2012年4月5日木曜日

ロナウラ編2012(3)

2012年2月26日(日)ー3月11日(日)の15日間、インド・マハーラーシュトラ州ロナウラのカイヴァリヤダーマ研究所で実施された「ロナウラ編2012」のフィードバック・シリーズです。

「ロナウラ編2012」には15名の方が参加されました(男性3名・女性12名)。今回は、神奈川在住のM.S.さんのフィードバックです。

M.S.さんは会社勤務に一区切りを付けられた後、3年間のユーラシア大陸20ヶ国旅行中にインドに半年滞在、ヨーガと瞑想に興味を持たれました。

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【ロナウラ編2012】

日程:2012年2月26日(日)ー3月11日(日)
期間:15日間+追加プログラム
施設:カイヴァリヤダーマ研究所
参加:15名
内容:HCC(ヘルスケア・センター)+クティでのクリヤー・ヨーガ
講義:伝統的ヨーガと近代的研究(Asana, Pranayama, Meditation)

食事:菜食インド料理(自然療法の食事法に準拠)
費用:必要経費+ダーナ制
追加:自然療法/アーユルヴェーダ、ロナウラの石窟寺院探訪、
プネー散策、世界遺産エローラ探訪 etc.

「ロナウラ編2012」の共同アルバム→
https://picasaweb.google.com/103061544163066016927/2012INDIALonavla?authkey=Gv1sRgCP-eybDGjtSACg


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日本でも、ヨーガの分野でのロナウラの重要性とメリットへの認識が広まるのは、望ましいことに思えます。

インドの伝統的ヨーガには、悠久の昔から、人間の身体と心と精神を探求して来た知識と技術の蓄積が伝承されています。伝統的なヨーガのリソースは、1920年代以降ロナウラに蓄積され、ロナウラで研究されて来ました。

来年も、2013年2月24日(日)ー3月10日(日)の日程で日本人の方対象の「ロナウラ編2013」が実施される予定です。


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カイヴァリヤダーマ研究所
Kaivalyadhama Yoga Institute Lonavla-410403, Dist.Pune, Maharashtra, India
http://www.kdham.com/

カイヴァリヤダーマ研究所は、近代的ヨーガ研究のパイオニアであるスワーミー・クヴァラヤーナンダ(1883-1966)によって、1924年にインド・マハーラーシュトラ州のロナウラに設立された、インドで(世界で)初めてのヨーガの学術的研究所です。

カイヴァリヤダーマ研究所で、伝統的なハタ・ヨーガの技法の生理学的・心理学的な効果が実証的に研究されたことで、ヨーガが一般社会の教育・医療分野で応用される方向性が確立されました。

現在、キャンパス内では
・サイエンス・ラボ(Scientific Research Department/SRD)
・哲学・文献学研究室(Philosophico-Literary Research Department/PLRD)
・付属カレッジ(G.S.Colledge of Yoga/GSC)
・ヘルスケア・センター(Health Care Center/HCC)
・付属小中学校(Kaivalya Vidya Niketan/KVN)

などが運営されています。

ヘルスケア・センター
(S.A.D.T.Gupta Yogic Health Care Centre)

ヘルスケア・センターは、1961年に、インドで初めて、ヨーガを療法的に応用する専門施設「Yogic Hospital(ヨーガ病院)」として開設されました(Amolak Devi Tirathram Gupta Yogic Hospital)。

現在で、ヨーガと自然療法・アーユルヴェーダの組み合わせによる統合的な保養・療養センターとして運営されています。

専属の医師とインストラクターが常駐し、ヨーガや自然療法を体験する保養的な滞在から、アーユルヴェーダによる病気治療・症状改善に対応しています。

ロナウラ学派の伝統的ヨーガの特性

ロナウラ学派の伝統的ヨーガは、ヨーガの理論的枠組みであるパタンジャリの「ヨーガ・スートラ」と、中世のナータ派の「ハタ・ヨーガ」の伝統に立脚しながら、近代的な研究成果に裏付けられた合理的な理論とスタンダードな技法体系を持ちます。

