カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ
冬期6週間コース(CCY)総括レポート
期間:2011年1月15日-2月25日
ロナウラの「カイヴァリヤダーマ研究所」の付属カレッジで1月・2月に開講された冬期6週間コース(CCY)を受講された、東京在住の「Y.T.」さん(女性)のフィードバックです。
「Y.T.」さんは趣味のヨーガ歴十数年、ヨーガの世界観や瞑想に興味を持たれています。インドは2度ほど短期旅行で訪問されており、今回はインドでヨーガに専念してみたい、というお気持ちで、「カイヴァリヤダーマ」の6週間コースを受講されました。その目的は十分に達成されたようです。
また、「Y.T.」さんはアメリカ・台湾への留学歴がおありで、英語が堪能です。現在もフリーで英語関係のお仕事をされています。
●付属カレッジのコース
カイヴァリヤダーマ研究所の付属カレッジでは、以下のようなコースが開講されています。
「6週間集中コース(CCY)」はエントリー・レベルのプログラムとして、インドでも最もスタンダードで信頼されているアカデミックなコースです。
このプログラムは、もともと現役の学校教員が夏期休暇中にロナウラでヨーガ教育の6週間の集中研修を受けて、学校教育の現場にヨーガを導入することを目的に組み立てられたものです。
ヨーガを自分のライフ・スタイルに取り入れて行くための必要十分な基礎知識が提供されますし、伝統的ヨーガへの洞察や、効率的なヨーガ指導のための枠組みも紹介されます。
外国人にとっても、「カイヴァリヤダーマ」のCCY受講は、インドでのヨーガ学習の、最適で必要十分なプログラムとなります。今までに日本人の方も30名余りが受講されています。
G.S.College of YOGA and Cultural Synthesis,
(Recognised by NCTE, Govt. of India)
Kaivalyadhama Yoga Institute, Lonavla - 410403
ウェブサイト: www.kdham.com
①6週間集中コース(CCY) 期間:6週間(1月15日ー2月24日、5月2日ー6月11日)
受講資格:高卒以上
年齢制限:40歳まで(外国人には適用されず)
申込締切:12月15日(1月コース)、3月31日(5月コース)
受講料(宿泊・食事込):留学生1000ドル
②4週間上級集中コース(ATTC) 期間:4週間(3月15日ー4月15日)
受講資格:ヨーガ教師歴2年以上
申込締切:3月5日
受講料(宿泊・食事込):留学生1500ドル
③ディプロマ・コース(ヨーガ教育DYEd専攻)
修業期間:1学年(7月16日開講、翌年4月20日まで)
入学資格:大卒(理系・文系を問わず、卒業成績45%以上)
年齢制限:35歳まで
申込締切:5月末
授業料(宿泊・食事込):留学生4300ドル(2人部屋共有)
(インド中央政府厚生省AYUSH局の奨学金給付対象)
④ディプロマ・コース(ヨーガ・セラピーDYT専攻)
修業期間:1学年間講義+半年間インターンシップ(8月開講)
入学資格:大卒(理系卒業成績60%以上、DYEd卒業成績55%上)
年齢制限:45歳まで
申込締切:7月末
授業料(宿泊・食事込):留学生6000ドル(2人部屋共有)
●日本人対象4週間コース(ATTC)の企画
上記の常設コースに加えて、カイヴァリヤダーマ研究所で日本人の方を対象にした4週間コースの実施を予定しています。例年3月・4月に4週間で実施されているATTC(Advanced Teacher Training Course/上級トレーニング・コース)の枠組みをベースにしたプログラムです。
対象は、日本でヨーガの指導に携わっている層の方で、すでに、ロナウラのヨーガ理論とスタンダードな技法群を理解されている方を前提としています。
日程:未定(2012年1月以降)
期間:4週間
定員:20名前後
対象:ヨーガの指導に携わっている方
内容:カイヴァリヤダーマ研究所のATTC(上級トレーニングコース)
施設:カイヴァリヤダーマ研究所
講師:付属カレッジの教授陣+DYEd日本人卒業生
費用:カイヴァリヤダーマ研究所の規定(通常ATTCは1500ドル)
希望者の方が規定数に達する見通しが立てば、さらに、具体的な企画を進めたいと思います。
☆☆☆☆☆
インドでの研修プログラムや、短期・長期のヨーガ留学について関心ある方は、どうぞ、ご相談下さい。適切なガイダンスとサポートが可能です。
「カイヴァリヤダーマ」のオフィスとの調整や、最寄りのムンバイ空港への送迎の手配、また、日本語ガイドの手配も可能です。
