ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』の話題です。今年3月・4月に付属カレッジの上級4週間コース(ATTC)を受講された、長野・穂高在住の「T.K.」さんの総括レポートです。
「T.K.」さんは長野・穂高にある『穂高養生園』のスタッフの方です。2006年にインドでの研修の一環として『カイヴァリヤダーマ』を訪問され、2007年に5・6月の6週間コース(CCY)を受講されました。
『ホリスティック・リトリート・穂高養生園』
→ http://www.yojoen.com
今回、ロナウラでのヨーガの勉強を継続されるために、次のステップとなる上級4週間コース(ATTC)を受講されました。
6週間コース(CCY)→上級4週間コース(ATTC)
上級4週間コース(ATTC)の受講資格は「ヨーガ教師歴2年以上」で、近代ヨーガのスタンダードである『カイヴァリヤダーマ』の理論と実習を深めて学習する内容です。
インドで伝統的ヨーガを勉強する意図があっても、1年間のディプロマ・コースに参加するのが難しい方に有益なコースです。
6週間コース(CCY)修了後、1年か2年後に上級4週間コース(ATTC)を受講されれば、ロナウラの理論と実習の全体像が良く把握できます。
期間は4週間ですが、講義はヨーガの背景にあるインド哲学に、さらに踏み込む内容になります。特に、ヨーガの理論的理解に必要な「サーンキャ・ヨーガ」の体系が強調されるのが特徴です。
実習面ではプラーナーヤーマと瞑想法がフォーカスされます。また、ハタ・ヨーガの「クリヤー(浄化法)」では、「ヴァストラ・ダウティ」や「シャンカ・プラクシャラーナ」までカバーします。
人体の自律的な生理的メカニズムに、直接・間接的に作用することで、心身の統合レベルの向上を図るハタ・ヨーガの技法の本質について、体験的に洞察を深めるプログラムになっています。
ヨーガ歴の長い方がステップ・アップを図るには、適切なプログラムです。ロナウラ系の伝統的ヨーガの枠組みを把握して、ヨーガへの自信を深めることが出来ます。
上級4週間コース(ATTC)を受講する前に、6週間コース(CCY)を受講することは必修ではありませんが、そうすることがベストです。あらかじめ6週間コースの経験があると、上級4週間コースの学習から十分な結果を引き出すことが出来るでしょう。
インドでのヨーガの勉強計画について関心ある方は、どうぞ、ご相談下さい。的確なガイダンスとサポートが可能です。
『カイヴァリヤダーマ』のオフィスや付属カレッジとの調整や、ムンバイ空港到着後の出迎、車の手配、また、日本語ガイドなどの手配も可能です。
『カイヴァリヤダーマ研究所』のコース
6週間コース(CCY)
期間:6週間(年2回、冬期・夏期)
受講資格:高卒以上
定員:インド人65名+外国人
受講料(宿泊・食事込):外国人1000ドルコースの目的:
ベーシックで体系的なヨーガの理論と実習を紹介
上級4週間コース(ATTC)
期間:4週間(3月15日ー4月15日)
受講資格:ヨーガ教師歴2年以上
定員:20名(インド人+外国人)
申込締切:3月6日
受講料(宿泊・食事込):外国人1500ドル
コースの目的:
ある期間ヨーガ歴のある方が伝統的ヨーガの枠組みをより深く把握し、ヨーガへの自信を深めるためのコース。
【理論】
(1)ヨーガの心理学的な基礎
(2)ヨーガの伝統文献的な基礎
(3)ヨーガの解剖・生理学
【実習】
(1)アーサナ:クヴァラヤーナンダのシステム
(2)8つの伝統的プラーナーヤーマ
(3)バンダとムドラー
(4)クリアー
(5)マントラ
【瞑想法】
ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)
修業期間:1学年(7月16日開講、翌年4月20日まで)
入学資格:大卒(理系・文系学部を問わず、卒業成績45%以上)
年齢制限:35歳まで(外国人は年齢制限なし)
申込締切:5月末
授業料(宿泊・食事込):留学生4250ドル
コースの目的:
将来ヨーガの専門家・研究者となるための基礎を提供するコース。
ヨーガ・セラピー・ディプロマ・コース(D.Y.T)
