今年、ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』付属カレッジの冬期6週間コース(CCY)を受講された日本の方2名の総括レポートです。☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主に修了試験の内容がレポートされています。『カイヴァリヤダーマ』の付属カレッジのカリキュラムに興味のある方には有益で貴重な情報になっています。
インドの歴史あるヨーガ研究所のコースで、どのような試験問題が出題されているかは、みなさん興味津々と思います。お2人には、実際に試験に出た問題を記載し、それにコメントして頂いています。
そして、試験内容のみならず、「ロナウラでの勉強は一体なんだったのか?」という、できるだけ『カイヴァリヤダーマ』での学びの全体像の輪郭がわかる形のレポートになっています。
インド留学で「ヨーガ」のステップ・アップ
今年1月・2月の冬期6週間コース(学生ビザ必要)を受講されたのは東京在住の「S.T.」さん(男性)と千葉在住の「M.Y.」さん(女性)です。お2人は、2ヶ月半の効率の良いインド短期留学プログラムで次の3つの研修コースを消化され、ご自分の「ヨーガ」のステップ・アップと、背景にあるインド文化・インド環境の体験的洞察のレベル・アップに成功されました。
・ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』6週間コース
・ウルリカンチャンの『自然療法アシュラム』10日間コース
・イガットプリの『ヴィパッサナー瞑想』10日間コース
インドへの短期・長期留学で、「ヨーガ」の勉強を深めたい方はお問い合わせ下さい。的確なガイダンスと必要なサポートを提供させて頂きます。
フィードバックのポイント
「S.T.」さんは教育系のフリーライターです。ボディーワークや呼吸法に造詣が深く、ヨーガやインド・アジアの精神文化へも関心を深められています。以前、南インドでヨーガの1ヶ月コースに参加された経験もお持ちです。
「M.Y.」さんはフリー・ダイビングやドルフィン・スイム(イルカと泳ぐ)のインストラクターです。ヨーガ歴は5年で、やはり、以前南インドでヨーガの1ヶ月コースに参加された経験をお持ちです。
お2人には、次のポイントでフィードバックして頂きました。
1)修了試験・理論編 ①ヨーガと体育教育(Physical Education/Teaching Method)
②人体の構造と機能(Anatomy & Physiology) ③伝統的ヨーガ(Traditional Yoga) ④ヨーガと価値教育(Value Education) ⑤ヨーガと心の健康(Mental Health)
2)修了試験・実技編 ・実技試験の内容と手順
3)教育実習(ティーチング・レッスン) ・教育実習の内容と手順
4)総括編 ①『カイヴァリヤダーマ』の6週間コースを受講する価値はあったか ②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか ③6週間コースで消化したことはどう役立つか ④今後のヨーガに対する展望
ロナウラの伝統的ヨーガ
ロナウラの『カイヴァリヤダーマ研究所』で指導されている「ヨーガ」は、ヨーガの枠組みを決めている「パータンジャリ」の『ヨーガ・スートラ』と、中世の「ゴーラクシャナータ」系の「ナータ派」で発展した多種多様な「ハタ・ヨーガ」の技法の伝統に立脚しています。
そして、「ヨーガ」の伝統的なリソースに根拠を置きつつ、1920年代にインドで始まった近代的ヨーガ研究の発祥の地としての一貫性を保ちながら、合理的な理論とスタンダードな技法の体系が構築されています。
