2009年6月19日金曜日

カイヴァリヤダーマ研究所:夏期6週間コース2009

ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』のトピックが続きます。 今年5月・6月の付属カレッジの夏期6週間コース(CCY)を受講された方の総括レポートです。
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インド留学で「ヨーガ」のステップ・アップ

今年5月・6月の夏期6週間コース(CCY)を受講されたのは
兵庫在住の「C.A.」さん(女性)です。
「C.A.」さんは薬学部出身の薬剤師の方で、ヨーガやインドの伝統医学のアーユルヴェーダに深い関心をお持ちです。5・6月の6週間コースを修了後、引き続き7月からは付属カレッジの1年間のディプロマ・コース(D.Y.Ed)に進学されます。
インド中央政府厚生省のAYUSH局の奨学金にも応募されており、審査を通過されると、7月からインド中央政府厚生省の奨学生としての留学になります。
インドへの短期・長期留学で、「ヨーガ」の勉強を深めたい方はどうぞ、お気軽にお問い合わせ下さい。的確なガイダンスと必要なサポートを提供させて頂きます。
『カイヴァリヤダーマ』のオフィスや付属カレッジとの調整や、ムンバイ空港到着後の出迎、車の手配、また、日本語ガイドなどの手配も可能です。

●ロナウラの伝統的ヨーガ
ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』で指導されている「ヨーガ」は、ヨーガの枠組みを決めている「パータンジャリ」の『ヨーガ・スートラ』と、中世の「ゴーラクシャナータ」系の「ナータ派」で発展した多種多様な「ハタ・ヨーガ」の技法の伝統に立脚しています。

そして、「ヨーガ」の伝統的なリソースに根拠を置きつつ、1920年代にインドで始まった近代的ヨーガ研究の発祥の地としての一貫性を保った合理的な理論とスタンダードな技法の体系が構築されています。

また、宗教色・ヒンドゥー教色のないニュートラルで学術的なヨーガとして、インドの教育・医療分野や政策レベルでも、ロナウラの理論と技法が、実質的なヨーガのスタンダードと見なされて来ました。

一見地味なメソッドですが、一度身に付けておくと、一生マイペースで続けて行けるシステムとして、心身の健康の維持・促進から、無理なく「プラーナーヤーマ(呼吸法)」から「瞑想法」へと進む基礎を築いてくれます。

「ヨーガ」のルーツはインドにあります。ヨーガに興味のある方は、何らかの形で「インド」との接点を持って行くことが有利になります。
その場合、ロナウラが最短コースとなると思われます。
日本でもロナウラでヨーガを勉強した人たちによる「ロナウラ・コミュニティー」が形成され、発展することが、日本のヨーガ全体のレベルと健康度のアップになると思います。

・6週間コース(CCY)


期間:6週間(年2回、冬期・夏期)
受講資格:高卒以上
定員:インド人65名+外国人
受講料(宿泊・食事込):外国人1000ドル

コースの目的:
ベーシックで体系的なヨーガの理論と実習を紹介

・上級4週間コース(ATTC)


期間:4週間(3月15日ー4月15日)
受講資格:ヨーガ教師歴2年以上
定員:20名(インド人+外国人)
申込締切:3月6日
受講料(宿泊・食事込):外国人1500ドル

コースの目的:
ある期間ヨーガの指導歴のある方が伝統的ヨーガの枠組みをより深く把握し、ヨーガの知識と自信を深めるためのコース。

・ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)

修業期間:1学年(7月16日開講、翌年4月20日まで)
入学資格:大卒(理系・文系学部を問わず、卒業成績45%以上)
年齢制限:35歳まで(外国人は年齢制限なし)
申込締切:5月末
授業料(宿泊・食事込):留学生4250ドル

コースの目的:
将来ヨーガの専門家・研究者となるための基礎を提供するコース。


『カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ』総括レポート: 「C.A.」さん(兵庫在住)
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1)場所と環境
①ロナウラという環境
安全な町という印象です。インドのホリデー・シーズンだったので、人がたくさん居ました。


②カイヴァリヤダーマ研究所の場所と施設

始めは施設の全体像(研究機関、教育機関、治療機関)が把握出来なかったため、書類の手続きに手こずりました。

③ゲスト・ルーム
「SOHAM KUTIR(ダブルルーム・バス・トイレ付)で過ごしました。1500ドル払えば、1人で使えるそうです。

ルームメイトはインド人でした。正確に言うと、オーストラリアの住民権を持つ、インド生まれの女性です。彼女はインド人ホステルが嫌だったため、外国人料金を選択をしたようです。

彼女が英語・ヒンディー語共に堪能だったため、おかげで、情報量が倍になった気がします。いろいろな情報(良い情報も、必要でない情報も)が聞け、楽しかったです。

④ダイニング・ホールでの食事

毎週同じメニューです。 インド人生徒、外国人生徒共に、口に合ったり、
合わなかったりしたようです。私の場合は、口に合いました(ですが、飽きた期間もあります!)。


⑤キャンパス内の生活


今回は人が多かったので、(生徒も、患者も両方共に)ざわざわしていました。人が多い分、もちろん良し悪しがありました。静かさを好むのであれば、1ー2月コースが良いかもしれません。

