2008年9月15日月曜日

夏合宿セミナー・フィードバック(5)

夏合宿のフィードバック・シリーズ(5)
             
『タイでの合宿セミナー2008年8月』シリーズです。
合宿セミナーに参加された方からのフィードバックが続いています。 
                       
今回は愛知在住の「T.M.」さんのフィードバックです。好奇心旺盛な20代の女性です。
  
「T.M.」さんはタイが好きで、しばしば旅行で訪ねて来られていましたが、うちの「ブログ」でタイで「ヨーガ」の合宿セミナーが企画されていることを知り、2005年に『ワンサニット・アシュラム』の合宿セミナーに参加されました。
 
その後、『ワンサニット』での2006年お正月合宿セミナーにも参加、引き続き、インドで2006年1月17日の『ロナウラ・ヨーガ研究所』主催の「M.L.ガロテ先生一周忌記念・第1回国際会議」に参加されました。これはタイ組と企画された「インド研修ツアー」の一環でしたが、「T.M.」さんも同行、ロナウラの後、タイ組とリシケーシュにも行かれました。
     
(リシケーシュでは『ダヤーナンダ・アシュラム』に滞在したのですが、「T.M.」さんはご実家が神道の「神主」の家系で、「アシュラム」付属のヒンドゥー寺院での毎日の礼拝行事(プージャー)と神道の礼拝行事の類似性に強い好奇心を持たれ、帰国後、神道系の大学で神主養成講座(受講生は神主の家系限定)を受講された、という後日談があります)。
             
ヒンドゥー教と神道・仏教
   
インドのヒンドゥー教と日本の神道はどちらも「民族宗教」というカテゴリーに分類される、親戚同士の宗教です。ユダヤ教も同じカテゴリーです。
 
つまり、その文化に生まれることで自動的に所属が決まる宗教で、個人の意志で選択可能な「キリスト教」や「イスラム教」や「仏教」とは性格が異なります(それらは「民族宗教」に対して、「世界宗教」と呼ばれます)。
 
ヒンドゥー教はかって東南アジア全般に伝搬していました。カンボジアのアンコールだけでなく、現在のベトナムにまでヒンドゥー教時代の遺跡(チャンパ王国)が残っています。
 
ヒンドゥー教は、かっては現在の「インド共和国」の国境線を遙かに超えた地域まで広がっていた宗教文化、という歴史認識は大切でしょう。
  
日本の「精神性」は、古来からの神道の土壌の上に大陸から伝搬して来た仏教が影響を与えたもの、と言えるでしょう。日本の文化にどこまで「仏教」が根付いたかは、さまざまな見方が出来る興味深い話題です。
 
タイのような上座部仏教国から見ると、日本にはヒンドゥー教や仏教の行動原理の中核である、「因果応報の法則(カルマの法則)」に基づく強靱な個人主義が根付いていない、ように見受けられます。
 
逆に、日本の文化には「色即是空・空即是色」という大乗仏教の「空性」の論理に基づく感性が良く溶け込んでいるように思えます、と言うか、「仏教」の中でも、日本的感性でフィルターが掛けられて残ったものが日本に受容されている、ということでしょう。
      
「色即是空・空即是色」は「インド哲学」による存在理解のひとつの表現ですが、それを哲学的に、論理的に突き詰めて解明するというような思想活動は、日本の文化土壌には向いていないようです。
               
また、インド人やタイ人のように、己の思考と行動のみが自分の未来を左右し、自分の精神性を向上させる、という「因果応報の法則」を背負った明晰な生き方を貫く、ということも、どうも日本の文化土壌には合わないようです。 
      
いずれにしても、興味の尽きない話題ですね.....
      
今、日本で目にする形態の「葬式仏教」を基準にして、古代のインドに発祥し、アジア全般に伝搬し、長い年月に渡り数知れない人々の人生を良い方向に導いて来た「仏教」という哲学・宗教思想の価値を判断することは出来ないものです。
   
「ヨーガ」に興味を持つひとは、「ヨーガ」の勉強の過程で「仏教」への幅広い教養も深めることが、とても有利になります。そのことで、なぜ、自分はあえて「ヨーガ」を選ぶのか、という自覚への厚みが増すことになるでしょう。
       
昨今流行の、アメリカから来たような商業ヨガ・ヨーガのサル真似をして喜んでいるようでは、日本人としての「精神性」のルーツを無視することにもなります。
 
わが恩師の「M.L.ガロテ」先生は、西欧式の流行ヨガ・ヨーガのことを、いつも「Superficial(薄っぺら)」と、一言で切って捨てておられました。
    
タイという文化土壌で、仏教の「精神性」の深いうちのタイのスタッフ連と「ヨーガ」の仕事を進めながら、最近、ガロテ先生のその言葉の意味をつくづく思い起こすことが多くなった、ように思います。
    

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『パナ・ソム(Panasom)』での合宿セミナーのフィードバック
(T.M.さん、愛知在住)
 
 
1)『パナ・ソム』の場所と環境  
 
私は、集合の時刻に間に合わなかった為、空港からTAXIで向かいました。空港から1.5時間くらいです。郊外のためか、ドライバーさんが道に迷い、パナソムのスタッフさんと携帯で何度も連絡をしてもらいながら、やっと見つかりました!
  
