壊れていないか
よくよくチェックして、代金の2100ルピー(約4,200円)を払って、「バス・タブ」を駐車場の車の中へ入れました。

あらかじめ電話で値段を問い合わせたとき、「バス・タブで2100ルピーは高いのではないか?」と疑いがあったのですが、現物を見て納得しました。タライやバケツに使われているプラスチックの素材ではなく、ふつうの浴室のものと同じ素材の、樹脂製の本格的な「バス・タブ」だったのです!!

これなら少々高くても納得、長持ちしそうです。

さて、その後、わたしたちはカフェテリアの方の探索に行きました。食事のメニューはウルリカンチャンの「自然療法アシュラム」のキッチンと同じような内容でした。ナチュラルで、からだに良さそうです。

実は「NIN」に来る前に、近所で昼食を済ませていたので、 その日は「NIN」の食事は見学だけで、次回は食事時間に来る
ことにしました。


くつろぎ椅子兼用で大活躍

その後、「ヒップ・バス」用の専用バス・タブは、わが家で大活躍しています。良い買い物をしました。

今、インドも冬なので、夜寝る前の「ヒップ・バス」は少し寒いです。ですから、時間のある午前中やや夕方に「ヒップ・バス」をしています。全身浴に比べて、腰回りの部分浴の方が全身の血液循環が良く
なります。

腰周りの筋肉に良いことはもちろん、副交感神経を刺激して、
リラックス効果は絶大です!

そもそも南国では、「バス・タブ」に浸って入浴する習慣がないのです。全身を熱い浴槽に浸すことが当たり前になっている日本人にとっては、賢い部分浴の使い方は、大いに研究の余地があると思います。

これは、床に座ることが当たり前の習慣となっている人たち
(タイ人やインド人)にとって、クッションをいろいろとサポートに使ったり、正座で工夫して座ることが骨盤から背骨のバランスを矯正するのに良い、ということに気が付かないのと、似ているように思います(この点は西洋人から学ぶことが多いですね!)

今回、わが家に来た「NIN」の「バス・タブ」は、腰湯用としてはもちろん、昼間も部屋のリラックス椅子として大活躍をしています!!

なぜなら、今回、アーユルヴェーダの先生から「昼食後は横にならないよう、昼寝しないよう、椅子に座って寛ぐだけにするように!」と処方されているので、この椅子型の「バス・タブ」にクッションを組み合わせて置いて座ると、まさに理想的な「くつろぎ椅子」にもなるのです!

それにしても、この冬は「寒いインド」となっています。
北のカシミール地方では大雪に見舞われ、首都のデリーでも0度まで気温が下がる日が続き、毎日凍死者が出ていると、ニュースで伝えています(凍死するのは、路上生活者やスラムに住むような、最底辺のインド社会の弱者の人たちですが.....)。

わたしたちの部屋はビルの4階の一番上で日当たりが良く、冬は暖かい方なのですが(夏は暑い)、それでも午前中は部屋の温度が上がらず、寒いです。

インドの家屋は石やレンガ作りで、床も石のタイル張りなので、冬はからだが冷えます。そもそも、夏の猛暑期をしのぐように工夫されているので、寒さには弱い構造です。

この時期、本当に腰湯は温まって快適です。自律神経のバランスを整えるので、ストレス解消、日々の健康維持にも大いにプラスです。

かんたんで効果絶大の自然療法は、偉大だと思います。日常生活で、ちょっとした工夫で、からだに良い習慣を身に付けることが、日々のストレスを中和し、不必要な病気を避け、人生のトータルな過ごし方に、前向きな差を付けるようです。


7)ロナウラでのプログラム

12月にプネーに戻ってから、すでにコンフェレンスが2つありました。12月末の4日間の「カイヴァリヤダーマ研究所」の第6回国際会議と、
1月17日(日)の「ロナウラ・ヨーガ研究所」のコンフェレンスです。

これらのレポートは関連した話題で触れて行きます。「カイヴァリヤダーマ」でのコンフェレンスでは、今年度「ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)」に在籍されている2人の日本人留学生も、準備段階や、期間中のキッチンでのお手伝などで、裏方さんとして大活躍されていました。

1学年の「ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)」は4月下旬まで続きます。長丁場のコースもあと2ヶ月半余りとなっています。
無事にインド・ヨーガ留学を満了されて、日本のヨーガの
レベルアップのために、大いに活躍していただきたいと思います。

また、ロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」では、1月15日から6週間の「サティフィケイト・コース(CCY)」が進行しています。日本女性が3名受講中です。

