2010年2月22日月曜日

本家インドのヨーガの動向2010

NATIONAL YOGA WEEK – 2010
テーマ
:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」
(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ)
 
会場:「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」(ニューデリー)
日時:2010年2月12日(金)ー14日(日)~18日(木)
 
 

不定期でお送りしている「ヨーガ」の本家本元である「インド」の今の動向のレポート・シリーズです。

このシリーズは、現在進行中の「インド」の動向を理解するための
基礎知識や社会背景を、客観的な事実に即してレポートするものです。

「ヨーガ」についての背景知識の幅と厚みを広げることで、インドについての情報不足から生じる勘違いや間違った思い込みを
避ける材料を提供しようとしています。

今回は、2月12日(金)ー14日(日)の3日間、インドの首都ニューデリーにあるインド政府厚生省AYUSH局の
「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」で開催されたコンファレンス(NATIONAL YOGA WEEK - 2010)の話題です。

以下は、現在「カイヴァリヤダーマ」の付属カレッジに留学中の「C.A.」さんの参加レポートです。

 
MDNYI2010_1s
 
2010年2月12日(金)ー18日(木)
テーマ:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ) 
→ http://www.yogamdniy.com/index.htm
→ http://www.yogamdniy.nic.in/

 

「NATIONAL YOGA WEEK」
 
「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」の定例イベントである「NATIONAL YOGA WEEK」は2007年にスタート、今年で4回目です。

毎年2月中・下旬の1週間で開催され、プログラムは、コンフェレンス(3日間)・セミナー(2日間)・ワークショップ(2日間)のパターンで行われます。

この国立ヨーガ研究所のイベントは、比較的規模は小さいのですが、現在インドで、ヨーガを巡って、ほんとうに進行していることを、公平に、中立に、バランス良く知ることが出来る貴重な機会です。

2008年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2008」のテーマは、「ヨーガの教育課程とプログラムの標準化(
Standardization of Yogic Curriculum and Programmes)」でした。

これは、歴史的なイベントでした。

インドの主要な「ヨーガ」のインスティチュートの代表が初めて「国立研究所」で団結し、社会的な「ヨーガ」の認知の向上を図る
ための「ヨーガ教師」養成の統一カリキュラム制定の方向性を決めた会議でした。

そして、その後2008年5月には、インドで始めて「Indian Yoga Association(インドヨーガ協会)」が結成され、事務局は「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」内に置かれました。

昨年2009年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2009」のテーマは、「学校教育におけるヨーガ」で、インドの中・高校関係者を対象にしたプログラムでした。

わたしたちの今の仕事の対象は大学生以上・一般社会人層なので、学校教育の中高生とは、直接接点がないので、参加は見送りました。

今年2010年の「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」テーマは、「ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ」でした。これは、ヨーガに関心のある者には誰にでも関係して来る重要テーマなので、今年は外せないな、と、参加を決めました。実際に参加したのは3日間のコンフェレンスのパートです。

現在「カイヴァリヤダーマ」の付属カレッジで勉強中の
・C.A.さん(D.Y.Ed.:1年間のディプロマ・コース)
・S.F.さん(CCY:6週間のサティフィケート・コース)
の両名もニューデリーに同行しました。

ご両名とも日本で医療畑の仕事に関わっていた経歴があり、インドの「国立ヨーガ研究所」で現在進行中の出来事に、興味津々でした。

今後、「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」でのイベントに参加経験のある日本人が増えることは、日本のヨーガ全体の利益と思われます。 

日本で流通している目先の「ヨーガ情報」だけでヨーガについて判断するのは、まったく不十分ですし、むしろキケンなことに思われます。

インド政府の政策レベルで「ヨーガ」を統括しているのは、厚生省AYUSH局(
http://indianmedicine.nic.in/ )の次の2つの組織です。

・Morarji Desai National Institute of YOGA (MDNIY)
→
http://www.yogamdniy.com/index.htm
・Central Council for Reserch in Yoga & Naturopaty (CCRYN)
→
http://www.ccryn.org/

日本には、「インド政府公認」「インド政府認定」と称するヨーガの「資格」があるそうですが、日本で講習会を受けて「インド政府認定」「インド政府公認」などということは、あり得えないことです。

日本でそのようなことが罷り通るのも、
「インド」の現場の情報不足から来ている問題と思われます。

今はネット上で自由に情報が取れる時代です。そういう時代だからこそ、インドの「現場の情報」や、
インドにヨーガ留学することが、さらに、重要になって来ますね。

日本での健全なヨーガの発展のためにも、1924年の設立から
86年の歴史のあるロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」へヨーガ留学する方や、ニューデリーの「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所」でのイベントなどに参加して、インドの動向をフォローアップする方が
増えることが期待されます。
        