そのため、インドの教育・医療分野や政策レベルでのヨーガも、ロナウラ学派で構築された理論と技法が、実質的なスタンダードと見なされて来ました。

ロナウラに蓄積されているヨーガのリソースは膨大です。昨今の世界的な「ヨガ・ヨーガ」の表層的な流行とは無縁ですし過剰な宗教色のないニュートラルで学術的な内容です。

一度身に付けると、一生継続が可能な技法体系であり、ヨーガから期待される必要十分な効果を、誰でも享受出来るように構築されています。

ロナウラ学派の方法論で、身心の健康は十分に維持・促進されますし、無理なく、プラーナーヤーマから瞑想法へとステップ・アップして行く基礎が築かれます。



ロナウラ編2012・フィードバック・シリーズ③
神奈川在住のM.S.さん(男性)

「ロナウラ編2012」は私にとって大変意義深いものでありました。
参加の機会を与えていただいて本当に感謝しています。
ありがとうございました。

以下、フィードバックになります。

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【プロフィール】

1.住んでいるところ
神奈川県横浜市

2.現在されていること(仕事etc.)、今までにされてきたこと
・2007年12月にIT系企業を退社し、 その後2010年10月までユーラシア大陸20ヶ国を旅して周りました。
・現在近所の雑貨店に勤めています。

3.関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
タイ古式マッサージ。
Vipassana瞑想は生涯続けていきたい。

4.ヨーガ歴・プログラムへの参加歴
ヨーガ歴、3年程。
相方先生のプログラムは、「ワンサニット2011」に続いて今回で2度目です。

5.ヨーガがご自分に持つ意味
人生の指針となるもの。

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【フィードバック】


1.カイヴァリヤダーマ研究所(Kdham)について

1.1.ロナウラという環境

昼夜での寒暖の差が激しく、日中は35℃程でも夜は10℃を下回ることも。

湿度が低く乾燥しており埃っぽい。 初めはとても厳しい環境のようにも感じましたが、 慣れてくるとメリハリのある気温差が心地良くなります。

近くに仏教遺跡があり、多くの僧が岩山の洞窟で瞑想していたことを考えると、禁欲的で静かに自己を追求していくには適した環境なのかもしれません。


1.2.研究所の施設と全体の雰囲気

到着するまでは、普通の大学のキャンパスを想像していました。 ですが、実際に滞在してみた感覚では、大学のキャンパスとアーシュラムが融合したような雰囲気でした。

世界各国から療養等のために訪れる方々と毎日規則正しい生活をしているとアーシュラムにいるような感覚になりますが、一方でハタ・ヨーガを科学的に分析するための数々の機器や施設、膨大な文献を保存している図書館、広い部屋に一人で黙々とアーサナをしている学生等を見ると、やはりヨーガの研究所だと感じます。

敷地内には自然療法、アーユルヴェーダの施設、そしてハーブガーデンがあります。こちらは比較的のんびりしてリラックスした雰囲気でした。

また、停電が多いこともあってか、風力発電の為の風車が幾つか建っていました。

敷地外に牛舎とスワミジが滞在するクティがあり、その周辺では気が引き締まるような空気を感じます。

研究所の直ぐ脇に高速道路が走っており、日常的に車の走る音が聞こえてきます。日常生活に支障は無いですが、気になる方はいるかもしれません。


1.3.ゲスト・ルームと食事

私はファミリー・スーツの3人部屋に滞在しました。 ツインベッドの部屋とダブルベッドの部屋の2部屋あり、とても広く荷物の少ない男性陣には持て余す程でした。毎日掃除してくれるので室内は清潔です。