この3人の方々は、全員、昨年11月のバンコク郊外の
「ワンサニット・アシュラム」での、わたしたちの10日間コース「ワンサニット2009」に参加されています。

「ワンサニット2009」の後なので、インドの先生方の英語が聞き取りにくい、という問題はありますが、「カイヴァリヤダーマ」での実習や勉強の内容面では、それほどの障碍はない、と思われます。

授業が進んで行くと、段々と、何が話題になっているのか、という講義の流れや、よく出て来るサンスクリット語の用語も耳慣れて来るものです。

今回の「CCY」の受講生のみなさんにもフィードバックをお願いしていますので、レポートを楽しみにしていましょう。


1月24日(日)には、「D.Y.Ed」と「CCY」の日本人留学生組5名と、他の外国人留学生4名、総勢11名で「ロナウラ・ヨーガI研究所」の新オフィスを訪問。

現ディレクターのマンマット先生や、研究スタッフのパリマール先生から、ヨーガの古典文献研究の必要性・重要性への熱い講義を受けました。

ロナウラには、ヨーガのリソースが集積しています。ヨーガを扱うには、ロナウラは外せないスポットですね。


8)これからの予定

今インドは、一番良い季節です。しばらくは、プネーの日常生活を静かに過ごしたいと思います。毎日快晴のお天気で、日中もさわやかな暑さで過ごすことが
出来ます。

プネーに居るときの一番大切な活動は、インドの伝統哲学である
「ヴェーダーンタ」の、わたしたちの先生のクラスに行くことです。日が昇る前の朝7時から始まるクラスは、少し寒いですね。

2月の後半からは、日本の方がグループや個人でこちらに
来られ始めます。「カイヴァリヤダーマ研究所」でのわたしたちのプログラムに参加される方や、ウルリカンチャンの「自然療法アシュラム」に滞在される方がいます。

また、わたしたちは、2月12日(金)ー14日(日)に、デりーの「モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所(MDNIYI)」のコンフェレンスに参加する予定です。

どうぞインドのヨーガの動向にも、日本から注意を向けておいて下さい。ますます、正しいインドの情報が必要な局面になっていますね。

その後、3月後半には、今年も北インドに研究旅行に出かける
予定です。

これから日本では、各地方から聞かれるお花の便りが楽しみな
季節になりますね。

ヨーガで、健康で、すこやかな毎日をお過ごし下さい。


相方ひでこ
H&H

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

2010年2月7日日曜日

(続)2010年の新刊書

『ロナウラ・ヨーガ研究所』の今年の出版物、『伝統文献におけるヨーガの治療的論及(Therapeutic References in Traditional Text)』の話題の続きです。
www.lonavalayoga.org

わたしたちが現実的に「ヨーガ」に期待していることは、健康と活力の維持・増進と、心身の不調に対処する治療的効果でしょう。

そして、その先にあるのは、醒めた意識と内面的な充足感に裏付けられた、自分らしい、マイペースで静かなライフ・スタイルの確立、であると思われます。

そのためにも、出来るだけ、「ヨーガ」の本質的なリソースに近づいて行くことが、大切になります。

本書は、ヨーガの具体的な技法面を提供する「ハタ・ヨーガ」の伝統文献に見られる、治療的な効果を収集・分類した研究書です。

「インド中央政府厚生省AYUSH局CCRYN (ヨーガと自然療法・中央研究審議会)」の助成プロジェクトとして進められたものです。

世界的に、ヨーガの技法を心身の病気へ治療的に応用する「ヨーガ・セラピー/ヨーガ療法」への関心は高まっていますが、まだまだ、全般的な知識と情報が不足しています。

本書は、世界で始めて、正統的な「ヨーガ・セラピー/ヨーガ療法」のリソースを包括的に提供したものです。この分野の今後の発展への、大きな寄与が期待されます。

特に、「ヨーガ・セラピー/ヨーガ療法」に興味のある方には、必携となる貴重な資料でしょう。本当の意味での「ヨーガ・セラピー/ヨーガ療法」は、本書をベースにして始まる、と言っても過言ではないと言えます。
 
TRTYT

書名:
『伝統文献におけるヨーガの治療的論及
(Therapeutic References in Traditional Text)』
ISBN:978-81-908203-1-8 B5版416ページ、
インド国内700ルピー、インド国外45ドル/35ユーロ
 
編者:
マンマット M. ガロテ、パリマール・デヴナート、ヴィジャヤカント・ジャー

目次:
次が、本書の目次です。
B5版ワイドで、416ページ+48ページ=464ページあります。

献辞.......................................................iii--v
謝辞.......................................................vii--viii
出版者のノート........................................ix
内容.......................................................xi
音訳略語................................................xi—xii
参考図書目録.........................................xiii--xix
序論.......................................................xxi—xlix