また、宗教色・ヒンドゥー教色のないニュートラルで学術的なヨーガとして、インドの教育・医療分野や政策レベルでも、ロナウラの理論と技法が、実質的なヨーガのスタンダードと見なされて来ました。
一見地味なメソッドですが、一度身に付けておくと、一生マイペースで続けて行けるシステムとして、心身の健康の維持・促進から、無理なく「プラーナーヤーマ(呼吸法)」から「瞑想法」へと進む基礎を築いてくれます。
「ヨーガ」のルーツはインドにあります。ヨーガに興味のある方は、何らかの形で「インド」との接点を持って行くことが有利と思います。その場合、ロナウラが最短コースとなると思われます。
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『カイヴァリヤダーマ研究所・付属カレッジ』への短期留学
総括レポート:「S.T.」さん(東京在住)とY.M.さん(千葉在住)
カイヴァリヤダーマの試験についてのレポートを送らせていただきます。
試験内容のみならず、「あそこでの勉強は一体なんだったのか?」できるだけ学びの輪郭がわかる形でレポートさせていただきました。
「M.Y.」さんと共同という形で作成しました。レポートのオオモトは私「S.T.」のほうで作成し、各科目の感想を「M.Y.」さんに書いていただいています。
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今回は、カイヴァリヤダーマのCCY(証明書取得コース:6週間)での「終了試験」についてレポートします。6週間コースとはいえ、大学機関に相当する学術内容を学習するため通常の講義、試験内容は非常に難しいものでした。
(実技に関しては、基礎的なものなので非常にラクです)
試験内容をお伝えする前に簡単にCCYのコースの全体的な印象をお伝えします。
0)CCY(Certificate Course in Yoga:6週間コース)とは?
もともとカイヴァリヤダーマはヨーガの研究施設(1924年創立)でしたが、その後、指導者育成を目的とした教育施設を併設しました(1951年)。それが、今なお続くディプロマ・コース(職業資格取得の1年間コース)の始まりです。
その後、社会的ニーズも高まり、短期間で学べるコースとして、この6週間コースが生まれたようです。直訳すると、「ヨーガの証明書コース」となり、ヨーガの指導を目指す人が、証明書の取得目的で参加されるケースが主です。
参加者のYOGAに関するバックグランドは様々で、長年の実践の果てに、ようやく受講の機会を手にした年配者もいれば
ポーズや呼吸法を継続的に実践した経験のない若年層もいます。
また証明書の取得よりも、インド哲学の学習を目的とする人もいて顔ぶれの広さを見ると、日本の大学の『一般公開講座』的な側面もあります。
しかし、6週間も泊まりこむのはインド人にとっても趣味以上の覚悟がいるようです。
ただし、学習内容は本来ディプロマコースが1年かけてやる内容の基礎部分を、できるだけつめこむため、授業進度がかなり速く、濃密です(全7科目、各12~14時間で終了予定ですが予定より7時間もオーバーして補講をしたものもあります。)
証明書の取得が目的のため、当然ながら試験があるのですが、すべて英語での論文形式となり、かなりハードです(ラスト10日間が試験期間、1日1科目)口頭試験もあり。)
講義の全体的な印象
参加する前にわたしが漠然と想像していたのは、「ヨーガの聖典『ヨーガ・スートラ』を学ぶのかな?」「呼吸法の身体的効果など、研究所の過去の科学的データを見せてもらえるのかな?」 といったものでしたが、実際は違いました。
「古典」の科目はありますが、いきなり『ヨーガ・スートラ』にはいかず、ヨーガの基礎知識が網羅された別の古典教材を使いましたし、「解剖学」も、データ的なことよりも、身体構造の基本知識について学びました。
