ワンサニット2009・フィードバック(1)
期間 :2009年11月18日(水)-28日(土)
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南タイ「スーアン・モッカ」10日間瞑想コース
期間:2009年12月1日(火)-11日(金)
11月18日(水)から28日(土)の10泊11日の日程で実施された「ワンサニット2009」のフィードバック・シリーズ(1)です。
初の「専門コース」として、バンコク郊外の『ワンサニット・アシュラム』で10日間100時間で企画された「ワンサニット2009」には、13名の方が参加されました(男性3名、女性10名)。
今回は、沖縄在住の「K.K.」さん(男性)のご感想とフィードバックです。
●「ワンサニット2009」+10日間の瞑想コース(Vipassana)
「ワンサニット2009」への参加者の方で、日程のご都合の付く方には、タイでの本格的な瞑想修行(ヴィパッサナー)を経験する研修プランを推奨しました。
今回は、次の3つのプランで、10日間の「ワンサニット2009」とタイでの10日間の瞑想コースが組み合わされました。
①『ワンサニット』の前に10日間の瞑想コース
(11月4日ー15日、コーンケーンのヴィパッサナ・センター)
→ http://www.dhamma.org/en/schedules/schsuvanna.shtml
②『ワンサニット』に7日間参加後10日間の瞑想コース
(11月25日ー12月6日、ピサヌロークのヴィパッサナ・センター)
→ http://www.dhamma.org/en/schedules/schabha.shtml
③『ワンサニット』修了後、南タイの僧院で10日間の瞑想コース
(12月1日ー12月11日)
→ http://www.suanmokkh-idh.org/idh-travel.html
→ http://www.suanmokkh.org/
③は、南タイのスラタニーという町にある『スーアン・モッカ』という著名な瞑想寺です。
近代タイの精神的支柱であった「ブッダダーサ・ビク(1926-1993)」によって開かれた修行寺で、タイの精神界では大きな影響力のあるところです。
近くに「インターナショナル・瞑想センター」が併設されていて、毎月初めの10日間、外国人向けに瞑想コースが運営されています。
「インターナショナル・瞑想センター」も伝統的な上座部仏教の形式に従っていますが、外国人向けなので、瞑想コースはやや緩やかなルールで運営されています。
『スーアン・モッカ』は、ブッダの教えを遵守する上座部仏教の本質と、タイの仏教文化に直接触れるには、理想的な場所のひとつです。
今回、沖縄在住の「K.K.」さんは、③の『ワンサニット』+『スーアン・モッカ』の研修プランを消化されました。
International Dhamma Hermitage
Wat Suan Mokkh, Ampoe Chaiya,
Surat Thani 84110, Thailand.
http://www.suanmokkh-idh.org/idh-travel.html
以下に、「K.K.」さんの「スーアン・モッカ」の瞑想コースのご感想とフィードバックも寄せられています。
●「ワンサニット2010」
今後『ワンサニット・アシュラム』で、主にリピーターの方を対象に、10日間100時間の「専門コース」も実施して行きたいと考えてます。
来年も11月後半に「ワンサニット2010」を予定しています。
興味のある方は、どうぞ、お問い合わせ下さい。
定員は12名前後です。
11月にはタイは乾季に入り、さわやかなベスト・シーズンです。『ワンサニット・アシュラム』でのシンプルなエコ・ライフにも、気候的な問題の少ない時期です。
●『ワンサニット・アシュラム』について
Wongsanit Ashram
PO Box 1, Ongkharak、Nakhorn Nayok 26120, Siam (Thailand)
