2009年6月26日金曜日

カイヴァリヤダーマ研究所:ディプロマ(D.Y.Ed.)コース2008-9

インド・ヨーガ留学の総括レポート
カイヴァリヤダーマ研究所付属カレッジ・ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)
期間:2008年7月-2009年4月(1学年)



以下は、付属カレッジの2008-9年度のディプロマ・コース(D.Y.Ed.)にインド・ヨーガ留学されたK.M.さん・A.M.さんの総括レポートです。

maekawa


フィードバックの項目


K.M.さん・A.M.さんには、次の項目で『カイヴァリヤダーマ研究所』のディプロマ・コース(D.Y.Ed.)への留学経験をフィードバックして頂きました。

1)プロフィール
①ヨーガ歴、ヨーガとの関わり、ヨーガへの興味
②留学前にされていたこと(仕事etc.)、今までにされて来たこと
③特に関心の深いこと、特技、趣味やライフワーク

2)カイヴァリヤダーマ研究所について
①『カイヴァリヤダーマ』の環境と施設
②学生寮/ダイニング・ホール
③付属カレッジの講師陣について
④他の学生について(インド人・外国人)
⑤キャンパス・ライフ全般

3)修了試験・理論編
①パータンジャリ・ヨーガ・スートラ(P.Y.S.)の基礎
②ハタ・ヨーガの基礎
③ヨーガと文化の統合・価値教育
④人体の構造・機能とヨーガの実習の効果
⑤ヨーガとメンタル・ヘルス

4)修了試験・実技編
・実技試験の内容と手順

5)教育実習(ティーチング・レッスン)
・教育実習の内容と手順

6)総括編
①『カイヴァリヤダーマ』のD.Y.Ed.コースに留学する価値はあったか
②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか
③どういう人がロナウラでの勉強に適しているか
④今後の進路・展望

留学ブログとウエブ・アルバム

K.M.さんとA.M.さんのブログとウエブ・アルバムに、留学が進行中の現地レポートと大量の画像がありますので、そちらもご参照下さい。

『インドにヨーガ留学する夫婦のブログ』
http://ajayoga.seesaa.net/
アルバム:インド留学記
http://picasaweb.google.co.jp/kbkmichael/oQrVsC
アルバム:インド留学記2
http://picasaweb.google.co.jp/kbkmichael/2?feat=embedwebsite
アルバム:卒業旅行
http://picasaweb.google.co.jp/kbkmichael/KRFps?feat=embedwebsite



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ』
ディプロマ・コース(D.Y.Ed.)
総括レポート:
K.M.さん・A.M.さん(東京在住)


■ K.M.

1)プロフィール


①ヨーガ歴、ヨーガとの関わり、ヨーガへの興味

ヨーガ歴・・・0年。まったくの素人。
ヨーガとの関わり・・・
妻がアーサナの先生をしており、2年前に新婚旅行を兼ねて相方先生の1週間ワークショップに参加したのがはじまり。
ヨーガへの興味・・・相方先生のワークショップに参加し、もっと深く知りたいと思った。


②留学前にされていたこと(仕事etc.)、今までにされて来たこと

大学卒業後、商社系の会社に7年間勤務。


③特に関心の深いこと、特技、趣味やライフワーク

<特技、趣味>
特技:サッカー・フットサル・デザイン
趣味:サイクリング・スケートボード

<ライフワーク>
フットサルFリーグのチーム「バルドラール浦安」のサポーター


■ A.M.

1)プロフィール

①ヨーガ歴、ヨーガとの関わり、ヨーガへの興味

ヨーガ歴・・・約5年
ヨーガとの関わり・・・1年前まで都内スタジオにてインストラクターとしてクラスを担当
ヨーガへの興味・・・
ヨーガ根本経典の生活への応用


②留学前にされていたこと(仕事etc.)、今までにされて来たこと

アーサナ・インストラクター、プロラボ営業、イベンター、アパレル事務等


③特に関心の深いこと、特技、趣味やライフワーク

<特技、趣味>
特技:バトントワリング
趣味:4輪レース観戦

<ライフワーク>
整理整頓



2)カイヴァリヤダーマ研究所について

①『カイヴァリヤダーマ』の環境と施設

基本的にコース中は日曜以外学校から出られません。ゲートで、守衛さんが学生の出入りを監視しています。学生は、外出するとき先生に許可をもらいます。

夜中は、構内をガードマンが巡回しています。構内にいる人間も犬も安心して生活しているようでした。構内には、教授やスタッフの家もあり、夕方になると、子供達の遊び声が聞こえて賑やかです。一緒にサッカーをすることもありました。