2)付属カレッジの授業について
①実習クラス
1日に約1つずつ、新しいアサナを学びました。良いペースでした。
クリヤは3日間しました。

②講義の内容
充実していると思います。。。
(聞き取りが不十分だったので、なんとも言えませんが。。。)

今回は英語が理解できない生徒がちらほら居ました。初日の講義は英語でした。ですがインド人生徒が抗議したため、4科目は英語・ヒンディー語、1科目(メンタル・ヘルス)は英語、ヒンディー語別々で行われました。

2週目からは、ライブラリー時間にも講義が入り、1日に5講義でした。しかし、生徒が 「図書館でテスト勉強する時間がない」と
抗議したため、ライブラリー時間は復活しました。代わりに夜8時半から頻繁に講義がありました。


③講師陣の印象

個人的にあまりお話しなかったので、 お答えできる事がないのですが。。。。

当たり前ですが、ほとんどの講師陣が生徒の事を気遣って下さっています。外国人に対しては、「インド人の英語は違うけど、聞き取れるか?」英語のわからないインド人学生に対しては、「先に英語で話してから、ヒンディーでも説明するので安心しなさい。」といった具合に。

先生と話をするチャンスはたくさんあるので、どんどん質問すればよいと思います。


④他の受講生(インド人・外国人)


78名(男女 各39名)、そのうち、5名が外国人でした。全員、女性。タイ、アルジェンチン、カザフスキタン、NYと日本からで、20歳から41歳。

インド人は、
約40人がphysical education(体育教育科?)学生 20歳前後。
約5人がヨーガ・セラピー科の生徒(どこのInstituteか忘れました。。)。
約5人(シッキム)は、同じホテルのマッサージ師で、会社から派遣。
5人が医者(アーユルベーダ、ホメオパシー、ナチュロパシー)

他はいろいろですが、physical education(体育教育)を大学で教えている
先生や、physicalセラピストなど、physical関係の人が多かったです。


⑤授業時間以外の過し方について
平日は講義がぎっしりだったので、空いた時間はリラックスしたり、復習・予習していました。他は、芝生でお茶をしたり、プージャに参加しました。スポーツをしていた生徒もいます。
生徒・患者共にわんさか居たので、話相手には困りません!部屋から一歩外に出れば、すぐ誰かに出会います。。。。

休日は、市場に行ったり、山に登ったり、プネーに行ったり、
他の学生の家に遊びに行ったり。
インド人も各地から来ている学生が多いので、近くの「シルディ(holy place)」 や、ロナワラ周辺の観光地ツアー等を組んでいました。もちろん一緒に行くことも出来ます!

私は、相方先生に紹介していただいた、ラトゥールさんやククジィと話をする事で、リフレッシュしていました!

3)修了試験・理論編

授業は、シラバスに沿って進められます。試験では、各科目2時間、4問選んで回答します。少し質問を載せておきます。
(ライブラリー時間に、図書館で過去問題がチェックできます)

①ヨーガと体育教育(Physical Education/Teaching Method)

<Teaching Method(教授法)>
Q1.What are the scientific principles that a teacher must know while teaching Yoga?(必須選択)
(ヨーガを指導する場合に教師が知っておかなければならない
科学的な原則は何か?)

Q2.Define ' Method ' What are the differences between ancient and modern way of teaching ?
(「教授法」とは何か定義せよ。古典的な教育と現代的な教育の違いは何か?)

<Physical Ed(体育教育)>

Q1.How do you define 'Exercise'? How do Yogic practices differ from Non Yogic Practice?(必須選択)

(「エクササイズ」をどのように定義するか?ヨーガ的訓練と他の非ヨーガ的訓練とはどのように違うか?)

Q2.Misconceptions disort the image of Yoga.Explain the statement by giving the sources of such misconceptions.

(「誤った理解がヨーガのイメージを歪めている」。この文章を誤った理解の原因を提示しながら説明せよ)。


スライドを使って授業が進められます。エクササイズやスポーツと、ヨーガとの比較等、授業内容はわかりやすいです。


②人体の構造と機能(Anatomy & Physiology)


SectionA と SectionB から各2問ずつ選択します。

SectionA

Q1.Explain the process of digestion. Enunciate the concept of diet according to Yoga, Ayurveda and modern medicine.
 