Tel: (66-37) 333-183, Fax (66-37) 333-184
『ワンサニット・アシュラム(Wongsanit Ashram)』のホームページ
→ www.sulak-sivaraksaorg/network24.php
写真アルバム
→ http://picasaweb.google.com/hhyoga/WongsanitAshram
『ワンサニット・アシュラム』は『サティラコセーシュ・ナーガプラディーパ財団』 傘下の団体で、1985年に設立されたインターナショナル・コミュニティです。
シンプルなライフ・スタイルの実践と、社会活動と精神性を平行して追求するための施設です。
『サティラコセーシュ・ナーガプラディーパ財団』 の創立者の「スラック・シヴァラクシャ」氏はタイを代表する仏教思想家・社会活動家であり、世界の「仏教陣営」の重要人物です。ノーベル平和賞にも3回ノミネートされています。
『ワンサニット・アシュラム』の環境と設備は、自然環境を生かしたやや「アウト・ドアー」系で、「自然療法センター」としても利用されています。「ヨーガ」の合宿セミナーにも最適な条件が整っています。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ワンサニット2009」での10日間・100時間の専門コース
沖縄在住の「K.K.」さんのフィードバック
【プロフィール】
①住んでいるところ
沖縄県南城市
②現在されていること(仕事etc.)、今までにされて来たこと
ヨーガ指導をカルチャーセンタ、公民館などで行っています。
20歳前後にお寺で小僧生活をしていました。
③特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
仏教、ヨーガ、古武道(琉球古武道)
④ヨーガ歴・ヨーガを始めたきっかけ
お寺での生活を経て、瞑想に興味を持ち、
古武道での怪我がきっかけで、アーサナを始めました。
⑤今後のヨーガへの展望や希望
何を目指してヨーガを行っていくのか、それをどのように
達成できるのかを明確に共有できる仲間づくり、環境づくり
【フィードバック】
1)『ワンサニット・アシュラム』の場所と環境
①環境と施設
シングルのクティに滞在しました。夜は多少冷えましたがとても快適に過ごせました。
②ゲスト・ルーム/セミナー室/瞑想ホール
それぞれのホールが徒歩3、4分ほど離れた場所で、食事、講義、瞑想を終えたあとに程よく外の空気に触れる事で、リセットができました。
瞑想ホールにはクッションがたくさんあり、それらを利用して、腰や首に負担のないようにアーサナをするのは、身体を脱力させるのに大変役に立ちました。
③食事について
毎食、美味しくいただけました。セミナーの後半は、ジャラネーティ、スートラ・ネーティ、ボウマン・ダウティ等、クリヤーヨーガを行うと食事の量を調整する必要が出てきました。その時にごちそうを目の前にしての心の葛藤が大変でした。
2)講義と実習で理解と体験が深まったこと
①アーサナについて
力を入れず、遅筋を働かせ、重力を保持するような姿勢反射・姿勢制御のメカニズムへのアプローチする知覚、その後の自律系全体の作用の知覚。
②プラーナーヤーマについて
通常の自律神経のリズムの呼吸から、コントロールした呼吸を創り出し、深く、ゆっくり、長くという自意識を神経ネットワークへ干渉させていくというアプローチの理解。
その為に、徹底的に5秒吸いこんで、5秒はきだすという、形の訓練の重要性。
③クリアーについて
反射作用の再認識。
スートラ・ネーティは今まで何度か試したことがありましたが、数回でいつも断念していましたが、今回は合宿ということもあり、何がなんでもという気持ちで行うことで、比較的簡単に出来ました。ボウマン・ダウティは初めて行いました。
塩水が胃になだれ込んだ時の内蔵がギュッと緊張した感覚を知ることが出来ました。体内の内壁の感覚を知覚でき、それが呼吸の流れを知覚するのに役立ちました。