6年ほど前から敷地内を高速道路が横切っているので、車の音が聞こえます。部屋によっては、とてもうるさいようです。

昼間は、カイヴァリヤダーマが飼育している牛が放たれて、部屋の近くまで草を食べにきます。

Diplomaの学生が主に利用する施設は、図書館・教室・アーサナホール・食堂です。


図書館:
司書が男女一名ずついて、探している図書は司書に頼むとすぐに見つけてくれます。コピー機があって、1枚1ルピーです。図書館には、インターネットに接続されているパソコンが4台あります。


教室:
いつもうす暗く、蚊が多くいました。天井ファンを回すか回さないかで、よくインド人と外国人で言い合っていました。

机といすは一体型で、女子にはちょっと高いです。多くの女子学生は椅子の上で胡坐をかいて授業に参加していました。


アーサナ・ホール:
男女別々です。男子はサラスワティ・ホール、女子は何回か移動しましたが、最終的にアーサナ・ホールBに落ち着きました。

サラスワティ・ホールはイベント事にも使用される、図書館の上3階にある静かで広い場所です。女子学生は、全部で18人居ましたが、ジャスト・サイズのホールでした。


②学生寮
インド人学生寮:二人一部屋、バストイレ共同、男女にそれぞれ寮長がいます。
外国人学生寮 : 希望にあわせて二人一部屋 or 一人部屋、バストイレ付

私達は「Soham Kutir」に滞在。ベット、机、椅子、バケツ、物干し台、ロッカーが完備されています。スタッフが、1週間に1回シーツの交換に来ます。台所と洗面所、ベットと机がある部屋があって、充分な広さです。


③付属カレッジの講師陣について

全てインド人で、外国人講師は居ません。特別講義で、何人かの外国人講師の講義はありました。Anatomy(解剖学)の先生は、病院施設のドクター、その方以外は、大学に所属している研究職です。


④他の学生について(インド人・外国人)

集合写真がDiplomaコースのトップページにあります。
http://www.kdham.com/coll_dip.html

インド人35名
特徴
・アーユルヴェーダ・ドクター・・・1名
・ホメオパシー・ドクター・・・1名
・キリスト教の牧師さん・・・1名
・学生アーサナ・チャンピオン・・・1名
・元システム・エンジニア・・・3名(どの国もシステム・エンジニアは病んでいる模様)
・半数は北インド人。


外国人9名
・日本人2、韓国3、中国1、フランス1、オーストリア1、ブルガリア1
・ここに来る前は、皆職に就いていた人たち。
・前職: ヨーガの先生、農夫、語学教師、フライト・アテンダント、
・NGOスタッフ、システムエンジニア、小学校の先生

合計44名


⑤キャンパス・ライフ全般

インド人学生と外国人留学生は、学費が違います
(HP参照:
http://www.kdham.com/coll_dip_fees.html)。
食事場所と宿泊場所が違います。

<インド人>
学費:Rs.29,000(約58,000円)
宿泊場所:ボーイズ・ホステル、ガールズ・ホステル
食事:インド人食堂

<外国人>
学費・宿泊費込:
風呂トイレ共同$4,300(約41万円)
風呂トイレ付 $5,300(約50万円)
食事:ホスピタルの食堂

学生は色々な地域から来ているので、学生主催でそれぞれの故郷のお祭りを皆で祝いました。自分が誕生日の時は、食事の時間にみんなにお菓子を振る舞います。特に男子学生は、男子寮でそれぞれの誕生日を毎回ケーキで祝っていました。

今年から新しく音楽クラスがはじまって、週3回、夜のSatsangの時間に先生からレッスンを受けました。



3)修了試験・理論編

修了試験に出題された問題に対し、どういう答えを用意したかを一つずつ解説します。

(1)パータンジャリ・ヨーガ・スートラ(P.Y.S.)の基礎

・4つの質問全てに回答すること(2問のうち1問を選ぶ選択回答式)。
・全ての質問に関連するスートラを引用すること。

<準備>
「パタンジャリ・ヨーガ・スートラを読み込む」「講義をしっかり受ける」だけでは、答えられません。試験前に配付されたシラバスに沿って、隣の韓国人学生から過去問回答集のコピーをもらって準備しました。
まともにやっては、一番準備が大変な科目です。


Q1
① 「ヨーガは Sesvara サーンキヤである」このことを詳細に説明せよ or
② サーンキヤの二元論について説明せよ。

A1
サーンキヤ哲学の中に見出すヨーガの基本概念について記述。


Q2
① Cittavrttis を制限する手段について説明せよ or
② 心を邪魔する Antaraya について列挙し、その種類について説明せよ

A2
① 5つの Cittavrtti について説明し、それを制限する AstangaYoga について説明。
② 9つの Antaraya の名前と簡潔な例、その Antaraya に伴う心身機能の不調について記述。