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カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ
冬期6週間(CCY)コースのフィードバック 東京在住のY.T.さん
【コース全般のフィードバック】
1)場所と環境
①ロナウラという環境
ムンバイの人たちが避暑に来るというリゾート地だそうですが、ロナワラ駅も学校周辺も辺鄙な雰囲気です。
駅のまわりが「マーケット」と呼ばれる繁華街で人は多いですが、個人経営の小さなお店ばかりです。それでも必要なものは揃います。
②カイヴァリヤダーマ研究所の施設
かなり広いです。授業やプラクティス(アーサナ、プラーナーヤーマの実習)の行われた新しい建物が、ゲスト・ルームから歩いて15分くらいのところにあるので、遅刻しないように気をつけていました。
③ゲスト・ルーム
十分な広さです。私の部屋には勉強机がありました。タイの国立病院を代表してヨーガの勉強に来た女性と同室でしたが、仕事柄清潔を重んじる人だったので、心地よい空間で過ごせました。
掃除は週2・3回してもらえるし、お湯は太陽熱ですが熱湯に近い温度でふんだんに使えました。
照明器具が壁についている小さなものしかなかったので、早い時点でスタンドを用意すればよかったと思いましたが。
④ダイニング・ホールでの食事
食事は毎回おいしくて一番の楽しみでした。
解剖学の授業で栄養の吸収・消化の仕組みを習ったので、好き嫌いというような観点からでなく、「食事とは体の細胞に質のよい栄養を、器官に負担をかけずに取ることだ」という姿勢で、なるべくひとり静かにゆっくり味わって食べるようにしました。
五元素の恵みで育った食物のエネルギーが体に入っていくようで、こんなにおいしく食事をしたのは生まれて初めてでした。穀物と野菜のバランスのとれたよい内容だったからでしょう。
⑤キャンパス内での生活
キャンパス内の生活限られた時間でたくさんのことを勉強しなければいけないので、時間を無駄にしないようインターネットもあまり使わず(接続できるところまで行くのが面倒だった)、クリーニング代が安いので洗濯の時間も節約するなど、受験生のごとく過ごしましたが、精神的にはリラックスしていたと思います。
私は寒がりなので余計に毛布をもらったり、買い足したり、セーターなどを着こんで寝ていました。必要最低限あれば6週間ぐらいは暮らせるものですね。
2)付属カレッジの授業について
①実習クラス(プラクティス)
先生が太陽のように明るく楽しく有能な人だったので、朝と夕方の二回のアーサナとプラーナーヤーマのクラスがとても楽しみでした。
6週間コースの授業全体が、講義で習ったことを体を通して実感・理解できるような構成になっていて、毎回実習クラスの終わりには肉体的・精神的な統一感を味うことができました。
私はかなり体が硬いのですが、そんなことは全く気になりませんでした。
②講義の内容
日本ではヨーガのクラスに週一回通っていただけなので、理論的知識はなく、また何の準備もしていかなかったので、最初はこんなにたくさん勉強するのかとびっくり仰天しました(体験者のレポートも事前に読んではいたのですが、なにごともトロい私は実際にシラバスを渡されるまで頭は
白紙状態でした!)。
授業では解剖学の知識もインド哲学の知識もゼロ、何もかも初めて聞くことばかりでした。一瞬焦りましたが、自分の能力の範囲内でやれるだけやってみよう、と腹をくくりました。
朝夕とアーサナができるだけでハッピー、あとの授業はオマケかなと。
「へえ、心臓ってこうやって動くんだ!」という低レベルな「学ぶ喜び」を積み重ねて過ごしました。
最初はインド英語が聞き取れなかったので、授業は毎回一番前の席に座り、本をできるだけ読むことで補いました。
幸い校内のブック・ストアーでよい本が安価に入手できるので、何十冊も買いまくり、読みまくり、またヨーガ用語辞典、電子英語辞書を引きまくりました。
どの教科もヨーガの真髄を学ぶことができる構成なので、ハードでも面白かったです。
重要なことは、自分の能力を知り、その範囲でがんばることです。100%の理解は到底無理なので、50~70%を目指しました。
英語力は必須だと思いますが。
③講師陣の印象
どの先生も「ヨーギ」のモデルのような人だと思いました。知識豊富で清貧で穏やかで、情熱を持って教えてくださいました。
④他の受講生(インド人・外国人)
半分以上がインド人、外国人はドイツ、フランス、オーストラリア、ベラルーシ、中国などから来ていました。
