ワンサニット2009・フィードバック(7)
期間:2009年11月18日(水)-28日(土)
「ワンサニット2009」のフィードバック・シリーズ(7)です。
初の「専門コース」として、バンコク郊外の『ワンサニット・アシュラム』で10日間100時間で企画された「ワンサニット2009」には、13名の方が参加されました(男性3名、女性10名)。
以下は、千葉在住の「M.Y.」さん(女性)のご感想とフィードバックです。今年6月の「穂高編2009」に参加され、引き続き、11月の「ワンサニット2009」に来られました。
●「2次元→3次元→4次元」のロードマップ
ヨーガや瞑想への理解を深めるには、環境と条件を選ぶことが有利です。
良好な環境に入り、適した条件が整い、自分の側にも必要な準備が出来ていれば、10日間のプログラムでも、一気に、本質的な部分への体験的理解を深めることが可能です。
「言葉」というのは2次元ですね。言葉だけで理解できるものには限界があります。
わたしたちの「生きている世界(=こころとからだと環境)」は3次元です。時間と空間と因果関係に制限された領域です。
2次元の言葉で、3次元の世界を描写することは可能です。わたしたち人類は、言葉という「道具」を使って、3次元の世界の知識を蓄積・伝達することで、文明や文化を築いて来ました。
しかし、「精神性」は4次元の領域に入ります。時間と空間と因果関係に制限されない領域です。
4次元の精神性は、2次元の言葉では描写が不可能です。
つまり、本質的に、精神性は言葉では届かない領域にあります。
4次元である精神性の描写には、3次元の装置が必要になります。「いつ・どこで・誰が」という必要十分な環境と条件が整うなら、4次元の領域が立ち現れることも可能になります。
ですから、「2次元→3次元→4次元」というロードマップの「仕分け作業」が必要になります。
この作業を踏まえれば、ふつうの常識と知性があれば、精神性は、別に不可思議でも不可解でも神秘でもないし、ほんとうに興味と関心があれば、誰にでも納得が可能なものと思われます。
言葉は2次元。
こころとからだと環境は3次元。
精神性は4次元。
インド哲学の伝統は、ヒンドゥー教系も仏教系も、究極的には、「3次元→4次元」を扱います。
このあたりのむつかしさは、インドに来て、インド人の先生から直接インド哲学の指導を受けるようになった頃、わたしも大いに痛感しました。
とても難儀したところです。
インドでは、日常の言葉でも精神性(4次元)に関わる用語が豊富です。ふつうの会話にも、頻繁に使われます。しかし、それは、「インド環境」という3次元世界でのみ成立し、立ち現れているもの、のように思えます。
その後、仏教国のタイで仕事をするようになり、タイでは、日常の言葉に、仏教の精神性に関わる用語が実に豊富であることを知りました。
言葉は2次元であるけど、3次元の環境・条件が整えば、4次元が立ち現れる.....
この「2次元→3次元→4次元」のロードマップが見えて来て、環境・条件が整って行けば、ヨーガの各段階のテーマや、仏教の瞑想法のターゲットも、自分自身の3次元の体感として、無理なく、誰にでも納得されて行くものに思われます。
ヨーガや瞑想には、それを学ぶ「環境」が、特に大事ですね.....
ヨーガの研修のために海外に行くことが出来る方には、仏教国のタイで合宿セミナーに参加することが、有力な選択肢になると思います。
ヨーガの合宿のために、カルフォルニアやハワイに行くよりも、おそらく、はるかに有益で充実した内容になると思えます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【フィードバック】
①住んでいるところ
千葉県習志野市
②現在されていること(仕事etc.)、今までにされて来たこと
Webデザイナー。主婦。ヨーガ指導。
③特に関心の深いこと、特技・趣味やライフワーク
ヨーガ、インド文化、仏教、仏画
④ヨーガ歴・ヨーガを始めたきっかけ
ヨーガ歴は9年ほどです。
仕事で心身のバランスを崩したことがきっかけで始めました。
⑤今後のヨーガへの展望や希望
ヨーガという言葉に、即「私、身体が固いから」「スポーツ苦手だから」と反応される方が多いので、正しいヨーガへの理解が広がってほしいと思います。
1)『ワンサニット・アシュラム』の場所と環境
①環境と施設
熱帯の植物に囲まれ、日本の森とは違う濃厚な自然を楽しみました。
朝 夕は鳥や虫たちの声がにぎやかで、夜はホタルが飛び交っていました。
建物も周りの自然に溶け込んでいて、どこを眺めても心地よく感じました。
②ゲスト・ルーム/セミナー室/瞑想ホール
1人部屋のコテージに泊まりました。広さもちょうど良く、快適でした。
水場の近くだったので蚊はたくさんいましたが、アリは部屋の中では見かけませんでした。
セミナー室は、木で組まれた高い天井が気持ちよく、 リラックスできる空間でした。日中エアコンがなくても涼しいのに驚かされました。
瞑想ホールは座布団がたくさん用意されていて、アーサナの練習や瞑想に最適でした。
③食事について
毎回おいしくいただきました。タイ料理は辛くて刺激が強いものが多いと思いますが、ここのお料理はマイルドでした。
お庭で栽培(自生?)されているハーブなど、香りの珍しい野菜がおいしかったです。
2)講義と実習で理解と体験が深まったこと
①アーサナについて
10日間規則正しくアーサナを練習したことは、動きや内部感覚に対する感受性を高めるのに役立ったと思います。
今までは、教室の先生や本のモデル写真を見て、アーサナの完成形をまねるのに一生懸命でしたが、快適で効果的な動きのプロセスや形は、個人によって異なり、それはその人自身の身体が一番良く知っているのではないかと思うようになりました。
先生のおっしゃる「姿勢反射」という言葉の意味が、少し体感できたような気がします。
②プラーナーヤーマについて
プラーナーヤーマについては、実習・講義ともに、こんなに丁寧に教えていただいた機会がなかったので、大変有意義でした。
教室やテキストによって方法が違い、実習方法に確信がもてませんでしたが、今回のセミナーで、毎日の生活に取り入れられるようになりました。
③クリアーについて
クリアーの練習には、このような合宿形式が最適だと思います。1人では抵抗があったり、方法に不安があったりするので、今回は参加する前からクリアーの実習が楽しみでした。
スートラ・ネーティは以前一度トライしましたが、鼻の中の激痛にひるみ通すことができませんでした。今回のどまでは達したのですが、つかむことができまないまま合宿を終えました。翌日家で試してみたら、すんなりとつかむことができ、それからはスムーズにできています。
ボウマン・ダウティは初めてでした。自然の中で思いっきり吐くのがこんなに爽快だとは!