Q3
① Klesa について、および Klesa の克服方法について説明せよ or
② Yama のコンセプトについて論ぜよ。Yama の実践がヨーガの実践者にとってどう手助けになるか

A3
① 5つの Klesa の種類と性質、それらの克服方法を5つ列挙。結論としてヨーガの目的達成には Klesa の克服が絶対条件であることを記述。

② 5つの Yama について説明。Yamaは、社会的価値を高め、実践者は、すべての状況下で実践可能。

Q4
① 以下の設問について簡潔に記述せよ
ⅰ) Bhavapratyaya yogi と Upapratyaya yogi
ⅱ) Sabija Samadhi と Nirbija Samadhi
ⅲ) Rtambhara prajna
ⅳ) Kriya ヨーガ
or

② 以下の設問について簡潔に回答せよ
ⅰ) heya, hetu, hana & hanopaya
ⅱ) Antaranga and Bahiranga ヨーガ
ⅲ) Cittabhumis
ⅳ) samapatti

A4

ⅰ)前世が Yogi とそうでない Yogi が居るが、同じ実践方法で Samadhi に到達できる。現世で Samadhi に到達できなかったら、来世に委ねる。

ⅱ) Sabija と Nirbija の Samadhi 2種類について違いと手順を説明。

ⅲ) Rtambhara prajna (識別知)に至る7段階を説明。

ⅳ) Kriya ヨーガ3種類(tapas、svadyaya、isvarapranidhana)について説明。


ⅰ)避けられる痛み、その原因、痛みの除去、除去方法

ⅱ)Astanga ヨーガにおいては、Yama、Niyama、Asana、Pranayama、Pratyahara が Bahiranga ヨーガと呼ばれ、Dharana、Dhyana、Samadhi が Antaranga ヨーガと呼ばれている。Bahiranga ヨーガは、振る舞いを制御するヨーガで、 Antaranga ヨーガは、内面のヨーガである。

ⅲ) 5つの cittabhumi (心の段階)とヨーガに適した段階について

ⅳ) samapatti の4つの段階と状態の説明



(2)ハタ・ヨーガの基礎

・4つの質問全てに回答すること。

<準備>
基本的には、Hathapradipika と Gheranda Samhita の教科書から出題されます。講義を元に、試験直前に配付されたシラバスに沿って、要点をまとめて試験に臨みました。二つの教科書以外から出題される内容は、事前に資料が配付されるので安心です。

Q1
① Hathapradipika の5章について説明せよ or
② Hatha ヨーガについての理解を、詳細に論ぜよ

A1
① Hathapradipika の5章は、ヨーガのセラピー的観点について書かれているのでそれを説明します。
② Hatha の言葉の意味、Prana samyama ヨーガについて、Hatha ヨーガの技法について等記述


Q2
① アーサナのコンセプトについておよび Hathapradipika に記述されている瞑想法に用いられるアーサナについてのエッセイを書け
or
② 洗浄プロセスについてエッセイを書け

A2
① 一般的なアーサナの理解、歴史的観点、定義、分類、Hathapradipika と Gheranda Samhita におけるアーサナについて

② 洗浄プロセスについての一般的定義と、Hathapradipika と Gheranda Samhita の違いを比較して記述する。Hathapradipika は7つのプロセスが記述され、体が浄化されれば練習する必要はなく、Gheranda Samhita は21のプロセスが記述され、Pranayama 前には必須と定義されている。


Q3
① Nadisuddhi について or
② 正しい Pranayama の方法について

A3
① Nadisuddhi とは、Ida と Pingala 左右の鼻腔を通して Nadi を浄化する方法。Hathapradipika と Gheranda Samhita それぞれの Nadisuddhi の種類と重要性を記述する。Nadisuddhi と Anuloma Viloma は、手法が似ているが概念が違う。Nadisuddhi は左右の概念、アヌローマ・ヴィローマは、吸気と呼気の概念である。

② Hathapradipika、Gheranda Samhita それぞれに記述されているPranayama 8種類の名称を記述し、その正しい手順と効果について記述する。


Q4
① Gheranda Samhita と Hathapradipika にはいくつの Mudra が記述されていているか。詳細に記述せよ
or
② Hathapradipika は何を Mudra として挙げられていますか? また、あなたは Mudra について何を知っていますか?記述せよ

A4
Mudra の一般的理解、Hathapradipika に記述されている Mudra10種の名称と目的、Gheranda Samhita における種類数と効果、Hatapradipika と Gheranda Samhita との共通点、Bandhaについて。



(3)ヨーガと文化の統合・価値教育

<準備>
基本的には、講義の時にテキストとして配付されたプリントから出題されます。講義を元に、試験直前に配付されたシラバスに沿って、要点をまとめて試験に臨みました。


Q1
① 文化を定義せよ。どのようにしてヨーガは文化の基盤になりえるか or
② インドの文化の特徴とは何か? どのようにしてヨーガは人道主義の基盤になるか?