20~30代が中心で、別のヨーガ学校で学んできた人、アーユルベーダの医師、心理学者など、すでに知識の豊富な人も多かったです(なので人と比べないことが重要!)。
クラスは一体感があって楽しく、全員と仲良くなれたような気がします(実習の先生のおかげかもしれない)。
⑤授業時間以外の過し方
とにかく勉強勉強でした。
人によってはいろいろです、もちろん。
3)研究所のキャンパスの外にて ①プネー訪問
相方先生のおかげでプネー旧都へ行ったりしましたが、勉強不足と時間不足で把握しきれませんでした。次回はゆっくり観光したいです。
トレーナーしか持っていかなかったので、秀子先生のお見立てで素敵なクルタ(膝ぐらいまである服)とボトムを買って重宝しました。とてもお洒落です。
②ロナウラ・ヨーガ研究所訪問
「カイヴァリヤダーマ」の校長をされていたガロテ氏のご子息にお会いしました。正しいヨーガを伝えていこうという使命感と努力に感心するとともに、こうした人たちに直接ヨーガの話を聞くことのできる自分の幸運に感じ入りました。
日本にいたころには思いもよらないヨーガの世界を実際に見たり聞いたりすることができました。
【最終試験のフィードバック】
1)修了試験・理論編
下記のどの授業も、自分で採ったノート、読んだ本、先生からいただいたプレゼン資料などをもとに、自分なりの「まとめ」を作って臨みました。
各教科の「過去問」はあまり参考になりませんでした。質問や答えが事前に分かったとしても、三時間ぶっ続けの筆記試験なので、断片的な知識や暗記では歯が立ちません。各質問に対する「自分なりの理解」が問われます。英語を書く力も必要です。
①ヨーガと体育教育(Physical Education)
体育とヨーガの違いと共通点など
②人体の構造と機能(Anatomy & Physiology)
各アーサナが与える解剖学的・精神的効用など
③伝統的ヨーガ(Traditional Yoga)
主な古典ヨーガ解説書に基づくヨーガの定義など
④ヨーガと価値教育(Value Education)
ヨーガを価値教育に生かす意義と方法など
⑤ヨーガと心の健康(Mental Health)
西洋の心理学とヨーガの違いなど
⑥指導法(Teaching methods for Yogic practice)
ヨーガの教授に必要なメソッドなど
⑦口答試験(Viva-voce)
6週間で何を学んだか(個人的感想)
2)修了試験・実技編
クラス全員が列に並んで、指示されるアーサナ十数種類を順番に行いました。完成形に至るより、正しく丁寧なうごきが求められます。
3)教育実習(Teaching Lesson)
一人に一ポーズの割り当てで、30分弱の模擬授業をテストされます。私は「魚のポーズ」。
一定の手順に従って、いくつかの文献を引用しつつ、先生になりきってデモをしたり、ポーズの効果・禁忌などを説明しました。
緊張しますが楽しかったです。他の生徒もそれぞれの個性を生かして授業を組み立ててくるので、合わせて30余りのアーサナとプラーナーヤーマをひとつずつ詳しく学ぶことができました。
4)総括編
①「カイヴァリヤダーマ」の6週間コースを受講した価値はあったか
ヨーガは人生の芸術であり科学である、ということがイメージでなく論理的に分かりました。
6週間のコースでヨーガの入口にようやく立てた気がします。
②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか
教師陣、教科、時間割、試験、食事内容、部屋のすべてが最善の環境でした。
でもまったく反対意見の人もいました。というか、文句を言っている人の方が多かったかも しれません。
試験を目前に精神的に参った人、試験を放棄した人もいました。
アーサナを中心に勉強したいとか、いろいろなポーズをやってみたいといった人には期待外れかもしれません。
哲学とか精神といった抽象的思考が苦手な人、また勉強自体が苦手な人にもかなりつらい環境だと思います。
インド人の英語はネイティブクラスに限りなく近いので、英語が得意でない人も相当厳しいでしょう。
③6週間コースで消化したことはどう役立つか
とてもたくさんのことを短時間で学んだので、消化不良です。これからもう一度復習します。
基本的にはヨーガは日常生活そのものなので、対人関係その他あらゆることに役立つはずです。
④今後のヨーガに対する展望
個人的には正しいアーサナやプラーナーヤーマ、食事法を毎日続けていくことで、肉体と感情と知性とそして精神の統一感が味わえるようになりたいです。
とにかく日々精進です。
☆☆☆☆☆☆
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