つまり、知識面としてはかなり基本的なところからの学習になりました。しかし、それでも内容としてはハードです。アプローチする心身の領域、扱う概念が大変幅広いからです。YOGAの本質的な特徴なのでしょう。
ただ、こうした「知識」の習得とは違うレベルで大変興味深い学びがありました。
それは、ここカイヴァリヤダーマでは、ほかではあまり学習できないであろう「YOGA学」とでもいうべき学問体系を独自に設計しつつ、“学びの軸”にしている、ということです。
講義には、前述の「古典」、「解剖学」のほかに「心理学」、「体育教育」、「価値教育」からアプローチしてヨーガを学ぶ科目があります。これが大変興味深いです。
たとえば心理学ですと、著名な西洋の心理学者が論じた領域に対し、「ヨーガならこう答える」という“比較学習”的にヨーガの特質を浮き彫りにしていきます(たとえば、人間の本質的な「欲求」について ユングはこう考えるが、ヨーガはこう考える、など)。
また、前述の『ヨーガ・スートラ』の主要なキーワードやウパニシャッドに登場するインド哲学の概念など、この心理学、体育教育、価値教育のなかで学習していくという、おもしろいアプローチもとります。
つまり『ヨーガ・スートラ』の本一冊を、ただ端から端へと学ぶのではなく、他の学術領域との関連・比較の中で、そのエッセンスを体得していく、というわけです。
これはまさに、「ヨーガにはヨーガの学問体系がある」という狙いがあればこその授業設計と言えます。
日本でヨーガを学ぶ…となると、用語やその意味の習得、心身の考え方などをヨーガという領域の中だけで整理、完結する「知識の習得」に終わりがちです。わたし自身、ヨーガを学ぶ今までの姿勢はそうだったと思います。
しかし、さすがカイヴァリヤダーマに来ただけの甲斐はあります。ここでは、知識としての習得よりも、ヨーガを学ぶということは一体どういうことなのか、ということを他の学問体系を引き合いにだしながら学べます。
つまり、「知識」そのものより、ヨーガの「学び方」を学ぶことになるのです。この意識変換が、今回の最大の学びだったと思います。さらに加えて言うなら、どの講義も今やっているこの学びが何のためのものか、ということを、つねに明確にします。
つまり「ヨーガが求める最終ゴールは何なのか」を論じるのです。たいてい、科目の違いはあれ「人格の完成」という言葉に落ちつきます。そして、その「人格の完成」におけるキーワードは「調和(balance)」です。
ヨーガの概論を学ぶのに、いろんなアプローチはあるでしょう。本を読む、レッスンに参加する、セミナーに行く…ただ、学ぶその場に「調和」があるかどうか?それを問おうとするのが、カイヴァリヤダーマの授業でした。
もっとも「調和とは何か?」これは大きな問いです。でも、単に知識として学習して、「ヨーガを知ったことにする」というのではなく、「これを知ったことで、自分の何が変わるのか」というところまで考えることが、調和につながるカギだと思います。
カイヴァリヤダーマの講義はこうしたヨーガの学びを深め、発展させていくことと、自分の人生を関係づけるうえで非常に有効的な授業内容だったと言えると思います。
1)修了試験・理論編
ここから試験内容をレポートします。インドで最も歴史ある、由緒正しいヨーガ・インスティチュートの試験とあって、非常に興味深いものがありました。
どの科目も、7題あるうちから、4題を選んで論文形式で答えます。英語の論文形式は、慣れていないと、日本人にとっては非常にハードです。
幸いにも、現在ディプロマ・コースに在籍中のM夫婦からエッセイのまとめ方の参考例を見せていただくなど、多大なヘルプを頂きました。お二人がいてくれたからこそ、各科目の特徴を理解し、適切な試験勉強をすることができました。
(この場をお借りして、改めてありがとうございます!)