環境は、とてものどかでのんびりとした気持ちにさせてくれるところです。南国特有の鮮やかな花々や、生い茂るグリーン、施設の外に広がる豊かな田んぼは「今、タイにいるんだっ!」という気持ちをぐっと盛り上げてくれます。
 
タイ人スタッフのレンさんと一緒に施設内をお散歩をした時に、いたるところに植わっている、タイ料理にかかせないいろいろなハーブや野菜、木、フルーツなどを教えてもらいました。
 
日本では目にする機会のない植物の、香りや使い道を知る事ができるのも、面白い経験だと思います。
    

2)『パナ・ソム』の部屋とセミナー室、食事etc.
   
部屋について

広々とした作りで、クーラー完備、清潔で快適でした。参加メンバーのみなさんといろいろお話ができ、とても楽しく良い経験になりました。
 
ただ、ベッドがぎゅうぎゅうに置かれているため、荷物の置き場所に困りました。6人で使うのは少し窮屈な感じです。3つのセクションに分かれているのですが、各セクションに1人ぐらいがいいかなぁ、と思います。シャワーやトイレ、洗面台も2つずつなので、3〜4人くらいだと、良いと思います。
 

セミナー室について

池を横目に魚を探しつつ、自然を満喫し、猫のモーちゃんを探しながら歩いていると、セミナー室が現れます。

窓が多く、明るく講義に集中しやすい雰囲気です。壁に描かれている白い象の絵も、タイ独特の流れるような涼やかな線や、色とりどりの装飾が素敵です。
 
食事について

野菜中心のタイ料理で、本格的、かつマイルドでとってもおいしいお料理ばかりでした。

私は、日本ではいつもなんとなく胃が重く、朝もあまり食欲がありませんでした。ところが!驚いた事に、合宿中は毎朝「ぐうっ〜」というくらいお腹がすいていたのです。
 
日中も、朝昼晩しっかり食べているのに、胃は軽く、体も軽く感じました。野菜中心のシンプルな献立の立て方は、とても参考になります。
 
合宿終了後に、施設スタッフの方から、「今後の参考にするから」と、合宿中のメニューの1つ1つの感想や、評価を求められました。スタッフの方たちの熱心さと、心づかいをとても嬉しく思いました。
  

3)合宿セミナーの講義と実習について
 
講義の内容について

今回は3度目の合宿セミナーだったのですが、はじめにきちんと基本を押さえて下さるので、しっかりと今までの復習ができました。

先生は、参加するメンバー構成によって、講義のポイントを変えてお話して下さるそうなので、参加する度に新しい知識を吸収できます。復習と、新たな学びによって理解が深まります。
 
実習について

実習も講義同様、基本の流れを押さえながら、参加する度に少しずつ違う実習に取り組む事ができるので、新鮮です。
    
安全に、気持よくYOGAを続けるために、クッションなどでしっかりサポートを入れて進めます。

ともすると、柔軟性を求めてついつい無理をしてしまいがちですが、最小限の力で快適に保持するコツをしっかり学べます。
 
今回の合宿セミナーで特に有益だったこと、理解が深まったこと

NHK仏陀の歩みシリーズを参考に、仏教がどのように伝来し、変化を遂げていったかを学ぶ事ができ、とても有益でした。
 
仏教という1つの宗教が時代と国を経て、個性豊かに変化していくさまからは、そこに広がる、さまざまな宗教観、文化、人、歴史、国、等の違いを窺い知ることができます。
 
複雑に絡まった、その1つ1つの要因を切り離して、「仏教」と考えることは、不可能であり、より俯瞰的に流れをとらえていく事が大切だと思いました。
そうすることで、仏教という宗教から広がる1つの新しい世界のとらえ方ができるように思います。
  
YOGAの理解を深めるためにも、YOGAが経てきたその時々の、世界の大きな流れや時代背景等をつかむ事が、有益だと改めて思いました。
 
もう1つ、カヴィーさんの講義は、自分自身の在り方を改めて考えさせられる内容でした。

タイ仏教徒が目指す、究極のゴールをあげた後で、「あなたたちの日本人の究極のゴールはどこにあるのか?」という問いかけには即答できませんでした。

ゴールがないという事は、さまよい続けるということ。ショックでしたが、とても勉強になりました。
    

4)合宿セミナーの全般的なご感想と、今後期待される企画 
 
恵まれた環境の中で、短期的に集中してYOGAを学ぶ経験は、とても良い心と体のデトックス&栄養だと思います。

YOGA三昧を経験すると、合宿終了後も無理なく自然とYOGAを生活に取り入れていけるようです。

今後もぜひ参加させて頂きたいと思います。今度はインドにも行きたい!と思っています。
 

5)タイランドの印象、役立つ情報など

タイはなんともいえない魅力のある国だと思います。食べ物はおいしく、見るもの全てが新鮮です♪

その中でも特に、私はタイの人々がとても好きです。笑顔が温かく、親切。穏やかで、たまに、びっくりするくらい無邪気な1面をみせてくれたりします。価値観の違いに驚くこともしばしばで、それも又楽しかったりします。
  
タイの人と同じくらいフレンドリーなのが、蚊です。虫よけは、タイではレモングラスの爽やかなものが手に入ります。が、かゆみ止めは日本の製品の方が即効性があるようです。タイでよく使われている塗り薬は、塗った所がまーるく日焼けするので注意です!
    
最後になりましたが、先生をはじめ、スタッフのレンさん、参加メンバーの皆様にも、大変お世話になりました。ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。
 
  
(このシリーズ続く)
 
 
 

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