A1
① 「文化」の要素は、①人の集合 ②継続的な存在 ③長年信じられてきた共通の価値の中で生活し働くことなどが挙げられる。特定の文化は、文化の①伝達 ②評価 ③変容 ④機能の4つの観点から知ることができる。ヨーガを上記の4つの観点から評価することで、ヨーガが文化の基盤になりえることを証明する。

② ヨーガが文化と人道主義の基盤になるためには、人道主義とは、人道主義3つのポイント、ガンディアン人道主義とは、人道主義とヨーガの共通点、文化とは、文化とヨーガの共通点について説明する。



Q2
① Shrimad Bhagavat Gita には Jnana ヨーガ と Karma ヨーガとBhakti ヨーガの統合がある。説明せよ。
or
② サーンキャ・ダルシャナの原則を説明せよ。サーンキャ・ダルシャナとヨーガ・ダルシャナの関係を列挙せよ。

A2
① Bhagavat Gita における人間・ヨーガ(行動&知識&献身の統合)について、Jnana ヨーガ・ Karma ヨーガ・ Bhakti ヨーガについて

② サーンキャとヨーガの共通点と相違点について説明する。Purusa と Prakrti の概念のサーンキャとヨーガでの相違点や、
サーンキャにはない新たな概念として、ヨーガには「 Isvara の原理」と「 citta の観念」がある、などを説明する。


Q3
① 簡潔に記述せよ。 a) ヨーガと仏教 b) ヨーガとキリスト教 or
② 「ヨーガとイスラム教」についてのエッセイを書け

A3
全ての宗教には、独自性があるが、必ずヨーガとの共通点がある。その共通点を通して、宗教の最も高い真実は一つであることを証明し、かつヨーガが理論的にも実践的にも全ての宗教の精神性の道に貢献することを説明する。


a) 仏教の教え(四諦・八正道・五薀)について、ヨーガとの共通点を説明する。
b) キリスト教(基本概念・説教・キリスト教ヨーガ)について、ヨーガとの相違点を説明する。

② 実践的な観点から、イスラム教の5つの柱と Kriya ヨーガとを比較する


Q4
① 価値の意味と分類を書け。価値のインド概念を説明せよ or
② 価値の発展の社会文化の基盤は何か?説明せよ

A4
① 価値には、知的、審美的、道徳的、精神的価値などがある。インドの価値の概念は、Purushartha、多様性の統一、真実の追求、寛容性の精神や非暴力の実践などに表れている。

② 価値とは、内面化とは、社会化とは、態度とは、価値の発展のための媒体について、ヨーガの価値教育への有用性等


Q5
① 価値教育は何を言おうとしているか?価値教育の狙いと目的について論ぜよ。
or
② 「ヨーガは価値教育の方法である」、これについて詳細に論ぜよ。

A5

価値教育とは、基本的な人間の生き方を学ぶ教育。価値の多様性を理解し、その価値を内面化し、社会性を持った振る舞いに活かすこと。ヨーガには、価値教育の方法として yama、niyama などの規律がある。



(4)人体の構造・機能とヨーガの実習の効果

<準備>
基本的には、講義に使われたパワーポイントから出題されます。講義を元に、試験直前に配付されたシラバスに沿って、要点をまとめて試験に臨みました。


Q1
① 消化器官の臓器の名称を記述せよ。消化器官の図を描け。食事に関して、「アーユルヴェーダ」と「ヨーガ」それぞれの概念を詳細に論ぜよ。
or
② 心臓の図を書け。心拍と血圧に影響する要因を述べよ。循環器におけるヨーガの練習の役割について述べよ。

A1

・アーユルヴェーダ・・・食べ物をVata、Pitta と Kapha という属性で捉える。
・ヨーガ・・・食べ物を Mitahara (質、量、心構え)という概念で捉える。

② 心臓の略図と名称、循環のメカニズム、心拍と血圧減少の9つの要因、心拍と血圧上昇の8つの要因、アーサナにおける循環器への影響等について述べる。



Q2
① 呼吸器の臓器の名称を記述せよ。肺の容量について述べよ。呼吸器における Kapalabhati と Pranayama の効果について論ぜよ。
or
② 脊椎の構造について述べよ。脊椎の重要性について記述せよ。脊椎における有益な効果をもたらすアーサナについて述べよ。

A2
① 呼吸器の略図と名称、呼吸筋、呼吸の段階、肺の容量について。Kapalabhati の効果は、痰等の動き、鼻粘膜からのゴミ除去、副鼻腔洞の清掃。Pranayama の効果は、Ujjay Pranayama を例に全ての胚葉の拡張、喉頭部の筋肉強化、甲状腺への循環向上等

