2008年9月15日月曜日

夏合宿セミナー・フィードバック(1)

夏合宿のフィードバック・シリーズ(1)

9月に入り、今年度のバンコクのシーナカリン・ヴィロード大学・人文学部哲学宗教学科の「ヨーガ・コース」が始まりましたので、わたしたちはラームカンヘン通りの新オフィスから、大学のキャンパス内のゲストルームに移り住んでいます。

大学のキャンパスも建築ラッシュで、新しいビルやグラウンド整備の工事の真っ最中です。人文学部の前に「Learning Tower(学習タワー)」という14階建のビルが建築中です。完成したら、その中に大学の「ヨーガ・センター」も開設される予定です。
 

以下は、8月の『パナ・ソム(森のアシュラム)』での合宿セミナーに参加された方からのフィードバック・シリーズです。
         
今回の夏合宿は一般公募の公開プログラムで、10名の方が参加(男性4名、女性6名)されました。
   
参加者された方には、次の5項目でフィードバックをお願いしました。
 
1)『パナ・ソム』の場所と環境 
2)『パナ・ソム』の部屋とセミナー室、食事etc.       
3)合宿セミナーの講義と実習について
  講義の内容について
  実習について
  今回の合宿セミナーで特に有益だったこと、理解が深まったこと
4)合宿セミナーの全般的なご感想と、今後期待される企画
5)タイランドの印象、役立つ情報など
    
今回は東京在住の「E.T.」さんのフィードバックです。    

「E.T.」さんは東京在住、1926年生まれ、今年82歳、ヨーガ歴23年、ご高齢ながら、実にお元気で、呼吸法に関する研究書も書かれています。(『呼吸法:腹式呼吸の誤解を解く』 新生出版、2006年1月刊行)
 
毎年精力的に海外にも研修に出かけられ、インド訪問は20回以上、南インド・タミルナドゥー州の学校を支援するボランティア活動も続けて居られます。
 
インドでは、2006年1月のロナウラの『ロナウラ・ヨーガ研究所』の「第1回国際会議」に参加、2006年12月の『カイヴァリヤダーマ研究所』の「第5回国際会議」に参加、さらにそれらの「国際会議」の前後にわたしたちが企画したリシケーシュへのスタディ・ツアーにも参加されました。
    
また、タイでは2004年2月にバンコクで開催されたMCB財団・タイ政府厚生省後援の『第1回ヨーガ会議(Yoga Conference)』に参加、今までにわたしたちの合宿セミナーにも3回参加されています(2007年8月の『ワンサニット』、2008年1月の『パナ・ソム』、2008年6月の『穂高養生園』)。

「E.T.」さんは80代の人生の実りの時期に、「ヨーガ」によりさらに充実した悠々自適の日々を過ごされている方の、見事なお手本に思えます。

  
「ヨーガ」を自家薬籠中にするには.....
        
「ヨーガ」を自家薬籠中のものとし、長く「ヨーガ」を続けて恩恵を享受して行くには、

『パータンジャリ』(紀元前3世紀頃) ・・・・・「ヨーガ・スートラ」
   ↓
『 ゴーラクシャナータ』(10世紀頃)・・・・・・「ハタ・ヨーガ」
   ↓
『クヴァラヤーナンダ』(1883−1966)・・「近代化」

の3段階の枠組みで洞察と体験的理解を深めて行くことが最短コースです。そのことで、「精神性」の発展を前提とした、「ヨーガ」の完結した理論と実習の体系を俯瞰することが可能です。
 
「ヨーガ」を理解し、自分ものとして行くには、この枠組みで「必要十分」、と言うか、この枠組みの中身を消化して行くだけでも、ライフワーク的な作業量となります。

「ハタ・ヨーガ」は段階的に、無理なく瞑想に進んで行くように構築された方法論であり、「サマーディ(三昧)」を追求するインドの伝統的な修行体系の一種です。「ハタ・ヨーガ」は「パータンジャリ」の「ヨーガ・スートラ」の延長線上にある具体的な実践論のひとつ、と見なすことが出来ます。