その後10日間のヴィパッサナー・瞑想コースに参加したのですが、アーナパーナ・サティという鼻先の呼吸の流れを意識する時に、クリヤーをやっていたことが大変役に立ちました。
④ムドラー・バンダについて
それぞれのムドラー・バンダについて考察することで、今まで理解なしに何となくムドラー・バンダを行っていた点に気づきました。
具体的に何をターゲットにムドラー・バンダを行っているのかが、明確になり、集中が高まり、それによりムドラー・バンダの形も整ってきました。
⑤瞑想について
一日の始めに瞑想から行うことで、毎日クリヤーな状態でセミナーを受ける事が出来ました。
⑥ヨーガ・スートラへの理解度
サンスクリットのそれぞれの単語と他の単語との相互関係を理解でき、全体像のイメージがぼんやりと見えてきました。
またヨーガ・スートラの中の
①よく知っていること
②なんとなく解っていること
③知らないこと
が混在しているという内容から、私たちが混乱する理由が分かりました。
⑦インド哲学・仏教思想についての理解
インド哲学、仏教思想について何も知らないことが分かりました。相方先生の言われる
・「Knowledge-based」での客観的・中立的な知識の蓄積
・広く、アジア全域の精神文化への洞察
というアプローチの方法で、今後積み上げていきたいと考えています。
3)「ワンサニット2009」の総括
①プログラム全体の総括的なご感想
日本という住み慣れた環境を離れてのコースへの参加は、自分と向き合う環境に最適でした。
また、同じような意識をもった仲間との参加でモチベーションも高まり、理解も深まりました。
②ご自分にとって、日本からコースに参加したメリットがあったかどうか
20歳前にお寺での生活をしてから、17年ほどたちました。その間、本やDVD、インターネットなどの情報、また、国内のセミナーなどに参加しながら、部分的に仏教、ヨーガを学んできました。
その結果、頭で描いている何となくの「もの」と、日々実践する何となくの「もの」に、ズレが生じるようになっていました。
今回のコースへの参加でそのズレを再確認でき、修正し、実践することができました。また、実践することで、次への展望も発見できました。
③今後「ワンサニット」の合宿セミナー参加を考えている方へのアドバイス
日常の環境から離れての合宿セミナーは、今よりも向上したいと考えている皆さまには大変有効だと思います。
日常の生活で、自分の問題点を客観的に考察しながら準備をし、合宿に参加されると、より深い結果を得る事ができると思います。
4)タイランドの印象、役立つ情報などゆったりと歩くタイの人々の姿は、それだけで私たちを、今、という現在への気づきを与えてくれます。人々の笑顔もやさしく、とても快適に生活ができました。
ありがとうございました。
「K.K.」
【フィードバック】
1)瞑想センターの場所と環境
①スラタニーの環境
バンコクより夜行電車にてスラタニーに到着しました。瞑想コースが始まる前日についたので、その日はWat Suan Mokkh(スーアン・モッカ)寺に滞在しました。
日本でお寺にお参りに行くと本堂に歩いていくのが道ですが、ここにはそういった建物が見当たらず、一定の間隔で比丘が滞在しているクティがありました。
男性のゲストルームはドミトリーで、板間の上にゴザをひいて、その上に蚊帳をかけるという、環境でした。
瞑想コース中に聞いた話ですが、自然のダンマを知るために、より、自然に近い状態で建物は作られ、修行のそのダンマにしたがって行われているそうです。
②インターナショナル・瞑想センターの施設
管理された、落ち着きのあるセンターでした。
③泊まる部屋と食事
部屋の中はコンクリートの上にムシロが一枚。木の枕です。
これは八戒の
I undertake the training to intend not to sleep or sit on luxurious beds and seats.