② 脊椎の構造を説明し、アーサナで脊椎を前屈、後屈、側屈、伸展、回旋、バランスさせるアーサナを挙げる。脊椎をさまざまな方向に動かすアーサナによって、脊椎を健康に保つ。


Q3
① 1)Anuloma Viloma Pranayama と 2)アーサナの種類について簡単に説明せよ。
or
② Pranayama の種類について述べよ。Pranayama が体内のシステムに及ぼす影響について論ぜよ。

A3

1)Anuloma Viloma の生理学的、心理学的および精神的効果について簡単に説明する
2)アーサナが体にもたらす効果(ストレッチ、圧力、バランス、休息、耐久力、運動能力の向上)について説明

② ウジャイ・バストリカ・ブラーマリーの生理学的ポイントと特徴。Pranayama が人間に及ぼす効果(脳波、内分泌やストレスへの効果)について述べる。


Q4
① 1)Cakra と 2)Neti Kriya について簡単に説明せよ。
or
② 1)Kapalabhati と体への効果と、2)Panca Prana について簡単に説明せよ。

A4
① 1)2)Neti の種類、いつ行うのが良いか、神経への効果、脳への効果、治療的観点での効果、禁忌について説明


1)Kapalabhati 実習の手順、体内システムへのそれぞれの効果、禁忌等、
2)Prana、Samana、Vyana、Apana、Udanaの体内の位置や機能等



(5)ヨーガとメンタル・ヘルス

<準備>
基本的には、教科書から出題されます。講義を元に、試験直前に配付されたシラバスに沿って、要点をまとめて試験に臨みました。

※どの設問にも序論・本論・結論と項目を設けて解答しました。


Q1
① ヨーガと心理学を定義せよ。ヨーガと現代心理学の統合を焦点に論ぜよ。
or
② メンタル・ヘルスについて定義せよ。ヨーガの観点からトータルヘルスについてWHOの健康の定義を
参照しながら論ぜよ。

A1
① ヨーガと心理学を比較すると、それぞれに優位性がある。ヨーガと心理学を統合するには、心理学の指標によってフィードバックを得ながらヨーガを実践するのが望ましい。

② WHOは、「健康とは、身体的・精神的・社会的・霊的に健全な状態」であると定義している。「健康法」とは、予防医学である。「メンタルヘルス」とは、問題解決能力・正しい代案を選択する能力である。このWHOの定義とヨーガの健康の定義とを比較する。

ヨーガの定義する Total Health は、Panca Kosa でいう
Anandamaya Kosa を超越することであり、その段階に到達する方法はVivekakhyati である。


Q2
① Normality の概念と、「ヨーガの言う Normality の理想モデル」とを論ぜよ。
or
② 人格(Vyaktitva)についてインド的なアプローチから論ぜよ。インド思想にある「人格」理論について説明せよ。

A2
① 人格の西洋的概念(特徴・分類等)、人格のインド的概念、人格のヨーガ的概念(パンチャコーシャ・チッタブーミを用いて)


・心理学では、たとえばフロイトが人間の発達段階(ID、EGOとSUPER EGO)において、自分は正常に育ってきたといえる状態が Normality である。

・統計学では、母数の中で多数居る存在が Normality である。だから、ある国では Normal なのに違う国に行くと Abnormal であるということが起こりうる。

・ヨーガでは、何にも縛られない状態(Jeevan Mukta)が Normality の状態であると言える。


Q3
① ヨーガの方法では、コンフリクト(衝突)とフラストレーション(欲求不満)をどう扱うか。詳細に説明せよ。
or
② 「態度」の概念を説明せよ。ヨーガと心理学の方法を通じて「態度」はどう変わるのか。

A3
① 心理学的コンフリクトとフラストレーションの解釈。コンフリクトの種類・一般的原因・それらに対するヨーガ的救済策。フラストレーションの原因・反応・それに対する心理学的とヨーガ的救済策等。

②「態度+感情=振る舞い」である。心理学では、態度には大きく分けて3つのタイプ(認識的、感情的と振る舞い的)があると考えられている。ヨーガの方法で態度の変容を試みるには、
・熟考型にはJnana ヨーガ
・感情型にはBhakti ヨーガ
・行動型にはKarma ヨーガ
がふさわしい。


