ワンサニット2009・フィードバック(6)
期間:2009年11月18日(水)-28日(土)
「ワンサニット2009」のフィードバック・シリーズ(6)です。
初の「専門コース」として、バンコク郊外の『ワンサニット・アシュラム』で10日間100時間で企画された「ワンサニット2009」には、13名の方が参加されました(男性3名、女性10名)。
以下は、今回は、新潟在住の「H.K.」さん(男性)のご感想とフィードバックです。金融関係にお勤めの団塊世代の方で、アウト・ドアー・ライフを趣味とされています。
ヨーガ歴も25年、インド思想にも深い関心を持たれ、実際にインドの仏教復興運動も支援されています。
●「ヨーガ」を客観的・常識的に扱う枠組み
日本の「ヨーガ」には、「1995年事件」のトラウマがあります。従って、「ヨーガ」を不用意に盲目的に「宗教」と関連付けることは、現代日本ではタブーです。
それは、世間でのヨーガの評判を高めることにはならないでしょう。むしろ、「ヨーガ」を、客観的に、常識的に、広い文脈で扱う枠組みが定着して行く必要があると思われます。
現代インドでは、「ヨーガ」はヒンドゥー教文化と切り離せませんが、むしろ、「ヨーガ」の本質は仏教文化の方に近いものです。
しかし、中世以降、インドでは仏教文化は衰退してしまったため、むしろ、アジアの仏教徒の方が、ヨーガの本質に近づきやすいという傾向があります。
わたしたち日本人が「ヨーガ」にアプローチする場合も、客観的な知識の体系としての「ヨーガ」を構成するインドのリソースを確認しながら、広い意味でのインド哲学・仏教思想についての知見を深めることが有利です。
その延長線上に、「ヨーガ」が媒介となって、「人間とは何か?」「自分とは何か?」「肉体とは?心とは?」「なぜ病気や老化が起こるか?」「どのように生きるのか?」といった、実存的・哲学的な問いかけへの答えが浮かび上がって来ると思われます。
哲学的な問いかけがあるから、「ヨーガ」は面白いのですね。
例えば、「アーサナ」のスタイルの表面的な違いで、ヨーガの是非や優劣を判断するのは間違いでしょう。
「アーサナ」の目的は「sthira sukham asanam (PYS II-46)」であり、一時的に、からだの動きをひとつの姿勢で停止させることです。
アーサナの動きは、姿勢反射と筋緊張のリズムを調整することで、最終的に、自然に動きが停止する静的な姿勢に至るトレーニングとして解釈出来ます。
ある期間集中して練習して行くと、このポイントが体感されます。アーサナは、自律機能である姿勢反射への、自意識の関与を最小限にして行くトレーニング、と理解しないと、延々と、ラジオ体操的な健康体操を続けることにもなるでしょう。
また、アーサナを、お洒落なフィットネス体操の一種や、人前で変わったポーズを取るパーフォーマンスの一種として勘違いすることにもなると思います。
常識的・客観的な知識の積み上げによって、ヨーガへの信頼が深まって行けば、「自己探求」の方法論としての「ヨーガ」への理解が定着して行くと思われます。
そのことで、一時的な流行や、ヨーガ絡みの不祥事やスキャンダルからの影響も受けなくなるでしょう。
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【フィードバック】
①住んでいるところ
新潟市
②現在されていること(仕事etc.)、今までにされて来たこと
会社員
③特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
仏教発祥の地インドの思想
ライフワークはヨーガの理論習得と実践
④ヨーガ歴・ヨーガを始めたきっかけ
途中でブランクはありましたが約25年になります。
30代頃の不摂生による腰痛 。
⑤今後のヨーガへの展望や希望
日本にもニュートラルなヨーガ教育の専門機関があれば、男女・年齢を問わず、もっといろいろな分野の人たちが参加できると思います。
①環境と施設
1)『ワンサニット・アシュラム』の場所と環境