7題のうち、いくつかは出題内容がかぶっていることもあり、1つの項目だけを詳しく述べる出題と関連する複数項目をそれぞれ簡潔に述べる出題があり、選べます。
ここでは、どういったテーマが、どんなふうに出題されるかを簡潔にレポートさせていただきます。
①ヨーガと体育教育(Physical Education/Teaching Method)
●一般社会におけるヨーガの「誤った理解」を述べたうえで、ヨーガとは何かを定義せよ ●ヨーガを学ぶことは、体育教育において、どのようなメリット(効果)があるか
●経典『ヨーガス・スートラ』における「人間の心身的構造疲労」とは何か
●ヨーガとエクササイズの違いを述べよ
【S.T.さんコメント】
身体技法としてのヨーガを体育という「教育分野」の中で行っていくのは、自然のことかもしれません。ここでは、体育教育で扱うほかの運動とどう違うかを理解することがポイントです。
ただし、体育教育に限らず、ヨーガを教育現場に用いたときに、どんな教育的配慮、効果を期待することができるか、も主題でした。やはり最終ゴールは「人格の完成」であり、それをフォローする技法と効果を学ぶ、といった印象です。
【M.Y.さん感想】
Physical Education/Teaching Methodの授業は比較的分りやすく、先生はスライドを使って説明してくれますので目と耳とで理解を深められます。
テストもそんなに難しくないです。先生は退職後もボランティアで教鞭をとってくださっています。大変熱心な先生です。
②人体の構造と機能(Anatomy & Physiology)
●呼吸器系/循環器系/消化器系の構造と機能を説明せよ
●心臓/筋肉/骨の構造・役割・種類を述べよ
●アーサナ/プラーナヤーマ/クリヤの種類と、身体に与える効果を説明せよ
【S.T.さんコメント】
身体の組織、器官の構造や機能については、もはや大学受験の「生物」とほぼ一緒です。用語暗記が大変で、図解して解答する問題もあります。
そして、はずせないのがヨーガの技法が身体に与える影響です。筋肉は? 神経は? 代謝は? 血液は? 心理効果は?
多くの視点から効果を確認していくのが特徴です。
【M.Y.さん感想】
アナトミーのクラスは範囲が非常に広くクラス・テストともに大変苦労しました。クラスはものすごいスピードで進んでいきます。
テストは最終日でしたので、他のクラスの内容を把握してから、という前提ですが、英語で器官の名前を覚えるのはとても苦労します。
③伝統的ヨーガ(Traditional Yoga)
●ヨーガを取り組むうえで欠かせない“精神修養の原則”とは何か(「サンヤマ」とは何か)
●ヤマ(10原則)/ニヤマ(10原則)/アーサナ/プラーナヤーマとは何か述べよ
●ナディ/チャクラについて述べよ
【S.T.さんコメント】
テキストとして使用したのは「スワーミー・チャランダース」が記した古典でそこでは、ヤマ・ニヤマの前に行う精神修養が20項目近くあり、ヤマ・ニヤマもそれぞれ10原則あり・・・と、パタンジャリの『ヨーガ・スートラ』とは違うものです。
ただし、アーサナ・プラーナヤーマの種類、チャクラ、ナディ、クリヤ、バンダなどの説明が豊富で、ヨーガの基礎事項がすべて網羅されているような古典テキストでした。基本的にテキストを覚えれば答えられるので、もっとも日本人には慣れた形式のテストかもしれません。
【M.Y.さん感想】
ヤマ・ニヤマをより深く学ぶ良い機会です。クラスは大変興味深く、ひとつずつ丁寧に紐解いていきます。テストはひたすら暗記です。
サンヤマ16項目、ヤマ・ニヤマ20項目のサンスクリット語と英文の説明を暗記しました。暗記ができれば問題無いです。
④ヨーガと価値教育(Value Education)