第1章 シャット・カルマ..............................1—70
第2章 アーサナ....................................71—172
第3章 プラーナーヤーマ.......................173—226
第4章 ムドラーとバンダ........................227—266
第5章 ダーラナー................................267—292
第6章 アーハーラ(食事)......................293—312
第7章 薬草.........................................313—350

用語集.................................................351—391
索引....................................................392—414
 

包括的な「序論」に続いて、技法のカテゴリー別に、7章で構成されています。

ハタ・ヨーガを構成する技法群が章別に、余すことなく網羅され、「シャット・カルマ」「アーサナ」「プラーナーヤマ」「ムドラーとバンダ」「メディテーション(ダーラナー)」の章に加えて、追加で「アーハーラ(食事)」の章と「薬草」の章が含まれています。


出版者のノート:

以下は、「出版者のノート」の日本語訳です。編纂チームを代表して、『ロナウラ・ヨーガ研究所』の現所長のマンマット M. ガロテ氏からのメッセージです。

現在のヨーガの世界的なブームは、「ヨーガの実用性」が追求される方向性にあるものです。

確かに、ヨーガの実用性が人々にプラスに貢献するのは有意なことではありますが、同時に、長期的な展望で、ヨーガがヨーガである「ヨーガの正統性」を追求する研究の重要性が訴えられています。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


われわれは、本書『伝統文献におけるヨーガの治療的論及』を、ヨーガの学者、研究者、教師と実習者に提供するこ  とに、大いなる喜びを感じるものである。

この基礎的研究によって、ヨーガの治療的側面に興味のある人々が、ヨーガの適切な効果と実際的なガイドラインを導き出すことに大きく貢献することを願っている。

同時に、現代では治療法としての位置が与えられているヨーガの、より大局的な展望を持つことに貢献することも願われる。

ヨーガが、多くの人々の身体的・心理的な疾患の解消に役立っているのを見ることに安堵を覚える。これは、ヨーガの実用性を追求する方向である。

(ヨーガの治療的効果を納得することで、やがて、人々がヨーガのより高次の修練へと魅せられることが願われる)。

本書はヨーガの正統性を追求する方向にある。そのため、研究者が臨床的実験を計画する場合にも困ることがないだろう。

更なるヨーガ研究に利用出来るように、ヨーガの治療的側面に関する論及を1箇所に集積することが、このプロジェクトが企画された目的の1つである。

『ロナウラ・ヨーガ研究所(インド)』は全精力を傾け、主要な活動目的である伝統的ヨーガの復興という責務を果たすために、活動を続けている。しかし、それには、まだまだ長い道程がある。

偉大なる先達者である賢者、聖者、修行者の祝福が研究所にありますように!
伝統的ヨーガの英知が栄えますように!

マンマット M. ガロテ
2010年1月

 