運河の渡し船やまわりの風景は、なんとなく、昭和30年代の日本の田舎みたいで懐かしみを感じました。
②ゲスト・ルーム/セミナー室/瞑想ホール
コテージのような一人部屋でゆっくり過ごせました。洗濯ものが半日で乾きビックリです。
セミナー室や瞑想ホールは広く快適です。 しかし、照明が少し暗いような気がします。
③食事について
ご飯・魚・野菜・果物みんな美味しくいただきました。 初めて食べる野菜や果物もあり必要以上に、食べてしまいました(念のため持っていったカップ・ラーメン等日本食は不用でした)。
2)講義と実習で理解と体験が深まったこと
①アーサナについて
筋トレではなく、いかに脱力するかがポイント。座布団利用してのアーサナーは、無駄な緊張がなくなり、深く身体の内部の変化を感じることができました。
②プラーナーヤーマについて
「同じスピードで同じリズムで」が基本。 朝・昼・夕・晩とアヌローマを繰り返すと、3日後ぐらいからその感覚がつかめるようになり、爽快感が広がりました。
③クリアーについて
ジャラ・ネーティとトラータカは行っていたが、今回スートラ・ネーティとボウマン・ダウティを初めて行いました。
一人で行うと不安感がありますが先生の指導や参加された方々の助言で、割とスムースにできました。
④ムドラー・バンダについて
今までムーラ・ウッディヤーナ・ジャランダーラの3つのバンダを行っていましたが、今回の講義・実習でのジフヴァ・バンダ(舌の締め付け)の重要性を理解しました。
アーサナのつど行っていた、寝て行うムーラ・バンダとジャランダラ・バンダは、座って行うより骨盤底や喉への締め付け箇所に集中力が増すと感じました。
⑤瞑想について
「ヨーガの目的はサマーディ」。そのために「こころと身体の鍛錬する」と考えていましたが、「今・現在のこころと身体への鋭敏な気づき」でないかと思うようになりました。
⑥ヨーガ・スートラへの理解度
以前は時間の制約上、さわりの部分で終わらざるを得ませんでしたが、今回は時間をかけ、ヨーガ・スートラの心理モデルによる講義をしていただき、今まで漠然としていたこころの「機能」・「構造的問題」・「構造疲労」ということを整理・理解できました。
⑦インド哲学・仏教思想についての理解
『タイ・ヨーガ研究所』のカヴィー氏の「MAP OF YOGA」の講義で、仏教は「こころのコントロール」、ヨーガの主題は「マインド」、どちらも目的は同じと説明されおり、タイではヨーガがすんなりと受入れられているという、相方先生のお話に納得いたしました。
仏教思想に比べインド哲学は感覚的にフィットしない面もありますが、ヨーガを実践してゆくことにより、理解も深まってゆくのではないかと思っています。
3)「ワンサニット2009」の総括
①プログラム全体の総括的なご感想
内容は期待していたとおりでした。満足しています。
対外講師の講義・ワット(お寺)参拝・ワンサニット周辺の散策(市場見物・ティーブレイク)等の行事を入れていただき、ありがとうございました。
気持ちがフレッシュになると同時に、ふつうではあまり見たりすることのできないタイの生活を経験することができ、印象が強く残りました。
②ご自分にとって、日本からコースに参加したメリットがあったかどうか
ここで感じたことは、時間がゆっくり流れて一日が過ぎてゆく、ということでした。
そして、10日間という長期間にもかかわらず、ヨーガへの集中力が散漫になることも、疲れるということもありませんでした。
日本と違う風土・環境で日常生活を離れて集中してヨーガを行うことが、こんなにもリラックスして過ごせるものか、と感じております。
③今後「ワンサニット」の合宿セミナー参加を考えている方へのアドバイス
10日以上の休暇をとることは(特に会社勤めの人にとって有給休暇があるとはいえ)、いろいろな面で大変な気苦労があると思いますが、参加をお薦めいたします。
今年は前半、来年は後半のプログラムに参加というプロセスも可能かと思います。
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