温水はソーラーで温めているようですが乾季で毎日天気が良く、ホットシャワーを毎日問題なく使うことができました。

食事は、朝が軽めで1日3回。3時にはフルーツが出ます。

辛さや塩気等が比較的抑えられているので 身体に優しく感じます。研究所での滞在の後、 街で食事をした時にとても味が濃く感じました。


1.4.講義室・実習室

講義室は2階にあり20人程が入れる部屋で風通しよく、日中でも割りと涼しく感じました。

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実習室は3つとネーティ用の部屋が1つあります。

アーサナ・クラスの部屋は講義室と同じ棟に1つと別棟に2つあり、別棟の2つは少し埃っぽい感じがしました。用意されているマットは汚れの激しい物もありましたので、上に敷く用の布を持参することをお勧めします。

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ネーティ用の部屋は10個程の洗面台が仕切りによって区切られており、それぞれに小ぶりの壷とカップ、そして塩が用意されています。かなり熱めのお湯が出るようになっており、とても便利に使えました。

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1.5.スタッフの対応

全体的にとても親切だったと思います。インドであることを忘れてしまいそうな程です。評価制度があるからでしょうか。



2.ヘルスケア・センター(HCC)の1週間コース

2.1.実習クラス
(クリヤー・アーサナ・プラーナーヤーマ・トラータカ etc.)

クリヤーは毎朝6時の御茶の後にクリヤー・ルームで行いました。初めての人にはスタッフが解説とデモンストレーションをしてくれます。

クリヤー・ルームは開いていれば使えるようなので、各自で早朝や夕方にネーティをする人もいらっしゃいました。塩やお湯が用意された専用の場所があるというのはとても便利でありがたいです。

そして、やはりこういった環境で集中して毎日クリヤーをすると呼吸器の感覚が鋭敏になり、プラーナーヤーマの時に微細なコントロールがし易くなりました。

アーサナ・クラスは、セラピー、ベーシック、アドバンスの3クラスに分けられており、セラピークラスの参加者は年配の方々が多く、簡単な手首の運動から比較的容易にできるアーサナとプラーナーヤーマで構成されます。

ベーシッククラスは、3クラスの中では
最も相方先生のインストラクションに近いクラスでした。私はベーシックが一番リラックスできたクラスですが、もう少しゆっくりでキープ時間が長くても良いかなと感じました。

トラータカは2回セッションがありました。2回目はかなり長めで5分以上蝋燭を眺めていた気がします。

蝋燭を見つめる前にカパーラバーティとプラーナーヤーマを行いました。それがあったためか、心が平静になり長時間でも苦になりませんでした。


2.2.スタッフの講義

(バレーカール先生、ジャガディーシュ先生、ボーガル校長 etc.)

バレーカール先生はヴィパッサナー瞑想を実践している方で、瞑想やプラーナーヤーマの講義、実習では、ヴィパッサナーのコンセプトを交えた説明が非常に納得のいくものがありました。

ジャガディーシュ先生の講義はアーユルヴェーダの知識があまりない私にとってとても勉強になりました。

ボーガル校長の講義は抽象的な話が多く、正直理解するのが難しかったです。


2.3.自然療法/アーユルヴェーダ

自然療法で Mud Bath という全身泥パックを受けました。 全身泥で塗られ20分程そのままで待ちます。効果は肌がすべすべになったようなそうでないような・・・

実際は長期滞在中の自然療法プログラムの一環として取り入れていくものだと思うので、そもそもこれだけで効果を望むものではないのかもしれません。


2.4.さらに興味を持たれたこと

いままで自然療法に関して触れる機会があまり無かったので、できれば長期滞在で自然療法のプログラムに参加してみたい。

 