(消化のプロセスを解説せよ。ダイエットの概念について、
ヨーガとアーユルヴェーダと現代医学に従って明確に説明せよ)


SectionB


Q4.Name Shuddi Kriyas? Explain fully the process, types and importance of Dhauti Kriyas.
(シュッディ・クリヤの名称を挙げよ。ダウティ・クリヤのプロセスと種類、その重要性を説明せよ)


最終補習日に、テスト内容を全て教えて下さいました。スライドを使って授業が進められます。ですが、肝心のヨーガ観点からの話になると、怒涛のスピードで、口頭説明されます。

全てにおいて、"Why” "How" と質問がなげかけられます。

例えば、まず呼吸器メカニズムをスライドで説明します。その後、ヨーガ観点からの説明になります。

「カパールバーティをしたら呼吸数はどうなるか?」
「呼吸数が上がれば、身体はどう反応するか?」
「メンタル面はどうか?」
「では一体、カパルーバーティの効果は何か?」

生徒が、四方八方から答えを叫びます。そして再び"How” "Why” と質問が続きます。

③伝統的ヨーガ(Traditional Yoga)
Q1.Highlight the significance of 'Samyama' as described by Swami Charandasaji in his Astanga Yoga.

(スワーミー・チャランダースが彼の『アシュターンガ・ヨーガ』に
記述している「サンヤマ」の意義を強調せよ)
Q2.Write an essay on Yama or Niyama as described by Swami Charandasaji.

(スワーミー・チャランダースによって記述されているヤマとニヤマに
ついて小論を書くこと)


「スワーミー・チャランダース(Swami Charahdasa)」
によって書かれた『アシュターンガ・ヨーガ(Astanga Yoga)』がテキストです。翌日の講義テーマを教えて下さったので、その部分を事前に読んで、講義を聞きました。

④ヨーガと価値教育(Value Education)
Q1.What do you understand by Value ?
(価値観というものについて何を理解しているか?)


Q2.Explain : Classification of Values and Yoga.
(価値観とヨーガの分類について説明せよ)


ほとんどんの生徒が、「?」な授業です。話の内容はわかるのですが、何を言いたいのかわからない。。。

全ては"Value(価値観)”で説明できるのですから、いつも同じ事を言っているように聞こえました。。。

最後には、出席生徒が20人にも満たなかったです(先生は、とても熱意あふれる、優しい先生です。)


⑤ヨーガと心の健康(Mental Health)

Q1.Define yoga in Psychological terms. Explain briefly the five main criteria of Sprituality, propounded by Shankaracharya of Govardhan Peetha.

(ヨーガを心理学的な用語で定義せよ。
ゴーヴァルダン・ピータのシャンカラーチャリアによって提唱された5つの精神性の規準について簡潔に解説せよ)


Q2.Evaluate fully the 'Yogic Normality' in the context of the main models of Normality.

(「ヨーガ的な正常性」について、通常の「正常性」の規範の文脈で
十分に評価せよ)


最後の方の補習で、試験の質問3つを公表して下さいました。話の内容が高度なのと、英語が聞き取りにくいため、きちんと理解できたのは、最終日の講義だけでした。熱心な生徒は、英語・ヒンディーの両授業に参加していました。


4)修了試験・実技編
・実技試験の内容と手順

実技はそれほど問題ないと思います。試験前になると、テストと同じ順序でアーサナをしてくれ、注意事項も繰り返してくれます。

アーサナ以外に、カパールバーティ、ウジャイー、ウディヤーナ・バンダと
15分間の瞑想ポーズを行いました。


5)教育実習(ティーチング・レッスン)
・教育実習の内容と手順

1人1つのポーズがあらかじめ与えられます。それを、20分間で教えます。事前にレッスン・プラン(Lesson Plan)の紙が渡されるので、記入して、試験直前に提出します。

ガングリー先生の授業で、ティーチング方法の講義があります。それに沿って、Plan内容を考えました。はじまり、説明、デモストレーション、個人・グループ練習、終わりの各内容を決め、時間配分します。

生徒が多かった分、個性豊かなティーチングが見れました!日本で見ていたヨーガ・レッスンとは違い、「講義」といった内容が多く、面白かったです。

6)総括編


①『カイヴァリヤダーマ』の6週間コースを受講する価値はあったか


英語の聞き取りが不十分なため、講義内容は消化不良でした。現段階でのヨーガに対する知識では、相方先生と出会っていなければ、カイヴァリヤダーマの魅力を感じることができなかったと思います。


②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか

今回は人が多かったので、とてもざわざわしていました。


③6週間コースで消化したことはどう役立つか


D.Y.Ed.コースで役立つと信じています (笑)


④今後のヨーガに対する展望


ヨーガの古典文献に触れる機会が増えればいいなと思います。



滞在中、相方先生に「どうですか?サバイブしてますか?」と尋ねられました。はじめは、{サバイブ???}と思っていましたが、途中からこの言葉が理解出来ました。

講義に疲れるというより、システムや、生徒の熱気に閉口する事がしばしば。。。健康を害することなく6週間終えられて、良かったです。

少し前まで、「ヨーガを大学で勉強するなんて・・・」と思っていました。しかし6週間を終え、「ヨーガを勉強する」重要性、楽しさを感じました。知識は経験をサポートするし、経験は知識をサポートすると思います。

今回のコースでは少し"試験”という言葉に振り回されてしまったので、次の10か月は、もうちょっとのんびりと構えられたらいいなと思います。

この6週間、出発前からたくさんの人に支えていただきました。本当にありがとうございます。

もしコースのことで質問したい人がいれば、気軽にメール下さいね。

       
     
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