Q4
① ヨーガは「ストレス」を減らすのにとても有効である。論ぜよ。or
② Prayer(祈り)の概念と心理学的な有効性を説明せよ。

A4
①②
・Prayerとは何か(内面的友愛精神等)
・Prayerの原理(懇願ではなく自分の本来備わっている潜在能力を発揮させるもの等)
・Prayerの種類(請願・懺悔・祈祷・賛美等)
・Prayerの心理学(死への恐怖や知的好奇心から祈る傾向がある等)
・Prayerの方法(個人・集団)
・Prayerの有効性(建設的方向に思考が向く、嫌な事を忘れ、新しい事を受け入れる準備ができる等)



4)修了試験・実技編


・実技試験の内容と手順

1日がかりで行われます。朝7時から<クリヤ・プラーナーヤーマ・瞑想>の試験、夕方4時半から<アーサナ>試験の順です。普段練習している内容で試験をしますので、普段の練習をしっかりやっていれば問題ありません。


午前

<クリヤ>
・ダウティ(ヴァストラ、ダンダ)
・カパーラバーティ
・ナウリ・チャーラン or アグニサーラ

<プラーナーヤーマ>
・ウジャイー
・バストリカー
・シートカリー
・ブラマリー

<瞑想>
30分瞑想

午後

<アーサナ>
・シルシ・アーサナ
・サルヴァーンガ・アーサナ
・マツヤ・アーサナ(パドマ)
・ハラ・アーサナ
・ダヌラ・アーサナ
・アルダ・マッチェーンドラ・アーサナ
・パスチモッターナ
・スプタ・ヴァジュラ・アーサナ
・マユル・アーサナ(ハンサ・アーサナ)
・トリコーナ・アーサナ

オプション(どちらかを選びます)
・ウグラ・アーサナ or カルナピータ・アーサナ
・ククッタ・アーサナ or パダングシュタ・アーサナ
・パドマ・バカ・アーサナ or ワタヤナ・アーサナ
・アーカルナ・ダヌラ・アーサナ or エーカパーダ・スカンダ・アーサナ


5)教育実習(ティーチング・レッスン)
・教育実習の内容と手順

前期は、教育理論に関する講義があり、中間試験で筆記試験があります。
後期は、前期習った教育理論に基づき一人一人が実際に学生の前に立って教えます(全5回)。

5回のうち3回が実習スタイルで、2回が講義スタイルです。1人1テーマなので、周りの学生が教える内容もしっかり聞いてはじめて、自分の中で一連の練習プログラムが組み立てられる仕組みになっています。


大枠のテーマ

[実習スタイル]

1st アーサナ
2nd バンダ・ムドラー・クリヤ
3rd プラーナーヤーマ

[講義スタイル]

4th ヨーガ全般の理論・原理
5th ヨーガ・セラピー

・公平テーマ
1st ジャヌシルシアーサナ
2nd ジャランダラバンダ
3rd アヌローマヴィローマ
4th Class Management
5th 糖尿病とヨーガ

・明穂テーマ
1st パドマーサナ
2nd カパラバーディ
3rd スーリャベーダナ
4th Stress Management
5th 関節炎

持ち時間・・・25分
対象・・・Diplomaの学生。3rdの実習のみロナウラ大学の学生が対象でした。

<手順>
・出席確認
・プレイヤー
・前回の実習内容の確認
・今回の実習内容理論の説明(デモ)、規則、利点・制約、研究成果の紹介
・個人練習
・グループ練習
・質問・回答
・締め


6)総括編

①『カイヴァリヤダーマ』のD.Y.Ed.コースに留学する価値はあったか


ありました。

理由:
1.費用対効果が高いこと。

個人的に:
人生ではじめて哲学を学ぶ機会であり、人生における精神的修養の基礎となりました。

「現代人として、学生という立場で社会とかかわりながらヨーガを学び、ヨーガを体験する」、このことに意味がありました。

現在、私たちが置かれている状況に応じたヨーガの生かし方とは何か? を学べました。特に、『カイヴァリヤダーマ』は“社会とのかかわり”を忘れずに、冷静にヨーガ研究に取り組んでいるように感じます。


②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか

全寮制であること:
「ヨーガをいかに生活に取り入れるか」を学ぶのに、最適な手段であると思います。

カリキュラム:
良く練られたボリュームです。また、講義科目間の連携が相当良くて、同じ時期に同じ内容を違った講義で説明されるので、より理解が深まった、という経験を何度もしました(相方先生は「たまたま」と言っておられましたが)。

瞑想はあまり深くやりません。瞑想をはじめるのに必要なインストラクションが少しあります。基本的に瞑想は自主性に任されていて、講義ではヴィパサナー瞑想が薦められました。

図書館:
自習時間は、インドの学生が図書館でディスカッションしながら勉強しているので、うるさいので、自習場所としてはあまり利用しませんでした。

ただ、ヨーガ関連の図書の充実ぶりは圧倒的です。また、司書員の方が優秀なので、希望の図書がすぐに見つかります。講義内容には、頻繁に『ヨーガ MIMANSA(Kaivalyadhamaが出版するヨーガ専門研究論文誌)』が出てきます。図書館にも置いてあり、図書館のPCにもインストールされています。