参考図書目録

インドにおけるヨーガの近代的・学術的な研究は、1920年代にロナウラで始まりました。本書は、現在までロナウラに蓄積されて来たヨーガ資料に基づいた研究です。

次は、本書の元資料となった伝統文献のリストです。65の伝統文献が参照されています。

今後も、このような形でヨーガの伝統文献の研究が進むことで、わたしたちのヨーガへの理解と自信も、ますます進展して行くことが期待されますね。

・Amrtanadopanisad (アムルタナーダ・ウパニシャド)
・Bhagavata-purana (バーガヴァッタ・プラーナ)
・Bhakti-sagaradi (astangayoga)(バクティ・サーガーラティ(アシュターンガ・ヨーガ)
・Brhannaraditya-purana (purva-khanda)
(ブラハンナーラディーティヤ・プラーナ)(プールヴァ・カンダ)
・Caraka Samhita (チャラカ・サンヒター)
・Darsanopanisad (ダルシャナ・ウパニシャド)
・Dharma-putrika(ms.) ダルマ・プトリカー(写本)
・Dhyanabindupanisad (ディヤーナ・ビンドゥー・ウパニシャド)
・Garuda-purana (ガルダ・プラーナ)
・Gheranda-samhita (ゲーランダ・サンヒター)
・Goraksa-paddhati (ゴーラクシャ・パダッティ)
・Goraksa-satakam (ゴーラクシャ・シャタカ)
・Hema-candra yoga-sastra of Hema-candracarya(へーマチャンドラ・ヨーガ・シャストラ)
・Hathapradipika (ハタ・プラディーピカー)
・Hathapradlpike(X chapters)(ハタ・プラディーピカー10章版)
・Hathapradipika (VI chapters) or Siddhanta-muktavali(ハタ・プラディーピカー6章版、別名シッダーンタ・ムクターヴァリー)
・Jyotsna-tika (ジョーツナ・ティカ;ハタ・プラディーピカーの註釈)
・Hatharatnavali (ハタ・ラトナーヴァリー)
・Hatha-sanketa-candrika (ハタ・サンケタ・チャンドリカー)
・Hatha-tattva-kaumudi (ハタ・タットヴァ・カウムディー)
・Jnanesvari (ジュニャーネーシュワリー)
・Joga-manjari (ジョーガ・マンジャリー)
・Joga-pradipika (ジョーガ・プラディーピカー)
・Kalikapuranam (Part II)(カーリカー・プラーナ)
・Kapala-kurailaka-hathabhyasa-paddhati(カパーラ・クランタカ・ハタービャーサ・パダッティ)
・Ksurikopanisad (クシュリカ・ウパニシャド)
・Manasollasa (マーナソーラーサ)
・Mandala-brahmanopanipad (マンダラ・ブラーフマナ・ウパニシャド)
・Matsyendra-samhita (Part I)(マッチェーンドラ・サンヒター)
・Nadabindupanisad (ナーダ・ビンドゥー・ウパニシャド)
・Patanjala-yoga-pradipa (パータンジャラ・ヨーガ・プラディーパ)
・Patanjala-yoga-sutrani (パータンジャラ・ヨーガ・スートラーニ)
・Pavanavijaya-svarodaya (パヴァナヴィジャヤ・スヴァローダヤ)
・Rudrayamalam (uttara-tantram)(ルドラヤーマラ)(ウッタラ・タントラ)
・Sandilyopanigad (シャーンディリヤ・ウパニシャド)
・Sarada-tilaka (シャーラダー・ティラカ)
・Satkarma-samgrahah (シャット・カルマ・サングラハ)
・Siddhdnta-sekhara (kamya-kanda)(シッダーンタ・シェーカラ)
・Siddha-siddhanta-paddhati (シッダ・シッダーンタ・パダティ)
・Siva-samhita (シヴァ・サンヒター)
・Siva-yoga-dipika (シヴァ・ヨーガ・ディーピカー)
・Susruta Samhita (スシュルタ・サンヒター)
・Trisikhi-brihmanopanisad (トリシキ・ブラーフマナ・ウパニシャド)
・Vasistha-samhita (yoga-kanda)(ヴァシスタ・サンヒター)
・Vayu-purana (ヴァーユ・プラーナ)
・Vyasa-bhasya (ヴィヤーサ・バーシャ)
・Yoga-asanamala sacitra (ヨーガ・アーサナマーラー・サチットラ)
・Yoga-bija (ヨーガ・ビージャ)
・Yoga-cintamani (Godavara Misra)(ヨーガ・チンターマニー)(ゴーダヴァラ・ミシュラ)
・Yoga-cintamani(Sivananda Sarasvati)(ヨーガ・チンターマニー)(シヴァーナンダ・サラスヴァティ)
・Yoga-cundamanyupanigad (ヨーガ・チューダーマニー・ウパニシャッド)
・Yoga-kundalyupanipad (ヨーガ・クンダリー・ウパニシャド)
・Yogananda-rasayanam (ヨーガーナンダ・ラサーヤナ)
・Yoga-pradipah (ヨーガ・プラディーパ)
・Yoga-rahasya (ヨーガ・ラハスィヤ)
・Yoga-rasayana (ヨーガ・ラサヤナ)
・Yogarnava (ヨーガールナヴァ)
・Yogasanam (sacitra)(ヨーガーサナ)
・Yoga-sara-sangraha (ヨーガ・サーラ・サングラハ)
・Yoga-siddhanta-candrika (ヨーガ・シッダーンタ・チャンドリカー)
・Yoga-sastra of Dattatreya (ヨーガ・シャーストラ)(ダッタートレーヤ)
・Yoga-Sikhopanisad (ヨーガ・シカ・ウパニシャド)
・Yoga-tatvopanisad (ヨーガ・タットヴァ・ウパニシャド)
・Yoga-yajnavalkya (ヨーガ・ヤージュニャヴァルキャ)
・Yuktabhavadeva (ユクタ・バヴァデーヴァ)


 
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「ロナウラ・ヨーガ研究所(インド)」
THE LONAVLA YOGA INSTITUTE, (INDIA)
(For Reseorch, Educution & Therapy)
(Recognized by the University of Pune as an Institute for Research & Development in Yoga.) 
Bhangarwadi, Lonavla-4l0 407, Pune (India)
Website: www.lonavalayoga.org 


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