3.クティ(Kuti)での「クリヤー・ヨーガ」の1週間コース

3.1.クティ/アシュラムの雰囲気

少し高台にあり、細い階段を上がっていくと一般の生活からは隔絶された雰囲気があります。

隣に高速道路が走っていますが、クティの中にいるとなぜか車の音が気にならず静かに感じます。

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3.2.スワーミージーの印象

いつも自分のペースを守り自らの仕事をこなしており、周りの人、物に全く影響されていないように感じます。

過度に厳しくもなく、過度に優しくもない。いつも自然体でいる。スワーミージーのようになれたらとても楽なのではないか、と感じさせる方でした。


3.3.「クリヤー・ヨーガ」のプログラム


1日3回朝昼夕、クティでマントラとヨーガ・スートラ、そしてプラーナーヤーマを練習しました。

始めの3日程は集中がなかなか続きませんでしたが、日毎に徐々に集中が高まり、最終日は非常にリラックスして集中できました。

環境や毎日の食事等、このプログラムだけの成果ではないと思いますが、1日数回のプラーナーヤーマを実践することの重要性が体感できたと感じています。



4.ロナウラ・ヨーガ研究所(LYI)について

4.1.ロナウラ・ヨーガ研究所のオフィスの雰囲気

マンションの1室をオフィスとして使用しているようで、堅苦しさは無く、アットホームな雰囲気が漂っていました。


4.2.ディレクターのマンマット・ガロテ博士の印象

とてもフレンドリーな方で、私達の質問にも丁寧に対応してくださいました。研究活動に関しては非常に熱心に説明されていて、研究に対する信念と志しの高さを感じました。


4.3.ヨーガ文献の研究活動について

膨大な量の文献を処理していく作業は、とても根気のいる大変な仕事だと思います。

しかし、この研究活動を通じて多くの国の人々が本来あるべきヨーガの知識に触れ、正しい理解のもとに実践することができるのであり、 私達がサポートすべき大切な研究活動だと考えています。

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6.ロナウラでの研修の全般的な総括


6.1.「ロナウラ編」に参加したメリットがあったかどうか

インドのロナウラという厳しい環境でコースを体験する事は、大変貴重な経験でした。

そして、ハタ・ヨーガの科学的研究のパイオニアであるカイヴァリヤダーマ研究所で、様々なコースやプログラムの体験を通し、自らに起きる結果を理解できたことは、私自身に大変大きなメリットがあったと感じています。


6.2.ロナウラに来て深まった体験や理解について


プラーナーヤーマが自分の精神に与える影響を、クリヤー・ヨーガのコース体験を通して僅かですが理解できた気がします。

私達は1回のプラーナーヤーマですぐに効果を求めてしまいがちですが、日々数回そのパターンを続けていくことが重要だという相方先生の言葉を私はようやく体験を通して解りかけてきたようです。


6.3.ご自分の今後のヨーガの方向性について

今回プラーナーヤーマの重要性を体験的に理解できたことから、現在自分の実習は徐々にアーサナ中心からプラーナーヤーマ寄りにシフトしています。

プラーナーヤーマ寄りと言うより、アーサナはそのままでプラーナーヤーマの時間と1日の回数が増えた感じです。やはりそうすると瞑想の時の集中力、心の平静さが変わってきます。自分の無理のない程度で毎日の実習を続け、少しずつ文献の理解を深めていこうと考えています。


6.4.今後ロナウラでヨーガ研修を考えている方へのアドバイス

研究所には貴重な文献や書籍が豊富に揃っています。大いに活用してください。

ロナウラの乾季はかなり乾燥しています。今回ノドを痛めている方が多かったので、マスク等何か対策していくことをお勧めます。

研究所の先生方にはいろいろ質問してみてください。それぞれの分野で深い知識をお持ちです。私ももっといろいろと聞いておけば良かったと、今になって思っています。



6.5.インド全般のご感想 etc.

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私は2年前にインドに来たことがありますが、当時と比べて経済状況も変化が大きく、ムンバイでは以前より裕福な層がかなり増えて物価も大分上がっていました。

これから国の発展と共にもっと急激に変化していくと思います。旅行者が求めるようなノスタルジックなインドの雰囲気も徐々に姿を消していくような気がします。

インドと世界の大きな変化と共に、ヨーガや私達に関する状況も変化していくと思いますが、変化を恐れず常にあるがままを見つめ、受け入れていければ良いと思います。

以上です。ありがとうございました。


(この項続く)


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