過去80年分のデータがCD化されており、500ルピーで買えるので、買った方が何かと便利です。

インターネット環境:
「TATA Indicom」のUSBモデムは郊外のせいか接続があまり早くありませんでした。結局図書館のインターネットを利用しました。図書館にある4台のネットワーク端末のうち一台が多言語環境なので、日本語入力も可能です。

私たちは、許可を得てノートPCを図書館に持ち込み、直接学校のネットワークに接続していました。


教授:

【通常講義】

①パタンジャリヨーガスートラの基礎 - Sharma先生
サンスクリット語の研究者。歌が上手で入学式・ティーチャーズデイ等で皆に促され披露していました。

②ハタヨーガの基礎 - Sahay先生
以前は③ヨーガと文化の統合・価値教育の講義も担当したことがあるインテリ派で、ヨーガに関する根拠のない情報、邪道なものはバッサバッサと斬る姿が印象的でした。

③ヨーガと文化の統合・価値教育 - Bhode先生
毎日学内のインド人学生食堂で昼食をとる庶民派。毎回、具体例を挙げ、言葉では表現し難いニュアンスを情熱的に
教えてくださいました。

④人体の構造・機能とヨーガの実習の効果 - Bhalekar先生
敷地内にある病院施設のアーユルヴェーダ・ドクターで、病気をしたときもお世話になりました。すべての講義にパワーポイントの資料を準備していたので私達にとってはノートがとりやすい講義でした。

⑤ヨーガとメンタル・ヘルス - Bhogal校長
講義中、必ず冗談を5つは言いますが、笑っていいものか戸惑うぐらい緊張感のある講義でした。

⑥教育理論 - Ganguly先生
現在は定年を過ぎ無給で講義を担当されています。海外での講義経験も豊富なので、英語がとても聞き取りやすかったです。



【特別講義】

<主旨>
心理学者、医者、科学者など研究の第一線で活躍されている方々を呼んで講義をします。それぞれの専門分野で、ヨーガを応用されている方もあれば、全くヨーガと接点がない方もいました。

基本的には、それぞれの専門分野とヨーガとを比較して、ヨーガの優位性や限界を把握することと、ヨーガを通じて社会にどう貢献するかのアイディアを与えてくれました。


<所感>心理学専門のBHOGAL校長が、特別講義のほとんどをコーディネートしていたので、生理学と心理学の専門の方ばかりで偏っていました。

出来れば、
・実際にヨーガセンターでヨーガを教えている先生
・ヨーガの古典文献の研究をされている教授
・ヨーガを社会に普及しようと取り組んでいる政府関係者
の話も聞いてみたかったです。

一度だけ、新しい「Surya ヨーガ」なるものを提案する団体が来て特別講義を行いましたが、ひどいものでした。ヨーガの新しい価値を創造するために、「新しいヨーガを提案する」のではなく、伝統に忠実にヨーガを追求し、その先に新しい価値を見出す事の方が、より社会に訴えるものがあると実感しました。


【サット・サンガ(Satsang)の時間】

アーサナ後、夕飯前の1時間に設定されている時間を「Satsang(講話)」の時間と呼んでいたのですが、曜日によって、多様なプログラムが用意されていました。テストには関係ないこともあって、自由なディスカッションが行われ、より本質的で貴重な学びの時間でした。

インドの考え方を大いに学ぶことができました。私は、音楽クラスに参加し、タブラを習いました。

・瞑想の基礎
・英語の補習(最初の2か月)
・音楽クラス(11月から週3回)
・サーンキャ哲学の講義
・Satsang(講話)・・・哲学者、経済学者、宗教者、スワミジ


③どういう人がロナウラでの勉強に適しているか

<適している人>

基本、ヨーガ経験者かヨーガ素人かは関係ありません。逆に、ヨーガ経験者が以前に得た知識に囚われて、Kaivalyadhamaが提唱する基本概念をなかなか理解できない、という場面を多く見ました。

まじめにコツコツと知識を積み上げられる・目的意識が強い人:
9ヶ月はけっこう長いです。9ヶ月あれば、語学も十分に上達します。

私達夫婦も、語学に大変不安がありましたが、3月もあればだいぶ慣れます。しっかり目的意識・課題意識を持てれば何とかカバーできます。

包括的視点が持てる人:
勉強する場は、国際社会です。嫌でも日本対インド、日本対世界の視点を持つようになります。

ストレス解消法を持っている人:
日々の生活でストレスが溜まります。私は、たまにスタッフの子供らとサッカーをしたり、タブラの練習でストレス解消していました。ただ、ストレス解消法が無くても、コースが進むにつれ、自然とヨーガがストレス解消法になります。

