2011年8月28日日曜日

アジアの精神性とヨーガ2011(1)

MCB財団タイ・ヨーガ研究所(TYI)でインターンシップ
1ヶ月経過現地レポート

昨年カイヴァリヤダーマ研究所のヨーガ教育ディプロマ・コース(DYEd)を卒業し、
今年から関西大学の大学院でヨーガ研究を続けているC.A.さん(女性)が、夏期休暇中に、バンコクで2ヶ月間のインターンシップを過ごされています。

その1ヶ月経過・現地レポートです。

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次の項目でフィードバックをお願いしました。

【プロフィール】
①現在住んでいるところ
②現在されていること、今までにされて来たこと
③バンコクでのインターンシップの動機と目的
【フィードバック】
1)TYI(タイ・ヨーガ研究所)について
①場所と環境
②活動について
③スタッフについて
2)プラチンブリーのヴィパッサナー・センター
①場所と環境
②10日間コースについて
③ヨーガとヴィッパサナーについて
2)SWUコースについて
(国立シーナカリン・ヴィロード大学人文学部哲学宗教学科)
①場所と環境
②SWUコースの受講生
③SWUコースの実習・講義の内容
④学部生のヨーガ副専攻コース
3)PSUでのセミナーについて
(国立プリンス・ソンクラー大学看護学部)
①場所と環境
②看護学部の大学院生への講義
③看護学部主催のヨーガ講座のセミナー
④学部生への講義
4)1ヶ月間の総括
①1ヶ月間の成果
②バンコクでの生活(住居・食事etc.)
③タイランド全般・タイの文化と人々について


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バンコクのMCB財団タイ・ヨーガ研究所(TYI)でインターンシップ
1ヶ月経過現地レポート:
兵庫在住の大学院生・C.A.さん(女性)

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【プロフィール】

①現在住んでいるところ

日本(兵庫県)


②現在されていること、今までにされて来たこと

大学卒業(薬剤師免許取得) 後、製薬企業にて(MR)約4年間勤務。
→ マクロビオティック研究家主宰のコミュニティー(千葉)で約1年間生活。
→ 海外にて約半年生活(ヨーガに真剣に興味を持ち始める)。
→ 薬局(主に、漢方の調剤)にて、約1年間勤務しながら、 様々な伝統医学、民間療法等を学ぶ。
→ やはり、ヨーガを学びたいと思い、 カイヴァリヤダーマ・CCYコース(2009年5・6月)修了、穂高編2009に参加後、カイヴァリヤダーマDYEdコース(2009-2010)卒業。
→ 帰国後、現在、 関西大学大学院・文学部身体運動文化専修所属(M1



③バンコクでのインターンシップの動機と目的

動機
大学院の夏季休暇中に日本にいた場合、パートの仕事(薬剤関係)と、パソコン上でヨーガの事を考える(修士論文のため)ことで、ヨーガの楽しさを見失いそうな気がしたため。

目的
自分を整えるため
○ヨーガに対して主観的になりすぎているので、客観的視点を養うため
○日本でヨーガ研究をすることに、閉塞感を感じがちだったため
○環境が良いと思えるヨーガの現場に、身を置きたかったため

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【フィードバック】

1)MCB財団TYI(タイ・ヨーガ研究所)について

①場所と環境

ディレクター:
カヴィー・コンパックディーポン(Kawee kongpakdeepong)
Kawee_1
201 Ramkhamhaeng 36/1
Huamark, Bankapi, Bangkok 10240
http://www.thaiyogainstitute.com/
http://www.facebook.com/thaiyogainstitute

MCB(Mor-Chao-Baan)財団は、1973年にマヒドン大学医学部教授であったプラヴェート・ヴァシ博士(1931-、通称モー・プラヴェート)によって設立された保健医療系の財団で、自助努力を基本とした一般市民向けの教育活動や、
啓蒙・出版活動を行っています。
http://doctor.or.th/