一方では、近年アメリカで流行し、日本にも進出して来た「フィットネス系」の「ヨーガ・ヨガ」は、もともと上位カースト(バラモン・クシャトリア)の若年の子弟をスパルタ式に鍛えるインド式の「体操術」にルーツがあるもので、「精神性」を追求する「ハタ・ヨーガ」の伝統とは、直接の関連がないものです。

それらの「フィットネス系」の「ヨーガ・ヨガ」を、無理に真似する必要はまったくありませんし、それらは早晩、一時の流行として忘れ去られて行くことでしょう。

また、わたしたち日本人が、日常生活のライフ・スタイルまで視野に入れた総合的な「ヨーガ」のイメージを膨らませて行くには、「インド」の枠を超えてアジア全域に伝播された「仏教」の伝統への洞察を深めることが有用です。

「ヨーガ」は本質的に「サマーディ(三昧)」を追求する精神活動です。「仏教」も「サマーディ(三昧)」を前提とした「精神性」の伝統です。「仏教」のあるところには、必ず「ヨーガ」の要素があります。

その意味でも、敬虔な「上座部仏教国」であるタイで「ヨーガ」に触れて行くことには、特別な意味があります。現代のタイの人たちが、どのように「ヨーガ」を消化しているかを知ることは、わたしたち日本人にとっても非常に参考になるものでしょう。


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『パナ・ソム(Panasom)』での合宿セミナーのフィードバック
(E.T,さん、東京在住)

 
パナソムではすっかりおせわになりした。
ほんとうにありがとうございます。
レポートをお送りいたします。

1)『パナ・ソム』の場所と環境

バンコク郊外の車で市中から約1時間ぐらいのところ。都心を離れて、畑が見えるようになったなと思っているうちにPanasomの看板のある小径に入り到着です。

こんもりとした森の中に池があり、池のまわりに2階建てのコテージが散在、ベッド2つの部屋から、ベッド8つの部屋までいろいろです。クーラー扇風機つき、虫除け戸、蚊帳もあります。
  
2)『パナ・ソム』の部屋とセミナー室、食事etc.

私の泊ったのは1階でベッド2つ、浴室は、トイレが別室で、浴槽のある広い部屋は空いている床にベッドが一つはいりそう。蚊とり線香持参しましたが、使いませんでした。セミナー室もクーラーつき、扇風機あり。快適に受講できました.

食事は日本人になじみやすいタイ料理です、おかゆ、白飯、混ぜごはん、いためごはん。 そうめん、そば、うどん、みそ汁、いろんなスープ。生野菜、ゆがき/いため野菜。川魚、果物豊富。

3)合宿セミナーの講義と実習について

講義の内容について

初心者からベテランまで、どなたにも分りやすく勉強になります。インドのヒンズー教を背景として、宗教哲学の歴史の中でのヨーガを理解することの大切さをおしえられます。

さらにその中で、タイ、日本など各国の文化になじんでの影響、なじみ方をまなべます。

実習について
  
あまり難しいアーサナはなく、各人の程度にあわせてやれます。シャワアーサナで秀子先生の優しい流れる声での意識化が身にしみ込みます。ネーティの実習は他ではやれません。 

今回の合宿セミナーで特に有益だったこと、理解が深まったこと
  
各国の文化背景とヨーガのなじみ。その変化の認識。各人個々の心身に応じてのヨーガの変化と認識。

4)合宿セミナーの全般的なご感想と、今後期待される企画

上記のとおり非常に収穫の多い講座でした。この延長での発展を期待します。

5)タイランドの印象、役立つ情報など

タイは政変がありますが、一般人民には無関心のようで。日本人が3万人いるそうですが、政府関係の場所に近づかないようにすれば、問題ないでしょう。

総括して 感謝 感謝 本当にありがとうございました。

(このシリーズ続く)
       



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