トラータカは初めのうちは目が痛くて、30秒もたたないうちに涙がだらだらと流れてしまいましたが、だんだんと慣れて、目を開けていられる時間が延びていきました。
こうした、普段では気づかない身体の反応を知るのは新鮮でした。
アーサナやプラーナーヤーマ実習後の爽快感は、今までにも経験がありましたが、クリアーによる開放感や高揚感を味わったのは初めてでした。
「シュッディ」という意味や、身体と精神との密接な関係を実感できました。
④ムドラー・バンダについて
ムドラー・バンダを行う箇所が、身体にとって要であることを実感できたような気がします。
講義では、ムドラー・バンダを行う箇所が、生理学的にも重要な場所であることが理解できました。
⑤瞑想について
アーサナ、プラーナーヤーマ、クリアーが瞑想の準備のための「ナーディ・シュッディ」であり、瞑想には澄んだ心と身体が必要だということが、少し体感できたように思います。
⑥ヨーガ・スートラへの理解度
以前の養生園でのセミナーでも目からウロコがたくさん落ちましたが、今回はまとまった時間集中して講義を受けられたので、かなりのウロコの数でした。
今までなぜわからなかったのかが、よく把握できました。 「わかった!」という体験も脳のクリアーだと思います。
ヨーガ・スートラに書かれていることは、全て日々の実践に生かすべし、とがんばって理解しようとしていましたが、ある部分は知識として把握すればいいことがわかり、すっきりしました。
⑦インド哲学・仏教思想についての理解
ヴェーダーンタの伝統とハタ・ヨーガの歴史、ヨーガ・スートラがどういう世界観に基づいているか、などを知ることよって、ハタ・ヨーガとインド哲学との関係への理解が深まりました。
長年インドとタイで生活されている先生ならではの知識と体験に基づいた両文化・宗教の違いに関するお話は大変興味深く、インド哲学と仏教について、今までとは違った視点で捉えられるようになりました。
資料が少なく、日本語訳を読んでもなかなか理解できない『ハタ・プラディーピカー』や『ゲーランダ・サンヒター』の明解な解釈が伺えてうれしかったです。
3)「ワンサニット2009」の総括
①プログラム全体の総括的なご感想
毎日充実した実習と講義を受けることができ、とてもぜいたくな時間でした。
日本へ帰ってきて驚いたのは、10日間日常とは異なる空間・スケジュールで過ごしたにもかかわらず、帰国した翌日も身体が軽く、全く疲れを感じなかったことでした。
ワンサニットの環境の良さと、頭を使う講義・身体を使う実習とのバランスが絶妙なプログラムの中で、心身ともにリフレッシュできたからだと思います。
10日間、規則正しいスケジュールをこなしていくと、実習と講義との相乗効果を実感することができます。
②ご自分にとって、日本からコースに参加したメリットがあったかどうか
想像以上のメリットがありました。10日という「長期の合宿期間」については、参加する前から非常に貴重な機会だと大きな期待がありました。
それに対し、タイという「環境」については、個人的に好きな国だし、ワンサニットの自然が楽しみではありましたが、ヨーガとの関連性にはあまり思いが至りませんでした。
ところが、国や人の空気や、土地の持つ磁力のようなものは、やはり実際に身を置いてみなければわからないものです。
日本では得られないようなヨーガや宗教に対する気づきがあり、環境の大切さを実感しました。
なかなか観光では訪ねる機会のないお寺を見学できたことも貴重な経験でした。そこに流れる穏やかな空気や、僧侶の清々しい姿は印象的でした。
また、タイ人講師の方の講義を受けられたことも大変有意義でした。 タイでは、仏教とヨーガが何の矛盾もなく結びつけられていて、先生方からそのことに対する自信が感じられました。
③今後「ワンサニット」の合宿セミナー参加を考えている方へのアドバイス
ヨーガを日常生活に生かしたいという方に、是非おすすめします。
そして、仏教に興味がある方にも、是非是非おすすめします。
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