2010年3月11日木曜日

本家インドのヨーガの動向2010(2)

NATIONAL YOGA WEEK – 2010
テーマ
:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」
(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ)
 
会場:「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」(ニューデリー)
日時:2010年2月12日(金)ー14日(日)~18日(木) 


このシリーズは、現在進行中の「インド」の動向を理解するための基礎知識や社会背景を、客観的な事実に即してフォーカスするものです。

日本のみなさんが、「ヨーガ」についての背景知識の幅と厚みを広げることで、インドについての情報不足から生じる勘違いや間違った思い込みを避ける材料を提供しようとしています。

また、こういう時代だからこそ、直接、本場のインドにヨーガ留学することが、さらに、重要になって来ると思われます。

ご自分自身が、正しく正統的なヨーガ理解を身に付けるためにも、
また、日本での健全なヨーガの発展のためにも、1924年の設立から86年の歴史のあるロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」の付属カレッジへヨーガ留学する方や、

ニューデリーの「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所」でのイベントなどに参加して、インドの動向を正しくフォローアップする方が増えることが期待されます。


国立ヨーガ研究所のコンファランス

今回も、前回に続き、2月12日(金)ー14日(日)の3日間、インドの首都ニューデリーにあるインド政府厚生省AYUSH局の「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」で開催されたコンファレンス(NATIONAL YOGA WEEK - 2010)の話題です。

以下は、「カイヴァリヤダーマ研究所」の付属カレッジに短期留学され、
1月・2月の冬期6週間コースを受講された、広島在住の「S.F.」さんの参加レポートです。

「S.F.」さんも日本で医療畑の仕事に携携わっておられた経歴があり、インドの「国立ヨーガ研究所」で現在進行中の出来事に、興味津々でした。

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2010年2月12日(金)ー18日(木)
テーマ:「YOGA for Lifestyle Related Disorders」
(ライフスタイルに関連する疾患へのヨーガ) 
http://www.yogamdniy.com/index.htm
http://www.yogamdniy.nic.in/


NATIONAL YOGA WEEK」

「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」の定例イベントである「NATIONAL YOGA WEEK」は2007年にスタート、今年で4回目です。

毎年2月中・下旬の1週間で開催され、プログラムは、コンフェレンス(3日間)・セミナー(2日間)・ワークショップ(2日間)のパターンで行われます。

この国立ヨーガ研究所のイベントは、比較的規模は小さいのですが、現在インドで、ヨーガを巡って、ほんとうに進行していることを、公平に、中立に、バランス良く知ることが出来る貴重な機会です。

今後、「モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)」でのイベントに参加経験のある日本人が増えることは、日本のヨーガ全体の利益と思われます。 

日本で流通している目先の「ヨーガ情報」だけでヨーガについて判断するのは、まったく不十分ですし、たいへんキケンなことです。

インド政府の政策レベルで「ヨーガ」を統括しているのは、厚生省AYUSH局(
http://indianmedicine.nic.in/ )の次の2つの組織です。

・Morarji Desai National Institute of YOGA (MDNIY)
「モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所」
http://www.yogamdniy.com/index.htm
・Central Council for Reserch in Yoga & Naturopaty (CCRYN)
「ヨーガ&自然療法・研究中央審議会」
http://www.ccryn.org/


インド中央政府厚生省のAYUSH局

インド中央政府で日本の厚生労働省に相当するのは「Ministry of Health & Family Welfare」です。
http://mohfw.nic.in/

厚生省の中に、1995年に設立、2003年に名称変更になったAYUSH局(Department of AYUSH)があります。
http://indianmedicine.nic.in/

「AYUSH」と言うのは、

A
yurveda(アーユルヴェーダ)
Y oga & Naturopathy(ヨーガ&自然療法)
U nani(ユーナニー)
S iddha(シッダ)
H omeopathy(ホメオパティー)

の頭文字から取られたもので、西洋近代医学以外の医療体系の普及による国民の社会福祉・公衆衛生の向上です。

そのための研究・教育の推進、教育課程のスタンダート化、
医薬品の承認審査と品質管理、国民の意識向上への活動などを管轄しています。

これら医療体系は、通常他の国では「代替療法・補完療法」と呼ばれるものですが、インドでは国家が認知した正式な「医学」としての位置付け(National Systems of Medicine in India)が与えられています。

これらの「医学」を実践する基礎資格は、5年半の医学教育修了です。卒業生は「医師」として臨床をする資格があります。

このうち、「アーユルヴェーダ(Ayurveda)」「ユーナニー(Unani)」「シッダ(Siddha)」の3種はインドの伝統医学・伝承医学で、インドにリソースがあります。

「自然療法(Naturopathy)」は自然界との調和とバランスの回復を図ることで病気を治療する医療体系で、近代インド建国の父である「マハートマ・ガンジー(1869-1948)」が推進したので、インド独立時から政府から特別な地位が与えられています。

「ヨーガ」は本来医療の体系ではありませんが、医療への応用も期待される分野なので、インドでは「自然療法」との組み合わせで推進されています。

「ホメオパティー(Homeopathy)」は約200年前にドイツで成立した医療体系で、インドにはイギリスからの独立前から紹介され、現在は世界で最も「ホメオパティー」が普及している国になっています。