●「価値」の概念を説明せよ。「価値教育」の特徴、必要性について述べよ
●インドの伝統的な価値体系である「プラシャルタ」と「パンチャコーシャ」を説明せよ
●ヨーガを学ぶことは、価値教育においてどのような効果があるか述べよ
【S.T.さんコメント】
扱っているテキストは、約30年前に、インド人の教育関係者数名によって書かれたというものです。原本はすでに品薄で、デリーの大学にしかない・・・という希少本です(価値教育に関する質のよい参考資料が少ないとのことでコピーで勉強しました)。
価値には「絶対的なもの(健康、幸せなど)」と、「手段的なもの(お金、服など)」があり、より高い次元の価値に目覚めていくには段階がある。
より本質的なものを選ぶのに価値教育、そしてヨーガはどう貢献するか(カルマヨーガ、ヤマ・ニヤマの実践など)というのが大きな意味での内容でした。
【M.Y.さん感想】
CCYスチューデントの難関です。内容は大変深く、資料は非常に難しい英文です。英語レベルが高い学生でも、資料を読むのに大変な時間がかかります。ディプロマ・ースの学生のヘルプが無かったら理解できなかったのではないかと思います。テストは論文形式で、ある程度の英語能力がないと厳しいです。
⑤ヨーガと心の健康(Mental Health)
●心理学的な視点からYOGAを定義せよ。また心理学的手法でYOGAを理解することの効果と限界を述べよ
●心理学とYOGAで扱う人間の「正常性(normality)」について、違いを述べよ
●『ヨーガ・スートラ』における「人間の生来的な混沌(無秩序状態)」とは何か
【S.T.さんコメント】
「心理現象をどうとらえるか?」西洋主体の「心理学」の学問体系と比べてインド哲学の概念がどう違うか、その特徴が際立つ講義でした。
「心理学で扱える心の領域は、現象として見える範囲での心理的側面だが、YOGAでは、自己の存在性(本質)を認識していく
特別な次元での意識(超越意識)を扱っていく」というような内容が繰り返し出てきます。
最終的には、「心理学で理解できない人間の本質をヨーガは規定しうるだけの理論体系がある」ということが主題のようでした。
【M.Y.さん感想】
こちらもCCY難関です。授業はスライドは使わず教科書もほとんど使いません。校長先生のクラスです。
印象に残っているのはクレーシャとアンタラヤの説明です。人間の心とはなんと奥深いのでしょう。クラスについていくのは非常に困難で、英語は詩的な印象で話がいろいろな方向に飛んでいきます。ある程度のヨーガ哲学の理解が事前に無いと難しいでしょう。
テストももちろん難関です。こちらもある程度の英語能力とヨーガの理解がないと難しいでしょう。
⑥指導法(Teaching methods for Yogic practice)
●「指導法」とは何か? またヨーガ指導における「指導法」の必要性を述べよ
●ヨーガ指導の背景にある「科学的な原理、方針」を述べよ
●ヨーガ指導者に求められる人格性と、クラスマネジメントを説明せよ
【S.T.さんコメント】
非常に細かく指導テクニックの確認をしていきます。レッスン構成では、ヨーガの理解を深めるトークの内容から、生徒の身体的バックグラウンドの確認、ヨーガにふさわしい指導者の振る舞いまで箇条書きしていきます。
【M.Y.さん感想】
クラスの内容はわかりやすく、すでにインストラクションを行っている方には再確認できる機会になるでしょう。実技で英語のレッスンを受けるため、その時点で、ある程度内容は把握できてくるためテストは問題無いでしょう。
⑦口答試験(Viva-voce)
●ヨーガ的思想について(なぜ健康であることは大切か?健康とは何か?ヨーガを実践する目的は?)
●ヨーガの知識について(アーサナ・プラーナヤーマ・チャクラ・ナディ・ヤマ・ニヤマとは何か?)
