2008年1月29日火曜日

お正月合宿セミナー2008(7)

『タイでの合宿セミナー2008年1月』のフィード・バック・シリーズが続きです。今回は広島在住の「N.N.」さんのフィードバックです。今年の「お正月合宿セミナー」には11名の方が参加(男性4名、女性7名)されました。
   
「N.N.」さんは大学の総務課勤務の後、現在は「セラピー」関係の仕事をされながら、「一人放浪旅」派として世界各国を探訪して歩かれています。 
   

今回も12月からインド旅行に出られて、1月2日にバンガロールからバンコクに移動して来られました。

「ヨーガ」はあるレベルから先に進みますと、「ヒンドゥー教」という大きな壁に突き当たります。   
   

「ヨーガ」はインドの「ヒンドゥー教文化」という土壌で継承されてきた伝統文化ですから、当然、ある部分から先は「ヒンドゥー教徒」でないと理解できない部分が出て来ます。
   
また、ヒンドゥー教文化では「自明」な事象のため、あえて外国人には説明されないことも、実はたくさんあります。

この問題は、外国人が「ヨーガ」にまじめな興味を持った場合、必ず直面する重大な問題であり、大きな障碍でもあります。 
    
典型的な例は
・カルマ・ヨーガ
・バクティ・ヨーガ
・ニャーナ・ヨーガ
という用語でしょう。

これらは、ヒンドゥー教徒の人々の宗教実践のカテゴリーを示
す用語です。インドのヒンドゥー教徒の人々には直接意味があり、自明な事象なのですが、ヒンドゥー教徒でないわたしたち日本人や他の外国人にとっては、直接の意味も関連もないものです。
    
興味を持つだけ、時間のムダです。
   
また、ヒンドゥー教はインドの民族宗教です。ヒンドゥー教徒の家族に生まれない限り、ヒンドゥー教徒には成れません。ヒンドゥー教はインドという土壌の外には出れない宗教なのです。

外国人がヒンドゥー教を理解するのは、生易しいことではないでしょう。インドで長期間生活しないと、まず無理ですし、あえてヒンドゥー教を理解したいという興味がないと、なかなかむつかしいでしょう。
      
(インド人の方と国際結婚しても、まったくヒンドゥー教には興味のない方の例も少なくないようです)。
 
それに、ヒンドゥー教は深刻な自己矛盾と膨大な内部問題を抱えています。
    
最大の問題はカースト制です。
   

ヒンドゥー教文化の上質な部分を享受するには、上位カーストに生まれる必要があります。下位カーストの人々にとっては、ヒンドゥー教とは不条理な人権抑圧システムに他なりません。
    

われわれ外国人はこのカースト制に縛られていないので、むしろ、ヒンドゥー教文化の上質な部分にアプローチし易い、というメリットもありますが、しょせん、外国人には越えることが出来ない一線があります。
    
インドの「精神性」の伝統で、インドの枠を越えて広がったのは「仏教」です。本質的に、仏教にはヒンドゥー教のような深刻な自己矛盾や内部問題が
ありませんし、誰にでも、「仏教に従う」という生き方が許されます。
     
中国大陸と朝鮮半島を経由して来た日本の仏教には、伝承の過程でその土地の文化の影響を受けて来ましたし、日本に定着してからも、日本の文化と融合し、日本的な発展をしています。

そのため、現在日本で目に入る「仏教」では、仏教の本質は見
え難くなっているでしょう。
    
タイで実践されている「上座部仏教」は、インドの「精神性」の直系です。このことは、10年前にタイで仕事を始めた頃の、早い段階で気が付きました。

そして、タイの仏教は人々の日常生活の中で「生きた宗教」として実践され、人々の心の支えとなってます。

そのため、タイの文化の土壌は、とても「ヨーガ」との親和性が高いのです。

日本で「ヨーガ」に興味のある方が、タイの仏教文化を知ることはとても有利なことですし、「上座部仏教」の瞑想法である「ヴィパッサナ」を知ることは、「瞑想」についての正しい理解を深めることに、ほんとうに大切だと思います。