タイ語でMCB(モー・チョー・バーン)は「市井の医家」という意味で、みんなに役立つ健康増進や病気改善の知識に精通しているひとのことです。

MCB財団の活動理念は「Building the Knowledge-based Society」で、
知識を中心にした健康社会の構築です。出版局からは保健医療に関する書籍・小冊子が多数出版されていて、健康をテーマにした月刊誌も出ています。

プラヴェート・ヴァシ博士は1986年度のラモン・マグサイサイ賞(アジアのノーベル平和賞と言われています)の受賞者で、
タイを代表する高潔な人格者としての人望が高く、多くの財団・大学・政府・国際機関の委員を勤めています。

医療関係者のみならず、一般国民からも、
たいへん尊敬されている方のようです。

そのプラヴェート博士が、
ヨーガをタイの保健医療の分野に統合する必要を認識されたので、2004年2月に第1回のヨーガ・コンフェレンスを開催(SSS, NHF, MCB協賛)、2004年9月にMCB財団の傘下でタイ・ヨーガ研究所(TYI)を立ち上げさせた、という経緯です。

その後、タイでは、着実に医療関係にもヨーガが浸透しているようです。

MCB財団のビルはバンコク都内の別な場所にありますが、
タイ・ヨーガ研究所のオフィスは新空港にも近い、ラームカンヘーン通りにあります。空港から、空港鉄道エアポートリンクで15分、Hua Mark 駅から、バスに乗り約10分です(207番)。

まわりは静かな住宅地です。 屋台やコンビ二が周りにあり、近くには大きなMall(ショッピング・センター)があります。

運河ボート乗り場が近くにあり、主な活動場所の国立シーナカリン・ウィロード大学(SWU)や、バンコクの中心部に向かうときは、運河ボートを使うことができます。

バンコクは渋滞時間になると、移動に時間がかかりますが、その点、運河は渋滞知らずで、便利です。

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②活動について

TYI(タイ・ヨーガ研究所)のディレクターのカヴィー氏を中心に、常勤・非常勤のチームにより、活動がなされています。

主な活動は、医療・教育分野へのヨーガの導入で、学校や大学・病院関係の仕事中心です。母体のMCB財団の活動理念に従った公的な社会活動で、
いわゆる日本でイメージされるような「ヨーガ団体」というものとは性格が違います。

その他、
一般の人向けのヨーガの啓蒙活動も行なわれています(会社・団体・教育機関・政府機関・お寺関係等)。


次が現在までに見学した研究所の活動です。

国立シーナカリン・ヴィロード大学(SWU)

○人文学部哲学宗教学科で学部生へのヨーガ選択科目(週2回)
担当:ヴィーラポン先生とジラワン先生、共に、カイヴァリヤダーマ研究所・CCYコース(2004)修了。

○SWUコース2011(一般公開のヨーガ講座)(週4回)
担当:相方ひろし・ひで子先生+カヴィー先生(TYIディレクター)+TYIの他のメンバー(5~6名)


国立ソンクラー大学(南タイ・ハジャイ)でのセミナー

タイ・ヨーガ研究所とのコラボで看護学部で開講されている
4ヶ月間のヨーガ講座コースの修了セミナーに、相方両先生とカヴィー先生に3日間同行しました(8月19日ー21日)。


今後の見学予定

○タイ政府厚生省(Ministry of Public Health)
毎週、主にディレクターのカヴィー先生がセミナーを担当。厚生省代替医療局のヨーガ部門と提携。

○スーアン・モッカ(Suan Mokkh) in バンコク(BIA)
現代タイを代表する仏教僧であるブッダダーサ・ビク(1906-1993)が南タイに設立した森林寺院のバンコク・センターで昨年9月に開設。
タイ・ヨーガ研究所(TYI)が無料のヨーガ・クラスを担当。

○一般人向けの各種ヨーガ・クラス
タイ・ヨーガ研究所のメンバーが担当

○タイ政府厚生省主催・第8回National Herb Expo 2011
タイ・ヨーガ研究所(TYI)の母体のMCB財団も協賛団体のひとつです。
タイ全土の伝統医学・民間療法・代替医療の関係者が
バンコクのコンベンション・センターに集結する5日間の大イベント。今年で8回目で、厚生省の大人気・当たりプログラムだそうです。 期間中、タイ・ヨーガ研究所もブースを出して、ヨーガ・クラスやセミナーの提供をスタッフ・メンバーで行います。