【S.T.さんコメント】
面接官がふだんの先生であれば安心するところですが、外部の先生を招いての試験ですので緊張度は半端ないです。
約10分程度ですが、的確に答えられない場合は次々に質問内容が変わり、話題の展開が早いです。しかし、これは面接官の親切心からで、自分の答えられる質問になると、十分な時間を与えられいいところをアピールできます。
【M.Y.さん感想】
こちらは事前勉強のしようがないです。全体的な事を把握できていれば質問は難しいものではなく、充分に答えられるような内容です。ちなみに私【M.Y.】の質問は、
・チャクラの名称7項目
・クリヤの名称6項目
・なぜ健康である必要性があるか
でした。
日常会話ができれば聞き取り、解答ともに問題無いと思います。
2)修了試験・実技編
【S.T.さんコメント】
約20ポーズの基本的なアーサナのテストです(ヴィパリータ・カラニ、ブジャンガ、ワックラ、ブリクシャなど)。
グループごとにわかれ、順次ポーズをとり3人の面接官が近くまで来て、
・完成ポーズまでのプロセス
・完成ポーズの状態
をチェックします。
ポーズのほかに呼吸法(アヌローマ・ヴィローマ)とウディヤナバンダのテストもあります。
【M.Y.さん感想】
いつもどおりリラックスして行えば大丈夫です。インド人学生たちの中には、初めて習うといったアーサナもありますが、日本人で、すでにヨーガ経験があれば(もちろん無くても)とくに心配ないでしょう。
3)教育実習(ティーチング・レッスン)
【S.T.さんコメント】
・教育実習の内容と手順
一人1ポーズの課題が与えられ、20分の授業を展開します(時間厳守)。
主な内容は
・ポーズをスムーズに導入するためのプレトーク(ヨーガへの動機づけ、理解を深める)
・ポーズの説明(特徴、手順、メリット、注意点、デモンストレーション)
・ポーズの実践(個人練習、グループ練習)
・授業のしめくくり(質疑応答、参考資料など)
評価対象として、トークの内容以外にも ・どんなツールを使ったか(黒板、説明ボード、スライドなど)
・レッスン場全体の使い方(生徒の配置、指導する際の移動など)
なども入ります。
【M.Y.さん感想】
メモ紙を持参してOKです。黒板に難しい単語を記載しておいて、読み上げることもできます。当然ながら英語で20分間です。簡単な表現方法でもクラスは出来ますので大丈夫です。
4)総括編
①『カイヴァリヤダーマ』の6週間コースを受講する価値はあったか
【S.T.さんコメント】
ほかでは得られない経験を得られたと思います。やはり「大学機関で勉強する」というのは、ほかの研修コースやアシュラムでは受けられない、学術としてのヨーガを学べます。ただ、やはり6週間では非常に短い・・・!という印象です。
また、実技面に関しては
・ポーズの指導を大変ゆっくりと丁寧にやる点、
・必要以上にポーズ補助を行わず、自主的な訂正を促していく点 などはとてもよかったです。
ただし、プラーナヤーマ、クリヤの実践は6週間では基礎しか学べず、これはもう仕方ないという感じです。
【M.Y.さんコメント】
6週間はあっという間でした。アシュラムでヨーガを勉強した時はもっと宗教的な事や瞑想などの時間もありましたが、こちらは大学、ヨーガの研究に来たのだと実感できるものでした。
全てを把握するにはとても難しいですが、それでも終わってみると、今まで知らなかった事を沢山理解できていることに気づきます。
実技は初級編です。ベースをしっかり学びます。テスト期間中にディプロマ・コースのクラスに参加できたのはラッキーでした。
②ロナウラの総合的な学習環境はどうであったか
【S.T.さんコメント】
細かいところ・・・ネット環境や、住居設備の環境など、不十分なところは残念ながらあります。
(図書館のパソコン4台はつねに満員。部屋の机、電気、本棚などは学習環境としては期待できません)
しかし、食事は治療施設と同じものであるため、大変美味しく安心ですし、クリヤのための水洗場、アーサナのホールは充実していました。また、先生方の指導は大変熱心でしたので嬉しかったです。
個人的には、カイヴァリヤダーマのどこかしこで目に入るデカン高原の粗く削られたような大地や、うねるように伸びる木々などを前にすると、ヨーガが過酷なこの地で生まれたことに説得力を感じます。やはり「インドで学ぶ」という環境は素晴らしいと思います。