リサーチ・カウンシルと国立研究所

AYUSH局の中には、現在4つのリサーチ・カウンシル(Central Council for Research)があります(日本語に訳すと「研究中央審議会」「研究中央委員会」になるでしょうか)。

・Central Council for Research in Ayurveda & Siddha (CCRAS)
www.ccras.nic.in
・Central Council for Research in Unani Medicine (CCRUM)
www.ccrum.nic.in
・Central Council for Research in Homoeopathy (CCRH)
www.ccrhindia.org
・Central Council for Research in Yoga & Naturopathy (CCRYN)
www.ccryn.org

また、AYUSH局の中には、
6つの国立研究所(National Institute)があります。

・国立アーユルヴェーダ研究所(ラジャスターン州ジャイプール)
National Institute of Ayurveda (NIA), Jaipur
www.nia.nic.in
・国立シッダ研究所(タミールナードゥー州チェンナイ)
NATIONAL INSTITUTE OF SIDDHA (NIS), CHENNAI
www.nischennai.org
・国立ユーナニー医学研究所(カルナータカ州バンガロール)
National Institute Of Unani Medicine  (NIUM)
www.nium.in
・国立ホメオパティー研究所(西ベンガル州コルカタ)
National Institute of Homoeopathy (NIH)
www.nih.nic.in
・国立自然療法研究所(マハーラーシュトラ州プネー)
National Institute of Naturopathy (NIN)
www.punenin.org
・モラルジ・デサイ・国立ヨーガ研究所(ニューデリー)
Morajee Deseai National Institute of Yoga (MDNIY)
www.yogamdniy.com


フィードバックの項目

カイヴァリヤダーマ短期留学中の「S.F.」さんには、次の項目で、「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」のフィードバックをお願いしました。

①MDNIYの立地環境と施設
②3日間のカンファレンスの雰囲気
③発表者の傾向 
④特に興味深かった発表
⑤参加者の印象
⑥朝の実習クラス
⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか
⑧ニューデリーの印象




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『モラルジ・デサイ国立ヨーガ研究所(MDNIY)』
「NATIONAL YOGA WEEK - 2010」参加レポート②
(カイヴァリヤダーマ・CCYコースのS.F.さん)
 

グラフィックス1s
 

①MDNIYの立地環境と施設

デリーの官庁街の中にあります。
MINDYの施設は都会の大学のキャンパスのようで立派でした。


②3日間のカンファレンスの雰囲気

なんだかとても健全な雰囲気でした。とにかく若い学生が多かったのが印象的です。

人数もそれほど多くなく、カンファレンスは和やかな雰囲気で進んでいたと思います。

政府側が所々、若者を鼓舞する発言をよくしていたのが印象的でした。


③発表者の傾向

ドクター(主に西洋医学)
科学者
ヨーガ研究者

個人的には、西洋医学のドクター(Dr.)が多かったのには驚きました。相方先生から西洋医学で医療が頭打ちになっている象徴である、と聞き納得しました。


④特に興味深かった発表

カイヴァリヤダーマの先生方(現役、退職された方と2名)の発表が一番興味深かったです。

今回のテーマは、「生活習慣に関わる疾患へのヨーガ」でした。

主に、疾患への対処のためにライフ・スタイルの変革、という意味で
ヤマ、ニヤマやダイエットなどの話に関連付けている発表が多かったように思いますが、カイヴァリヤダーマの先生陣は、疾患の原因を根本的な心の在り方として「ヨーガ・スートラ」を関連付けて理論展開されていました。

「ヨーガ・スートラ」に書かれていることを
追体験している人ならではの体験が、にじみ出ているような発表だった気がします。
 

グラフィックス3s
 

⑤参加者の印象
 
とにかく若い学生が多かったです。


⑥朝の実習クラス

普段自分が「カイヴァリヤダーマ」で行っているものとは違い、ちょっとハードな体操、という感じでした。インドで「スークシマ・ヴィヤヤーマ」という準備体操だそうです。

こういった体操も、インドの国立のヨーガ・カンファレンスでヨーガとして扱われているのだな、ということが分かりました。


⑦「YOGA WEEK 2010」に参加した意義はあったか

ヨーガを扱う健全な雰囲気を感じることができただけでも良かったです。

政府がしっかりとこのカンファレンスに絡んでいることが感じられましたし、未来を担う若者が、このカンファレンスでうまく鼓舞されていることが伝わってきました。

国立という筋が一本通っていて、そこにそれぞれの研究機関が集まるというシステムがちゃんとあり、安心してヨーガを取り扱える場所であると思いました。

一方、インドでもヨーガと名のつくものが沢山あって、少し混乱した面もあります。

インドでもまだ「ヨーガとは何か?」という共通認識はできておらず、ヨーガの取り扱いについて模索中なのだなと感じました。

インドでこの状態であるのなら、日本で色々なヨーガがあふれかえっているのも、しょうがないことかな・・・とも思ってしまいました。

だからこそ、ヨーガで迷わないために、ヨーガを客観的に取り扱うという意味が身にしみて分かりました。


⑧ニューデリーの印象

以前デリーは訪れたことがありましたが、安宿街周辺にしかいませんでしたので、今回官庁街やコンノートプレイス周辺に滞在して、同じデリーでも別の場所に来ているようでした。

改めてインドは大きな国で、人口も多く、その分若者も多いのだなと印象づけられました。

    
  

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