修業期間:2学年(8月15日開講、翌々年7月31日まで)
定員:20名(インド人+外国人)
入学資格:医学部・生命科学系学部・心理学部卒に加えてヨーガ教育・サーティフィケート・コース。「カイヴァリヤダーマ」のディプロマ(D.Y.Ed.)修了。
年齢制限:45歳まで
授業料(宿泊・食事込):留学生8800ドル(2年間)
コースの目的:
インド中央政府厚生省AYUSH局によるヨーガのスタンダード化に準拠し、医療の現場でヨーガを医療として応用する専門家を養成するコース。
『カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ』
上級4週間コースの総括レポート:「T.K.」さん(長野・穂高在住)
今回 3月15日~4月15日までの約ひと月の間、『カイヴァリヤダーマ』の「Advance Teacher Training Course(ATTC)」に参加してきましたT.K.と申します。このコースはまだ始まって3年目の、『カイヴァリヤダーマ』では比較的新しいコースなので、まだ日本人で受けたことのある人は、僕を含め2人しかいません。
ですので、今回受けてみて、このコースの感想と内容を簡単に説明し、シェアさせてもらいたいと思います。内容については、相方先生のくださったガイドラインに従って進めたいと思います。
1) プロフィール
僕は今、長野県安曇野市にある穂高養生園という施設で働いていて、ここではヨーガ担当として5年前からスタッフをしています。
養生園は代表の福田が24年前に既存の西洋、東洋医学の在り方に疑問を感じ、人はどうすれば本当に自分の健康を取り戻し、維持することができるか、ということをみすえて、主に、体によい食事、適度な運動、リラックス、という3つの基本概念を軸として建てられた施設です。
毎年、健康や自然食にまつわる様々なワークショップが行われていて、その一環としてヨーガにも力を入れて、いくつかのワークショップが開かれています。
昨年は初めて相方先生によるワークショップも開かれました。普段はタイなどでしか受けられない相方先生のワークを日本でも受けられるとあって、とても人気が高く、参加者多数で大変好評のうちに幕を閉じました。
今年もまた来月6月にあります。今年のワークはどういった形になるのか今から楽しみです。
2)カイヴァリヤダーマの場所と環境
カイヴァリヤダーマはロナウラという、ムンバイから車で3時間ほど内陸に入ったところに建てられています。ここは避暑地として知られていて、とても気候がよく、緑も豊かで、学校自体もよく整備されていて、ヨーガを学ぶにはとても快適な空間です。
校内には季節の花があちらこちらに咲いていて、自然な色とりどりの鳥などもよく目にします。
夜は星や月もよく見えて、夏にはホタルなども飛んでいるのを見かけました。水と空気が新鮮さを保っている証拠ですね。
僕が今回滞在した期間は初夏といったところだったと思うのですが、毎日ほぼ天気続きで、日中はそれなりに高い気温になるのですが、それでも暑すぎず、夜も冷えすぎずといった とても快適な期間でした。
部屋はVIPゲストルームという、3室もある冷蔵庫つきのコテージになぜか一人、といった境遇で、何の不便も感じず、むしろ広さと静けさのうちに、とても快適に過ごすことができました。
食事は普段からベジタリアンをしているので、インド食にはなんの抵抗も感じず、おいしく頂いていたのですが、料理の塩分量が少し多すぎたのか、途中でちょっとお腹をこわす日々が続きました。
おかずを少なくして ご飯の量を増やせば元に戻りました。お腹をこわすとお茶が飲みたくなるので、何かお湯を沸かせる機器があるといいなと思いました。
3)上級コースの授業について
僕はカイヴァリヤダーマの「Certificate Course in Yoga(CCY)」というコースを2年前に受けていて、ここでアカデミックともいえるヨーガの基本的な概念を教わりました。
今回のコースはこのCCYをベースとしているようなところがあって、CCYで教えられている内容はおおよそ理解されているであろう、という前提で授業が進められていました。