【M.Y.さんコメント】
申し分無い施設です。病院らしく清掃も行き届いています。食事も美味しいです。ただ、高速道路の音がうるさいのだけは難点です(5年前に出来たそうです)。
先生方はいつでも丁寧に質問に答えてくれます。他の場所でヨーガについて質問するのとはスケールが違います。インドでもっともヨーガを研究している先生方からの答えですから、奥深く、信頼できます。
③6週間コースで消化したことはどう役立つか
【S.T.さんコメント】
正直、今、自分がどれだけ消化できているか…わかりません。「ヨーガの深淵をのぞき見た」という感じで、これを人生に役立てるには、知識ではなく、もっと体験としての人生経験が必要な気がします。
しかし、今、自分が行っているレッスン指導では、アーサナの考え方、意識の向け方などでは進歩があったように思います。「体にいいからやる」というレベルをじょじょに脱皮し、「体に影響を与える“意識”のほうをコントロールするためにやる」という次元へ、確実にシフトしている手ごたえはあります。
【M.Y.さんコメント】
実際、日本に戻って自分の生活にどう影響してくるのかと思いましたが、表面上は以前と変わり無く過ごしています。
ヨーガのレッスンもカイヴァルヤダーマで教わった事を少しずつ取りいれています。もっとも信頼できるカイヴァルヤダーマで勉強してきたと言う事は自信にもなっています。
ヨーガや瞑想へ対しての迷いみたいなものはすっかりなくなりました。これから少しずつヨーガを深めていきたいと思います。
④今後のヨーガに対する展望
【S.T.さんコメント】
今までヨーガを通じて心と体にいい影響があるのを、個人的な体験として実感し、そのメカニズム(理由)を知りたくて学んできました。
相方先生のセミナーやこのカイヴァリヤダーマで学んだことで、背景にある理論体系が、少しずつですが理解できてきました。
思った以上に、「心」という存在はやっかいであり、不思議でありこの実在を理解し、統制するのに、「体」を手段として利用することは、大変有効だとわかりました。というより、体を抜きにしてはもはや最初の一歩はあり得ない、と。「心と体でできている」という当たり前な、でもじつは深めると複雑な、人間の基本構造が見えてきました。
こうした学びを体験すると、体だけを主体とする「エクササイズとしてのヨーガ」はもはやできません。観察する対象は体を超えて、心の状態、意識そのものになっていきます。
また、「ヨーガはこの点で優れているから、心と体に効く」というヨーガの技法を前提にするだけの理論ももはや不十分な気がします。
効果があるところの心と体とは一体何なのか、そこがわからないから、ヨーガ以外の時間、日常生活は苦しいままなのだから。
「人間が本来もっている心と体の構造が×××だから、ヨーガは手段として有効である」。このレベルで考えられる知恵をもっと深めたくなります。前提にあるのはヨーガではなく、人間のほう。
今度は、ぜひカイヴァリヤダーマのディプロマ・コース(一年間)に参加して、ぜひヨーガの真髄と自己の存在、さらに相方先生のお言葉をお借りすれば「普遍的な教え」を学んできたいと思います。
【S.T.さんコメント】
日本でのヨーガの実態に少々困惑しております。まだまだ商業的なヨーガが流行っています(ヨーガとも呼べないような…)。
これは本物を経験したからだと思います。カイヴァルヤダーマで学んだ事は私の中のベースになってくれると思います。今後日本におけるヨーガが、少しずつ本来の目的に近づけることを望みます。
ヨーガは学べば学ぶほど益々奥深い所へ入っていって終わりがないです! ですので、これからも少しづつ学びつづけます。
今回、インドへ短期留学し本当に勉強になりました。この経験は生涯私の財産です。
相方先生ご夫妻には、大学滞在のみならず、ロナワラ・ヨーガ研究所訪問、プネー探索など、有意義な滞在の機会をセッティングして頂きまして、本当にありがとうございました。大変よい学びの経験を得ることができました。心から感謝申し上げます。
2009年4月23日木曜日
ロナウラ6週間コース(CCY)総括レポート
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