日本のみなさんが、タイの仏教徒の人々と交流を深めるのは、直接のメリットも、長期的なリターンも大きいことに思えます。
    
わたしたちのタイでの合宿セミナーでは、バンコク郊外の瞑想寺や瞑想センターを訪ね、直接タイの仏教実践について知ることもプログラムの一部になっています。


また、日程の許す限り、わたしたちの仕事先である国立シーナカリン・ヴィロード大学の哲学宗教学科を訪ねて、直接タイのスタッフからタイの仏教文化や、大学レベルでの「ヨーガ」や瞑想への取り組みについての講義を受ける機会を設定しています。

今回のお正月セミナーでは、追加プログラムとして、1月7日(月)に次の2ヶ所訪問しました。
   

・「ワット・パンニャーナンダラーム」:
バンコク郊外のランジット地区にある近代的な瞑想寺。

・「サティラ・ダンマ・サタン」:
バンコク都内の「ラームミットラ」地区にある近代的な瞑想センター。

08:00 バンコク都内で集合

10:30 「ワット・パンニャーナンダ・ラーム」訪問
12:00 昼食
14:00 「サティラ・ダンマ・サタン」訪問
16:00 解散 
     
また、1月8日(火)はシーナカリン・ヴィロード大学で、大学のスタッフによる講義と「ヨーガ」のセッションが組まれました。

 
・場所 : シーナカリン・ヴィロード大学人文学部6階講義室
・講義のテーマ : 大学での「ヨーガ」の取り組みと仏教文化
    
14:00 シーナカリン・ヴィロード大学集合

14:30 講義
15:30 休憩(1時間)
16:00 実習(1時間半)
17:30 終了・解散 

   
南国タイの豊かな自然環境での「ヨーガ」の合宿セミナーに興味のある方は、どうぞご相談下さい。

少人数(10人未満)・同グループでの合宿セミナーを優先的にお受けしています。

      
合宿セミナー参加者の方のフィードバック(N.N.さん、広島在住)
   

1)「パナ・ソム」の場所と環境

インド・バンガロールから飛びましたので、バンコク早朝着というイレギュラーなことをしてしまいましたが・・・
    
事前に先生よりご丁寧に色々とご連絡いただき、皆様より先にひでこ先生にお迎えにきていただくこととなり、大変助かりました。本当にありがとうございました。


空港から車で1時間くらいの場所で、すぐ横に道路が通っているようなところでしたが、一旦中に入ると静かでプチ・リゾートのような世界が広がっているという感じでした。

池ではボートをこいだりして遊べます。外でお昼寝も気持ちいいです。


ただ夜は予想以上に蚊に悩まされました。家に帰ってみると足が蚊に刺された痕だらけ・・・・がーん。蚊取り線香ももろともせず、の様子でしたから虫除けスプレーやかゆみ止めは必需品でした。 
      
2)部屋と食事etc.
     

お部屋はKさんと一緒に使わせていただきましたが、それでも充分余裕があるくらいでした。冷蔵庫やテレビもあり、普段旅ではボロボロの安宿を泊まり歩いている私にとっては、すごく贅沢をしたような気分でした・・・。

ちょうど私たちがチェックインした日から気温がぐっと下がったみたいですが、お風呂が実質外にあり、お湯もぬるま湯程度でしたので、夜シャワーを浴びるのは少しつらかったです。夕食前に浴びるようにしますと問題なかったです。

食事は完全菜食ではなかったですが、お肉はなく、代わりにシーフードたっぷりで野菜もたくさんで美味しくもりもりといただいてしまいました。
   

朝はなぜかコーンフレーク等もご用意されていてびっくりでした。昼が多くて夜は少なめ・・・・のはずでしたが、夜もたっぷりご用意いただいていたように思います。
    
3)合宿セミナーの講義と実習について
  

講義

これまでヨーガの本を読んで得たことや講義やセミナーを受けて聴いたものとは違って、客観的に順序立てて論理的にお話してくださったので、さまざまなことが目から鱗、でした。