私たちのように結婚したカップルは有利です。インド人は結婚したカップルを無条件に受け入れてくれます。

インドが好きな人:
9ヶ月ずっとインド食を食べていると飽きます。インド食・スパイスが大丈夫な人が向いています。


<適していない人>

適していない人と言うより、こんな性格・態度の同期の学生達はコース中大変苦労しているように見受けられました。

自我が強い人:
全寮制の集団生活なので、対人関係があまりうまくないときついかもしれません。Diplomaコースに参加するインド人は、とても社交性が高いです。

神秘主義な人:
ヨーガの神秘的な部分ばかり求めようとする人は、Kaivalyadhamaがより科学的にヨーガを捉えるので違和感を覚えることが多いようです。

根性がない人:
都会生活に慣れきっていると、面食らうことが多いです。季節関係なく蚊にさされるし、停電はしょっちゅうです。私は、アウトドア好きなこともあって無理なく過ごせました。

資格だけほしい人:
資格だけほしい人は、インド人にもたくさん居ました。そういう人は英語の上達も遅く、英語のみで進行する講義ではたくさん衝突を生みました。

日本には、Diplomaの卒業生が、その経験と知識を十分に生かせる場がないと思います。日本に帰ってきて、周囲の態度からも「Diplomaコースが考えるヨーガの先生像」と、「日本のヨーガ・インストラクター像」に大きな隔たりを感じました。



~私個人を例にとって~

<ロナウラでの勉強で気をつけた点>

ユニフォームはきっちり身だしなみをきっちりする:
後期になると、周囲はだらけてアーサナ用のユニフォームを講義にも着て来るようになるが、自分は自分、他人は他人と分けて初志貫徹。

日々の生活をきっちり夜更かしをしない、全ての講義に出席する:
後期になると教授陣が出席を取らなくなりますが、そんな事は気にしない。不満を言わないし、考えないと心がけていましたが、これがとても難しい。

インド人とより深く付き合う:
このコースの本質は、圧倒的に留学生よりインド人の方が理解しているので、彼らから教えてもらうことはとても多かったです。


<身体的なこと>

体が硬い正座できないところからはじめても、ついていける。

食事:肉や魚を食べなくても、人間は生きていけることを実体験で学べたのが良かった。

タバコ1年くらい前に止めていたので、問題なし。

酒もともとたくさん飲む生活ではなかったので、こちらも問題なし。


<知識的なこと>

ヨーガ素人:
逆に、何も知らなかったので、「こんなはずではない」という気持ちや混乱は生じなかった。

英語のハンディキャップ:
前期に英語クラスも用意されるし、9ヶ月あればカバー出来ます。

英語の論文が読めない:
読めるようになります。


<内面的なこと>

怒りっぽい:
インド人の寛容さを見習うようにしたら、少しずつ改善されました。

ボランティア精神がある:
さらにブラッシュアップされました。インド人にとってKarmaヨーガは重要で、とても歓迎されます。インド人には日本の大学生のように、「積極的に参加するヤツはウザい」というひねくれた感情が無く、むしろ積極的に参加する学生を歓迎するので、とても清々しく思います。


④今後の進路・展望

<K.M.>

・卒業後は、企業で働きなおしたいです。

Diplomaコースの卒業資格は、企業で働きなおすには、直接的に仕事につながる・有利になる資格ではありませんが、「大学生の時に学んできた分野」や「会社で学んできた分野」とは違う分野の知識を体系的に理解出来たことが、「自分が新しい仕事に挑戦するのに、十分適応していける」という自信につながりました。

ヨーガを仕事にするには、日本にヨーガの大学、学科がない現状では資格に相応の仕事は日本では保障されないので、現時点では考えにくいです。


・これからもヨーガの実践者であり続けたい。
ヨーガを、理論的・実践的にも正確に理解することができました。

願わくば、日本のヨーガ実践者やアーサナの先生が、もっとKaivalyaに来て学んでほしいです。そうすれば、日本でも、卒業生たちとのディスカッションで、知識がより深まります。


・個人的興味から
「ヨーガとデザイン」を研究テーマに活動したいと思います。当面は、文献を読んでアイディアを練ります。NGO団体が主催する学びの場で、「ヨーガとデザイン」をテーマに講義をするのが目標です。


<A.M.>

また以前と同じスタジオでクラスを担当することは、考えていません。

今は、Kaivalyadhamaで学んだ知識を深め、ヨーガに関しての研究がしてみたいです。ただ現在は、日本にそのような場所は存在していません。まずこの現状を少しずつ変えていけるよう行動していきたいです。

以上です。

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