③スタッフについて

私が毎日通っているオフィスには、2人の常勤スタッフがいます。ジェープさん(Jeab)とクロイ(Kloy)さんです。
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2人は、タイ・ヨーガ研究所(TYI)の活動の事務的業務を担当していま
す。各種コースへの質問や予約への対応、ウエブサイトでの活動(ホームページ・フェイスブック)、ニューズレターの編集、物販の注文・発送等が日常の業務です。

また、バンコク都内やタイの地方部でのヨーガのプログラムやイベントのコーディネートも行っているようです。



2)プラチンブリーのヴィパッサナー・センター

バンコクに来たのは7月26日(火)です。

その翌日の7月27日(水)から8月7日(日)まで、バンコク郊外のプラチンブリーにあるヴィパッサナー・センターで10日間コースに参加しました。

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①場所と環境

バンコクから、バスで約2時間です。木々に囲まれた、気持ちの良い場所です。

②10日間コースについて
③ヨーガとヴィッパサナーについて

今回は、去年12月のピサヌロークのセンターに続き、
2回目の10日間コースでした。日々の瞑想で、瞑想を通して「私」に向き合っているはずが、次第に「瞑想をすること」自体に重点を置きつつある自分に気が付きました。

ヨーガやヴィパッサナーを通し、日々の自分のあり方を大切にしようと反省した10日間でした。



2)SWUコース2011について
(国立シーナカリン・ヴィロード大学人文学部哲学宗教学科)
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①場所と環境

オフィスから運河ボートを使って、約45分程の通勤時間です。


②SWUコース2011の受講生

SWUコース2011の受講生は、皆さん社会人のようです。年齢はばらばらで、男性1人を除いてあとは女性です。


③SWUコース2011の実習・講義の内容

期間:4カ月間
月・水・木 17:30ー20:00
土 8:00ー13:00(休憩1時間)
それと、3日間の合宿が2回+宿題等もあるようです。終了すれば、SWUから修了書が出ます。

相方両先生が実習・講義をされる日に同行しています。今まで見学した水・木は、17:30から実習が約1時間半で、残り45分ー60分が講義の形式です。

実習は、
4カ月間で段階的に伝統的ヨーガの技術が身につくように、構成されています。見学しているこの3週間だけでも、アーサナからプラーナーヤーマへの割合が、徐々に増えています。

各々の技法に対しても、アーサナでは保持する時間が長くなり、またプラーナーヤマでは、1:1 → 1:2 へと移行しています。

ムドラーやバンダを徹底的に練習する組み立ては、4カ月間で無理なくプラーナーヤーマを上達させる上で、たいへん有効であることを実感しています。

講義は、ヨーガ・スートラの理論とハタ・プラディーピカーの各技法について、古典テキストと現代的解釈(主に解剖生理学や現代人の抱える
問題解決への関連付け)の両方から、スライドを使って解説されます。

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④学部生のヨーガ副専攻コース

一度、火曜日10:30ー12:30の授業を見学しました。10:30ー12:00が実習で、残りが講義でした。

主に3回生が、24人参加しています。ウディーヤナ・バンダをチェックし合ったり、コツを教え合ったりと、微笑ましい光景が見られました。



3)PSUでのセミナーについて
(国立プリンス・ソンクラー大学看護学部)
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①場所と環境

国立ソンクラー大学は、南タイ、ハジャイにあります。大学病院もあるため、敷地はたいへん大きいです。キャンパス内に大きな湖もあり、朝には、大学スタッフや一般の人が大勢、散歩しています。


②看護学部の大学院生への講義

タイトル:
The Philosophical Foundations and Knowledge Development in Nursing for doctoral students: “Indian Philosophy” for Doctoral students