ですが実際、今回の受講生でKdhamのCCYを過去に受けたことのある生徒は僕一人で、中には以前になんのコースも受講したことがなく、ヨーガ・スートラというものを聞くのも始めて、という生徒もいて、教える側の認識と、教わる側の現状にギャップがあり、うまく授業のやり取りがなされていない、まったく授業内容が理解できない、といった風に感じた生徒もいたようでした。
今回の受講生は僕を含め8人だけというごく少人数構成で、男性3、女性5、うちインド人1人、アメリカ人1人、フランス人1人、マカオ人2人 シンガポール人2人、と僕でした。
このコースはすでにヨーガを教えているヨーガ講師対象のコースで、受講する前は英語力・理解力ともに、とても高い人たちが来ていて、ついていけないのではないか、という不安も実は少しあったのですが、
だいたい、ヨーガを教え始めて2・3年の、「かけだしの先生」という生徒が多く、英語もネイティブな生徒はアメリカ人の一人だけで、心配したような格差はそれほど感じず、なんとか授業にもついていくことができました。
講義の科目は9つで、内容はCCYとほぼ同じことを話しているような科目も2・3ありましたが、CCYではほとんど手をつけない「Patanjyali Yoga Sutra」や「Hathapradipiika」「Geranda Smhita」といった根本経典を学ぶ科もあり、今まで難解と思っていて、手をつけづらかった部分にも理解が進み、スートラを読むのが楽しくなりました。
また解剖、生理学なども、基本的な仕組みを習うにとどまらず、もう一歩踏み込んで、その身体の仕組みがヨーガをすることによってどう変化するか、というところまで迫っていって、今自分たちのしているヨーガが肉体的、精神的な側面で心身に作用している背景も深く知ることができ、全体的にとても内容の充実したカリキュラムになっていたと思います。
実習ではハタヨーガのクリヤ、アーサナ、呼吸法、瞑想法を習いました。どれも中級以上の内容だったので、初級好きな自分にとっては、実際始めのうちはこなしていくのが結構きついと思える部分もありましたが、日を追うごとに それらを受け止める自分に変化が起こって、最終的には今まで超えられなかった壁がひとつのり越えられたような、大きな変化がみられました。
ハタ・ヨーガの本質的な部分に一歩、押し近づけられた思いです。もちろんそれは今でも維持されていて、日々のヨーガの実践に役立っていて、改めて今回のこのコースを思い切って受けてみて、本当に良かったなと思います。
ひと月という期間とても忙しくて、あっという間に過ぎ去ってしまいましたが、内容の深い集中されたヨーガ三昧の日々は、私にとってこれからも重要な日々として記憶されていくと思います。もし今までにCCYもしくは何かしらのヨーガのコースを受けていて、それをさらに深めたい、と考えている方は、このコースの受講を検討されてみてはいかがでしょうか。
期間、内容、集中度、色々な意味で、とても充実した内容になっていると思います。ヨーガを学ぶ上でCCYとATTCを受けていれば、正しいと言えるヨーガの道を大きく外れることなく学んでいけると思います。
あとはそれをゆっくりと時間をかけて、自分自身で深めていくのがいいかと思います。
インドという国にはヨーガに限らず、膨大な数の「教え」があります。またその教えの一つ一つがどれもとても広く、深く、一歩道を踏み誤ってしまうと、大変な遠回りをしてしまう可能性があります。
もちろん見方によっては遠回りも意味あるものだとは思うのですが、できれば迷わず快適に目的地へ向かえれば、より有効に限られた時間を使えますよね。
カイヴァリヤダーマは、脚色や宗教感を極力おさえ、できるだけ根源に基づいたヨーガを学ぶことができる、という意味において、価値ある「教え」を「遠回り」せず学べる、環境の整った数少ない貴重な場だと思います。最後になりましたが、今回 このコースを受けるにあたって、なんどもお力添えをいただきました相方先生、ほんとうにありがとうございました。深く感謝します。また日本でお会いできるのを楽しみにしています。
長くなってしまって恐縮ですが、以上で今回のレポートを終わります。少しでも どなたかの参考になればと思います。T.K.
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