「私は豪華な場所に寝ること坐ることから離れるという戒律を受持いたします」
からきているものです。
最後の日まで、寝ている間に何回か、背中や頭が痛くて目を覚ましました。
朝の食事は粥、昼は玄米ご飯に料理皿が二品や三品でした。一日二食で夕方はティーもしくはホットチョコレートでした。
④スタッフの対応
スタッフ自身も修行が目的で滞在しているので、厳しい姿勢で私たちに臨んでいました。
しかし、細心の注意を払いながら、鼻水や咳が聞こえるとハーブティや薬を用意してくれたりと、万全の体制でした。
2)10日間コースについて
基本的な内容は以下のとおりですが、多少の自由がきき、たとえば、45分座る瞑想をして通常は歩く瞑想ですが、もっと座っていたければ、座ることが可能です。
①10日間コースの日課
瞑想は1日で4回に分かれています。早朝、午前、午後、夜。
早朝
4時に鐘がなり起床。
4時半より30分瞑想後
2時間のヨーガ。
その後30分のダンマトーク(法話)と瞑想
朝食
午前
10時-11時 ダンマトーク
(テーラワーダ仏教についての基本的な法話、無常、苦、無我、12縁起、アーナパーナサティなどブッダ・ダーサの説法のテープを聴く)
11時-11時45分 座る瞑想
11時45分-12時30分 歩く瞑想
昼食
午後
14時半-15時半 ダンマトーク
(テーラワーダ仏教についての基本的な法話、無常、苦、無我、12縁起、アーナパーナサティなど)
15時半-16時15分 座る瞑想
16時15分-17時 歩く瞑想
18時 チャンティング(お経)
ティータイム
夜
19時半 座る瞑想
20時 歩く瞑想
20時半 グループ歩行瞑想
21時 終了
21時 消灯
②瞑想コース中に洞察が深まったこと
プラーナヤーマ、バンダ・ムドラーとアーナパーナサティの関連。瞑想を続けていき、呼吸が深まると、身体は自然にバンダを行う姿勢になっていきました。
アーサナ、プラーナヤーマの延長上に瞑想があることをよく理解できました。
③瞑想コース中に直面したチャレンジ
前半のダンマトークの内容で、私たちは経験を常に求めています。身体の柔軟性の準備ができていないのにパドマ・アーサナ(結跏趺坐)に座ったりすることへの注意でした。いました。
経験をするのではなく、呼吸の洞察をするのが目的です、という話がありました。
ちょうどそのころ、私は姿勢を伸ばす、呼吸を長くする、という経験と格闘しており、首から肩にかけては、ガチガチ。呼吸もエゴで無理やり押し付けながら呼吸を長くしていました。
その為、夜、すべての日程が終了すると、疲れでぐったりして
「経験をするのではなく、呼吸の洞察をするのが目的」を聞き、はっと我にかえりました。
それから、姿勢を気にせずに座りました。そうするといままで、いかにエゴが自分の身体を押し付け、経験を求めていた事を知りました。呼吸もまったく同じでした。
何もわかっていない私のエゴが身体、呼吸のイメージをつくりだし、そのイメージに近づこうとだけしていたのです。
それから、身体が自然体になり、呼吸の洞察が始まりました。
④タイに来てコースに参加した意義があったかどうか
僧院での瞑想コースに参加できたことは何よりも学びでした。
本や、DVDでタイの比丘は何も所有せず、早朝、鉢を持って裸足で歩き、村行き、托鉢で食事を得て、正午までに食べ、それ以後は、何も食べず修行するということは理解していたつもりでした。
タイの僧院に行き、それを目の当たりにしたときに、奇跡を感じ、畏敬の念を覚えました。
経験をするのではなく、洞察をするという大切さを学ぶことが出来ました。
3)総括:ヨーガと仏教について
今回の瞑想コースの参加者は91名と聞いています。その内の9割は西洋人です。仏教的な背景をもたない人々にも、宗教ではなく、仏の教えとしての実践が受け入れられていました。
最後のシェアーリングの時に、一人お西洋人が自身の父の死を受け入れることができていなかった。と話をしてくれました。
今回の瞑想セミナーで一番印象に残ったのはチャンティング。お経を読むことだったと彼は言いました。経には、繰り返し繰り返し死について洞察せよ!無常、苦、無我が説かれているのです。
ヨーガと仏教が、アジアの精神性として、人類の精神性として、広がることが出来ればと期待しています。
自身の探求、向上のためには環境を整えていく、ということが何よりも大切なんだと理解しました。
出来ない事を無理をして、周りを省みず行うのではなく、
まだ起こっていない悪は防ぎ
すでに起こった悪は取り除き
役に立つ有益な事は起こるようにし
すでにある有益な事は維持していく。
現在の環境を整えていく。
ヨーガの土壌から新しい花を開いた仏教としてとらえることができれば、私たち、アジアの人々もインドへの道を迷わず歩いていくことが可能になると確信しています。
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