ヨーガとは一体何なのかという最も根本的でありながら、しかし今まであやふやだったことを明確にご説明いただき、クリアになった気がします。


そして瞑想の嘘とホント?等についても、私が今まで認識していた大きなズレをしっかりと自覚することができるように自然に導かれたので、大変勉強になりました。

ヨーガの文献をベースにしたニュートラルな内容でありながら、ずっとお話を聞いていても飽きがこず、どんどん引き込まれていく先生の講義は本当に素晴らしかったです。


教材はパワーポイントでわかりやすかったですし、他にも仏教に関係する番組のDVD、そしてガロテ先生の映像など、バラエティに富んで充実しておりました。


サドゥーたちの素敵な映像は夢にまで出てくるほどでした。ゲストの先生の講義はタイでのヨーガの理解や拡がりについてとてもわかりやすくお話いただき、興味深く聴かせていただきました。
     
講義の中で、先生が繰り返し「私たちはヒンドゥー教徒ではないから、そこからのヨーガの理解は難しい」とおっしゃっていたと思いますが・・・そのあたりについて、もっと詳しくお話を聞きたいです。


もちろんその理解のためにはインド哲学等からきちんと勉強していかなければならないのでしょうし、短時間では難しいのでしょうが・・・・。
 

実習
 
わかりやすい講義と併せての実習でしたので、さらにわかりやすく、ひとつひとつ意味を確認しながら行うことができ、とてもよかったです。

アーサナは今まで呼吸もいちいち意識しながら行っていたため、呼吸を意識せずに行うということがどれだけ無理がなく有益な方法であるかということを実感できました。


また、プラーナーヤーマーについて、恥ずかしながら今まで漠然としか行っていなかったので・・・・とても勉強になりました。しかしまだきちんとできているかどうか見分けるのが難しいです。
  
バンダ等はちゃんと行ったことがありませんでしたが、体の調子、特におなかまわりが快適になることを実感できました。
 

個人的には・・・ひでこ先生の声がとても穏やかで、聴いているだけで心地よかったです。
      
4)タイランドの印象、今回の合宿セミナーの全般的なご感想 etc.など

       
タイ、バンコクはこの2年で3回目ですが、訪れるたびに、急激な発展ぶりには目を見張るものがあります。パナソムからバンコク市内に移動したとき、静かな環境から突然の人の混雑ぶり、都会っぷりというギャップにクラクラしてしまいました。

バンコク中心部は日本や欧米諸国の大都会と変わらないくらい発展している一方物価
はまだまだ低めで、少し移動すれば異国情緒溢れていて魅惑的なので、これからもそういう国々からの観光客をたくさん集めそうですね・・・。

今回はパナソムで受けさせていただきましたが、ぜひワンサニットにも滞在してみたいです。

セミナーの後オプショナル・ツアーで近代的なお寺や瞑想施設を見学させていただきましたが、伝統的なものと近代的なものがセンスよく融合されているところで、そちらで瞑想セミナー等が行われるならば、ぜひ参加させていただきたいと思いました。
  
また実際に授業が行なわれているタイの大学の講義室でヨーガを指導していただいたのも、よい経験でした。


セミナー中はもちろん、セミナー終了後も、バンコクで色々とフィードバックしながら、これからの自分のヨーガとの付き合い方・・・そしてどのように人生を歩いていくかを根本から考え直す大きなきっかけになり、とても有意義でした。


ヨーガについてはもちろん、セラピーというものに対しての自分の中の縛りと大きな矛盾を静かに見つめ、ときほぐせたような感じです。

またぜひ機会をつくってタイのセミナーや、できればインドのロナウラにも足を運び、まだまだ未熟なヨーガの理解を深めて、ヨーガと楽しく付き合っていきたいと思いました。
 
ひろし先生、ひでこ先生、そして合宿セミナーにご一緒させていただいた個性豊かで生き生きとした素敵な皆様に深く感謝いたします。皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

2008年がよりよき年となりますように・・・・☆

ありがとうございました。

  

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