MDNYI2010_2s  
    
 
フィードバックの項目


カイヴァリヤダーマ留学中の「C.A.」さんには、次の項目で、「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」のフィードバックをお願いしました。

①MDNIYの立地環境と施設
②3日間のカンファレンスの雰囲気
③発表者の傾向 
④特に興味深かった発表
⑤参加者の印象
⑥朝の実習クラス
⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか
⑧「カイヴァリヤダーマ」との比較
⑨ニューデリーの印象
  
  
   
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   

『モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)』
「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」参加レポート①

(カイヴァリヤダーマ留学中のC.A.さん)
   
MDNYI2010_3s
   
以下、「簡単」な報告です。
文字にはしていませんが、今回は思う事がたくさんありました。
自分でもびっくりです。
 
 
①MDNIYの立地環境と施設
 
官庁街の、とても整備された場所に立地しています。施設も、外観はもちろんのこと、大学のキャンパスといった雰囲気です。「国立」というだけあって、立地環境も施設も素晴らしかったです。


②3日間のカンファレンスの雰囲気
 
皆ヨーガに関心が高い人ばかりです。気軽に声を掛け合ったり、情報交換したりしていました。


③発表者の傾向

・ヨーガ関係者
・医者 (主に西洋医学)
・科学者


④特に興味深かった発表

ヨーガを研究しているスピーカーの発表、
主に、

・カイヴァリヤダーマ関係者の発表(ヨーガ業界の中でも、驚くべき事に、ヨーガに関する内容の充実度が違いました)。

・ヨーガに関する科学的アプローチ(例えば、瞑想経験における、睡眠への影響等)。


⑤参加者の印象

ヨーガを勉強している若者が目立ちました。

ヨーガ関係者に関しては、発表者も含め、カイヴァリヤダーマ・カンファレンスと同じ顔触れが多数いました。


⑥朝の実習クラス

15分間のみ参加しました。まず、スークシュマ・ビヤヤーマから始まりました。準備運動だと思っていたら、少しハードでした。そして、いくつかのポスチャーをしました。


⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか

参加出来て良かったです。

あるセッションで、2人の発表がありました。1人は心臓の専門家、1人は以前カイヴァリヤダーマで研究されていた先生です。2人の発表を並べて聞いた時に、「ヨーガ」自体に対する接し方の違いにとても驚きました。

やはり病気を治す専門家は、「病気を治す事」が目的です。医学的視点から、病気の話をし、治療の話をします。彼らにとって、ヨーガも治療の一環です。

それに対し、ヨーガの研究一筋でこられた先生の発表は、別物でした。「ヨーガに取り組んでいく、向き合っていく」という事がどういうことなのかを、痛感しました。

一番の収穫は、今、自分は素晴らしい環境に身を置いている、という事実を教えてもらえた事です。


⑧「カイヴァリヤダーマ」との比較

【コンファレンス比較】

キャプチャ 

【個人的感想】

「カイヴァリヤダーマ」は様々なセッションが、同時に、別々の会場で行われました。ですので、自分の興味に合わせてセッションを選択できます。そして、演者も多種多様です。

もちろん、ヨーガ研究者、医者、そして政府関係者、又、外国でヨーガを研究している人やヨーガ・ビジネスで成功した外国人の話もありました。そして、「カイヴァリヤダーマ」のセオリーとは違うワークショップも用意されていました。

「今、ヨーガに起こっている現実」が、一堂に集まっていました。

一方 「モラルジ・デサイ」は、規模とテーマが限られています。よって、演者も、ある一定の業績や地位のある人が
セレクトされていたように感じます。


⑨ニューデリーの印象

道も整備されており、高級ホテルが立ち並んでいます。「カイヴァリヤダーマ」からは想像がつかないような街並みでした(笑)

宏先生、カイヴァリヤダーマ・コンファレンス、ロナウラ・ヨーガ研究所セミナーに引き続き、この時期にご一緒させてもらえて、本当に良かったです。とてもコンファレンスが楽しかったです。

そして、CCY参加中のSちゃん、
裏で支えて下さった秀子先生、どうもありがとうございました。
 
 
  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
   

【参考情報】


インド中央政府厚生省のAYUSH局

インド中央政府で日本の厚生労働省に相当するのは
「Ministry of Health & Family Welfare」です。
→
http://mohfw.nic.in/