看護学部博士課程11人(インドネシア3人、中国2人、タイ6人)へのインド哲学の講義でした。

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ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教の話から入り、ヴェーダ文化、Astika/Nastika
の各哲学の解説と、怒涛の2時間でした。 すごいスピードと情報量にも関わらず、それぞれの視点からインド文化を捉え、講義後には質問で白熱しました。

インドネシア留学生はインドネシア語とサンスクリット語の類似性、中国人は中国医学とインド伝統医学のコンセプトの類似性、またタイ人は仏教観点から、
皆さん興味深く、講義を消化された様子です。


③看護学部主催のヨーガ講座のセミナー

朝は、看護学部主催のヨーガ講座受講者への実習(2時間)でした。その場で、メンバーの様子を見た上で、アーサナ抜きで、バンダ&プラーナーヤーマを徹底して実習するプログラムが相方両先生により組み立てられました。

皆さん必死に写真をとり、
メモをしながら、実習に励んでおられました。バンダ&プラーナーヤーマをしっかり学べた機会は、貴重だったのではないでしょうか。

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④学部生への講義

タイトル:
Yoga Update & Advanced Yoga Practice

ヨーガ講座受講者と看護学部学生に対しての、「ヨーガ・アップデート」の講義(1時間45分)でした。

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看護学部の学部生が受講するということで、ヨーガ技法の科学的な研究史から話が始まりました。

そして、インド政府厚生省(Ministry of Health and Family Welfare)での、今までの統合医療への取り組みの変遷、現在厚生省のAYUSH局が推進するインド医学&ホメオパティーの各々の概説の後、ヨーガ分野での学術的リソースの紹介がありました。

この講義も、すごい情報量でした。学部生なので、日本と同じく、講義中はざわざわしています。しかし、ハタ・プラディーピカーの内容説明で、「目の病気」の話(トラータカの箇所)になると静かになりました。やはり、看護学部生さんたちですね。



4)1ヶ月間の総括

①1ヶ月間の成果

ヨーガ・タイ文化にまつわる全てが面白すぎ、あっと言う間に過ぎ去っています。研究のために、皆さんの観察をしなければいけないところ、私自身がクラスを楽しんでいます。

論文関連はさっぱり進まず、大学関連や翻訳も、ほぼ進んでいません。ですが、それでも良いかと思えるような充実ぶりです。

ヨーガが教育として運営され、学生さんたちが学んでいる姿が、健全な光景として私の目には写っています。

現代では、然るべき内容を、教育機関で学ぶということは、自然な流れではないでしょうか。授業を見ていると、ヨーガを教育として捉えることと、自分でのヨーガ実践していくことの違いが、はっきりと浮かび上がります。

ヨーガの枠組みをしっかりと学び、体験することは、次のステップに大きな影響を与えます。だからこそ、ヨーガを学ぶ環境は重要だな、と感じています。


②バンコクでの生活(住居・食事etc.)

快適です。

研究所(事務所)近くの、サービス・アパートに滞在しています。様々なアパートがあるので、価格やサービスなどで、選択が可能です。

例えば、私のアパートは、冷蔵庫やテレビが付き、週に1度の掃除があります。1階にはコイン・ランドリーがあり、警備員も常時います。

食事は、朝は研究所のスタッフが屋台で買って来てくれる野菜スープやタイのスナックを共に食べ、昼は、相方先生やカヴー先生と共にいただいたり、スタッフと一緒に作って食べたりしています。

夜は、講義が遅いときは、部屋にストックしているもので済ませますが、屋台でテイク・アウトしたり、外で食べたりと、楽しんでいます。


③タイランド全般・タイの文化と人々について

良くわからない国です(笑)。

タイについてコメントするには、あまりにもタイのことについて知らなさ過ぎます。タイの国のもつ複雑さには、あまり触れることなく終わりそうですが、多くの人達の根底には、「ダンマ(仏教の生き方)」があり、それによって繋がろうとしているように感じます。

スタッフは、とても気持ちがよいです。真剣な顔をしていると、どこからともなく日本の曲をかけてくれ、「サヴァーイ、サヴァーイ(楽しく、楽しく)」と言って笑ってくれます。

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