日本語に直訳すると、「保健と家族福祉省」というようになりますが、かんたんに「厚生省」としておきます。

厚生省の中にAYUSH局という局があります。1995年に設立されました。
「Department of AYUSH」
→ http://indianmedicine.nic.in/

当初は、「インド医学の体系とホメオパティー局Department of Indian Systems of Medicine and Homoeopathy (ISM&H)」 と言う名称でスタート、2003年にAYUSH局という名称に変更されました。

「AYUSH」と言うのは、
・A yurveda(アーユルヴェーダ)
・Y oga & Naturopathy(ヨーガ&自然療法)
・U nani(ユーナニー)
・S iddha(シッダ)
・H omeopathy(ホメオパティー)
の頭文字から取られています。

AYUSH局の目的は、西洋近代医学以外の医療体系の普及による国民の社会福祉・公衆衛生の向上です。そのための研究・教育の推進、教育課程のスタンダート化、医薬品の承認審査と品質管理、国民の意識向上への活動などを管轄しています。

これら医療体系は、通常他の国では「代替療法(Alternative Medicine)」や「補完療法(Complementary Medicine)」
と呼ばれるものですが、インドでは国家が認知した正式な「医学体系」としての位置付け(National Systems of Medicine in India)が与えられています。

これらの「医学」を実践する基礎資格は、5年半の医学教育修了です。インド各地に、西洋医学の医科大学と同じ枠組みで、それぞれの医学体系の医科大学が設立されています。

このうち、「アーユルヴェーダ(Ayurveda)」「ユーナニー(Unani)」 「シッダ(Siddha)」の3種はインドの伝統医学・伝承医学で、インドにリソースがあります。

「自然療法(Naturopathy)」は自然界との調和とバランスの回復を図ることで病気を治療する医療体系で、インドの伝統にもルーツがありますが、近代的な「自然療法」はドイツで始まった運動です。

インドでは近代インド建国の父である「マハートマ・ガンジー(1869-1948)」が「自然療法」を推進したので、インド独立時から政府から特別な地位が与えられています。

「ヨーガ」は本来医療の体系ではありませんが、医療への応用も期待されている分野なので、インドでは「自然療法」との組み合わせで推進されています。

「ホメオパティー(Homeopathy)」は約200年前にドイツで成立した医療体系で、「似たようなものは似たようなものを治す(同症療法)」という原理に従います。

「ホメオパティー」は1947年の独立前からインドに紹介され、独立後も政府が「ホメオパティー」を認知して研究・教育を推奨してきた結果、世界で最も「ホメオパティー」が普及している国になっています。


リサーチ・カウンシルと国立研究所


「統合医療」への流れは世界的なトレンドです。インドでも伝統的知識の復興と近代社会への統合、というのが大きな時代の流れであり、課題です。

AYUSH局の中には、現在4つのリサーチ・カウンシル(Central Council for Research)があります(日本語に訳すと「研究中央審議会」「研究中央委員会」になるでしょうか)。

・Central Council for Research in Ayurveda & Siddha (CCRAS)
→
www.ccras.nic.in
・Central Council for Research in Unani Medicine (CCRUM)
→
www.ccrum.nic.in
・Central Council for Research in Homoeopathy (CCRH)
→
www.ccrhindia.org
・Central Council for Research in Yoga & Naturopathy (CCRYN)
→ www.ccryn.org

また、AYUSH局の中には、
6つの国立研究所(National Institute)があります。

国立アーユルヴェーダ研究所(ラジャスターン州ジャイプール)
National Institute of Ayurveda (NIA), Jaipur
→
www.nia.nic.in

国立シッダ研究所(タミールナードゥー州チェンナイ)
NATIONAL INSTITUTE OF SIDDHA (NIS), CHENNAI
→
www.nischennai.org

国立ユーナニー医学研究所(カルナータカ州バンガロール)
National Institute Of Unani Medicine  (NIUM)
→
www.nium.in

国立ホメオパティー研究所(西ベンガル州コルカタ)
National Institute of Homoeopathy (NIH)
→
www.nih.nic.in

国立自然療法研究所(マハーラーシュトラ州プネー)
National Institute of Naturopathy (NIN)
→
www.punenin.org

モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所(ニューデリー)
Morajee Deseai National Institute of Yoga (MDNIY)
→
www.yogamdniy.com

インド中央政府の厚生省AYUSH局で「ヨーガ」に関係しているのは、

・「ヨーガ&自然療法・研究中央審議会(CCRYN)」
・「モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所 (MDNIY)」
の2つです。


 

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